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2013年5月

Tzadicレーベルから出たメセニーの新譜

ツァディック・レーベルからメセニーの新譜が出るとは思いませんでした。意外な組み合わせですが、これが全く違和感なく融和しています。メセニー、ゾーン共に懐が深い人達なのでこういうことができるのでしょう。

ところで今頃になってですが今年のグラミー、メセニーのユニティ・バンドはベスト・ジャズ・インストウルメンタル・アルバム部門賞を受賞していたんですね。まあ順当なところか。で、エスペランサはベスト・ジャズ・ヴォーカル・アルバム部門賞とベスト・インストゥルメンタル・アレンジメント・アカンパニング・ヴォーカリスト部門賞を受賞。ほらねっ、エスペランサはシンガー・ソング・ライターとして評価されてるじゃないですか。『ラジオ・ミュージック・ソサイエティ』ってそういうアルバム。私が言ったとおりです。

話を戻してメセニーの新譜紹介。

P115 パット・メセニー『タップ ジョン・ゾーンズ・ブック・オブ・エンジェルズ VOL.20』です。メンバーは、パット・メセニー(ac-g,el-g,baritone-g,sitar-g,tiples,b,p,orcchestrionic marimba,orcchestra bells,bandoneon,per,electoronics,flh)、アントニオ・サンチェス(ds)です。まさにメセニーらしくて一人で何でも演奏しちゃってます。メセニーの多重録音にサンチェスのドラムが共演。ゾーンのツァディック・レーベルとメセニーが所属するノンサッチ・レーベルの両方から併売という形になっています。私はAmazonで一番安かったノンサッチ盤を買いました。

このシリーズは初めて買いましたが、ゾーンの「マサダ」楽曲を色々なミュージシャンが演奏するシリーズのようです。もう20作目なんですね。プロデュースとアレンジはメセニーがやっているのですが、出てきたサウンドはツァディック・レーベルらしいアバンギャルドも感じさせるものになっていて、これはゾーン、メセニー2人の暗黙の了解なのでしょう。

1曲目《MASTEMA》はゾーンの楽曲らしいユダヤの匂いがするもの。シタールを弾いていてエスニック感満載。変拍子が炸裂するあたりが今時。サンチェスは難なく気持ち良くグルーヴさせていますね。ギンギンなロック・ギターが登場すると一挙にアバンギャルドな雰囲気に。ラストに向かっては尖がったエレクトロニクスが絡んで、かなりカッコイイ演奏になっています。

2曲目《ALBIN》は、一転してアコースティック・ギターを生かした美しいバラード演奏。メセニーが選ぶだけのことはあるとても美しい曲です。チャーリー・ヘイデン・レベルとまではいきませんが、ベースの音選びもそこそこいい線いってます。バンドネオンの哀愁はヘイデンのアルバム『ノクターン』の雰囲気に通じますよね。メセニーはこういうのが一人でできてしまうのです。サンチェスのドラムはもちろん自分らしい主張をしていて、やっぱり今のメセニーにベスト・マッチ。ラストにほんの少しオーケストリオニック・マリンバとベルが登場。

3曲目《THARISIS》はもろにユダヤ・エスニック曲。これも変拍子。前曲ラストに登場したオーケストリオニック・ベルが活躍。賛否はあるにせよ。こういう風に使い込んで行き自分のサウンドのアイコンと化してしまうメセニーのやり方は好きです。ピカソ・ギターという変なギターも今やメセニーの顔。同様にして早くからアイコン化したギター・シンセの、伸びやかで気持ち良いソロが聴けます。サンチェスのドラムも大活躍。オーケストリオニック・ベルとの共演も違和感なし。

4曲目《SARIEL》もユダヤ・エスニック曲。アコースティック・ギターのアンサンブルでしばらく進んで、途中から曲調が変わりロックなギターが登場するあたりの場面転換は正にメセニー流。普段よりロックっぽいギターを弾くメセニーがツァディック・レーベルらしさを演出していると思います。こういうロック・ギターが好きです。ラストはロック・ギターとドラムのバトルが少々。

5曲目《PHANUEL》はバラード演奏。アコースティック・ギターを中心に、こちらは空間を感じさせるイマジネイティブなサウンド。途中に現れる色々な音響の断片の散りばめ具合がアートしてます。こういうところ、やっぱりメセニーはセンス良いんですよ。後半のアコースティック・ギター・ソロはいつも通りで美しい! メセニーのベース、サンチェスのドラムが上手く盛り上げ、バックに薄く被さるシンセ・ストリングスが上質感を漂わせます。

6曲目《HURMIZ》はいきなりピアノから入ってフリー・ジャズへ突入。メセニーのピアノの音に説得力があるかと言われれば、そこまでは行ってないと思います。ここは正直に言ってしまえばピアニストには負けているでしょう。でも、サンチェスのドラムと果敢にバトルを繰り広げるメセニーのピアノは単なるお遊びレベルではないと思います。大真面目にピアノを弾いていそうなメセニーの姿が浮かんできて、「らしいなあ。」と納得します。

なかなか面白い仕上がりのアルバムです。最近のメセニーは自分の枠からあまりはみ出さない演奏が多かったので、今回は新鮮に響きました。ツァディック・レーベルのレーベル・カラーに上手く融合したメセニー・サウンド。聴いてみて下さい。

アルバム名:『TAP JOHN ZORN'S BOOK OF ANGELS | VOL.20』
メンバー:
Pat Metheny(ac-g, el-g, baritone-g, sitar-g, tiples, b, p, orchestrionic marimba,
orchestra bells, bundoneon, per, electronics, flh)
Antonio Sanchez(ds)

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またまたオーディオ・チェック盤

これも当時オーディオ・チェックに最適ということで色々なところで使われたオーディオ・チェック盤です。

P114 『オルフ カルミナ・ブラーナ』(1984年rec. ドイツ・グラモフォン/ポリドール)です。演奏は、ジェイムス・レヴァイン指揮シカゴ交響楽団、ジューン・アンダーソン(ソプラノ)、フィリップ・クリーチ(テノール)、ベント・ヴァイクル(バリトン)、シカゴ交響合唱団、クレン・エリン児童合唱団です。私が持っているのは国内盤です。

これは大編成のオーケストラと大合唱団の全奏時の解像度/分解能を聴くアルバムです。解像度/分解能というのは、全部が一斉に鳴った時に、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、金管群、木管群、打楽器、混成4部合唱の位置がきちんと分離して聴こえるかどうかということです。解像度が悪いとモヤモヤと全体的に鳴っているようにしか聴こえません。

最高の解像度ならば各楽器の人数や合唱団の各パートの人数が判別できます。ってのはちょっと大袈裟ですが、まあでも似たようなことをオーディオ評論家の皆さんはおっしゃいます。「このアンプはヴァイオリンの弦の一本一本が見えるようだ。」とか、「このCDプレーヤーは大音響の中で鳴るフルートの音がはっきり聴こえる。」とか(笑)。

ハイライトはやっぱり冒頭の大迫力全奏だと思います。実はこの部分、TVで効果音として時々使われるんですよ。ほとんどの人はこの曲が何か知らずに聴いているはずです。どういうシーンで使われるかというと、風雲急を告げるシーン、バックにこれが流れるといやが上にも切羽詰まった雰囲気が高まります。

これです。世界の小澤征爾の指揮でどうぞ。

ねっ、冒頭の部分だけは皆さん聴いたことがあるでしょ。これをオーディオで大音量で聴けば恐ろしく迫力があります。曲自体はなかなか面白いので飽きずに最後まで聴けてしまったりします。

このアルバムは当時のCDの優秀性を表す格好のものでした。レコードをカートリッジで再生するとオーケストラと大合唱団のフォルテシモを正確にトレースする事自体が難しくて、それではカートリッジのトレース能力チェックになってしまい、その後ろのオーディオ機器のチェックどころではなくなります。またレコード自体に収録できる音も、ダイナミックレンジの制限を受けているのは言うまでもありません。

