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2013年3月

JA-S75のメンテナンス その4

JA-S75のメンテナンスを更に進めました。

まずはパワートランジスタのシリコングリスを塗りなおしました。これまで塗ってあったものは乾燥してパリパリにはなっていませんでしたが、精神衛生上再度塗りなおした感じです。ついでにヒートシンクも掃除しました。これで放熱はスムーズにできるでしょう。

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A級増幅用の定電圧電源の電解コンデンサも交換しました。下の基板の真ん中辺りの電解コンデンサがそれです。スピーカー保護リレー駆動部は交換済み。その基板の左側はフォノイコライザーアンプで電解コンデンサは未交換です。

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パワーアンプ基板の部品も新品に交換。整流ダイオードはかなり錆が出ていたので超高速ダイオードに交換しました。別に普通のダイオードでも良かったのですが、安く売っていたので採用。音質的にどれ程の効果があるかは不明です。フィルムコンデンサは劣化しているとは思えないのですが全て新品に交換。若干出ているハムが解消されるかもと思って交換したのですが原因は別のようです。脚が真っ黒けになっているものがあった小型トランジスタも交換しました。今なら何とか入手可能です。2SC1213、差動アンプ用ペア2SC1775(F)、2SA872(E)、2SC1775(F)の計5個を交換。

部品交換後の左チャンネルの基板。

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部品交換後の右チャンネルの基板。

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アイドリング電流と出力オフセット電圧を再調整後、念のため測定器から正弦波と方形波を入れてオシロスコープで特性をチェックしました。100Hz、1KHz、10KHzの正弦波で各チャンネルとも出力は仕様どおりの80W/chきっちり出ました。歪も少ないです。10KHzの方形波を入れると高域がかなりなまっています。どうやらゲインを落とすために増加した入力抵抗が悪さをしているみたい。ここはローパス・フィルタも構成していて、どうやらカットオフ周波数の計算を1桁間違えたようです。しょうがないので元々実装されていた抵抗に戻したら、ほとんどなまらなくなりました。

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メンテナンスを終えて改めて聴くと低音の量が過多に聴こえます。低音を調整するためにスピーカーの2本のバスレフポートの片方に布を詰めてダンピング。このくらいがちょうど良い感じです。出力が小さい真空管アンプとはやはり違いますね。スピーカーの鳴りっぷりが良いです。

相変わらずスピーカーに耳を近づけるとハムがわずかに出ていて、これはもうアースの引き回しが悪いのか、もしくはネガティブ・フィード・バック(NFB)が少ないことによるものと考えるしかないような気がしています。低音が少々緩めなのもNFBが少なくダンピングがほどほどだからでしょう。結果低音が豊かに鳴るというのがこのアンプの美点なのかもしれません。中音の張り出し具合にもそういう良さは表れているような気がします。

このアンプには、管理され過ぎて面白みのない音の最近のアンプとは違う良さがあるように思います。当面こいつを私の常用パワーアンプとして使っていく予定です。

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地味渋な現代バップ

新譜紹介です。

P37アレックス・シピアギン『オーヴォールッキング・モーメント』(2012年rec. Criss Cross)です。メンバーは、アレックス・シピアギン(tp,flh)、クリス・ポッター(ts,ss)、スコット・コリー(b)、エリック・ハーランド(ds)です。一応シピアギンはフォローしているミュージシャン。相方がクリポタということで迷わず買いました。

シピアギンの曲が4曲、コリーの曲が2曲、クリポタの曲が1曲、マンデイ満ちるの曲が1曲の全8曲が収録されています。1曲目《エクスペクテイション》はハービー・ハンコック抜きの黄金のマイルス・クインテットという雰囲気。モーダルなバップ演奏です。きっちりアドリブを決めていますが、曲調も含め地味目で渋いといった感じ。以降もこういう感じの演奏に終始します。リズムは変拍子もあって現代的。

シピアギンの曲とコリーの曲は似た雰囲気。どちらが作った曲かを言い当てるのは難しいのではないかと思います。淡い色彩の曲です。そんな中でクリポタの《ミシシッピ・ワルツ》とマンデイ満ちるの《ファースト・ステップ》がちょっと雰囲気が違っていて、良い気分チェンジになっています。

4曲目クリポタの《ミシシッピ・ワルツ》はちょっとユーモラスな雰囲気を含んだ曲。ここまでの曇り空の雰囲気だったところに、ちょっと日差しが差し込んでくるような効果があります。決して演奏のテンションが緩いわけではありませんが、何かホッとさせるあたりに、クリポタの曲作りの上手さを感じます。

7曲目マンデイ満ちるの《ファースト・ステップ》は哀愁を帯びた静かなバラード。この曲ではシピアギンがフリューゲルホーン、クリポタがソプラノ・サックスを吹いていることもあり、ちょっと雰囲気が変わります。マンデイ満ちるはシピアギンの奥さんです。奥さんの曲を優しく吹くシピアギン。夫婦愛やな~(笑)。続くクリポタのソロもイメージを維持しています。

コリーのベース、ハーランドのドラム、曲によってはソロもありますが出しゃばることもなく、地味渋のイメージを崩さず好サポートに徹しています。クリポタのソロでは、《フラッシュ》の高速4ビートに乗ってのマシンガン・フレージングが一番好き。クリポタの良さがストレートに出ています。

わきまえた4人の実に大人なジャズ。この味はお子様には分かるまい。なかなか好アルバムです。シピアギンのトランペットとクリポタのサックスをじっくり味わいましょう。

それにしてもこういう中堅どころの現代バップをひたすら地道に録音し続けるクリス・クロスというレーベルには恐れ入ります。末永くこういう活動を続けていってもらいたいです。次回リリースの予約が始まっていますが、次も面白そうなものがいくつか控えています。

アルバム名:『Overlooking Moments』
メンバー:
Alex Sipiagin(tp,flh)
Chris Potter(ts,ss)
Scott Colley(b)
Eric Harland(ds)

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ジョン・イラバゴンのやんちゃな1枚

ジャズ喫茶「いーぐる」で行われた「新春ジャズ七番勝負:原田和典 vs 大塚広子」のテーマ:「ジャズの未来は君にまかせた~これからが楽しみなミュージシャンをセレクト」で、原田さんがかけたのがジョン・イラバゴンでした。そのイラバゴンの新譜を紹介します。

P35ジョン・イラバゴンズ・アウトライト!『UNHINGED』(2012年、IRABAGAST RECORDS)です。メンバーは、ジョン・イラバゴン(ts)、ラルフ・アレッシ(tp)、ジェイコブ・サックス(p,org,electric harpsichord,clavinet,fender rhodes)、ジョン・エイベア(ac-b,el-b)、トム・レイニー(ds)、ゲスト:グレン・アレクサンダー(g)6、クリス・キャッシュ(programming)1,4,8、アイヴィン・オプスヴィーク(ac-b)9、マイク・プライド(auxiliary per)、ザ・アウトライト!・ジャズ・オーケストラ5、です。イラバゴンはフィリピン系アメリカ人。2008年にモンク・コンペで優勝しています。このアルバムはゲルハルト・リヒター(たぶんドイツ画家)に捧げられたものです。

P36ジャケ写をよく見ると、リムジンに乗ったイラバゴンがサンルーフから乗り出して酒のボトルをラッパ飲みしています。内ジャケットにはこんな写真があって、私のイメージからするとこれはブルース・ブラザーズ。アルバムの内容はこの写真が表しているやんちゃな感じに溢れています。私のイメージからするとゲルハルト・リヒターには結びつきません。あちらの若者感覚は良く分かりませんです。

1、4、8曲目には《キャンプ・ダグラス》なる短いテーマ曲が入っています。フレーズの断片を並べたようなドタバタ曲。バックにはエフェクト音。2曲目《チャールズ・バークレイ》はそのテーマのイメージを引き継ぐバップ曲。めまぐるしく変化する曲に乗ってトランペットやテナーの熱いソロが展開されます。

3曲目《ローラ・パストリアス》はラテン調で途中からフリー。5曲目《サイレント・スマイル》はオーケストラや女性ボーカルが入って、雰囲気はアーチー・シェップの『アッティカ・ブルース』風スピリチュアル・ジャズ。続く《クレムジーク!》はロックなギターが入ってまるでブレッカー・ブラザーズの曲。テーマ部はどこかで聴いた曲(笑)。アーチ・シェップの次がブレッカー・ブラザーズというのが今時の感覚なんでしょうね。

7曲目《モーニング・イン・アメリカ》は不穏な感じのバラード。曲名は”アメリカの朝”ですが、曲調からいくと”シカゴの朝”なのではないかと思います。9曲目はポール・デスモンドの《テイク・ファイブ》。タイトルを見るまでこの曲だと分かりませんでした。スピリチュアルなフリー系バラード演奏になっています。ラスト《パーカー・ポージー》はコミカルでトラディショナルなブルースからフリーへ突入。10曲中8曲をイラバゴンが作曲。

この演奏からは某所で話題になっている肌の色(フィリピン系なので黄色)は分かりません。それより色々なジャズの歴史が見えて来て、そういうものがない交ぜになった今時のジャズ・フィーリングがよく分かります。この捉えどころの無さがある意味現代ジャズの問題点なのかもしれません? イラバゴンはしっかりプロデュースしてもらったほうが良いかも?

