じっくりデュオを聴かせてくれます。
最近の私は、ジャズ評論家が分かり切ったような語句を並べて囃し立てるアルバムより、こういうアルバムを聴いてジャズにじっくり浸るほうが心地良いです。新譜紹介。
チャールス・ロイド/ジェイソン・モランの『ハガーズ・ソング』(2012年rec. ECM)です。メンバーは、チャールス・ロイド(ts,as,b-fl,a-fl)、ジェイソン・モラン(p,tumbourine)です。今回はデュオ。
相方はロイド・カルテットの重要メンバーであるジェイソン・モラン。ウェイン・ショーター・カルテットではダニーロ・ペレスが重要な役割を担っているように、チャールス・ロイド・カルテットではモランが重要な役割を担っています。今年初めにはこのカルテットが来日しましたね。観たかったです。
ロイドは今75歳、この人も年老いてなお頑張っています。枯れたようなところはなく、飄々と自分のジャズをやっています。その音の佇まいはロイドとしか言いようがありません。やっぱり年を重ねたなりの深みを見せていて、スタンダードを気負うようなところもなく吹いていても、そこにはしっかりと説得力があります。
ジェイソン・モランは確かM-BASE系の人だと思いますが、ロイドとやる時はしっかりロイドの音楽性を汲み取り、変に自分のジャズを主張しないでどっしりと腰の据わったピアノを弾いています。テクニックに頼らず、音楽で堂々とロイドと対峙しているところが良いです。2人の間に繰り広げられる濃密な語らいには安心して浸れますよ。
スタンダードを主体に、真ん中辺りに即興性が高いフリーなロイド作の《ピクトグラム》と5曲からなる《ハガーズ組曲》を配した構成。《ハガーズ組曲》はフルートも演奏し、エスニックなムードが漂います。素朴な味わいは民話か何かを題材にしているのでしょうか?(祖母に捧げた曲だったようですね) 語られる物語に静かに耳を傾けてみましょう。モランはタンバリンでエスニックな雰囲気を演出。タンバリンだけでこういう演出ができるモランはなかなかのセンスの持ち主だと思います。ボブ・ディランの《アイ・シャル・ビー・リリースド》もやってますがサウンドはあくまでロイド。
ジャーナリズムが飛びつくようなトピックはないと思います。「でもいいんなだな。これが。」じっくり聴いてほしいアルバム。
アルバム名:『Hagar's Song』
メンバー:
Charles Lloyd(ts, as, b-fl, a-fl)
Jason Moran(p, tambourine)
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コメント
古き良き時代のジャズの曲が目立ちましたけど、それでもロイドはロイドというのが素晴らしかったです。しかも今回はピアノとのデュオ。淡々と自分の世界を表現してくれる感じですね。何度も聴きたいアルバムの1枚になりました。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2013年4月 6日 (土) 06時00分
910さん
スタンダードはそういう曲でした。
ロイドはロイドですよね。自分の世界を持っています。
淡々とというか飄々とというか。でもそこに味わいがあります。
私も何度も聴けるアルバムだと思います。
TBありがとうございました。
投稿: いっき | 2013年4月 6日 (土) 12時13分
こんばんはぁ。
わたし的には、ロイドとスタンコはECMの神様なんです。
それは、音楽に対するストイックなスタンスとでも言いましょうか。。
脳天気に生きてるので、こういう方に非常に憧れてしまうのです。
テなわけで、、毎回、新譜は買いますが、ロイド自身が大きく変化することはない気がします。が、、それがどーした、って、感じです。はい。(^-^)
ロイドは朋友ヒギンスが亡くなって、、思うところは沢山あったと思うのですが、ハーランド、リューベンス、モランと若いメンバーが彼の意図をくんで尊敬を持って一緒に演奏して、ロイドを支えてますよねぇ。
今回は、モラン抜擢なのですが、それもそういった日頃の信頼関係からなんでしょうねぇ。。
って、ショーターバンドのペレツとは、、モランの立ち位置は、、ちょっと違う気がするんです。お正月のロイドのライブを聴いてないので、、的が外れているかもしれませんが、、、、。。
ペレツは完全にライブでの司令塔のような感じだったのです。ショーターのだした音に一斉にメンバーが反応する(食らいつく)のですが、、、それはそれで、、いくらその場で即興で、、って、言っても、、方向を決めていかなくてはなりませんし、キメやまとめも必要で、、しかも、、ありきたりでなく。。そういったことの現場監督、総責任者みたいにえらく神経尖って目を光らせてました。まさに「目力」で、ドラムの兄ちゃんを見据えてた。。ベースのパティトゥッチも司令塔的ではなくても、やはり、長年の鍛えられ方で、、その時の音楽の流れを牽引できるような素晴らしい反応なのですよ。。。
このアルバムで、確かにモランは素晴らしい活躍だと思うのですが、、ペレツとはちょっと違う関わり方かなぁ。。って。
支離滅裂なコメントですいません。m(_ _)m
で、このアルバムはやっぱり思ったとおり良かったです。はい。(^-^)
トラバ、、ありがとうございました。
サーシャのアルバムは、とっくに来てるんですが、、まだ、ちゃんと聴いてません。。。。
投稿: Suzuck | 2013年4月11日 (木) 20時17分
こんばんは。
長文コメントありがとうございます。
ロイドは大きく変化しないでしょうね。
もうそれはそれで良いと思っています。
若いメンバーが彼の意図をくんで尊敬を持って一緒に演奏しているというのはそのとおりだと感じます。
スタンコの新譜聴きました。
スタンコはやっぱりいつものスタンコでした。
で、メンバーの活躍が良かったです。
ビレージェス、モーガン、クリーバー、さすがに良い演奏していると思いました。
ショーターって天然な人ですからね。
そいうショーターが私は大好きなのですが。
だからペレツのような役割は必要不可欠だと思います。
ペレツは大変でしょうけれどやり甲斐はあるでしょう。
メンバーの反応具合や雰囲気はやっぱりライブを観ないとよくわからないんでしょうね。
ライブを観る意義はそういうところにありますよね。
モランとペレツの意味的な違いがよく分かりました。
ありがとうございます。
サーシャのアルバム、後回しですか。
焦らず聴いて下さい。
トラバありがとうございました。
投稿: いっき | 2013年4月11日 (木) 22時55分