CDでは一切その心配はなく、録音されている広いダイナミックレンジがそのまま出てくるので、後ろのオーディオ・チェックではそのダイナミックレンジをいかに殺さずに再現できるかチェックできるというわけです。デジタル録音がその広いダイナミックレンジに一役買っているというのもあります。

CD時代になってやっと、こういうクラシックに対応できるようになったというのが、当時のオーディオの売りで、オーディオ・メーカーは広いダイナミックレンジを競うようになります。しかしオーディオ業界のこういう思惑とは裏腹に、音質的なことはそっちのけで、その後CDは扱いやすさという点で普及してしまうことになります。それ以降は扱いやすさということのみが重要になり、音質そっちのけで進化した成れの果てが今のMP3プレーヤーというわけ。

TVで言えばアナログ放送とハイビジョン放送の違いということになります。映像のほうはやれ4KTVだとか言っているのに、どうも音声のほうはそういうことに拘わらない人が多いようです。SACDなんて一向に普及しませんからね。まあ私は4KTVにはかなり懐疑的です。

色々言ってますが、YouTubeを小型イヤホンで聴いても音楽はちゃんと楽しめますね。これで十分と言えば十分だったりして(笑)。まっ、オーディオなんてそんなものです。秋葉原の変遷を約30年間見てきた私ですが、オーディオ界の変遷を約40年間見てきた私からすれば、秋葉原の変遷なんてかわいいものですよ(笑)。

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ノンサッチ・レーベルのA級外盤

ノンサッチ・レーベルと言えば、ジャズ・ファンにとってはパット・メセニーやブラッド・メルドーやジョシュア・レッドマンが所属するレーベルということになると思います。しかし、私がこのレーベルと出会ったのは30年ほど前のことです。この辺のことについては前に何度か少し触れています。今日はもう少し詳しく書いてみます。

P111_2 私とノンサッチを出会わせてくれたのがこの本。故長岡鉄男さん著「長岡鉄男の外盤A級セレクション」です。長岡さんはご存知のとおりオーディオ評論家で、独自の視点から評論活動をしていて多くの支持者がいました。支持者の人達は後に長岡教徒なんて言われたりしました。私もそのはしくれです。

この本が出たのが1984年、私は21歳でした。アルバイトのおかげでオーディオも満足できるものが揃えられ、楽しいオーディオ・ライフを過ごしていた頃です。私は既にジャズにドップリ嵌っていたので、必ずしもオーディオのために音楽を聴いていたわけではありませんが、たまにはオーディオ用の音源を聴くこともありました。

そこにこの本が登場したのです。嵌りましたね。この本は隅から隅まで何度も読み返しました。そして「外盤がほしい!」となったわけですが、甲府在住の私が簡単に入手できるはずもなく、どうしようかと思っているところに、秋葉原の石丸電気にこの本の外盤を揃えたコーナーがあるというのを、オーディオ誌で掴むわけです。当時からマニアックな私ですから、「それならば秋葉原の石丸電気へ買いに行こう!」ということになったのです。

当時の私はお金はなかったけれど時間はあったわけで、秋葉原までは普通列車(各駅停車)に乗って3時間半くらいかけて行きました。私はこの時初めて秋葉原へ行ったのです。あれから約30年、秋葉原も変わりましたね。昨日ブログに書いたようにオーディオ関係は先細り、皆さん御承知のとおりで、今の秋葉原は「電気街」から「オタクの聖地」になったのです。NHKのTV番組「ブラタモリ」で、秋葉原は時代と共に変化し、今も変化し続ける街だと言っていましたが、それを目の当たりにしてきました。

話を戻しまして。石丸電気のこのコーナーは盛況でしたよ。さすがは東京だと思いましたね。結局石丸電気には3回ほど行って11枚の外盤を買いました。その中に今日の話題のノンサッチ盤が2枚あります。そのうちの1枚を今日紹介します。

P112_2

『中世のクリスマス』ジョエル・コーエン指揮、ボストン・カメラータ。ボストン美術館での録音。宗教音楽です。普通の人はこういうのは聴かないですよね。長岡さんは何でも聴く人だったので、上記の本には現代音楽を中心に、古楽、民族音楽、宗教音楽などがたくさん紹介されています。逆にジャズとかロックは数枚しかありません。

私はオーディオ的なら何でも聴こうと思っていたので、こういう音楽にそれほど抵抗感はありませんでした。それよりは本に記載された内容の良し悪しで買いました。この盤の表題は『「本物」を感じさせるリアルでナチュラルな録音は超A級』。”超A級”ですよ。あの長岡さんをして”超A級”ですから、とんでもない好録音盤なのです。

聴きどころの第1はホールエコー。その広がりは3次元的で広大な音場。第2は音像。極めてリアルでソリッドで自然なサイズを持っています。第3は移動感が極めてリアルでナチュラル。左から右へ、右から奥へと歌いながら静かに移動。第4はかなりのオフマイクのはずなのに直接音が鮮烈、強烈。特にベルの音は強烈無比。ということです。

オーディオでこんな音が聴けるんですよ。ただしきちんと再生できるオーディオ装置とリスニングルームは必要。私みたいにそれなりの装置で小音量で小部屋で聴いていたのではその何分の一くらいしか体感できません。演奏内容は結構面白くて、通して聴いても意外と飽きません。本物の良い音とは何なのか?何事においても本物の良さを知っていないとお話にならないように思います。

P113 ついでにもう1枚紹介しておきましょう。掲載されている数少ないジャズ/ロックの中から1枚。ピンク・フロイド『ザ・ダーク・サイド・オブ・ザ・ムーン(狂気)』。これは30年前に買ったわけではなく、8年くらい前に急にこの手の音楽が聴きたくなって買いました。私が持ているのは米ハーベスト/キャピトル盤の中古で、安価入手したはずです。たまたまお店で手にしたのがこれだったというだけ。今日この本を読んで気付いたのですが、長岡さんが聴いていたのもこの盤のようです。偶然の一致。

この盤の表題は『スピーカーのテストにも使われたピンク・フロイド頂点の作品』。このアルバムのA面冒頭に心臓の鼓動の音が入っていて、それがスピーカーのテストに使われたというわけ。長岡さんの解説によれば、「ふつうのパーカッションだと、低音と同時に中高音も出ているので、トゥイーター、スコーカーがしっかりしていれば、立上がりのよい音に聴こえる。ところが低音だけの合成ではウーファーの立上がりがもろに出てくるので、このレコードの再生は意外にむずかしい。」とのこと。そうなんですよね。

「長岡さんは音楽を聴かないで音を聴いている。」と言われたりしましたが、そんなことはなくて、このレコードについても以下のようなことが書いてあります。「おそらくピンク・フロイドの頂点の作品。その後の”アニマルズ”は曲、演奏、録音、3拍子揃った駄作だったし、”ザ・ウォール”が録音で買えるが、”ザ・ファイナル・カット”は効果音入りビートルズといった感じで、才能の枯渇を思わせる。」と。こういうことは音楽を聴いていないと書けないと思います。

これは録音がどうのこうのという感じで私は聴きません。何ともレイジーで退廃的な空気感に惹かれます。70年代前半の時代の音だと思います。ジャズっぽいサックスとか入っていたり、何となく黒さを感じさせるグルーヴもあり、ブルージーでもあり、ジャズ好きで70年代エレクトリック・マイルス好きな私の心をくすぐる要素が多々あります。

レコード・コレクターズ2007,6「70年代ベスト100」で、このアルバムは11位。アルバム評の最初にこんなことが書かれています。「プログレを代表する傑作には違いないが、これは絶対にサンタナ『キャラバンサライ』への返答。」と、これを書いているのは和久井光司さんです。なるほどと思います。まあ私はサンタナを一度も聴いたことがないので、中山康樹さんの本のマイルス~サンタナ繋がりの話や、「狂気」とエレクトリック・マイルスを聴いての推測。封じ込められている空気感なんですよね。

