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ビル・エバンスの流れを汲む

新譜紹介です。ポール・モチアン買いです。

P71エンリコ・ピエラヌンツィ『ライブ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』(2010年rec. CAM JAZZ)です。メンバーは、エンリコ・ピエラヌンツィ(p)、マーク・ジョンソン(b)、ポール・モチアン(ds)です。オーソドックスなピアノ・トリオ演奏のライブ録音。

ビル・エバンスが確立したジャズ・ピアノ・トリオの一つの形ですね。ピエラヌンツィの脇を固めるのは、エバンス/ラファロ/モチアンのインタープレイ最強トリオを組んだモチアンであり、エバンス・トリオの最後のメンバーだったジョンソンですから、この手のトリオ演奏としては文句ないレベルにあることは保障されたようなもの。エバンスの『ワルツ・フォー・デビィ』から49年後、同地での演奏は如何に。

エバンス/ラファロ/モチアン、既に全員が亡くなってしまいました。でもその魂は今もジャズの中に脈々と流れていると思います。先人達が遺したものからまた新たなものが生まれてきてジャズが続いていくのだろうと思います。ピエラヌンツィも昨年は新メンバーのスコット・コリー/アントニオ・サンチェスのトリオでアルバムを出しています。その録音自体は2009年だったりしますが。

ここではセロニアス・モンクの《アイ・ミーン・ユー》で始まり、ピエラヌンツィのオリジナル曲4曲に交え、スタンダード《マイ・ファニー・バレンタイン》、リー・コニッツの《サブコンシャス・リー》があり、ラストはピエラヌンツィと同じイタリア出身の作曲家ニーノ・ロータの《ラ・ドルチェ・ヴィータ》で幕を閉じるという具合になっています。

ピエラヌンツィのオリジナルはどれも哀愁を帯びつつ品を備えた良い曲ばかり、フォーマットはビル・エバンスのものであっても、そこに薫るものはピエラヌンツィに他なりません。他人の曲であっても、ピエラヌンツィが奏でればそれはもうピエラヌンツィのサウンド。こういう個性を確立した人達がジャズを彩っていくのです。

ジョンソンはピエラヌンツィ・トリオのメンバーでしたから、安定したアーティスティックなベースを弾いています。モチアンはやっぱりモチアン。独特な間合いのグルーヴでドラムを叩いています。チンチン、カンカン、ドコドコと、この人にしか出せないんですよね。これが。聴けば誰が叩いているかすぐに分かります。

目新しさはないかもしれませんが、聴けば納得のピアノ・トリオ演奏。

アルバム名:『Live At The Village Vanguard』
メンバー:
Enrico Pieranunzi(p)
Marc Johnson(b)
Paul Motian(ds)

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ジャズ・アルバム紹介」カテゴリの記事

コメント

こんばんは〜
このアルバム、先程、ぽちっとしました♪

届くの楽しみです☆

投稿: Marlin | 2013年4月25日 (木) 00時32分

Marlinさん
こんばんは。
すっかりお返事が遅くなってすみません。
紹介したアルバムを買っていただけると凄く嬉しいです。
届いたらじっくり聴いてあげて下さいませ。
なかなか良いです。

投稿: いっき | 2013年4月25日 (木) 20時10分

こんばんは〜
少し 忙しかったのですが、何度か聴いて感想を書いてみました。

イタリアらしい といいますか ヨーロピアンジャズなのか!? オリジナルは 繊細で美しい曲ですね。
と、モチアン、亡くなられたのでしたか…
昨年は なんだか 有名なミュージシャンが何人か亡くなられましたね…


このアルバムでは オリジナルの美しさと「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」が興味深かったです♪

投稿: Marlin | 2013年5月 2日 (木) 18時15分

Marlinさん

こんばんは。
オリジナルはおっしゃるとおりで、イタリアでありヨーロッパの匂いがある美しい曲です。
そうなんですよ。モチアンは一昨年惜しくも亡くなってしまいました。
有名なミュージシャンは皆さんそれなりの歳なので、毎年多くの方が逝ってしまわれます。
しょうがないことです。
《マイ・ファニー・バレンタイン》の小気味良い演奏は好きです。

投稿: いっき | 2013年5月 2日 (木) 22時14分

手元のアルバムの範囲ですが、共演作としてはモチアンの録音日付が一番新しいです、そしてその後にリーダー作が1作あったです。そういう意味でも興味深いアルバムになりました。

ヘタウマとも評されますけど、けっこう有名なアーティストに呼ばれているので、やはりミュージシャンにとっては、スゴい人なんじゃないか、って思ってます。

ピエラヌンツィに関しては、一部しか聴いてないけど、いいピアニストですね。

TBさせていただきます。

投稿: 910 | 2013年6月 1日 (土) 17時11分

910さん

こんばんは。
共演作としてほとんどラストというのは確かに興味深いですね。
それがヴァンガードでのライブというのは因縁めいたものを感じます。

パッと聴いた感じは下手と感じるかもしれないですね。
この手のヘタウマは私にとってオーネットやショーターも同じです。
みんな凄いジャズマンですよ。

ピエラヌンツィはヨーロッパのエバンス系譜として今や大御所ですよね。
個性も確立しています。

TBありがとうございます。
私も後程伺います。

投稿: いっき | 2013年6月 1日 (土) 21時16分

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