共演陣は一癖ある現代ニューヨークな人達(私はこのメンバー買いでもある)なので、聴きどころは多々あり、全体としてはやんちゃな感じが聴きどころだと思います。こういうジャズはオーディオの前で聴き耳を立てるよりは、シカゴやニューヨークのライブハウスで聴いたほうが断然面白いと思います。

まっ、日本に住んでいてはよほど暇と金がないとあちらへは行けないので、CDで楽しむしかありませんが・・・。モンク・コンペで優勝していながら自主制作アルバムっていうのが、あちらのジャズの厳しさなのでしょう。

アルバム名:『UNHINGED』
メンバー:
JON IRABAGON(ts)
RALPH ALESSI(tp)
JACOB SACKS(p, org, harpsichordo, clavinet, rhodes)
JOHN HEBERT(ac-b, el-b)
TOM RAINEY(ds)
ゲスト:
GLENN ALEXANDER(g)
CHRIS CASH(programming)
EIVIND OPSVIK(ac-b)
MIKE PRIDE(auxiliary percussion)
THE OUTRIGHT! JAZZ ORCHESTRA

Amazonは入荷時期未定。ディスクユニオンにはまだ在庫があります。

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舞鶴城公園の桜を見てきました。

先日の日曜日は天気が良かったので、舞鶴城公園の桜を見てきました。
舞鶴城公園は甲府駅のすぐ近くにある観光名所。
石垣や門を少しずつ整備しています。
何とか観光客を甲府の街に呼びたいということで色々やってます。

ご覧のとおりの良い天気でした。

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白壁と桜と謝恩塔。

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結構人が来ていました。とは言っても長閑なものです。
8分咲きくらいか?つぼみが多い木もありました。

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桜と鉄門(くろがねもん)。

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木によっては満開。

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これが鉄門全景。この冬に完成したばかり。門上部の中に入れます。

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城壁の前に並ぶ桜並木。

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上から公園を見下ろす。中々きれいでしょ。前方は甲府の中心街。

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今年は桜が咲くのが早過ぎてまだ花見客はあまり来ていません。

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甲府駅の北口に最近整備されたレトロな街並み「甲州夢小路」。
色々やってるんです。

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枝垂れ桜もあります。

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鳩もいました。気持ち良さそう。

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桜と青空がきれいでした。

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というわけで、日曜の午後はのんびり散歩を楽しみました。

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KOFU JAZZ STREETへ行ってきました。

昨日は「KOFU JAZZ STREET」へ行ってきました。例年の秋開催から春開催に移動したのかと思ったら、秋にもやるとのことでした。昨年の秋のジャズストが好評だったので春にもやることになったらしいです。「KOFU JAZZ STREET」は年2回体制になったということです。ジャズを観に行ける機会が増えるという意味では歓迎ですね。

今回の「KOFU JAZZ STREET」は観たい人ばかり。でも3ステージを3ヶ所で観るということになると3組しか観られません。よって泣く泣く選択しました。

最初は「Alfie」で安ヵ川大樹/西山瞳デュオを観ました。

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西山さんのピアノを生で観たかったのです。西山さんのCDは2枚持っています。昨年安ヵ川さんと西山さんはデュオ・アルバム『El Cant Dels Ocells』を出していてその再現。優しいデュオで、私には安ヵ川さんの人柄そのままが表れているように見えました。お2人の間には穏やかな空気が流れていきます。美しいメロディーとしなやかなグルーヴが心地良く、ハーモニーのセンスも素敵。1曲だけやったスタンダードのスイング感は最高で、心地良いアドリブに溢れていました。ラストにやったのは私の好きな曲《ユー・アー・ザ・サンシャイン・オブ・マイ・ライフ》。これを聴いて思ったのですが、西山さんのアレンジって良く考えられているんでしょうけれどさり気なくて、薄化粧の美人という感じです。それから西山さんの喋りは、ピアノに向かっている時の楚々とした雰囲気と違って、そそっかしいおねーちゃんみたい(失礼)な感じになって親しみが湧きます。演奏終了後にそのデュオ・アルバムを買いました。もちろんサインもしてもらいましたよ。ここの音響はピアノが響き過ぎて繊細なニュアンスがスポイルされてしまうのが残念でした。

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サインをしてもらった後、西山さんの「また来て下さいね。」の言葉に私は「はい。」と答えながら、他のステージを観てしまいました。m(_ _)m 次は別な場所のライブを是非観にいきますので、よろしくお願いします。

次は「ALONE」で是方博邦 LIVE OF LIFE with 田村直美を観ました。

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是方さんのアルバムは『KOBE』だけ持っています。懐かしいフュージョン・アルバム。田村さんは昔大ヒットした《ゆずれない願い》のサビの部分が今でも頭の中にしっかり刻みこまれています。あれからどうしていたのか?懐かしい気分です。是方さんはもうギター職人の人のいいオッサン(失礼)。トークがもう下町のおちょうし者のオッサン全開なのです。1曲目はギター・トリオでブルース。もうひたすらファンキーな”コテコテ”ギター弾きまくり(笑)。タイトなドラミングとグルーヴィーなベースも”グリグリ”決まってました。トリオで3曲やった後に田村さんが登場。田村さんの歌はパワフルで昔のまんまです。”キレキレ”なハイトーンが凄かったです。最近出たお2人共演(2曲)のアルバム『LIVE OF LIFE』から2曲。是方さんご自身が良い曲と言ってやった《The wonderland of peace》は気に入りました。とにかく”ROCK YOU!”なステージは痛快無比。ここの音響はPAが大きすぎて田村さんの歌詞が聴き取りにくくなってしまうのが残念でした。

ラストは「Hops And Herb」で類家心平カルテットを観ました。

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ここが今回の本命。最後のステージにこれを選んだのは、アンコール演奏があって一番長く演奏してくれるから。最初はスタンダードをメローに演奏したので、「アレッ、こんなもの?」という感じだったのですが、2曲目からは凶暴な面を見せ、その後はもうとにかくカッコイイ!の一言。類家さんのトランペットはスケールがデカイ! これだけトランペットを吹き鳴らせる人はそんなにいないと思います。初期エレクトリック・マイルスのような凶暴性、片やバラード演奏の歌心、両方とも見事でした。鍵盤はキーボードのみでしたが、実はそこに仕掛けがあり、スタンダードや4ビートで見せるピアノはプリセットされたピアノ音で、エレクトリック・マイルスのような演奏の時は凶暴なフェンダー・ローズになるという具合でした。実に上手く使い分けていてなるほどと納得。今時のプリセットのピアノ音は凄く良いのでわざわざピアノを弾かなくても良いと思いました。ベースのぶっといグルーヴ、タイトなドラミング、グループとしてのまとまりも文句なく、さすがはレギュラー・カルテットなのです。もしジャズを聴いてみたいという人がいたら、理屈っぽくアルバムを推薦するとかではなく、類家心平さんのライブを観せに連れて行きます。これを観てカッコイイと思わないならば、その人はジャズを聴く必要はないと思います。アンコールでやったのはロイ・ハーグローブのメローな曲。ちょっと熱を冷ます感じでこれが染みました。ここの音響は最高でしたね。PA卓を操作する女性の方は多分一緒に連れて来ているんでしょう。CDを買おうかと思ったら持ってきているCDが少なかったようで、ライブ後に外であと1枚とか言ってました。私は帰ってから早速Amazonへ注文。

今回も3ステージを存分に楽しみました。やっぱりライブはいいな~。

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コンポーザー・サンチェスを聴く1枚

最近オーディオが楽しくて、こういう時は意外とレコードやCDを素直に楽しんでいます。今はジャズについて鬱陶しい思考をしたくない気分なのでちょうど良いです。評論家のレビューは読む気になりません。こんな気分の時もあるさ。それはさておき、今日は新譜紹介。

P17アントニオ・サンチェス『ニュー・ライフ』(2012年rec. CAMJAZZ)です。メンバーは、デイヴィッド・ビニー(as)、ダニー・マッキャスリン(ts,ss)、ジョン・エスクリート(p,fender rhodes)、マット・ブリューワー(ac-b,el-b)、アントニオ・サンチェス(ds,vo,additional keyboards)、ターナ・アレクサ?(voice)です。サンチェスの3枚目のリーダー作。前作がライブ2枚組でガッツリとジャズを聴かせてくれたのですが今回は如何に?