上記の2枚、「長岡鉄男の外盤A級セレクション」で紹介されている100枚中の、最初から2枚目が『中世のクリスマス』で、最後から2枚目が『狂気』です。面白いでしょ。

それにしてもまさかノンサッチからメセニーのアルバムが出るとは思いもしませんでした。世の中、想定していないことが色々起こりますよね。

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秋葉原のヒノオーディオが閉店してました。

ビックリしました。秋葉原のヒノオーディオが閉店していたんですね。今日、ブログの検索ワード/フレーズの中にその文字を見つけて知りました。「ヒノオーディオ 閉店」でネット検索をすると最初に「2ちゃんねる」のスレッドが出てきます。閉店してからもう半年も経ってしまっています。ここ1年くらい秋葉原に行っても万世橋を渡ることはなかったので気付きませんでした。

このお店では色々買ったので私のブログにも何度か登場しています。こんなこともありました。ジェームス・カーター・ライブの前に

この時、日向野社長(会長?)にお会いしたんですが、その数か月後に日向野さんは亡くなられたという話を聴きました。前は秋葉原に行くと特に買い物をするわけでもないのに、お店だけは中を覗くようにしていました。その後店舗を縮小したりしてきたようですが、とうとう閉店とは・・・。とても残念ですが時代の流れを感じます。

秋葉原のオーディオ関連のお店は年々減っていきます。オーディオ・マニアの私としては寂しい限りです。一時期結構盛り上がった真空管アンプの自作ですが、リーマンショック以降一挙に減退したように感じます。ビンテージ真空管が高騰したり、真空管アンプには欠かせないトランスの材料費が高騰したり、何かとお金がかかる趣味になり、景気の減速と共にフェードアウトせざるを得ない状況になっていきました。

今も真空管アンプ自作ファンはいますが、あまりお金をかけずに楽しむ小型アンプにシフトしているように思います。スピーカー自作にしても最近は10cm口径のフルレンジを小型の箱に入れ机上に並べるという感じになってきているようです。ヒノオーディオは自作スピーカーや真空管アンプ自作関連の販売が主力だったのでしょうが、オーディオ/自作ファンがあまりお金をかけずに楽しむようになったという時代の流れには上手く対応できていなかったようにも感じます。

意外と中国の状況が影響していたりして。中国の経済成長に伴い、オーディオ関連は中国での販売が好調だという話を数年前に聞きました。秋葉原にも中国からの観光客がたくさん来て、お金をたくさん落としていくというのがTVでも報道されていました。でもその後、日中関係の悪化で日本への観光客の減少。秋葉原にもその影響は出ていたはずです。それに最近は中国の景気自体が伸び悩む状況。こういうのが効くんだろうと思いますよ。

ヒノオーディオの店舗の写真を貼ろうと思ったんですが、一昨年末パソコンがクラッシュした際に私が撮った写真は全て喪失していました(涙)。ということで、数年前の雑誌広告を貼っておきます。

P110

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ポルティコ・カルテットの新譜

昨年から注目しているポルティコ・カルテットの新譜を紹介します。

P109 ポルティコ・カルテット『ライヴ/リミックス』(2013年、REALWORLD)です。メンバーは、ジャック・ウィリ(sax,electronics,p,syn)、ダンカン・ベラーミ(ds,electronics,vo)、ミロ・フィッツパトリック(b,electronics)、ケイル・ヴィン(hang,syn)だろうと思います。だろうと思うと書いたのは輸入盤CDにはそういう情報が一切書かれていないからです。

タイトルのまんまで、ライヴ録音とそれを素材にリミックスしたものを収めた2CD。演奏傾向は前作の『ポルティコ・カルテット』と同じで、それがライヴ演奏されています。

前作についてはこちらを参照。⇒ ヴァージョン・アップされたポルティコ・カルテット

ライヴでもオレゴン系オーガニック/ナチュラル・サウンドを核にした北欧フューチャー・ジャズ/音響系いう演奏に変わりはありません。自由な部分もあるようですが、ジャズ的なインプロビゼーションという目線でみると、ライヴとしては少々物足りないかも? まあそれは私のようなジャズにドップリ浸かった人の勝手な思いであり、当人達や聴衆はそんなことは気にしていないでしょうね。

私はこのバンドが結構気に入っていますよ。でもこれ以上エレクトロニクスへの依存度を高めてほしくはないような気がします。

リミックスは色んな人が1曲ずつ担当。私はこの手の人達には全く無知です。知りたいとも思いません。リミックスは基本テクノですな。幼稚なものからアートなものまで、それこそ玉石混淆。何かユーロビートの雰囲気濃厚なものがあって聴く気が失せます。

私、ユーロビートって大嫌いなんですよね(笑)。私が好きなビート・ミュージックではありますが、ジャズの対極にあるような気がします。ジャズが大好きであればあるほど、ユーロビートは大嫌いになるという図式。全く個人的な見解ですけど。

素材そっちのけで幼稚な効果を全面に出してしまっているのもなんだかな~。無邪気な子供がやるならいいけれど、いい大人がそれですか・・・(涙)。一方で非常にアートなものは、意識の奥を撫でられるような感じで、なかなか気持ち良いです。リミックスって、当たり前の話ですがセンスの勝負なんで、アート目線で見ると差が激しく出ます。

興味が湧いた方はどうぞ。

アルバム名:『LIVE/RIMIX』
メンバー:PORTICO QUARTET

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またまたジャンクアンプを落札してしまった。

只今メセニー来日中。
ブルーノート東京の原田和典さんのライブレポートを読んで「おおっ!」となりました。
http://www.bluenote.co.jp/jp/reports/2013/05/22/pat-metheny-unity-band.html
さすがはメセニー、やってくれます。観に行けないのが残念。
メセニーTシャツほしい。この商売上手! まだ稼ぎたいのかい?(笑)

ということで、只今メセニーの新譜を聴きながらこれを書いてます。

エレクトロニクスの使い方や”ロック・ユー”なギターに尖がった部分あり。
ユダヤ系のエスニック色もあったり。ピアノ弾いてフリー・ジャズもやってるし!
間違いなくメセニーサウンドではありますが、現代ニューヨークっす。
こう来ましたか?さすがはメセニーです。
音楽的には最近ではこれが一番先鋭的だと思います。

今日の本題はまたまたオーディオです。m(_ _)m
これをヤフオクで落してしまったんですよ。

P108

YAMAHAのCA-800Ⅱ、白木の筐体とシルバーパネルが麗しいこのアンプ。手元に置いてみたかったんですよね。本当は上位のCA-1000Ⅲ、CA-2000などメーター付のやつが良いんでしょうけれど、敢えてそれらの下のこれ。最大の理由は安いから。今の私はこのクラスの出力と重量のアンプに興味があるのです。若い頃の元気はないからこのクラスでないとハンドリングできないのです(笑)。

操作時にノイズはあるけれどすぐに落ち着くという動作品でした。まあでもジャンク品。落札価格も当然ジャンク価格。汚れはありますが掃除すればそこそこ見られるようにはなりそうです。パワーアンプ部はB級、A級問題なし。プリアンプ部は操作するとノイズ多発。ボリュームのガリも多め。フォノにすると微妙に左右バランスが悪い感じです。

このアンプはトーンコントロール/フィルター/ラウドネスをジャンプすると音量が上がるという面白さ。普通トーン・アンプのゲインが無くなるから音量は下がるか、もしくは同じになるように揃えてあると思うんですけど。トーンアンプの前にバッファーアンプがあり、そこでもゲインを稼いであるみたいです。その後ろのトーンアンプではゲインが落ちる設計。要は古い設計なのですね。

トーンコントロール系をジャンプした時の音質の変化が激しくてビックリ。トーンアンプを通すとそれはもう音が曇って解像度はガタ落ちなのに、ジャンプするとクリヤになって音の細部が見えてきます。トーンアンプ周りの部品劣化にもよるのでしょうけれど、やっぱりトーンコントロール系は百害。というのは昔の話で、その後はもっと考慮されて設計されるようになります。

