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ムード・サックスっぽくもあるが。

新譜紹介をこなしていきましょう。

P131 ジョシュア・レッドマン『ウォーキング・シャドウズ』(2012年rec. Nonesuch)です。メンバーは、ジョシュア・レッドマン(ts,ss)、ブラッド・メルドー(p,vib:3 10,tubular bells:10)、ラリー・グレナディア(b)、ブライアン・ブレイド(ds)、オーケストラ(1,2,5,7,10,12)、指揮:ダン・コールマン、ストリング・アレンジメント:ダン・コールマン、ブラッド・メルドー、パトリック・ジメルリです。一応ジョシュアの新譜はフォローすることにしているので買いました。

基本はワン・ホーン・カルテット、半分の曲でオーケストラと共演。ベースとドラムが抜ける曲、ピアノとのデュオ曲もあります。スタンダード、ジャズマン・オリジナル、クラシック曲、ポップス曲、メンバー自作曲など、様々な曲をジョシュアがバラード演奏していくという趣向のアルバムです。この人はよく言われるように器用貧乏というか、色々なことがそつなくできて各々のクオリティは高いのですが、今これをやりたいという何かが希薄です。

ジョシュアのここ3作を見ると、物議を醸した現代的表現の『コンパス』、コンテンポラリー・バップ・カルテットの『ジェームズ・ファーム』、そしてこれです。別に同じことをやる必要はないとは思いますが、コンセプトがこうもコロコロ変わると何をやりたいのかさっぱり分かりません。今回はまあ、ジョシュアがこういうアルバムを出せる歳になったんだなということで了解はしています。

内容は悪くないです。特に奇を衒うことなく、堂々と自己のサックスでメロディーを大切にして素直に歌っていくジョシュアの姿は一聴の価値ありです。このアルバムの目的であろうサックスで歌を聴かせるということはきちんと達成していると思います。メルドーが控えめにサポートしているのは好感が持てます。きちんとジョシュアを立てているのが良いです。プロデューサーとしての見識なのでしょう。ヴァイブやチューブラーベルを叩く曲もあり、この人ならではの美意識も見せます。

グレナディアのベースはきちんと役割をこなしています。《アダージョ》での落ち着き払ったベースが良いです。そしてこれはもう誰もが言うと思いますし、またかと言われてしまいますが、やっぱりブレイドのドラミングは素晴らしい。演奏を映えさせるツボを心得ているのです。この人が叩いているだけでアートな雰囲気が醸し出されてしまうというのは凄いことだと思います。《ストップ・ディス・トレイン》(この曲だけバラードではない)での電車が進む雰囲気と小気味良く心弾むグルーヴなんてもう最高ですね。

ストリング・アレンジは3人が行っていて、誰がどの曲をやっているかは分かりませんが、いずれも上質なアレンジになっています。私は《ラッシュ・ライフ》のちょっぴり尖がったアレンジが好き。ノンサッチならではの録音の良さも聴き所で、サックス、ストリングス、ドラムのブラシなど、クリヤで音の表情の細部が良く伝わってきます。

まあちょっぴりムード・サックス風にも聴こえますが、ここにある音楽ときちんと向き合えば、決してそれだけではないことが分かるでしょう。たまにはこんな音楽に浸るのも悪くないと思います。

アルバム名:『WALKING SHADOWS』
メンバー:
Joshure Redman(ts, as)
Brad Mehldau(p, vib: 3 10, tubular bells: 10, string arrangements)
Larry Grenadier(b)
Brian Blade(ds)
Orchestra(1,2,5,7,10,12)
Dan Coleman(conduct, string arrangements)
Patrick Zimmerli(string arrangements)

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ジャズ・アルバム紹介」カテゴリの記事

コメント

こんにちは〜
わたしも このアルバム聴きました♪
すごく気にいってます(^-^)
聴きやすさが JAZZ初心者にはいい感じです。
オーケストラとの演奏も聴きごたえがあり 買ったその年だけでなく ずっと聴いていくCDという感じです。(わたし 買ったその年は よく聴くけど あとはなかなか聴かない というのがあったりします^^;)

