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KA-7300Dのメンテナンンス

ヤフオクで落札したジャンクのトリオ(現ケンウッド)KA-7300Dをメンテナンスしました。ジャンクと言っても音は出ていましたからそれほど手間はかかっていません。

中身を見てみるとなかなか凝った構造です。

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パワーアンプ部と電源部はヒートシンクを有効活用し鉄板でつないでシールド。フォノイコライザーは写真右上の入力ジャック基板に実装されています。フォノの微弱信号は最短距離で等価増幅できるという仕掛けです。プリアンプ部は写真下の全面パネルの裏側基板に集約。無駄が少ない合理的な構造だと思います。

下から見ると、前にメンテしたビクターのJA-S75のようにシャーシに全て取り付けるのではなく、フレームに取り付けているのがよくわかります。

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コード類も整然と配線されています。パワーアンプ部と電源部は1枚の基板で、裏から簡単にアクセスできて、この部分はメンテナンス性が良いです。コンストラクションはビクターよりトリオのほうが優れているように思います。ただし製造するのには手間がかかるでしょう。

パワートランジスタはサンケンの2SA747/2SC1116が間違いなく入っていました。

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ドライブ段のトランジスタは結露で真っ黒。他のトランジスタもほとんどが結露で脚が真っ黒。これでも動作していますし、新品に交換するとなると同じものは製造中止品ばかりなので代替トランジスタにしなければならず、更に差動アンプ3段構成なので全てペア品を使わなければならず、面倒である上に特性の面で若干不安が残りますので当面このまま使用する予定。

(注)パワーアンプ部は前モデルKA-7300からはだいぶグレードアップしています。KA-7300が組立コストを抑えるためのパワーアンプモジュールでお茶を濁していたのとは大違い。ディスクリートで組んだ方が制限事項が少なく、細かく音を追い込めるのですから音が良いに決まっています。KA-7300DのDCアンプは非常に凝った回路設計です。

プリアンプ部とパワーアンプ部を分離して使用できるようになっています。昔はこの分離機能を持たせたものが結構ありました。これも使用目的はパワーアンプなので、パワーアンプ部の劣化しやすい部品のみ交換しました。

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アイドリング電流調整用の半固定抵抗が固定抵抗になっていたのでここは半固定抵抗に戻して調整できるようにしました。基板の穴と半固定抵抗の足が合うものは入手不可。なのでちょっと工夫して実装してあります。出力オフセット電圧調整用の半固定抵抗も新品に交換しました。

電解コンデンサはパワーアンプ回路にはたった4個(片チャンネル)しかありません。小型電解コンデンサはスピーカー保護リレーの駆動回路他を含めて全部で12個しかないという物足りなさでした(笑)。電解コンデンサは音響用ではなく汎用品に交換。特に劣化していたわけではありませんが、整流ダイオードも超高速タイプに交換。

スピーカー保護リレーは1度交換されているようでしたが、極小音量で音が出なくなるという典型的な接点劣化状態。リレーを分解して接点を掃除するのではなく新品(手持ちの基板実装タイプ)に交換。実装スペースには余裕があるので、基板実装リレーソケットとソケット実装用汎用パワーリレーの現行品も使えます。

スピーカー端子もバナナプラグが使えるものに交換しました。A系B系両方が一体化したものになっていたので全部交換。少しでも安い物にしたら灰色になってしまいました。オーディオ機器には不似合いな感じですが、これはこれで可愛くて良いと思います。入出力のRCAコネクタも磨きました。

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このアンプもゲインが高いのでパワーアンプ部の入力抵抗を大きくしてアッテネート。今回は入力フィルターを構成するコンデンサも小さくして、カットオフ周波数が低くならないように考慮しました。方形波を入力してオシロスコープで波形を確認しています。最初はコンデンサを外してしまったのですが、そうすると最大出力近辺で超高周波発信が見られ、やはりこういうところは省略してはいけないと実感。波形クリップ前最大出力は100Hz、1KHz、10KHzの正弦波でカタログ値75Wより大きい80Wが得られました。