*重大な勘違いがありました。
トーンコントロール系を通した時、ラウドネスが目いっぱいかかっていました。普通は左目いっぱいに回せばフラットのはずなのに、これは右目いっぱいに回してフラットだったのです。YAMAHAのラウドネスは独特の連続可変型で、ラウドネスを効かせれば効かせるほど音量が下がるので、トーンコントロール/フィルター/ラウドネスを通すと音量が下がってしまったのです。ラウドネス全開なので音は低音過多、こもったような音になるのは当たり前でした。ラウドネスをフラットにしたら、トーンコントロール系を通しても音量差はなく、ジャンプした時との音質差もほとんど感じられませんでした。プリアンプ部の出来はなかなか良かったのです。

パワーアンプ部は特に問題なくなかなか良い音で鳴っているので、まあ急いで手を入れなくて良いかも? プリアンプ部はかなりメンテ要ですが、ここは使う気がないからどうしたものか? 今はLAPT搭載したAU-607が快調ですし、CA-800Ⅱに出番は回ってきそうにありません。とりあえずブツを確保したということで、当分保管。

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JA-S75のメンテナンス その6

唸りが発生した電源トランスを交換して音が気に入ったJA-S75のプリアンプ部をメンテナンスしました。

まずはフロントパネルを外して基板にアクセスできるようにしました。

P101

ここまでばらすのにそれほど手間はかかりません。保護回路とA級増幅用定電圧電源回路と一体化した基板にフォノイコライザー回路があります。トランジスタは問題ないので、劣化しやすい電解コンデンサのみを交換して、全半田をやり直しました。フォノイコライザーは片チャンネルあたり5石構成。入力はFETで受けるようになっています。

P102

プリアンプ部もトランジスタは問題ないので劣化しやすい電解コンデンサのみ交換して、全半田をやり直しました。フラットアンプは片チャンネルあたり2石構成の簡単なものです。

P103

トーンコントロールON/OFFスイッチは過去に取り外してクリーニングしたようで、その際にパターンを切ってしまい、補修配線してありました。ここは全半田のやり直しのみ実施。

P104

だいぶ以前に行ったような感じで、なかなかきれいに配線してあることから、もしかするとメーカーのサービス部門によるメンテナンスかもしれません。他にカートリッジ・ロード切換スイッチ小型基板とバランス・ボリューム小型基板があり、それらも全て半田をやり直しました。スピーカー切換スイッチは無水アルコールで掃除し、各基板上面の埃を掃除してから組立ました。各基板にはこの手の常で接点復活剤か何かが薄く付着していました。

P105

メインボリュームは4連でプリアンプ部の前後に入っています。このためボリュームを絞った時にもS/N比が悪くならないようになっています。ボリュームはしっかりした作りの高級品。

P106

以上でメンテナンス終了。内部の埃もなくなってスッキリしました。

このアンプのプリアンプ部の音質ですが、やっぱり通すと音が曇ります。配線や可変抵抗や多くの切換スイッチなど、複雑な経路を通るとこうなってしまうのはやむを得ないのでしょう。フォノイコライザーは可もなし不可もなしという感じです。多分このアンプだけ聴けば明るい音質のそこそこ良い音のアンプだと思います。私はできるだけ音が曇らない簡素な回路のプリアンプ(ボリュームと入力切替スイッチは超高級、配線はOFC線)と比較しているからそれが気になってしまうのです。

外観は汚れや傷多数。掃除をしてもこれ以上は無理でした(涙)。粗めのヘアライン仕上げは独特の質感を醸し出しているだけに惜しい。

P107

AU-607を常用にするので、こちらは控えアンプ(パワーアンプ)として時々交換して楽しみたいと思います。

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なかなかしっかりした作りになっています。

新譜紹介です。

P100 ギラッド・ヘクセルマン『ディス・ジャスト・イン』(2011,2年rec. JAZZ VILLAGE)です。メンバーは、ギラッド・ヘクセルマン(g,syn,glockenspiel)、ジョー・マーティン(b)、マーカス・ギルモア(ds)、マーク・ターナー(ts)3,9,13です。前作と同メンバー。前作がなかなか良かったのでこれも買ってみました。

前作についてはこちら ⇒ ギラッド・ヘクセルマンの堅実な1枚

全13曲ですが、内5曲は1分未満のイントロのような曲なので実質8曲、その中の3曲にマーク・ターナーが参加しています。前作では8曲中4曲にターナーが参加していたので、今回はターナーへの依存度が少し減った感じなのか? 11曲をヘクセルマンが作曲。残る2曲はドン・グロルニックとアラン・パーソンズ・プロジェクトの曲なのでかなりマニアック。

この人のギターは地味目で自己主張はそれほど強くないのですが、なかなか繊細で落ち着いた演奏を聴かせくれます。ちょっと神経質そうな部分が無きにしもあらずですけれど、それは今時のデリカシーか? 

1曲目のようにイスラエル出身ならではのエスニックなメロディーがあります。私は7曲目《マーチ・オブ・ザ・サッド・ワンズ》がお気に入り。この哀愁感は胸に染みますね。このあたりはユダヤと日本のマイナー・メロディーの共感ポイントなのかもしれないです。

《ニュースフラッシュ#1》~《ニュースフラッシュ#5》は前述のとおりの短い曲で、多重録音もさり気なく入れてちょっとしたアクセントになっています。他の曲でも曲によっては隠し味的に多重録音が入っていたりすることから、アレンジへの拘りも感じられます。

ギルモアのドラミングが良いです。繊細にフォローしつつ強靭にプッシュしてきます。今時の優秀ドラマーならではの技だと思います。マーティンはそこに付かず離れず、きっちり追随して支え、トリオとしてのまとまりはとても良いと思います。3人に加わってきちんと存在感を見せるターナー。相変わらず個性的で説得力のあるテナーを吹いていますね。

9曲目《ナッシング・パーソネル》、どこかで聴いたことのあるメロディーなんですけれど思い出せません。ということで、YouTubeに曲名を入れて検索。あらまっ、昨日の記事でもちょっぴり触れているマイケル・ブレッカーの初リーダー・アルバムが出てきました。そうか~、マイケル、メセニーでこの曲をやっていたんでしたね。久しぶりに聴きました。ドングロらしい曲はちょっと変わったメロディーで耳に残ります。

やっぱり雰囲気が全然違いますね。あちらは4ビート基調でディジョネットらしい切れ味鋭いビートを刻んでいるんですが、こちらはギルモアのもっとフレキシブルなリズム処理。このビート感の違いが現代性なのだろうと思います。あちらのモロにマイケル&メセニーはもちろん大好きなのですが、こちらのターナー&ヘクセルマンもなかなか良いです。2人の掛け合いで進むところには工夫も感じます。是非聴き比べていただきたい。

もう1つの他人の曲、アラン・パーソンズ・プロジェクトの《アイ・イン・ザ・スカイ》も哀愁感がある良い曲で、アルバムの中に上手く溶け込んでいます。上記の曲と合わせてこれらの曲を選ぶヘクセルマンのセンス、私は好きです。

ヘクセルマンのギターは前作より深みを増しているように感じました。話題性となると乏しいような気がしますが、じっくり味わえる内容と言って良いのではないでしょうか。

アルバム名:『THIS JUST IN』
メンバー:
Gilad Hekselman(g, syn, glockenspiel)
Joe Martin(b)
Marcus Gilmore(ds)
Mark Turner(ts)3,9,13

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やっぱこの頃のステップス・アヘッドはカッコ良かった!

昨日紹介したステップス・アヘッドの『マグネティック』。エレクトリック化したこのバンドの東京でのライブがYouTubeにいくつか上がっているのでUPします。私にとってはこういうのがやっぱり文句なしにカッコ良いわけです。

マイク・マイニエリ(vib,syn)
マイケル・ブレッカー(ts、EWI)
マイク・スターン(el-g)
ダリル・ジョーンズ(el-b)
スティーブ・スミス(ds,el-ds)

『マグネティック』のレコードA面に収録された4曲を順番に。

まずは《トレインズ》。
この曲が好きです。
マイケルの手作り感あるEWIとマイニエリのMIDIヴァイブに注目。
ヴァイブに同期してシンセが鳴るのでシンセ奏者はいません。
マイケルのこのテナー・ソロ!
とにかくこのフレージングが大好きでした。
コルトレーンを研究しつくした末に到達したマイケル独自のフレージング。
コルトレーンのジャズはこうして未来へと繋がったのです。
コルトレーンというと何かとフリー・ジャズが話題になりますが、
私はコルトレーンの最大の魅力はそのフレージングにあったと思いますし、
ジャスの歴史においてそれが一番意味が大きかったのだと信じます。

続いて《ベイルート》。
ライブはこの曲から始まっていると思います。
マイルスの《ツツ》クリソツの”ジャン”から始まるのはご愛嬌。
このヘヴィーなグルーヴがとにかく気持ち良い!
ベースがダリル・ジョーンズなのでマイルス・グループのグルーヴと共通。
途中マイルスの《MD1/サム・シングズ・オン・ユア・マインド/MD2》が浮かびます。
マイニエリのソロのドライブ感といったら!