いきなりスピリチュアルな雰囲気の曲《アップライジング・アンド・レヴォリューション》で始まります。ビニーとマッキャスリンの熱いサックス・ソロで気分は盛り上がります。エスクリートはこういう時にありがちな”まんまマッコイ・タイナー”になっていないのが良いですね。ドラム・ソロが単なる力任せになっていないのはサンチェスらしいです。

このまま熱く力で押し切るのかと思いきやさにあらず。2曲目《Minotauro》はエスクリートのエレピを大きくフィーチャ。都会の夜のミステリアスな雰囲気です。エスクリートの適度な尖がりのキュートなソロがなかなか良いと思います。サックスはテーマの合奏のみでソロなし。後半のドラム・ソロは流れの中で自然に。

3曲目のタイトル曲はアレクサのスキャットが入ってメセニー風ブラジル調。メセニーのグループでドラムを叩くこの人ならではか? なかなかの美メロ曲です。アルバムで一番の長尺曲はドラマティックな展開。途中にはマッキャスリンの熱いソロを挟んだりして緩急をつけて物語のように聴かせます。ここまで来て分かったのは、このアルバムがコンポーズとアレンジを聴かせるアルバムだということ。

ビニ―のアルトが先導するカントリー調ワルツ曲《ナイト・ストーリー》ではアルト・サックス、ピアノ、テナー・サックスのソロは短め。2サックスの熱いアドリブを聴かせる《メデューサ》はモーダルな現代バップ。テナーとアルトの掛け合いをドラムが煽る出だしからファンクへと変わる《ザ・リアル・マックダディ》。エレピで始まる《エアー》はマッキャスリンのソプラノ・サックスがしっとり聴かせるバラード。ここではベース・ソロも歌ってます。ラスト《ファミリー・タイズ》はまたまたピアノ・ソロ主体の現代バップ。全曲サンチェスの曲。

このメンバーですから、どんなタイプの曲が来てもそつなくこなして、実力は見せてくれています。ブリューワーが曲によってエレベを弾いているのですが、アコベとあまり差がありません。まあこの辺りの使い方はメセニー・グループのスティーブ・ロドビーを意識しているのかもしれませんね。エスクリートが現代ニューヨークな人でありながら意外とキュートなフレーズを弾いていて、私はそこに好感を持ちました。ビニーとマッキャスリンは現代サックス実力派。マッキャスリンが時々マーク・ターナーみたいなフレージングをするのがちょっと気になるところか。

サンチェスのドラミングはどこを切っても似たような叩き方ですが、生み出されてるしなやかなグルーヴはいつも心地良いです。メセニー(このアルバムのライナーノーツも書いています)が自己のバンドでこの人を起用しているのはその辺りのセンスを買っているからでしょう。

主張はそれほど強く感じませんが、サンチェスのコンポーザーとしての力量をしっかり聴かせ、何度も聴くうちに味わいもじわじわ増してくるアルバムだと思います。

アルバムジャケット(過去作含む)の小シールが4枚入っているのが謎(笑)。

アルバム名:『NEW LIFE』
メンバー:
Dave Binney(as)
Donny McCaslin(ts, ss)
John Escreet(p, fender rhodes)
Matt Brewer(acoustic & electric bass)
Antonio Sanchez(ds, vo, and additional key)
Thana Alexa(vo-M3)

いよいよ明日は、「KOFU JAZZ STREET」

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今週末は「甲府ジャズストリート」へGO!

甲府は昨日桜の開花宣言がありました。
家の近所の桜も咲き始めて、暖かい日が続いています。
いよいよ春到来ですね。

そんな春の陽気に誘われて、「KOFU JAZZ STREET」が今週末開催されます。

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6組の皆さんが、甲府の一夜を楽しく盛り上げてくれます。

・桜座 : ナオミ&ゴロー&菊地成孔
・コットンクラブ : 平賀マリカ&大隅寿男 feat. 太田剣
・Alfie : 安カ川大樹デュオ(西山瞳)
・ALONE : 是方博邦 LIVE OF LIFE with 田村直美
・THE VAULT : 梅津和時 太田恵資 鬼怒無月 UNIT
・Hops And Herbs : 類家心平カルテット

一流の演奏が直ぐ近くで観られます。

オープニングセレモニー 17:30~18:00 @桜座
1st. 19:00~  2nd. 20:30~  3rd. 22:00~ @各お店

6店舗共通パスポートチケット 前売券6000円 当日券7000円

3月23日(土)、皆さんジャズを聴きに行きましょう!

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JA-S75メンテナンス 補足

夜中に気になる暗騒音。その原因は少し出ているハムノイズではありませんでした。電源トランスの唸りだったのです。そういえば、直熱真空管アンプのハムノイズは結構出ていたりしたのですが、その時はあまり気にならなかったのでした。どうして今回気になるのか不思議ではあったのです。

今回の電源トランスの唸り、たとえ低いレベルでもアンプ筐体やラックまでもが振動の影響を受けて発音体になってしまうから気になるのでしょうね。ネットで調べると商用電源(AC100V)の波形の非対称性に起因するようです。でも今までこのような唸りを発するものはなかったので、やはりトランスの経年劣化(絶縁劣化)によるところが大なのかも? 今までトランスの唸りが気になったのは唯一アンプジラだけです。あれも古いアンプでした。

AC100Vがトランスに入る前にダイオードによる対策も可能なようです。でもそこまでやるのは面倒。とりあえず前に自作して解体したアンプのゴム脚がとってあったので、このゴム脚に交換してお茶を濁すことにしました。元々付いている脚はプラスチックのチープなものなので、ゴム脚に変えたところで特に問題はないでしょう。ゴム脚に変えたらどうにか許せる範囲に治まる感じです。

ハムノイズに話を戻すと、試聴にはほぼ支障ありませんが右チャンネルに多く出ているのはちょっと気になります。何らかの部品劣化によるものなのでしょうね。整流用ダイオードの劣化なのか、トランジスタそのものの劣化なのか、それともフィルムコンデンサの劣化なのか、悩ましいところです。トランジスタそのものを交換するとなるとやっかいです。当面放っておくことにします。

さて、話はちょっと変わりまして、自作したヘッドホンアンプはエージングが進んで益々快調です。特に気にせず音楽に安心して浸れるのは嬉しい限りです。

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ヘッドホンアンプは今こんな具合に置かれています。プリアンプ系をこの場所に集合させました。左下のプリアンプ、左上のフォノイコライザーアンプ、右下のヘッドホンアンプ、全てぺるけさんの設計によるアンプになってしまいました。ちなみに右上はFRのMCトランスでもちろん既成品。アンプの下に敷いてあるのはデュポン・コーリアンのボード。私は長岡(鉄男)教徒なので、鉛インゴットがアンプやCDプレーヤーの上に乗っかってます(笑)。

オーディオネタばかりですいません。m(_ _)m

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JA-S75のメンテナンス その3

今日は暖かくて良い天気だったのに、部屋でチマチマこんなことをやってました。う~む、いささか不健康ではありますが、こういうことが好きなのだから仕方がありません。

パワーアンプ基板を外して電解コンデンサの交換と半田のやりなおしをしました。まずは本体からヒートシンクごと基板を取り外します。コネクタを使っていないので、線は接続したままで手が入るようにします。左右チャンネルのリビジョンがAとBと違っています。片方の基板の裏にコンデンサが付けてあるので、それが違いなのでしょうか?まああまり気にせず行くことにします。

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ヒートシンクと基板はプラスチックの割ピンで固定されていました。ヒートシンクには温度補償用のトランジスタが付いています。基板とヒートシンクの間には絶縁シートのようなものが挟まっていました(写真には映っていません)。距離は十分あるので遮熱効果を期待したものかもしれません。

トリッキーな実装がありました。電解コンデンサの足をよじって直列接続(無極性)にして浮かして実装しているのです。初期段階で設計変更があり、プリント基板修正が間に合わなかったのでしょう。ネット上では2個のコンデンサを実装できるようにプリント基板が修正されたバージョンの写真がみつかりました。このアンプはかなり初期のもののようです。トランジスタの足は黒くないようなので、あまり使われていなかったのかもしれません。

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コンデンサ固定剤が経年劣化でボロボロ。トランジスタは思いきり横に倒されてます。やっつけ仕事ですね。これをどのように処理するか一思案。最初は同じようにしようかと思ったのですが、パターンを調べると緑のフィルムコンデンサとこの直列接続電解コンデンサが並列に入っていることがわかりました。プリント基板のシルク印刷を見ると、当初は有極性コンデンサ1個を実装するつもりだったようです。なのでプリント基板には電解コンデンサ1個用とフィルムコンデンサ1個用の実装スペースがあります。