ジャズっ!って感じのものが好みの方も たまに こういった感じのを聴くのはいいですよね♪

投稿: Marlin | 2013年6月20日 (木) 09時09分

Marlinさん

こんばんは。

>わたしも このアルバム聴きました♪
>すごく気にいってます(^-^)

なかなか良いですよね。

>聴きやすさが JAZZ初心者にはいい感じです。

初心者向けというのは言えますね。
確かに聴きやすく、そして演奏も良いと思います。
かつ色々な曲があって楽しいですし。

>オーケストラとの演奏も聴きごたえがあり 買ったその年だけでなく ずっと聴いていくCDという感じです。

愛聴盤が出来るのは良いことだと思います。
そういうのがないと長く聴き続けられませんから。
そしてそこから広がって行けば良いと思います。

>わたし 買ったその年は よく聴くけど あとはなかなか聴かない というのがあったりします^^;

私なんかCDを凄くたくさん持っているので、なかなか聴かないものばかりです。

>ジャズっ!って感じのものが好みの方も たまに こういった感じのを聴くのはいいですよね♪

はい!そのとおりだと思います。

投稿: いっき | 2013年6月20日 (木) 20時23分

ジョシュアもこういうアルバムを出すようになったんですね。でも昔のWith Stringsものとかと違って、コンボも半分あるし、オリジナルもあるし、アドリブも全体の調和をこわさないように、けっこう自由に吹いている部分もあって、なかなかいいなあ、と思った次第です。スーっと入ってくるけど、じっくりと聴けそうでもあります。

TBさせていただきます。

投稿: 910 | 2013年6月25日 (火) 19時11分

910さん

こんばんは。
出すようになったんですね。ジョシュア。まあ傾向としてはメルドーの『ハイウエイ・ライダー』のあたりから、こういう感じの演奏はありましたよね。
確かにウィズ・ストリングス、コンボ、オリジナル、テーマを大事にしつつ、アドリブも聴かせるとか、色々詰め込んであるわりにはバランスがとれていて、とっちらかっていないのはさすがだと思いました。
聴きやすくてじっくり聴くのにも耐える内容はなかなか良いと思います。

TBありがとうございました。

投稿: いっき | 2013年6月25日 (火) 22時34分

ムードテナーって、笑ってしましましたぁ!
でも、BGMでも、オッケーですよね。

いろいろとハイレベルなのに、リラクセイションたっぷりで、各自の見せ所もそれなりに用意されてました。。
夏のからりとした空に似合いそうなStop This Trainがとても好きです。
ジョンメイヤーって、好きなんですけどね。本家の弾き語りヴァージョンより、いけてると思ってしまいました。

大変素晴らしいと思いますが、「基本は普通のバラード集」なので、、
その分、退屈だと思う方もいらっしゃるかもしれませんね。。。


ありがとうございました。m(_ _)m

投稿: Suzuck | 2013年6月27日 (木) 18時06分

Suzuckさま

こんばんは。
”ムード・サックス”というのはAmazonのレビューに書いてあって、なるほどな~と思ったから書きました。
はい、BGMでもOKです。
ハイレベルですよね。
でもそれをやたら見せびらかさないあたりが、さすがこの人達だと思いました。
《Stop This Train》のジョン・メイヤーって私は聴いたことがないのですが、この曲は何となくメセニー風にも聴こえて好きな曲です。
おっしゃるとおり「基本は普通のバラード集」です。
そういう風に聴いてしまえば退屈。
でもそれでは見方(聴き方)が甘い(笑)。
トラバありがとうございました。

投稿: いっき | 2013年6月27日 (木) 20時58分

とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!

投稿: 特技がない | 2013年7月21日 (日) 23時55分

どうもありがとうございます。

投稿: いっき | 2013年7月22日 (月) 20時16分

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寒暖の差が激しい今日この頃。。春は、、何処に。。? 新譜がたまりすぎて、しかも、 [続きを読む]

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