お次は《ケイジャン》。
冒頭のマイケルのフレージングはジョー・ザビヌルのものですよね。
マイケルがEWIでザビヌル・フレージングをやっているというのが面白い。
スターンのギター・ソロ、このフレージングがやっぱり好きなのです。
この人だとすぐ分かります。
ジャズってやっぱりこいう個性があって初めて通用する音楽だと思います。
スミスのドラミングがピーター・アースキンに聴こえます(笑)。

最後に《イン・ア・センチメンタル・ムード~トレインズ》。
EWIでなければ表現できないものです。
昨日上げたアルバム・バージョンと聴き比べるのも一興。
ライブではこのあと《トレインズ》でした。

この頃のマイケルは最高でしたね。
この勢いで初リーダー・アルバムを吹き込んだのです。
その後マイケルはステップス・アヘッドをやめてしまうわけでして、
結果このグループの魅力は半減してしまったと思います。

こういうジャズがやっぱりいいのです。
最近はどうも”昔は良かった。”になってしまいますが、歳のせいなのでしょう。
最近のこの手の魅力を備えたバンドというと、私が聴く中ではクリポタの「アンダーグラウンド」、メセニーの「ユニティ・バンド」、上原ひろみの「ザ・トリオ・プロジェクト」とかです。

ステップス・アヘッドの東京ライブを観たい聴きたい方は以下をどうぞ。
まっ、DVDは高いのでYouTubeで十分。

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今日はお気に入りフュージョン

タイトルはフュージョンですが、私自信はこれはジャズだと思っています。

P99 ステップス・アヘッド『マグネティック』(1986年、ELEKTRA)です。メンバーは、マイク・マイニエリ(vib,keys,syn)、マイケル・ブレッカー(ts,Steiner EWI,oberheim xpander)、ウォーレン・バーンハート(p,syn)、ヴィクター・ベイリー(b)、ピーター・アースキン(ds,el-ds,per)、ロビー・キルゴア(synthesizer programming)、ケニー・カークランド(syn)、ハイラム・ブロック(g)、チャック・ローブ(g)、ポール・ジャクソン(g)、フィル・アシュレイ(synthesizer programming,synthesizer sequencing)、ダイアン・リーヴス(vo)他です。

これは私が初めて買ったステップス(・アヘッド)のレコードです。それまで興味はありつつも買いそびれていたステップス・アヘッドをとうとう買うことになった記念すべきアルバム。今にして思えばこれは大きな転機を迎えたアルバムでした。ちなみに今はここまでの6枚全てをレコードで所有しています。アルバム『N.Y.C.』からCDを買いましたがステップス・アヘッドはそれで最後。リアルタイムでは2枚しか買いませんでした。『パラドックス』は同じ頃CDを買ってその後レコードに買い換え。

さて、このアルバムがなぜ転機かというと、当初アコースティック・バンドとしてスタートしたステップスはグループ名をステップス・アヘッドと改名したあたりから、マイニエリがシンセを導入し、その使用を徐々に拡大してきて、前作ではいまいち未消化だったシンセ・プログラミングをここで大胆に使いエレクトリックなバンドとしてリニューアルしたからです。

この頃はチック・コリアのエレクトリック・バンドに象徴されるように、電子楽器インターフェース統一規格MIDIが実践投入され、生演奏にシンセ・プログラミングを同期する動きが高まった頃で、ステップス・アヘッドも当時の先端ジャズ・バンドとして当然それを導入してきたというわけです。多分エレクトリック嫌いなジャズ・ファンからはこの動きに少なからぬ反発はあったんでしょうけれど、私はこういうのは大歓迎でした。

そしてそして、何てったってマイケル・ブレッカーが今や昔懐かしきスタイナーEWI(electric wind instrument)を使った最初のアルバムがこれ。マイケルや伊藤たけしがこの楽器の開発に携わっていたんだそうで、当初手作りだったものをAKAI(日本の赤井電機)がライセンスを買って製品化したとか。当初EWIを聴いた私は面白いとは思いつつも何か違和感がありました。違和感がなくなったのはT-スクェアのアルバム『トゥルース』を聴いたあたりか、フジテレビF1中継のテーマ曲が入ったやつですね。

今このアルバムを聴くと、マイケルのEWIの使いこなしは相当なものです。とくにマイニエリとのデュオで演奏される《イン・ア・センチメンタル・ムード》は、スケールの大きい演奏になっていて、これはEWIでなければ表現できないものになっています。新しい楽器を使いこなすとはどういうことなのか?それを良く表すのがこの曲。これをライブでやった名演は『ライブ・イン・トーキョー1986』収録の同曲。こちらも必聴ですよ。

このアルバムはマイニエリ、マイケル、バーンハート、ベイリー、アースキンのコア・メンバーに多彩なゲストを迎えた豪華な作りです。ウェザー・リーポート新旧メンバーのベース&ドラムに注目。この2人もなかなか良いマッチングですね。

私は1曲目《トレインズ》の明るい推進感が好きです。正に列車(トレインズ)がグングン進んでいくようで気分がUPします。マイケルのテナー・ソロ最高!2曲目《ベイルート》のエスニックと近未来のグッド・マッチング。ヘヴィーなビートに乗って繰り広げられるソロがカッコいいです。3曲目《ケイジャン》はバンジョーが異色。シンセはザビヌルの節回しをかなり意識したもの。ウェザー・リポートが解散する頃なので意味深長。マイケルのソロはマイケル節炸裂! で、4曲目が前述の《イン・ア・センチメンタル・ムード》。これらA面4曲はかなり気に入ってます。

B面は《マグネティック・ラヴ》から。当時売出し中のダイアン・リーヴスがボーカルで参加。リズムの感じはヒップホップです。ボコーダーも入って懐かしムード。いち早くヒップホップのリズムを取り入れたあたりにステップス・アヘッドの先進性を感じます。この曲のサビのメロディーが特に好きです。2曲目の《SUMO》、オーディオ・アンプ・メーカーにも同名の会社があり、これは”スモ”ではなく、”スモー”=”相撲”とのことでした。この曲のタイトルが《相撲》なのかどうかは不明。打ち込み系リズムのエスニック曲。

3曲目《オール・ザ・ティー・イン・チャイナ》はメローなフュージョン調。チャーミングなメロディーが素敵です。やっぱり打ち込み系リズム。4曲目《サムシング・アイ・セッド》はフォーク/カントリー調バラード。こういう曲はマイケルのテナー・ソロが泣かせてくれますね。ラスト《リプライズ(マグネティック・ラヴ)》は、1曲目のサビの部分をインストゥルメンツで短くフェードアウト。

YouTubeにはこのアルバムの全曲がUPされています。
その中の2曲を貼ります。

あっさり書こうと思ったのについ力が入ってしまいました(笑)。
好きなアルバムです。
今は廃盤のようですね。

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好感触現代バップ

これもやっておかないといけませんね。今日は新譜紹介です。今はちょっと狭間なのですが、これから聴きたい新譜がたくさん出るので楽しみです。

P98 ジム・スナイデロ『ストリーム・オブ・コンシャスネス』(2012年rec. SAVANT)です。メンバーは、ジム・スナイデロ(as)、ポール・ボレーンバック(el-g,ac-g)、リンダ・オー(b)、ルディ・ロイストン(ds)です。これはデイヴ・ダグラスの新譜と同じリンダー・オー&ルディ・ロイストン・コンビ目当てで買いました。