発想を変えます。無極性の電解コンデンサにします。直列接続コンデンサは220μF+220μFなので合成値は110μFです。無極性電解コンデンサの110μFはないので、100μFと10μFを並列に実装します。フィルムコンデンサは小さい方の電解コンデンサに抱かせます。

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こんな具合にします。これ(10μF+フィルムコン)と100μFのコンデンサを2カ所に実装すればスッキリ収まります。

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ご覧のとおりスッキリするではありませんか。寝ていたトランジスタも起こしました。この基板にはあと3つ電解コンデンサがあるのでそれも交換しました。パワーアンプ基板には電解コンデンサが5個しかありません。写真に写っているものが全ての電解コンデンサです。特にオーディオ用ではなく汎用の電解コンデンサを使用。

この後裏側の全半田をやりなおしました。以上で終了。基板は左右にあるので両方同じ処置を行いました。

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こんな具合にばらして作業をしました。自由にというわけにはいきませんが、それほど作業性が悪いわけでもありません。

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更にその後、夜聴く時にゲインが大き過ぎるため音が絞り切れないことが分かったので、直列に入っている入力抵抗を増して、抵抗分割比を変えることでアッテネートしました。この部分はフィルタも兼ねていますが、高域遮断周波数はかなり高いので問題ないでしょう。試聴により確認しました。

スピーカー保護回路部の電解コンデンサも交換しました。アイドリング電流は20mAから増やして30mAにしました。元々ほとんど発熱しないアンプなので、50%増量しても問題ないでしょう。

う~ん、ここまでやったけれど少々あるハムノイズはなくなりませんでした。スピーカーに耳を近づけないと聴こえないので、日中聴く分には特に問題なにのですが、夜辺りが静かになると何となく気にならなくもありません。それから見逃していたことがあります。A級増幅用の定電圧電源からもパワーアンプ部に電源供給していることが判明。定電圧電源の電解コンデンサも交換しないとまずいですね。これはまた後程。

低音はパワフルで明るく元気に鳴るこのアンプの音が気に入っているので、ハムノイズを何とかしたいものです。

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JA-S75のメンテナンス その2

ビクターのプリメインアンプJA-S75のメンテナンスを進めました。

まずは何かと問題が多い、出力オフセット電圧調整用とアイドリング電流調整用の半固定抵抗を交換しました。古くなって接触不良になる場合が多く、特にアイドリング電流調整用が接触不良を起こすと、パワートランジスタに大電流が流れてトランジスタが壊れたりします。半固定抵抗は2つ並んで実装されています。こんな具合なので劣化しているのは容易に分かります。

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アイドリング電流調整用半固定抵抗を交換するにあたり、まずは半固定抵抗をどちらに回せば電流が増えるのかを確認しました。ここでやっぱり接触不良が起き、大きなアイドリング電流が流れてスピーカー保護リレーが切れました。慌てて電源オフして少し半固定抵抗を左右に回して接触不良をなくし、だいたい元の位置に合わせて再度電源オン。何とか事なきを得、回す方向は分かりました。取り敢えず再調整。アイドリング電流は20mA。

この状態でしばらく聴いていたのですが、今度は片チャンネルのヒートシンクが結構熱くなることが判明。アイドリング電流が増加していました。減らそうとして回したら、やっぱり接触不良が発生。今度はおたおたしていたら電源ヒューズが焼き切れました。アワワワッ! ヒューズを交換して恐る恐る電源オン。スピーカー保護りレーもつながりました。トランジスタは壊れていなかったようです。フ~ゥ。

こんな具合なので交換する必要があるのです。交換する半固定抵抗はしっかりしたものにします。基板に実装されていた470Ωと220Ωは現行品にはないようなので、入手が容易な500Ωと200Ωに変更します。500Ω(青色)はNECのネオポット、200Ω(黄色)はコパルのものです。違う品種になっているのは出来るだけ安いものを買おうとした結果です。

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基板を取り外さなくても半固定抵抗は交換可能。片チャンネルずつ交換しました。両方同時にやると再調整時に両方見なければならず、焦って作業しなければならないからです。出力オフセット電圧調整用は元々付いていたものと同じくらいの角度に合わせ、アイドリング電流調整用は最低になる方に回しきってから電源オン。アイドリング電流調整用はあまりクリティカルではないので調整はやりやすかったです。出力オフセット電圧調整の方はクリティカルですがゆっくりやれば1mV以内に調整できます。

次に電源の大型電解コンデンサを交換。たまたま同じ定格のコンデンサ(前のFETアンプで使用)を持っていたのでこれを流用。このコンデンサは一度使っていますが、元々実装されているものよりはずっと新しいものです。同じ容量なのにサイズがかなり小さいのは、エッチングの技術が進み同じサイズでより表面積を広くできるようになったからです。世間ではエッチングが浅い大型コンデンサのほうが音が良いとか言われますが、まああまり気にせずやります。特にオーディオ用ではなく普通の電解コンデンサです。

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実装するにあたり、片側のはめ込み式固定部をそのまま利用。新しいものはコンデンサバンドが薄いのでガムテープを巻いて緩まないようにしました。もう一方は穴を開けなおしてネジで固定。

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パラってあったフィルムコンデンサも交換しました。元は3.3μFだったのですが、手持ちは1.5μFなのでそれを流用。値の違いはそれほど気にする必要はないでしょう。

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少々ハムノイズが出ていたので、この電解コンデンサを交換すればハムノイズがなくなると思ったのですが、そうはいきませんでした。アンプ基板上の電解コンデンサを交換すればハムノイズは消えるのか?ちょっと他にも気になるところがあるので、ハムノイズの原因はまだよく分かりません。

ここでまた一段落、次はパワーアンプ基板を取り外して、電解コンデンサの交換と全半田のやりなおしをします。

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メセニー・ワールドとしか言いようがない。

新譜紹介です。メセニー・ファンの私としては聴かねばなりません。

P3パット・メセニー『ザ・オーケストリオン・プロジェクト』(2010年rec. NONSUCH)です。メンバーは、パット・メセニー(g,orchestrionics)です。コンピューター・コントロール・ミニ・オーケストラの楽器名はオーケストリオンではなくて”オーケストリオニクス”。オーケストラとエレクトロニクスを合わせた造語でしょうね。ジャケット写真を見ていただければ分かるとおり凄いことになってます。

音を聴いただけでは、メセニーがオーケストリオニクスに合わせているのか、オーケストリオニクスがメセニーに合わせているのか、よく分かりません。これのDVDが出ているので、それを見れば少しは分かるのかもしれませんが、きっとよく分からないと思います。

神保彰のワンマン・オーケストラみたいに、どのようにプログラミングされていて、どうやって起動するか解説があれば、少しは謎が解けるのではないかと思います。でもそれってきっと理科系のセンスが必要です。失礼ながら文化系の人は仕組みを説明されたとしても、凄い程度の感想になってしまうことでしょう。まっ、そんなことはどうでも良いことだと思いますが。

実は前に出た『オーケストリオン』はあまり気に入りませんでした。だってサウンド自体はパット・メセニー・グループの範疇で、何でわざわざ機械(オーケストリオニクス)を作ってまでやらなきゃいけないか疑問だったからです。そんなわけで、これも買うかどうか悩みました。でも、私はメセニー・ファンのなので、一応全部聴いておかなきゃいけないという使命感にかられました(笑)。

P4
内ジャケ写真はまるでSFに出てくる宇宙船の操縦室のようです。メカ好きの私には猛烈に萌え~な写真(笑)。こんな凄い仕掛けを作ってライブ演奏してしまうんだからビックリ仰天。

聴いてみたらこれはなかなか気に入りました。まず全体的にメカメカしくありません。前のアルバムはいかにもメカが演奏しているといった具合で、まあこれは、こういうものを作ってしまうと最初は効果を強調してしまうという、ありがちな発想だったのだろうと推測できるわけですが、今回はサウンドが自然です。録音場所の教会の響きと録り方でだいぶ印象が違います。前の録音では色気がなくて違和感があったベースの音も、今回はふっくらしていていい感じになっています。

アレンジの仕方も、一度に鳴る音を少なめにしたり、シンセを程良く入れたり、マリンバや鉄琴の響きを生かしたり、ピアノの登場場面を増やし、ピアノの低音でベースの弱さをカバーしたり、たぶんブロウン・ボトルだと思うのですが、オルガン風のエフェクト音を薄く流したり、ギターボットとの2人メセニーみたいな共演があったりと、色々工夫の程がうかがえます。そういう工夫がメカメカしさを緩和していると思います。

