« 舞鶴城公園の桜を見てきました。 | トップページ | 地味渋な現代バップ »

ジョン・イラバゴンのやんちゃな1枚

ジャズ喫茶「いーぐる」で行われた「新春ジャズ七番勝負:原田和典 vs 大塚広子」のテーマ:「ジャズの未来は君にまかせた~これからが楽しみなミュージシャンをセレクト」で、原田さんがかけたのがジョン・イラバゴンでした。そのイラバゴンの新譜を紹介します。

P35ジョン・イラバゴンズ・アウトライト!『UNHINGED』(2012年、IRABAGAST RECORDS)です。メンバーは、ジョン・イラバゴン(ts)、ラルフ・アレッシ(tp)、ジェイコブ・サックス(p,org,electric harpsichord,clavinet,fender rhodes)、ジョン・エイベア(ac-b,el-b)、トム・レイニー(ds)、ゲスト:グレン・アレクサンダー(g)6、クリス・キャッシュ(programming)1,4,8、アイヴィン・オプスヴィーク(ac-b)9、マイク・プライド(auxiliary per)、ザ・アウトライト!・ジャズ・オーケストラ5、です。イラバゴンはフィリピン系アメリカ人。2008年にモンク・コンペで優勝しています。このアルバムはゲルハルト・リヒター(たぶんドイツ画家)に捧げられたものです。

P36ジャケ写をよく見ると、リムジンに乗ったイラバゴンがサンルーフから乗り出して酒のボトルをラッパ飲みしています。内ジャケットにはこんな写真があって、私のイメージからするとこれはブルース・ブラザーズ。アルバムの内容はこの写真が表しているやんちゃな感じに溢れています。私のイメージからするとゲルハルト・リヒターには結びつきません。あちらの若者感覚は良く分かりませんです。

1、4、8曲目には《キャンプ・ダグラス》なる短いテーマ曲が入っています。フレーズの断片を並べたようなドタバタ曲。バックにはエフェクト音。2曲目《チャールズ・バークレイ》はそのテーマのイメージを引き継ぐバップ曲。めまぐるしく変化する曲に乗ってトランペットやテナーの熱いソロが展開されます。

3曲目《ローラ・パストリアス》はラテン調で途中からフリー。5曲目《サイレント・スマイル》はオーケストラや女性ボーカルが入って、雰囲気はアーチー・シェップの『アッティカ・ブルース』風スピリチュアル・ジャズ。続く《クレムジーク!》はロックなギターが入ってまるでブレッカー・ブラザーズの曲。テーマ部はどこかで聴いた曲(笑)。アーチ・シェップの次がブレッカー・ブラザーズというのが今時の感覚なんでしょうね。

7曲目《モーニング・イン・アメリカ》は不穏な感じのバラード。曲名は”アメリカの朝”ですが、曲調からいくと”シカゴの朝”なのではないかと思います。9曲目はポール・デスモンドの《テイク・ファイブ》。タイトルを見るまでこの曲だと分かりませんでした。スピリチュアルなフリー系バラード演奏になっています。ラスト《パーカー・ポージー》はコミカルでトラディショナルなブルースからフリーへ突入。10曲中8曲をイラバゴンが作曲。

この演奏からは某所で話題になっている肌の色(フィリピン系なので黄色)は分かりません。それより色々なジャズの歴史が見えて来て、そういうものがない交ぜになった今時のジャズ・フィーリングがよく分かります。この捉えどころの無さがある意味現代ジャズの問題点なのかもしれません? イラバゴンはしっかりプロデュースしてもらったほうが良いかも?

共演陣は一癖ある現代ニューヨークな人達(私はこのメンバー買いでもある)なので、聴きどころは多々あり、全体としてはやんちゃな感じが聴きどころだと思います。こういうジャズはオーディオの前で聴き耳を立てるよりは、シカゴやニューヨークのライブハウスで聴いたほうが断然面白いと思います。

まっ、日本に住んでいてはよほど暇と金がないとあちらへは行けないので、CDで楽しむしかありませんが・・・。モンク・コンペで優勝していながら自主制作アルバムっていうのが、あちらのジャズの厳しさなのでしょう。

アルバム名:『UNHINGED』
メンバー:
JON IRABAGON(ts)
RALPH ALESSI(tp)
JACOB SACKS(p, org, harpsichordo, clavinet, rhodes)
JOHN HEBERT(ac-b, el-b)
TOM RAINEY(ds)
ゲスト:
GLENN ALEXANDER(g)
CHRIS CASH(programming)
EIVIND OPSVIK(ac-b)
MIKE PRIDE(auxiliary percussion)
THE OUTRIGHT! JAZZ ORCHESTRA

Amazonは入荷時期未定。ディスクユニオンにはまだ在庫があります。

|

« 舞鶴城公園の桜を見てきました。 | トップページ | 地味渋な現代バップ »

ジャズ・アルバム紹介」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ジョン・イラバゴンのやんちゃな1枚:

« 舞鶴城公園の桜を見てきました。 | トップページ | 地味渋な現代バップ »