私は今リンダー・オーびいきなので、この人が入っているとついつい買いたくなってしまいます。ジャケットは枯山水ですよね。昔修学旅行で行った龍安寺の枯山水を思い出してしまいました(笑)。タイトル「意識の流れ」にかけたものなのでしょう。

あまり期待せずに買ったのですがなかなか良いです。まずはこれまで全くフォローしてこなかったスナイデロのアルト・サックスの音色が素敵。非常に抜けが良くブライトな音色を聴いているだけで胸が”スカッ”とします。良い音色で淀みなくスラスラとフレーズを発するスナイデロは聴く価値あり。バラード調の演奏もとても落ち着いていて安心して演奏に浸れるのが◎。

全曲スナイデロのオリジナル曲、ギターとのカルテットなので、コンテンポラリーな曲調になっています。ともすると軽くなってしまいがちな編成において、オー&ロイストン・コンビの重量級リズムがそうなるのを抑えています。ガッチリ&ドッシリしたリズムはジャズの肝です。これがあるからジャズに留まるのであって、軽くなるとフュージョンになっちゃいます。

ギターのボレーンバックは特に特徴があるわけではありませんが、オーソドックスで落ち着いたギターを弾いています。エレクトリックもアコースティックも上手いです。スナイデロの明るい音色に良く寄り添って演奏に華を添えています。

スナイデロは3人の若いメンバーに刺激を受けてこのアルバムを吹き込んだようです。確かにスナイデロは溌剌としたプレーをしているように思います。曲はコンテンポラリーで中庸な雰囲気、変に難解でも変に俗っぽくもありません。私はこの風合いがとても気に入っています。安心して聴ける現代バップに仕上がっていると思います。

SAVANTレーベルってこういうアルバムを作らせると上手いですよね。決してキャッチーさはないですけれど、ある程度長くジャスを聴いている人には分かるクオリティをさり気なく聴かせる好アルバムが多いように思います。地味渋レーベル(笑)。

アルバム名:『STREAM OF CONSCIOUSNESS』
メンバー:
Jim Snidero(as)
Paul Bollenback(el-g,ac-g)
Linda Oh(b)
Rudy Royston(ds)

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AU-607のメンテナンス その4

まだまだやってまっせー。オン・セミコンダクタのパワートランジスタMJ15022/MJ15023を乗せたその後です。

これがどうもいまいちでして・・・。何かこう高音が地味というか沈むというか固いというか、とにかく気持ち良くなかったのです。ということで、ばらしたアンプPMA-701から取った東芝の2SB556/2SD426を乗せてみました。

P92

まあ時代が合っているというのか、高音に少々粗さが感じられるものの、特に不満なく鳴りました。これはこれれでメンテ完了としてしまうのもアリ。

中は掃除もしたので、そこそこきれいになりました。

P93_2

それにしてもガッチリしたアンプです。惚れ惚れします。もちろんスピーカー端子はバナナプラグが使えるものに交換。いつもの手法です。

P94_3

ネジ穴を開ける時に引っ掻き傷が1本。電源コードを太いものに交換するとか、好きな電源ケーブルが使えるようにACインレットを取り付ける手もありますが、今はまあそこまでやる気はありません。

さて、ここで終わりのはずが・・・。う~ん、まだやってみたいことが! パワートランジスタをLAPT(Linear Amplification Power Transistor)にしたらどうなるか試してみたくてたまらなくなったのです。LAPTはマルチエミッタ構造で非常に高い周波数までリニアに増幅できるオーディオ用トランジスタです。サンスイのアンプはこれを最後まで使っていました。特に非磁性体のNM(Non Magnetic)-LAPTを使っていました。

最初は新品が入手できると思っていなかったので、LAPTが乗っているジャンクアンプを落札してまた部品取りしよう思っていました。ところがネットを検索していると、若松通商でペア品を売っているではありませんか。これはどうなのかとネットをさらに検索していたら、こんな記事を発見。

http://www.aedio.co.jp/beppu/RG/RG2001-2pp11-17.pdf

これは昔愛読していたラジオ技術誌の記事で、凄く気になっていたものなのです。もちろんこんなに凝ったアンプを作る気はありませんでしたが、執筆者のトランジスタ選択への極度な拘りに強く惹かれました。だいたい私自信がかなりマニアックなので、このくらい強烈な人や事でないと私は惹かれません。

ここで選択されているLAPT(2SA1386/2SC3519)のAバージョンが若松通商で売っているのです。この人がこんなに良い良いと言うんだから聴いてみない手はないでしょう。エピタキシャルな石というのに惹かれます。それに安い。あまり人気がないみたいですね。オン・セミMJ15022/MJ15023の半額以下。

ちなみに上記の記事はこちらのサイトにUPされています。
「別府俊幸氏 自作のページ」
上記の記事は、AEDIO 1i ラジオ技術誌 2001年2月号、pp. 11 ~ 17
他のアンプでは2SA1386A/2SC3519Aそのものを使っています。

サンケンは未だにLAPTをカタログ品として生産しているようです!

これが現行品カタログ⇒http://yddz.net/downfile/SANKEN.PDF

日本のメーカーもなかなかやってくれるではありませんか。全て磁性体のLAPTです。さすがにサンスイ特注のような状態だったNM-LAPTは作っていませんけどね。

で、早速入手しました。こいつです。

P95

プラスチックモールド型ですがまあいいでしょう。問題は音ですから。定格はAU-607で使用するには十分余裕があります。

P96

デンカシート(熱伝導シート)を挟んで取り付けました。こうしておけば交換が楽です。

アンプに組み込んだ後、まずはアイドリング電流と出力オフセット電圧を規定値に調整します。その後オーディオ計測器とオシロスコープを使って、正弦波と矩形波を入れて出力波形に異常がないことを確認。100Hz、1KHz、10KHzの正弦波で、定格出力65W以上の70Wまでクリップなし。矩形波の応答は優秀。パワートランジスタを4種類乗せ替えましたが特性はいずれも有意差はありませんでした。

いよいよ音出しとなるわけですが、今回は最初からそこそこ良いのです。オン・セミの時は最初何かバラバラ鳴っている感じでダメだったのに今回は違います。これは良い兆し! 鳴らしていくとこれが良いのです。高音はきめ細やかで鮮やかに鳴ります。中音は程良い押し出し感で低音はこのアンプならではの量感。オーディオ的にグッドです。全然古いアンプという感じがしません。まっ、パワートランジスタは正に今の素子ですから当たり前か?やって大正解でした。

これ以上何が必要なんでしょう。これで十分高音質。正攻法な良い音。LAPTって凄い。素子の性能向上は音にそれほど貢献したとは思わないなんて前に書きましたが撤回します。サンスイがLAPTに拘った理由が分かる気がします。古いAU-607がLAPTで現代的に蘇りました!元々乗っていたパワートランジスタを壊した時はどうしようかと思いましたが、おかげで面白い結果に繋がりました。

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ということで、こいつを常用アンプとして使うことにします。フォノイコライザも使えるように接続しました。プリアンプ部は未使用。外観はそれほど醜くありません。経年を考えれば良い方だと思います。ビクターJA-S75を控えにして、トリオKA-7300Dは処分でしょうね。

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今日もクラシック

はいっ、今日もクラシックです。それも懐かしいアルバム。

P90 ベートーヴェン『交響曲 第5番「運命」』(1980年rec. Victor)です。演奏はロリス・チェクナボリアン指揮ロンドン交響楽団です。これは当時録音が良い盤としてオーディオ誌でしきりに紹介していました。オーディオ趣味邁進中だった当時の私としては当然押さえてしかるべきアルバム。

当時盛んに行われたデジタル録音ですね。ライナーノーツの裏にはデジタル録音の長所が書かれています。サウンド・ストリーム社製デジタル録音システムを使用しているとなっていますのでテラークと同じです。ビクター自慢の録音技術を披露した1枚。私は持っていませんが、当時オーディオ誌が絶賛したリムスキー・コルサコフの「交響組曲シェエラザード」の続編的位置づけがこの「運命」。