サウンドは良いとして、相変わらずオーケストリオニクスでわざわざやる意義は今回も見い出せなかったわけですが、こんなバカげたことはメセニーだからできるわけで、またメセニーだから許されるということで了解しましょう(笑)。基本的にメセニー・ワールド全開でして、メセニー・ファンの私としては素直に良いと受け入れることにしました。

旧作からの曲もとりあげたりしていてなかなか良い演奏になっています。
輸入盤ならば安いので一聴の価値はあると思います。

アルバム名:『THE ORCHESTRION PROJECT』
メンバー:パット・メセニー
g, orchestrionics(vib, orchestra bells, basses, guitarbots, per, cymbals, ds,
blown bottles, other custom-fabricated acoustic mechanical instruments),
robotic, angeli guittar

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チェイピンのアルト・サックスにニンマリ。

新譜紹介です。とは言っても発掘音源です。

P2トーマス・チェイピン『ネヴァー・レット・ミー・ゴー』(1995,6年rec. PLAYSCAPE RECORDS)です。メンバーは、トーマス・チェイピン(as,fl)、ピーター・マドセン(p)、キヨト・フジワラ(b)、レジー・ニコルソン(ds)、ソコット・コリー(b)、マット・ウィルソン(ds)です。95年のタウン・ホールでのライブと96年のニッティング・ファクトリーでのライブを収録したCD3枚組。

95年のタウン・ホール・ライブはベースがフジワラでドラムがニコルソン。スタンダードを中心にオリジナル曲も混ぜたものでオーソドックスなバップ演奏。96年のニッティング・ファクトリーのライブはベースがコリーでドラムがウィルソン。オリジナルを中心にフリーな部分もある尖がり系の演奏。場所がニッティング・ファクトリーということもあるのでしょう。

トーマス・チェイピンはニューヨーク・アンダーグラウンド・シーンなどで注目されたサックス奏者。当時はニッティング・ファクトリーのアルバムが日本盤として発売されていました。この手のアルバムのお決まりで、ライナーノーツは青木和富さんが書いています。残念ながらチェイピンは1998年に白血病で41歳の若さで亡くなってしまいました。今はアルバムで彼の演奏を聴くことしかできません。

私はこの人のサックスが凄く好きです。サックス・トリオのアルバム『アニマ』と『スカイ・ピース』、そこにブラスが加わった『インソムニア』を持っているのですが、その自由な演奏スタイルが気に入っています。自由というのは形式上のフリー・ジャズという意味ではなく、気分がフリーなのです。聴いているとこちらの気持ちが解き放たれていくような感じとでもいいましょうか?バップ演奏をしていても約束ごとにしばられている感じがあまりしません。思うままに音を吐き出していくように感じます。そのあっけらかんとした音の開放具合が心地良いのです。

今回のアルバム、タウン・ホールの演奏は痛快バップです。この人はライオネル・ハンプトンのバンドにいて音楽監督を務めたこともあります。そのバンドで日本のフュージョンのマルタとも同席していたこともあるとのこと。チェイピンとマルタ、方向性は全く違いますが、2人のアルト・サックスから放たれる音には似たような開放感があると私は思うのです。バップ・ジャズという伝統に立脚しつつ、新しいフィーリングを持ってジャズを演奏する姿勢に惹かれます。CD1とCD2がここでの演奏。

ニッティング・ファクトリーの演奏では、そういう開放感溢れる部分に尖がった部分も混ぜ、より緊張度を増しています。CD3がここでの演奏。どちらの演奏もアドリブ一発にかける気合の入りまくったもの。なんか90年代にこういう演奏をしていたというのは、ジャズの良心みたいな人だったのだと感じます。

ピアノのマドセンがいい仕事をしてますね。チェイピンの開放感溢れる演奏に全く水を挿すことなく、”ガンガン”ドライブ感溢れるピアノを弾いて、演奏を盛り上げていく様は痛快です。チェイピンとマドセンの2人が演奏を”グイグイ”引っ張るので、ベースとドラムはそれにしっかり付いていくような感じです。燃えるようなバップが展開していきます。バラード演奏では熱く切々と。チェイピンは各CDで1曲ずつ、見事なバップ・フルート演奏も聴かせてくれます。

チェイピン・ファンの私も納得のアルバム。それにしても惜しい人を若くして亡くしてしまったものです。

アルバム名:『never let me go』
メンバー:
CD1&CD2
Thomas Chapin(as, fl)
Peter Madsen(p)
Kiyoto Fujiwara(b)
Reggie Nicholson(ds)
CD3
Thomas Chapin(as, fl)
Peter Madsen(p)
Scott Colley(b)
Matt Wilson(ds)

このCDはディスクユニオンの方が\3800で安いです。でも在庫取り寄せ。

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「甲府ジャズストリート」が春になってしまった!

今日は3月11日。東日本大震災から2年ですね。TVはこのニュースで溢れてます。なかなか復興が進まないようで、う~ん大変。あの日を忘れないようにしつつ、とにかく前に進んでいくしかないですよね。

さて、これまで「甲府ジャズストリート」は秋(10月)に実施されていたのに、今年はなぜか春(3月)に実施されるようです。どういう事情でこうなったのかは不明。3月23日に開催されます。

今年は観たい人がたくさん来るので迷わず観に行くことにします。

P1
会場は6ヶ所です。

・桜座 : ナオミ&ゴロー&菊地成孔
・コットンクラブ : 平賀マリカ&大隅寿男 feat. 太田剣
・Alfie : 安カ川大樹デュオ(西山瞳)
・ALONE : 是方博邦 LIVE OF LIFE with 田村直美
・THE VAULT : 梅津和時 太田恵資 鬼怒無月 UNIT
・Hops And Herbs : 類家心平カルテット

やばっ、3ステージなのでどれを見ようか悩んでしまいます。
う~むっ・・・、嬉しい悩み。
西山瞳さんと類家心平さんと是方博邦さんかな?

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JA-S75のメンテナンス その1

ジャズファンの読者の皆様ごめんなさい。今日もオーディオネタです。
取り敢えずJA-S75のメンテナンスを少し進めました。

まずは必ず劣化するスピーカー保護リレーを新品に交換しました。ネット上のメンテ/レストアではリレーを分解して接点掃除することが多いですが、新品があるなら交換したほうが良いです。この手の基板実装リレーというのは近年入手しづらいです。この機種に使われているリレーはまだ基板実装用ソケットとリレー本体が入手可能。ソケット式にしておけば後々リレーを交換する時に楽です。まっ、そこまで使わないとは思いますが。

P197_2
元々実装してあったリレー、どうも半田付けをやり直したような跡が見られるので、かなり前に一部メンテの手が入っているようです。このアンプ、なぜかこの基板部分は底蓋が開くので、アンプをバラして基板を取り外さなくても作業ができました。

そしてスピーカー出力端子台を交換しました。私のスピーカーケーブルはバナナジャックでアンプに接続するようになっているので、これに対応した端子でないとアンプ交換の際に不便だからです。このアンプを落札する前にネットで内部の写真を入手して、この改造が出来ることは確認しています。

本当はアルミアングルを加工すれば楽なのですが、近所には売っていないので、昔秋葉原で買ったアルミ板(厚さ1mm)を切って折り曲げ加工して使いました。折り曲げるのは強度を確保するためです。このアルミ板にバナナジャック対応プラグを取り付けて端子台とします。

P198_2
こんな感じになりました。アルミ板にはスプレー塗料をかけてあります。この端子台をアンプ本体に取り付けます。取り付け穴は特に加工せず、もともとの端子台を取り付けていた穴をそのまま使用しました。

P199
いざ取り付けて見たら、トランスとのクリアランスは結構きわどかったです。本来この部分の配線は左にちょっと見えるようなラッピング配線なのに、今回の端子台に交換する前から半田付けされていたので、スピーカー端子台自体も以前交換されていたようです。後ろはこんな具合になりました。

P200_2
片方(システム1)のみ交換しました。これなら気分次第で、自作真空管アンプとこのアンプを簡単に交換できるという寸法。

取り敢えずここまでです。後は部品を発注してパワーアンプ基板の一部部品を交換後、半田付けを全てやり直します。大型の電源フィルタ・コンデンサも交換しようと思っています。

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こんなものを入手してしまいました。

只今ジャズ・リスニングよりオーディオいじりが盛り上がってます。
またまたおもちゃを手に入れてしまいました。
かなりの間冷めていたメンテナンス病が発病してしまったのです(笑)。

10年くらい前にオークションでアンプを手に入れては
部品を交換したりして遊んでいました。
昔買えなかった憧れのオーディオ機器が安く落札できたからです。
問題なく動作するものからジャンクまで、色々なアンプで遊びました。
音は千差万別でした。
ある期間いじった後、再度オークションに出したりしていました。
でも山梨に帰って来なければならず、部屋の関係から1台だけを持ってきました。
サンスイのAU-D907をメンテナンスしたものです。

