はいっ!オーディオ懸案事項だったヘッドホンアンプを自作してしまいました。なぜヘッドホンアンプが懸案事項だったかというと、自作したフォノイコライザーを使用中のヘッドホンアンプAT-HA21につないだ時、負荷が重くて(ヘッドホンアンプの入力インピーダンスが小さくて)低音不足ぎみになっていたからです。
フォノイコライザーと負荷の関係は フォノイコライザー使用上の注意点 を参照願います。プリアンプとの並列を避けたので、プリアンプを通してスピーカーで聴く時は良いのですが、ヘッドホンの時はそれでもダメだったのです。ヘッドホンアンプの入力インピーダンスは取説に明記されていません。なので分解して中を見ると、10kΩのボリュームがついていました。やっぱりかなり小さかったのです。
ヘッドホンアンプAT-HA21自体の音も華やか過ぎて、長く聴いていると疲れる類の音で私はあまり気に入っていませんでした。今時の人はこういう派手な音が好みなのでしょうかね? まあ、まともな音を知らないのでしょうし、きっと生音の良さとかを知らない、ある意味でかわいそうな人達かもしれません。
さて、自作するならどれが良いか? ここはいつものぺるけさんにご登場願いましょう。FET式差動ヘッドホンアンプ Version3 これを作ることにしました。ぺるけさんは本も出したりしていて最近かなり人気があります。最初は私のヘッドホンAKG K-501が低能率なので、出力が不足するのではないかと心配して製作に踏み切れないでいました。ところが他の方の製作例では私と同じAKG製のヘッドホンを使っている方がいて、音量は問題なく得られると書いてあったので、それならばということで製作に踏み切りました。
こんな具合に出来上がりました。なかなかカッコイイでしょ。自画自賛(笑)。
今回は部品集めに少々苦労しました。特にFETやTR集めに手間がかかりました。やはりここはぺるけさんの部品頒布を利用されたほうが良いと思います。部品集めは秋葉原のお店の通販を利用。半導体と小物類は 若松通商、秋月電子、千石電商 で購入。ケースは エスエス無線 で購入しました。送料を節約するために1軒1回で済ませたかったのですが、1軒ではすべて揃わないし途中方針変更などもあり、結局計6回注文するはめになってしまいました。まっ、ケース以外の各パーツはそれほど高くないのでよしとしましょう。部品集めをあれこれ楽しむこともできましたしね。
ケースはぺるけさん推奨品。電解コンデンサは出力部分のみ東信工業の音響用。他はニチコンの通常品。抵抗はタクマンの音響用金属皮膜抵抗。なお音響用パーツの使用は気休め程度と考えて下さい。LEDは3mmφの緑色。インダクタは1mHの縦型。ヘッドホンジャックは見た目をできるだけ揃えたかったので非絶縁タイプ。ボリュームは手持ちの100kΩを利用(超高域特性とノイズでは不利になるけれどまあよし)。RCAジャックと電源スイッチは手持ち品。電源ジャックも手持ち品(これがあとでトラブルの元に)。ボリュームつまみは以前プリアンプ用に買ったアルミ無垢の高級品。
初段のFETと終段のコンプリメンタリTRは若松通商のペア選別品。定電流回路のTRは秋月電子でhFEが測れる安いテスターとTR20本を買って値が近いものを自分で選別。ドライブ段のコンプリメンタリTRは秋月電子のバラ各20本の中にhFEが近いものはなく、たまたま手持ち品に近いものがあったのでそれを利用。マイナス電源用ダイオードは1N4002。ACアダプタはぺるけさん推薦の低ノイズ品。
基本的にぺるけさんのやつをデッドコピーして作りました。良く練られているのでわざわざ自分でアレンジするのは改悪になる可能性大ですからね。中身はこんな感じです。
ヘッドホンジャックと電源スイッチはフロントに持ってきました。ヘッドホンジャックは標準プラグとミニプラグの両方をつけました。RCAジャックからボリューム、ボリュームからラグ板まではモガミのOFC同軸線を使用。その他の配線は真空管用出力トランスの余剰コードを切って保管していたものを使用。LED配線は仕様不明の手持ちの細い線を使用。ちなみにゲイン調整用の可変抵抗は使わずに固定抵抗にしてあります。中身もそれなりに整然と作れました。
手持ちの電源ジャックにはやられました。今回使うACアダプタのプラグが挿せなかったのです。見た目では分からない特殊仕様だったみたい。これだけのために再注文する気にはなれず、そもそも同じ形状のものがみつかりません。しばし黙考。思い出しました。昔作った秋月電子のコンデンサ容量メーターにも同じような電源ジャックを使っていたはずです。最近全く使っていなかったこの容量メータ、保管してあったケースを開けると、ありました。今回使うACアダプタのプラグも問題なく挿せます。ということでこっちから外してヘッドホンアンプに流用。
作り終わっていざ電源投入。やっちゃいました。片チャンネルの電圧配分がおかしいのです。う~む、手持ちのTRが壊れていたのかも?まあだいたいこういう時は壊れていないのですが、別のものに交換せずにはいられません。交換してもやっぱりダメ。でしょうね。焦ってもしょうがないので配線をもう1度チェック。すると配線忘れが1本あるではありませんか!私としたことが単純ミスをおかしていました(涙)。早速配線すると今度は正常な電圧に。すると今度は正常だったはずのチャンネルの電圧がおかしいではありませんか。う~む、基板をしばし見つめる。おや?はんだ付けが怪しい箇所をすぐに発見!はんだをやり直すと・・・、正常な電圧になりました。危ない危ない、危うく不具合の泥沼に陥るところでした。
やっぱり作り慣れなていないと色々起きますね。真空管アンプを作るのとは違って今回は色々勉強になりました。もしもまたヘッドホンアンプを作るならば、今回の経験を生かしてもっとスムーズに作れることでしょう。AT-HA21と自作したヘッドホンアンプを並べてみました。どうです。負けていませんよね?ハッハッハッ、自分で作ったほうが数段良く見えます。
問題の音は如何に。まず出力の不足は感じませんでした。AT-HA21とほとんど同じボリューム位置で同じくらいの音量を確保できます。ノイズは皆無。ボリューム最大でもウンともスンともいいません。AKG K-501は低能率なので余裕なのでしょう。電源ON/OFF時のポップノイズもなし。ベリーグー! 音はさっぱり爽やか。AKG K-501にマッチしています。下から上までフラットに出ている感じです。変な華やぎもなく長く聴いても疲れません。作ったばかりなので粗さはありますが、エージングしていけばもう少し落ち着いて味わいが出てくると思います。またしてもまっとうな音です。プリアンプもフォノイコライザーもそうでしたが、ぺるけさんが設計するものは虚飾がなくて良いです。
ヘッドホンアンプ作りは大成功!自作は楽しい!
その後愛用し続けています。長く聴いていても疲れません。必要な音はバランス良く出ています。ストレートでさっぱりした音。他のヘッドホンアンプを聴いてみたいと思わなくなりました。2014.1.1
ぺるけさんの本はこちら。
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