普通のクラシックファンならカラヤン指揮ベルリンフィルの「運命」なんでしょうけれど、オーディオファンとしてはこちら。ペーター・ギュルケの校訂による新しいスコアを用いた斬新な解釈の演奏とのことです。私はこれしか聴いていないので、どこがどう新しいのか不明。

運命というと第一楽章の”ジャジャジャジャ~ン、ジャジャジャジャ~ン”が超有名ですよね。クラシックファンでない人はほとんどここしか知らないでしょう(笑)。私なんかもここは耳タコなので、この感動的な出だしがちっとも面白くありません。続く第二楽章は静か目の演奏で、これら2楽章を収録したレコードA面は私にとってそれほど面白くありません。

私は第三楽章と第四楽章を収録したレコードB面が好きです。第三楽章はコントラバスから始まってチェロ、ヴィオラ、ヴァイオリンと進む展開があり、その部分の視覚的効果がお気に入りです。で、一番好きなのが第四楽章、第三楽章と第四楽章は続けて演奏されます。私は第三楽章が終わり第四楽章が始まる部分が特に好きです。大地から力が湧き上がってくるような勇壮なフォルテがとにかく快感なのです。

悲壮な第一楽章とは違って、人生を謳歌するような第四楽章は聴いていて気分が高揚します。第九の第四楽章「歓喜の歌」に通じる感覚だと思います。オーディオ的にはオーケストラの全奏/強奏が快感です。特に金管群の破裂音は凄いです。出来るだけ大きい音で聴きたくなります。「運命」はオーケストラのマッシブな迫力を聴く音楽だと私は思っています。

オーディオ盤ということでもう1枚紹介しておきます。

P91_2 リヒャルト・シュトラウス『交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」』(1980年rec. CBS SONY)です。演奏はズービン・メータ指揮ニューヨーク・フィルハーモニックです。この特徴的なジャケットをご記憶の方もいらっしゃるでしょう。でもクラシックファンでない人は「何それ?」だと思います。

分かりやすく言いましょう。映画「2001年宇宙の旅」の冒頭のあの曲です。”ジャ~ン、ジャ~ン、ジャ~~ン、ジャジャ~~ン、ダンドンダンドンダンドンダンドン”ってやつです(笑)。ここはオーケストラの全奏にパイプオルガンの超低音が被さっていて、その迫力がオーディオチェックに向いているというわけ。

オーディオファンなんか冒頭のこの1分ちょっとの部分しか聴いていないんじゃないでしょうか(笑)。私もその後の部分はあまり記憶に残っていません。とにかくこの冒頭なのです。演奏自体はなかなか良いようです。こちらはソニー自慢のデジタル録音。

ちなみに指揮者のズービン・メータはインド人で、ニューヨーク・フィルハーモニックの当時の音楽監督、その時ボストン交響楽団の音楽監督は小澤征爾だったわけで、アメリカの5大オーケストラの2つがアジア人の音楽監督だったというのは面白いですよね。

オーディオファンが持っているクラシックのアルバムってこんなものです(笑)。

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今日はクラシック

今日はクラシックのアルバムを紹介します。珍しいですよね。

P89 『チャイコフスキー、メンデルスゾーン、ヴァイオリン協奏曲』(1981年rec. DECCA)です。演奏は、ヴァイオリン:チョン・キョンファ、シャルル・デュトワ指揮モントルー交響楽団です。私は普段基本的にクラシックは聴きません。比率からいくと全試聴時間の1%くらいがクラシックという感じです。なので、クラシックの演奏の良し悪しはよく分かりません。

ではなぜクラシックをたまに聴くかというと、オーディオ・チェックも兼ねてです。私のオーディオはジャズさえ良く鳴ればあとはどうでも良いとは思っていないので、たまにはクラシックも聴いてオーディオがまともかどうかチェックします。なので、オーディオ界隈では際物のジャズ喫茶「メグ」店主である寺島靖国さんの主張には同意しかねますね(笑)。

私のオーディオ感は基本的に何でも鳴らせるハイファイ調。ジャズも昔のものさえ良く鳴れば良いとは思っていないので、バド・パウエルからパット・メセニーまで、それぞれが程よく鳴るようにチューニングしているつもりです。ただし外せないオーディオの芯は”ガッツ”、これがないと困ります。腑抜けのオーディオはやっぱり許せません(笑)。

さて、このアルバムの話ですが、これはほとんど最初のチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の第一楽章しか聴きません。クラシックを長く聴いているとだんだん眠くなってしまうからです(笑)。一度なぜクラシックがあまり好みではないか考えたことがあります。それはクラシックがビート・ミュージックではないからという結論でした。

私はビート・ミュージックが好きなのです。ビート・ミュージックが好きという括りでいけば、ジャズが好きというのは非常に収まりが良く、その流れでいけば私が最近ヒップホップが気に入っている理由もすんなり収まります。

話がちょっと横道に反れてしまいました。二つのヴァイオリン協奏曲のうちなぜチャイコフスキーが良いかというと、私はチャイコフスキーのロマンチックなメロディーが好きだからです。チャイコフスキーのメロディーが好きであることに気付いたのは今から30年くらい前の話。

当時オーディオ的な要請からクラシックのアルバムも聴いてみようと思い、話題の「1812年序曲」のアルバムを買ったら(有名なテラークのやつではなく、1969年録音のLONDON/キングの廉価盤でズービン・メータ指揮ロサンゼルス・フィル、当時読んでいたオーディオ雑誌で高橋さんという評論家が廉価盤のすすめみたいな記事を書いていてそれにも影響された)、B面が幻想序曲「ロメオとジュリエット」で、そのメロディーにやられてしまったのです。これはいつもの”胸キュン”メロディーってやつです(笑)。この曲は好きで良く聴きました。

そんなチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。チョン・キョンファが良いですね。このアルバムを買ったのは20年くらい前、当時真空管アンプ作りの材料集めでよく行っていた秋葉原、時々レコードとか買いに行っていた石丸電気で輸入盤が安く売っていることを知り、たまにはということでロックやクラシックのアルバムを買った中の1枚です。

チョン・キョンファは、私がオーディオ的な要請からジャズとクラシックのどちらかを真剣に聴こうと思っていた1982年頃、オーディオ雑誌でよく名前が挙げられていました。それを思い出して買ったのです。キョンファは中国人かと思っていたのですが、今日ウィキペディアを調べたら韓国人なんですね。情熱的なヴァイオリンを弾きます。

これを聴くと、クラシックってテクニックの音楽だということを痛感します。まずは圧倒的なテクニックがあって、その上で初めて自分の表現ができ、聴く人に感動を与えられるという、怖い世界だと思いますよ。ジャズにもそういう部分があって、自分には到底できないこととして憧れます。そして音楽家への尊敬(リスペクト)が芽生え、音楽を大切に聴こうという気持ちになります。

指揮者のシャルル・デュトワは日本のN饗で振ることも多々ある人で、この人指揮のN饗が大河ドラマのテーマ曲をやったりしたはずなので、日本にもなじみ深い指揮者のはずです。

クラシックもたまには良いですね。

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JA-S75のメンテナンス その5

今はオーディオが楽しいので、またまたこのネタです。m(_ _)m

ばらしたPMA-701から取った電源トランスをJA-S75に乗せました。JA-S75の電源トランスは唸りを発していて、夜聴く時に不快だったからです。唸りの原因はトランス自身の劣化と推定したので乗せ替えることにしました。

これがその悪玉トランス(笑)。なかなかの大きさで迫力はあるのですが・・・。

P86_2

乗せ替える電源トランスは一回りくらい小ぶりなので、シャーシに穴を開けなおしました。取り付けピッチもかなり異なります。トランス取り付け金具にはネジが切ってあるので裏からネジ止め。

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写真だと少々分かりづらいかもしれませんが、上が元の電源トランスで下が乗せ替えた電源トランス。一回りくらい小型のものです。