これはパワーアンプとして使っていたらその後トランスが断線。
結局直さずに捨てました。
このアンプは良いパワートランジスタを実装していたので残念でした。
後釜はNECのA-10Ⅲ、ただしこれは全くいじらずそのまま使用。
昨年まで使用して再度オークションへ。
オーディオ・システム縮小化の一環ですね。
自作したFETのパワーアンプも重たくて大きいからということで処分。

自作真空管アンプ3台を残してオーディオ・システムの縮小化とリファインは
これにて終了のはずでした。
がしかし・・・、トランジスタのアンプを1台手元に置きたい。
本当はトランジスタアンプを自作したいのですが、
製作記事はネット上にほとんどなく、あってもかなりめんどくさそう。

ならばということで、
古いアンプをオークションで入手してメンテして使うことにします。
安くてネット上に参考資料があって自分の好みに合うものは何か?
まあオークションに出ていないとしょうがありませんのでしばらくチェック。
メタルキャン型のパワートランジスタを使っているやつがほしいです。

というような経過があり、とうとうアンプがやってきました。

P193
Victor JA-S75、電源重視のアンプです。
昔のアンプは面構えがいかつくてそこが○。

P194
外観は経年なりで汚れや傷が多々あります。
古いし安いのでこれはしょうがありません。

動作はフォノイコライザー部、プリアンプ部、パワーアンプ部、全てO.K.
ガリは意外とありません。スイッチの接触不良は少々。
DCオフセットも少ないです。
ハムノイズが少々出る以外は問題なさそうです。
1976年発売なので37年前の製品。
よく今まで動いているもんです。
音は明るくて元気に鳴ります。
今時の繊細微妙な音は出ませんが楽しく聴けます。
プリアンプ部は少々華やかな音質で、パワーアンプ部はしっかりした音質です。
気に入りました。
プリアンプ部とパワーアンプ部は分離使用できます。

中身はこんな感じ。埃を被っていますがきれいな部類でしょう。
中の清掃はやったのだろうと思います。

P195_2
当時ブームになった左右独立電源方式。
更にプリ部/A級増幅部の電源も分離した3電源方式なので、
トランスが3個あります。
大き目の筐体に余裕を持って実装されているのが良いです。
特に手を入れたような形跡はありません。

そしてパワートランジスタは2SA753Vと2SC898Vのコンプリメンタリペア。
末尾のVはビクター用という意味でしょうか?
他メーカーのアンプに実装されているという記事が、
ネット検索で出て来ませんからね。

P196
片チャンネル2ペアのパラレルプッシュプルです。
やっぱパワートランジスタはメタルキャン型がカッコいい。

私はパワーアンプとして使用するので、パワーアンプ部をメンテします。
まっ、急がずのんびりメンテして行こうと思ってます。
いじっている間が楽しいのですから。

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今頃になって『プロセッション』の意味が分かった。

タイトルの『プロセッション』はウェザー・リポートのアルバムです。ウェイン・ショーターの新譜『ウィズアウト・ア・ネット』で《プラサ・レアル》をやっているのを聴いて、そう言えばウェザーのアルバムに入っていたっけと思い、久しぶりに『プロセッション』を棚から取り出して聴いた感想がタイトルです。

P192ウェザー・リポート『プロセッション』(1982年rec. CBSソニー)。メンバーは、ジョー・ザビヌル(key,syn)、ウェイン・ショーター(ts,ss)、オマー・ハキム(ds,g,vo)、ヴィクター・ベイリー(b)、ホセ・ロッシー(per,concertina)、マンハッタン・トランスファー(vo)です。今更説明不要だと思いますが、ジャコ・パストリアス(b)とピーター・アースキン(ds)が脱退し、新メンバーで臨んだ第一作。

ジャズを聴き始めてウェザーに心酔していた私は、この新作が待ち遠しくてしかたなかったです。今か今かと待ちわびていました。スイングジャーナル誌では新作録音風景などの記事が事前に出ていましたからね。確かこのアルバムの録音現場に児山紀芳さん?(中山康樹さんでした。)が潜入したとかで、ウェザーの録音現場に入ったのは日本人で初というのが当時の売りだったはずです。

《ホエア・ザ・ムーン・ゴーズ》では当時大人気だったコーラス・グループのマンハッタン・トランスファー(マントラ)と共演していて、確かマントラが勝手に《バードランド》を歌ってヒットさせた報復として、ザビヌルがわざとマントラの良いところ(コーラスの妙)が出ないように作った曲だというような噂が流れました。真偽のほどは不明。インナースリーブのクレジットにもマントラが記載されていないのはやっぱり嫌がらせでしょうか?(笑)(これは契約上の問題だそうです。そこまでザビヌルをひねくれてませんでしたね。)

さて、タイトルのこのアルバムの「意味」とは、つまり「聴きどころ」のことです。もちろんメンバーが入れ替わってサウンドが変化したのはすぐに分かるのですが、その変化したサウンドはどこが聴きどころかということが私なりに分かりました。それは「黒いグルーヴ」だったのです。

冒頭のタイトル曲はジャコの後釜であるベイリーにハイライトを当てた曲。ある意味抜けたジャコへのあてつけみたいな感じがして、上記のマントラへの仕打ちと言い、ザビヌルの子供っぽさでありしたたかなところが出ています。シャッフル・リズムにのって淡々と展開する曲はちょっと地味で、私はあまり気に入っていない曲でした。今回良く聴いてみるとベイリーのベースが結構黒くて良いんですよね。

ジャコのベースはファンキーでしたけれどこういう黒さはありませんでした。アースキンのドラムも軽かったのでなおさら黒さはありませんでした。それにひきかえ腰の座ったビートを叩くハキムとあいまって、ここからはかなり黒さが漂っています。ベイリーはジャコに比べれば当然派手さはなくなったわけですが、この黒いグルーヴはなかなか魅力的に響きます。少し入るボーカルも黒さを演出?

感じとしては、アルフォンソ・ジョンソンとチェスター・トンプソンの『ブラック・マーケット』にあった黒さに戻った感じです。ただしそっちには当時新たに加入したジャコが入った2曲があって、逆に新しいファンク・フィーリングも打ち出していました。そういえばこの2枚、アルバム・ジャケットにも類似性があります。ジャコが加入したアルバムとジャコが脱退したアルバムに通じる黒さの魅力という視点は新しい解釈かも?

アルバムラスト曲、ハキムの《モラセズ・ラン》は躍動的なビートがカッコいい曲で、私は大好きです。これなんかは『ブラック・マーケット』に入っていたジョンソン/トンプソン・コンビの《ジブラルタル》のテイストに似ています。《モラセズ・ラン》にはコルトレーンの《至上の愛》に似たボーカルまで入っていて、黒さが聴きどころになっているのは間違いなさそうです。この曲ではハキムがギターを弾いています。

《トゥ・ラインズ》と《ホエア・ザ・ムーン・ゴーズ》も黒いのです。それら黒い曲に挟まれたショーターの《プラサ・レアル》はロッシーの弾くコンサーティナ(バンドネオン?)と相まって哀愁溢れるアルゼンチン・タンゴ調で、《ザ・ウェル》はザビヌルとショーターの名古屋公演の即興で牧歌的な初期ウェザー調。レコードではA、B面3曲ずつ、黒い曲に挟まってこれら2曲が入っているのも上手い配列です。

それにしても曲によってはレベルを小さくされてしまったり、極端に登場度合いが低かったりするショーターですが、それでもしっかり存在感を示しているのがショーターの凄さ。当時はスティーリー・ダンの『エイジャ』などでも、ちょっとしか出てこないショーターにファンは歓喜するというような風潮がありました。周りに対してこの人だけ空気感が違うところがコントラストになっていたのだと思います。

そしてファンはショーター三昧のリーダー・アルバムを出してほしいと願っていました。数年後に突然リーダー・アルバムを出すんですよね。で、ファンはどう思ったかというと、ショーター出ずっぱりなのに、「アレッ?意外と有り難味が薄いじゃん!」となってしまったように記憶しています。少なくとも私はそんな感じでした。巷には微妙な空気が流れました。

ちょっと強引なのですが、ショーターの新作にしても私は上記のフィーリングから抜け出せていません。ショーターは他人もしくは連名のグループで自由に個性を発揮しているほうが映えると思うのです。

それはさておき、新生ウェザーの黒いグルーヴがこのアルバムの魅力だと思います。このアルバムが出てからもう30年たったんですね~。

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今日も井上陽水!

適当に今日も井上陽水。
聴けば分かる陽水の格好良さ!

やっぱ何と言ってもこの曲が好きです。《断絶》。

ファンキーなアレンジと歌詞が秀逸。

前の記事で歌詞をとりあげた《東へ西へ》。このライブバージョン、最高!