パワーアンプとして使うのですが、いつかまたヤフオクに出品することになるかもしれないので、ひどいガリが発生していたボリュームをクリーニングすることにしました。この機種のボリュームは分解できます。

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ここまでばらさないとボリュームにアクセスできません。プリアンプ部分はメンテナンス性が良くありません。フロントのサブパネルには接点復活剤が残留していて、この手のメンテの弊害が分かります。トーンコントロール周りには多数の電解コンデンサがあります。これは音質のためには良くないでしょう。

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写真はボリュームを分解してクリーニングした後ですが、この抵抗面パターンが見えないほど真っ黒の接点復活剤か何かがこびり付いていました。私は無水アルコールでそれを除去。これでも極わずかなガリは残っています。

メンテを終えて改めて聴いてみました。この前メンテしたJA-S75のパワーアンプ部は、低音が豊かに出ていましたが反面高音はちょっと控えめで、深みがある音はどちらかと言えばクラシック向き。それに対してこのパワーアンプ部は、ダイナミック・ダンピングファクター理論の成果と言えるタイトな低音とメリハリがある中高音で、ジャズやロックを聴くにはこちらの方が良い感じです。クリアで明快な音質はなかなか良いです。

一方プリアンプを通して聴くと適度に緩くなります。パワーアンプ部のストレートな表現(私のプリアンプの音質とも言える)に対して、緊張感が明らかに落ちます。低音はより出るようになりますが高音が少々減ります。ただ明るい音なので楽しく聴けます。トーンコントロールをオンにするとさらに音がボケ、これはもう電解コンデンンサのせいでしょうね。電解コンデンサを新品に交換すれば音のボケは減るかも? まっ、プリアンプは使う予定がないのでそこまでしません。フォノイコライザーも低音が少々緩めでした。プリメインアンプとしての音は中級機なりだと思います。この辺りの価格帯はパワーアンプの方にお金や技術を投入しているものです。

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というわけで、こいつをシステムのパワーアンプに据え付けました。デザインは武骨で野暮ったいですね(笑)。狭い部屋で聴くにはこのくらいのパワーで十分過ぎます。パワーがあるトランジスタアンプは小型スピーカー12L2を闊達に鳴らしてくれるので気分が良いです。こういう音を聴くとオーディオって進歩しているのか疑問に思えてしまいます。

ちなみにメンテナンスしたからと言って格段に音が良くなるようなことはありません。ヤフオクの過大広告には気を付けましょう。そういう出品者は音の良し悪しなどよく分からないのです。単に高額で買ってほしいだけです。そしてその表現方法の幼稚さには笑ってしまうしかありません。まあ買った人は買った人で、高額を払った(メンテした)のだから良い音がするはずだと自分を思い込ませるから始末が悪い(笑)。

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コメント

こんばんは、初めまして富と申します。
ちょくちょく、拝見させていただいております。  ジャズとオーディオ弄りが趣味のオヤジです。

先月中ごろ、某オークションにて入手したこの機種をメンテナンスし、何とかプロテクターが解除して音が出るようにしました。 しかし、ボリュームのガリが気になったので無水アルコールにて洗浄後、再度組み直してパワーを投入するとブロックコンデンサー横の47オームの抵抗から煙が。。。  何か壊したみたいです。 どこかブリッジにしてしまったのかも。  文科系のおやじが見よう見まねでここまで来ましたが、限界かも。  この問題解決にヒント等がございましたら、お教えください。

投稿: 富 | 2015年4月 5日 (日) 17時02分

富さん
こんばんは。
拙ブログをお読み下さりどうもありがとうございます。
メンテナンスお疲れ様です。
さて、壊れてしまうとその原因を見つけるのは容易ではありません。
まずはその抵抗が回路のどの部分にあるのかということが、
ある程度分からないことには始まらないと思います。
そしてその周辺回路に不備(半田ブリッジや部品の故障など)がないかを
調べていくことになると思います。
私は今手元にKA-7300Dがなく、回路図も持っていませんので、
残念ながら有効なアドバイスができません。
お許し下さい。

投稿: いっき | 2015年4月 5日 (日) 19時03分

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