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チェイピンのアルト・サックスにニンマリ。

新譜紹介です。とは言っても発掘音源です。

P2トーマス・チェイピン『ネヴァー・レット・ミー・ゴー』(1995,6年rec. PLAYSCAPE RECORDS)です。メンバーは、トーマス・チェイピン(as,fl)、ピーター・マドセン(p)、キヨト・フジワラ(b)、レジー・ニコルソン(ds)、ソコット・コリー(b)、マット・ウィルソン(ds)です。95年のタウン・ホールでのライブと96年のニッティング・ファクトリーでのライブを収録したCD3枚組。

95年のタウン・ホール・ライブはベースがフジワラでドラムがニコルソン。スタンダードを中心にオリジナル曲も混ぜたものでオーソドックスなバップ演奏。96年のニッティング・ファクトリーのライブはベースがコリーでドラムがウィルソン。オリジナルを中心にフリーな部分もある尖がり系の演奏。場所がニッティング・ファクトリーということもあるのでしょう。

トーマス・チェイピンはニューヨーク・アンダーグラウンド・シーンなどで注目されたサックス奏者。当時はニッティング・ファクトリーのアルバムが日本盤として発売されていました。この手のアルバムのお決まりで、ライナーノーツは青木和富さんが書いています。残念ながらチェイピンは1998年に白血病で41歳の若さで亡くなってしまいました。今はアルバムで彼の演奏を聴くことしかできません。

私はこの人のサックスが凄く好きです。サックス・トリオのアルバム『アニマ』と『スカイ・ピース』、そこにブラスが加わった『インソムニア』を持っているのですが、その自由な演奏スタイルが気に入っています。自由というのは形式上のフリー・ジャズという意味ではなく、気分がフリーなのです。聴いているとこちらの気持ちが解き放たれていくような感じとでもいいましょうか?バップ演奏をしていても約束ごとにしばられている感じがあまりしません。思うままに音を吐き出していくように感じます。そのあっけらかんとした音の開放具合が心地良いのです。

今回のアルバム、タウン・ホールの演奏は痛快バップです。この人はライオネル・ハンプトンのバンドにいて音楽監督を務めたこともあります。そのバンドで日本のフュージョンのマルタとも同席していたこともあるとのこと。チェイピンとマルタ、方向性は全く違いますが、2人のアルト・サックスから放たれる音には似たような開放感があると私は思うのです。バップ・ジャズという伝統に立脚しつつ、新しいフィーリングを持ってジャズを演奏する姿勢に惹かれます。CD1とCD2がここでの演奏。

ニッティング・ファクトリーの演奏では、そういう開放感溢れる部分に尖がった部分も混ぜ、より緊張度を増しています。CD3がここでの演奏。どちらの演奏もアドリブ一発にかける気合の入りまくったもの。なんか90年代にこういう演奏をしていたというのは、ジャズの良心みたいな人だったのだと感じます。

ピアノのマドセンがいい仕事をしてますね。チェイピンの開放感溢れる演奏に全く水を挿すことなく、”ガンガン”ドライブ感溢れるピアノを弾いて、演奏を盛り上げていく様は痛快です。チェイピンとマドセンの2人が演奏を”グイグイ”引っ張るので、ベースとドラムはそれにしっかり付いていくような感じです。燃えるようなバップが展開していきます。バラード演奏では熱く切々と。チェイピンは各CDで1曲ずつ、見事なバップ・フルート演奏も聴かせてくれます。

チェイピン・ファンの私も納得のアルバム。それにしても惜しい人を若くして亡くしてしまったものです。

アルバム名:『never let me go』
メンバー:
CD1&CD2
Thomas Chapin(as, fl)
Peter Madsen(p)
Kiyoto Fujiwara(b)
Reggie Nicholson(ds)
CD3
Thomas Chapin(as, fl)
Peter Madsen(p)
Scott Colley(b)
Matt Wilson(ds)

このCDはディスクユニオンの方が\3800で安いです。でも在庫取り寄せ。

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