こちちらもやっぱりファンキーなアレンジなのでした。

プログレが入っている《限りない欲望》も好き。

歌詞がシュール。
これを聴いて子供心に人間の本性とその怖さみたいなものを感じました。
そこが好きでした。

叙景詩がクールで秀逸な《神無月にかこまれて》

これは間奏とラストのベースとドラムのグルーヴが最高。
ここまでピアノやオルガンは全て深町純です。

私が好きなのは初期の陽水。
上記の曲を収録した2枚のアルバムの次に、
日本初のミリオンセラーアルバムを叩きだします。
1973年、私が10歳の時です。
フォークからニューミュージックへと変わり、この後荒井由美が登場します。

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井上陽水を聴いて思い出が蘇る。

相変わらずジャズを聴いているのですが、どうもジャズについて書く気になりません。ウェイン・ショーターの新譜とかも聴いているのですが、どうも心トキメキません(涙)。ということで今日は井上陽水(笑)。

P191井上陽水『陽水Ⅱセンチメンタル』です。時々レコードを買っている通販店が2月中にセールをやっていたのでつい買ってしまいました。私にとっては懐かしいレコードです。

小学校高学年の私をとりこにした陽水。当時はアイドルがいよいよい全盛期を迎えようとしていた頃で、花の中3トリオとか天地真理とか浅丘めぐみとか南沙織とかアグネス・チャンとか、普通の小学生はそういうのを聴いて喜んでいたと思うのですが、一方でちょっとませたやつらは、たぶんお兄さんやお姉さんの影響でフォークとかを聴いていたわけです。仲が凄く良かった友達はなぜか弟ばかり、なので私もしっかりフォーク方面の影響を受けてしまいました。何度か紹介しているユーミンもこの流れで聴いていました。

当時の私は友達や従兄にカセットへ録音してもらってラジカセで聴いていました。私の家には安いモジュラーステレオしかなくて、それはプレーヤーとチュナ―とアンプが一体でスピーカーだけ分離しているプラスチッキーなやつ。友達の家にあるコンポーネントステレオが羨ましくてしかたなかったです。その後聴く音楽がどんどん変わっていったので、当時のカセットテープは当然捨ててしまいました。当時陽水のどのアルバムを聴いていたかも忘れ去り、数年前に突然懐かしくなって『断絶』(陽水のファーストアルバム)だけは買いました。今回『断絶』以降の陽水のアルバムがほしくなって、これと『氷の世界』を買ったというわけです。

『断絶』については以前こちらに書きました。
自分の音楽ルーツを語っちゃおう!気まぐれ(笑)。

このアルバムを聴いて記憶がいくつか蘇ってきました。まず思い出したのが《東へ西へ》の歌詞の面白さ。彼女とのデートまでを歌った歌ですが、冒頭の「昼寝をすれば夜中に眠れないのはどういう訳だ」が強く印象づけられていました。当時「確かにそうだ。」と納得した記憶があり、こういうことを歌にしてしまう面白さに惹かれたわけです。更に「目覚し時計は母親みたいで心がかよわず」って、母親に起こされるのは心が通っていないのかという疑問?今思えば若者の反抗心みたいなものでしょう。まあ当時はそろそろ思春期の私、何となく分からないでもなかった気がします。

こんなのがあります。「電車は今日もスシヅメのびる線路が拍車をかける」、これを聴いて「都会は満員電車なんだ。」と甲府育ちの私は見知らぬ光景に思いを寄せ、なぜかそんな都会暮らしに憧れたのでした。続く「満員、いつも満員、床に倒れた老婆が笑う お情け無用のお祭り電車に呼吸を止められ」には、都会の冷たさを痛感したのでした。情けや人情がない都会(東京)ってどんな所なのか?興味は湧くばかり。

クライマックスのこの部分、これを聴くまで忘れていましたけれど、ここに強く惹かれたのだということが鮮明に蘇ってきました。「満開、花は満開、君はうれしさあまって気がふれる」、ここですよここ。「気がふれる」って狂ってしまうことです。恋人とデートするとそんなに嬉しいものなのかと、当時は何か奇異に感じていました。続く歌詞がまた面白い。「空ではカラスも負けないくらいに喜んでいるよ とまどう僕にはなんにも出来ない」と。カラスの登場が突飛で、花見の満開の花と空のカラスの対比は強烈なコントラスト。確かに戸惑って何もできないだろうと納得させられてしまいます。陽水の歌詞のセンスは素晴らしい!この部分ではバックにオーケストレーションが施され、ホルンかなんかが”パオ~ン”と鳴っているアレンジも秀逸です。

今聴いてもこれほどの歌詞が作れる人って結局あまり知りません。「南こうせつとかぐや姫」の《神田川》のいかにもなフォーク調や”戦争反対”みたいな政治的な歌詞とは一線を画す、普段を切り取る陽水の鋭い目線は好きです。フォークの押しつけがましいところが嫌いだった私も、陽水だけはなぜか聴けた理由はここらへんにあったのだと、今妙に納得しています。

《神無月にかこまれて》が好きでした。こちらは何とも風流な叙景詩。アレンジがファンキーなんですよね。間奏とラストのベースの刻みとピアノがカッコいい。私はハイハットを入れるタイミングがドツボです。「ここでハイハット開くか!」みたいなね。「青い夜の空気の中に生きてるものは 涙も見せず笑いもこらえ息をひそめて冬を待つ」。う~っ、なんじゃこのカッコ良さ!

そして私はクライマックスへと(笑)。《能古島の片思い》。30数年全く忘れていました。私はこの歌が凄く好きでした。なんなんでしょうね。このセツネーは? 情感溢れる陽水の歌い方がまたグッと来ます。涙ものです。アルバムタイトルの『センチメンタル』はこの歌のためにつけたんじゃないでしょうか? やっぱり私はこういうのが好きだったという。またまたおもい知ってしまいました(笑)。ジャズメン占いによるとパット・メセニーな私は「機械に強いロマンチスト」。全くそのとおりなのであります。

YouTubeから貼ります。歌詞があります。

ラストのニューオーリンズ風な演奏が上手く嵌ってますよね。あ~っ、陽水様、素敵過ぎます!どうだ、参ったか!余談ですが、レコードの低音のふっくらしたはずみ具合が当時の音らしくてグッド。

というわけで、ジャズを聴いても最近はこういう感動が押し寄せて来ないのです(涙)。感動すればブログもスラスラ書けます。この気持ちを君に伝えたい!

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ヘッドホンアンプを作ってしまいました!

はいっ!オーディオ懸案事項だったヘッドホンアンプを自作してしまいました。なぜヘッドホンアンプが懸案事項だったかというと、自作したフォノイコライザーを使用中のヘッドホンアンプAT-HA21につないだ時、負荷が重くて(ヘッドホンアンプの入力インピーダンスが小さくて)低音不足ぎみになっていたからです。

フォノイコライザーと負荷の関係は フォノイコライザー使用上の注意点 を参照願います。プリアンプとの並列を避けたので、プリアンプを通してスピーカーで聴く時は良いのですが、ヘッドホンの時はそれでもダメだったのです。ヘッドホンアンプの入力インピーダンスは取説に明記されていません。なので分解して中を見ると、10kΩのボリュームがついていました。やっぱりかなり小さかったのです。

ヘッドホンアンプAT-HA21自体の音も華やか過ぎて、長く聴いていると疲れる類の音で私はあまり気に入っていませんでした。今時の人はこういう派手な音が好みなのでしょうかね? まあ、まともな音を知らないのでしょうし、きっと生音の良さとかを知らない、ある意味でかわいそうな人達かもしれません。

さて、自作するならどれが良いか? ここはいつものぺるけさんにご登場願いましょう。FET式差動ヘッドホンアンプ Version3 これを作ることにしました。ぺるけさんは本も出したりしていて最近かなり人気があります。最初は私のヘッドホンAKG K-501が低能率なので、出力が不足するのではないかと心配して製作に踏み切れないでいました。ところが他の方の製作例では私と同じAKG製のヘッドホンを使っている方がいて、音量は問題なく得られると書いてあったので、それならばということで製作に踏み切りました。

こんな具合に出来上がりました。なかなかカッコイイでしょ。自画自賛(笑)。

P188_2

今回は部品集めに少々苦労しました。特にFETやTR集めに手間がかかりました。やはりここはぺるけさんの部品頒布を利用されたほうが良いと思います。部品集めは秋葉原のお店の通販を利用。半導体と小物類は 若松通商秋月電子千石電商 で購入。ケースは エスエス無線 で購入しました。送料を節約するために1軒1回で済ませたかったのですが、1軒ではすべて揃わないし途中方針変更などもあり、結局計6回注文するはめになってしまいました。まっ、ケース以外の各パーツはそれほど高くないのでよしとしましょう。部品集めをあれこれ楽しむこともできましたしね。