P88

電源トランスの2次電圧は36Vから33Vにダウン。当然整流後の電圧も下がって±51Vから±47Vになりました。電源電圧の低下はそのまま出力の低下につながります。最大出力は元の80Wから65Wになりました。私の場合、出力はそんなに必要ないのでこれでO.K.です。これではパワートランジスタをわざわざパラレル接続にする必要はないですね。スピーカー保護リレーの駆動電圧もここから取っていたので、電圧低下でリレーが動かなくなるかもと少し心配したのですが、問題なく動きました。これでトランスの不快な唸りは解消。

この改造にあたってアース配線も見直しました。B級増幅部のアースは細い線と太い線でシャーシに落としてあり、それも違う場所からなので、グランドのループが出来てそれがハムノイズの増加につながっていたのでした。なんでこういう風になったのか? 改善策として太い線のみで基板からアースに落したら、ハムノイズは気にならないレベルになりました。

ここまでやって改めてパワーアンプ部の音を聴いてみると。電源トランスの小型化による低音の低下はそれほどなく、高音がかなり爽快なのです。何なんでしょうね?この散乱するきめ細やかな高音の心地良さは。高音につられたのか全体的にクリーンな音場が眼前に展開します。かなり良いです。このキャラクターは捨てがたい。ビクターのアンプに共通のクリーン・トーンが呼び覚まされたのかも? サンスイとは一味異なる風味です。

パワーアンプ部の部品をかなり交換した効果が出て来たんでしょうかね。理由はどうあれ結果オーライ! これまでのメンテナンスが無駄にならず良かったです。PMA-701から取った電源トランスも有効活用されました。

こうなったらフォノイコライザーとプリアンプ部の電解コンデンサも交換して、全半田をやり直すことにします。トランジスタはまだ大丈夫なのでそのまま使用。このアンプは徹底メンテナンスして保存することにしましょう。JA-S75、最大出力が減ったのでJA-S60といった感じでしょうか。お気に入りのアンプになりました。

やたらお金をかけなくても技術さえあればオーディオは色々楽しめます。

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AU-607のメンテナンス その3&おまけ

メンテナンス中のAU-607、試してみようと思ったパワートランジスタが届いたので乗せてみました。

P77

乗せるパワートランジスタはこちら。オン・セミコンダクターのMJ15022/MJ15023コンプリメンタリペアです。オン・セミコンダクターはモトローラの半導体部門を引き継いでいて、この型番はモトローラのものです。これより耐圧が大きいMJ15024/MJ15025(モトローラ製)はマッキントッシュのMC300に乗っていたりします。

届いたものを見たら、型番末尾に「G」の文字が。これはRoHS指令をクリヤしたものらしいですね。製造時期が違うようです。MJ15023が”1204”なので2012年第4週、MJ15022が”1145”なので2011年第45週と思われます。モトローラ系現行パワートランジスタの音や如何に?

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光輝くパワートランジスタが眩しい。で、聴いてみました。音がさっぱり落ち着きません。何かバサバサ鳴っています。完全にパワートランジスタが浮いています。これはもうエージングしないとダメですね。現段階で音質を云々できる状態ではありません。

さてと、これで終わると面白くないので、おまけ。

こんなものを入手してしまいました。

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DENONのPMA-701、もちろんジャンクアンプです。前持ち主がジャンク品を買ってメンテナンスせずに保管していたものを整理出品。前々持ち主がメンテナンスしたらしく、トランジスタや電解コンデンサは交換してあるとか。フォノにすると保護回路が働くが、パワーアンプ部は生きているとのことでした。私の目的はパワートランジスタなので、もしかしてパワートランジスタが交換されているかもしれないと思いつつも1,100円という安さに釣られて落札(笑)。

P80

これまた左右独立電源トランスで、プリアンプ部の電源トランスも独立しています。このタイプが大好きな私(笑)。このアンプは構造がダメです。ボトムシャーシの強度が不足しているので、ボンネットを外すとボトムシャーシがたわみます。ヒートシンクとそれをつなぐシールドも兼ねた補強板で強度を増していたりしますが、左右方向のたわみは良いとして、前後方向のたわみには効果なし。ボトムシャーシが弱いため電源トランスはリアパネルに取り付けられています。ヒートシンクのボトムシャーシへの取付け方もラフ。う~む、こんなダメな設計もあるんですね~。

ほしいのはこれ。パワートランジスタは東芝の2SB556/2SD426三重拡散メサ型。特に名石とかではありません。当時のありふれた石。ヒートシンクも自作アンプ用に確保します。パワーアンプ部は動作確認してO.K.パワートランジスタは生きていました。

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電源トランスも確保します。2次電圧は33Vくらい。トランスは小ぶり。

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パワーアンプ部は、差動1段、レベルシフト(1石)、2段ダーリントンといった感じの簡素な回路で魅力薄。これなら迷うことなく部品取りできます。

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前々持ち主がメンテナンスして電解コンデンサを交換しています。片チャンネルは初段の差動増幅部のトランジスタが交換されていて、マッチングが悪くて出力オフセット電圧は50mVくらいありました。出力オフセット電圧の調整機能がないので、初段のマッチングがそのまま出力オフセット電圧に出てしまいます。

フォノイコライザーも簡素です。片チャンネル3石構成。ここも電解コンデンサとトランジスタが交換されていました。このアンプはフォノイコライザーとプリアンプがNPNトランジスタばかりで構成されています。それらが全て2SC2240に交換されていました。

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このアンプにはクロストーク・キャンセラーなる機能がついています。レコードのクロストークを減らす回路です。前々持ち主はここをかなりいたぶったみたいで、結果上手く治せなかったようです。ボリュームも交換してあり、規格が違うものを無理やり実装しています。トランジスタと電解コンデンサは新しいので全て部品取りさせてもらいます。

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上側の基板の右側がその回路です。フォノイコライザーは3石の大したものではないのに、このクロストーク・キャンセラーがやたら凝っているという、何かちぐはぐ感がぬぐえない設計。前述のとおりパワーアンプ部も簡素で、さらに構造が良くないという、他にも気になるところはいくつかあり、こうして見てくるとエンジニアリングのバランス感覚の悪さが露呈しています。

このアンプは定価が89,800円です。69,800円のサンスイAU-607の質の良さと比べると唖然とします。基本はおざなりでクロストーク・キャンセラーというわけのわからない機能で売るという、これは私からすると邪道な製品に見えます。長い歴史の中では時にこういう色物が出てきたりするんですよね。

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どうももう一つ面白くない。

新譜紹介です。

P76 デイヴ・ダグラス・クインテット『タイム・トラヴェル』(2012年rec. Greenleaf Music)です。メンバーは、デイヴ・ダグラス(tp)、ジョン・イラバゴン(ts)、マット・ミッチェル(p)、リンダ・オー(b)、ルディ・ロイストン(ds)です。メンバーが気になったので買ってみました。

まじめな作りです。オーソドックスな現代バップ。全曲ダグラスが作曲して全7曲。4ビートあり変拍子ありで今時のリズム。何か曲が地味目なんですよね。もう少し何とかならないものでしょうか。それぞれの演奏は良いのですが、どうもこう華がないというか・・・。う~む、何とかならないものでしょうか。

そんな曲群の真ん中4曲目《ビウェア・オブ・ドッグ》だけが能天気な曲。前後が地味目なのでここに敢えて1曲明るい曲を入れたのではないでしょうか。曲は《草競馬》の雰囲気です。アルバム全体から浮いているんですよね。これが。

イラバゴンは自分のアルバムでは楽しそうにやっていましたが、ここではダグラスの掌の上。ダグラスのアルバムなのでそれはそれで良いとは思うのですが、う~む、もう少し何かがほしい。オーとロイストンはオーのアルバムでもコンビを組んでいるので、なかなかガッツあるリズム。ミッチェルは過不足なくこなしています。

タイトルは『タイム・トラヴェル』、このアルバムのどこがタイム・トラヴェルなのか?私には理解できません。どこをどのように積極的に薦めていいのか?いまいち私には言えないアルバムです。

アルバム名:『TIME TRAVEL』
メンバー:
Dave Douglas(tp)
Jon Irabagon(ts)
Matt Mitchell(p)
Linda Oh(b)
Rudy Royston(ds)

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