ケースはぺるけさん推奨品。電解コンデンサは出力部分のみ東信工業の音響用。他はニチコンの通常品。抵抗はタクマンの音響用金属皮膜抵抗。なお音響用パーツの使用は気休め程度と考えて下さい。LEDは3mmφの緑色。インダクタは1mHの縦型。ヘッドホンジャックは見た目をできるだけ揃えたかったので非絶縁タイプ。ボリュームは手持ちの100kΩを利用(超高域特性とノイズでは不利になるけれどまあよし)。RCAジャックと電源スイッチは手持ち品。電源ジャックも手持ち品(これがあとでトラブルの元に)。ボリュームつまみは以前プリアンプ用に買ったアルミ無垢の高級品。

初段のFETと終段のコンプリメンタリTRは若松通商のペア選別品。定電流回路のTRは秋月電子でhFEが測れる安いテスターとTR20本を買って値が近いものを自分で選別。ドライブ段のコンプリメンタリTRは秋月電子のバラ各20本の中にhFEが近いものはなく、たまたま手持ち品に近いものがあったのでそれを利用。マイナス電源用ダイオードは1N4002。ACアダプタはぺるけさん推薦の低ノイズ品。

基本的にぺるけさんのやつをデッドコピーして作りました。良く練られているのでわざわざ自分でアレンジするのは改悪になる可能性大ですからね。中身はこんな感じです。

P189

ヘッドホンジャックと電源スイッチはフロントに持ってきました。ヘッドホンジャックは標準プラグとミニプラグの両方をつけました。RCAジャックからボリューム、ボリュームからラグ板まではモガミのOFC同軸線を使用。その他の配線は真空管用出力トランスの余剰コードを切って保管していたものを使用。LED配線は仕様不明の手持ちの細い線を使用。ちなみにゲイン調整用の可変抵抗は使わずに固定抵抗にしてあります。中身もそれなりに整然と作れました。

手持ちの電源ジャックにはやられました。今回使うACアダプタのプラグが挿せなかったのです。見た目では分からない特殊仕様だったみたい。これだけのために再注文する気にはなれず、そもそも同じ形状のものがみつかりません。しばし黙考。思い出しました。昔作った秋月電子のコンデンサ容量メーターにも同じような電源ジャックを使っていたはずです。最近全く使っていなかったこの容量メータ、保管してあったケースを開けると、ありました。今回使うACアダプタのプラグも問題なく挿せます。ということでこっちから外してヘッドホンアンプに流用。

作り終わっていざ電源投入。やっちゃいました。片チャンネルの電圧配分がおかしいのです。う~む、手持ちのTRが壊れていたのかも?まあだいたいこういう時は壊れていないのですが、別のものに交換せずにはいられません。交換してもやっぱりダメ。でしょうね。焦ってもしょうがないので配線をもう1度チェック。すると配線忘れが1本あるではありませんか!私としたことが単純ミスをおかしていました(涙)。早速配線すると今度は正常な電圧に。すると今度は正常だったはずのチャンネルの電圧がおかしいではありませんか。う~む、基板をしばし見つめる。おや?はんだ付けが怪しい箇所をすぐに発見!はんだをやり直すと・・・、正常な電圧になりました。危ない危ない、危うく不具合の泥沼に陥るところでした。

やっぱり作り慣れなていないと色々起きますね。真空管アンプを作るのとは違って今回は色々勉強になりました。もしもまたヘッドホンアンプを作るならば、今回の経験を生かしてもっとスムーズに作れることでしょう。AT-HA21と自作したヘッドホンアンプを並べてみました。どうです。負けていませんよね?ハッハッハッ、自分で作ったほうが数段良く見えます。

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問題の音は如何に。まず出力の不足は感じませんでした。AT-HA21とほとんど同じボリューム位置で同じくらいの音量を確保できます。ノイズは皆無。ボリューム最大でもウンともスンともいいません。AKG K-501は低能率なので余裕なのでしょう。電源ON/OFF時のポップノイズもなし。ベリーグー! 音はさっぱり爽やか。AKG K-501にマッチしています。下から上までフラットに出ている感じです。変な華やぎもなく長く聴いても疲れません。作ったばかりなので粗さはありますが、エージングしていけばもう少し落ち着いて味わいが出てくると思います。またしてもまっとうな音です。プリアンプもフォノイコライザーもそうでしたが、ぺるけさんが設計するものは虚飾がなくて良いです。

ヘッドホンアンプ作りは大成功!自作は楽しい!happy01

その後愛用し続けています。長く聴いていても疲れません。必要な音はバランス良く出ています。ストレートでさっぱりした音。他のヘッドホンアンプを聴いてみたいと思わなくなりました。2014.1.1

ぺるけさんの本はこちら。

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情感溢れるトランペットに酔う

時々フォローしているトランペッターの新譜です。安く買うためにHMVのマルチバイにしたらすっかり入手に手間取ってしまいました。

P187パオロ・フレス・デビル・カルテット『Desertico』(2012年rec. Tuk Music/Bonsai Music)です。メンバーは、パオロ・フレス(tp,flh,multi-sffects)、ベーボ・フェッラ(el-g,ac-g)、パオリノー・ダッラポルタ(b)、ステファノ・バニョーリ(ds)です。2007年には同メンバーによるアルバム『スタンリー・ミュージック!』が出ていて、ブログでは紹介していませんが私のお気に入り。このグループの2作目が本作。(Suzuckさまから教えていただきました。どうやらこのグループの3作目らしいです。)

その『スタンリー・ミュージック!』のやんちゃな演奏からデビル(悪魔)・カルテットと名付けられているのでしょうけれど、本作はどちらかと言えば同じ編成で異なるメンバーの『エンジェル(天使)』(1998年)というアルバムが出ているように、天使の雰囲気のほうが強いように感じます。悪魔と天使が同居しているところがこのグループの魅力なんでしょうね。『スタンリー・ミュージック!』にももちろん天使はいました。

このアルバムの魅力は何といってもフレスの情感溢れるトランペット/フリューゲルホーンでしょう。全体の雰囲気はコンテンポラリーなフュージョンですが、決して心地良さだけに走らない品と質を備えているのが良いところです。なかなか豊饒な音楽性を持っています。誰とは言いませんが今流行りの甘いだけのフュージョン・トランペッター達とは一線を画しているように思います。

フレスは曲によってトランペットとフリューゲルホーンを使い分け、ミュートプレイが多いです。フェッラはエレキギターよりアコースティックギターを弾く方が多く、その使い分けからもわかるように天使の雰囲気が勝っています。フレスが4曲、フェッラが2曲、ポルタが2曲、バニョーリが2曲提供。《サティスファクション》にスタンダード《ブレイム・イット・オン・マイ・ユース》が加わって全12曲。良いメロディーの曲がたくさんあります。

冒頭はローリング・ストーンズの《(アイ・キャント・ゲット・ノー)サティスファクション》。変拍子でロックに迫ります。勢い溢れるトランペット・ソロが気持ち良いですね。フェッラのエレキギターはジョン・スコフィールド系だと思いますが灰汁は強くありません。強烈な個性ではないところがこのバンドにはフィットしているように思います。フレスのエフェクト使用は控えめに。

哀感溢れる曲ではフリューゲルホーンの柔らかい響きやミュートの切ない響きにアコースティックギターがさり気なく寄り添います。5拍子の《オール・アイテムズ》は軽やかでスインギー。《ブレイム・イット・オン・マイ・ユース》はミュートが切なくリリカル。不穏なワルツ曲《Desertico》はベースが同じフレーズを刻む中、ミュートとギターが多重録音も交えて浮遊して突然終了。勇ましい感じの《Voci Oltre》はバニョーリの曲だけあってドラムが弾け、シンセのようなサウンド・エフェクトもあり音響系。《ヤング・フォーエバー》はフリューゲルホーン?とアコースティックギターの美しいデュオで染みます。

ラストの《Inno Alta Vita》はカントリーの雰囲気。アメリカの大草原に吹く心地良い風。ロックな《サティスファクション》から始まってカントリーな《Inno Alta Vita》で終わるというのが面白いのですが、間は様々な表情を見せつつ曲が展開してきます。じっくりフレスの音楽に浸れるアルバムになっていると思います。

録音が素敵で、エコーを多めに収録していてるところが音楽をより豊饒に響かせています。徐々に暖かくなってくる今聴くと良いアルバムかも。

アルバム名:『Desertico』
メンバー:
Paolo Fresu(tp, flh, multi-effects)
Bebo Ferra(el-g, ac-g)
Paolino Dalla Porta(b)
Stefano Bagnoli(ds)

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