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久しぶりのオーディオ快感ピアノ・トリオ。

今日は 「綜合藝術茶房 喫茶茶会記」 で昨年行われた「益子博之=多田雅範 四谷音盤茶会 vol.07」で紹介された1枚です。

P179デイヴ・キング『”アイヴ・ビーン・リンギング・ユー”』(2012年rec. Sunnyside)です。メンバーは、デイヴ・キング(ds,cymbals & waterphone on (1))、ビル・キャロザーズ(p)、ビリー・パターソン(b)です。デイヴ・キングは轟音ピアノ・トリオ「ザ・バッド・プラス」のドラマー。どんな豪快なドラミングをしているのか気になったので聴いてみました。

ピアノは一癖あるとか言われるビル・キャロザーズです。ひねくれた音が出てくるのかと思いきや? えぇ~っ・・・、意外と普通に淡々と美しいメロディーを弾いているではありませんか! これは欧州マイナー・ピアノ・トリオの雰囲気です。シンプル・アコースティック・トリオやヘルゲ・リエン・トリオのように空間を生かしつつインター・プレーが展開していくやつです。

ほとんどがスロー・テンポのバラードで時間がゆったり流れていきます。ピアノの音にキングが程良くシンバルやスネアやタムの音を混ぜ込んで、隙間は多めながら芳醇なサウンドが醸し出されていて心地よいです。ポール・モチアン系の音響的で空間的な演奏。しかし、これが結構ヘルゲ・リエンなのでした(笑)。まあ、ヘルゲ・リエン・トリオに少々ある衒いのようなものはなく、もっと枯れた感じではあります。

演奏している曲はスタンダードやジャズマン・オリジナルです。ラストの1曲のみが3人の共作。《グッドバイ》《ロンリー・ウーマン》《ソー・イン・ラブ》《イフ・アイ・シュッド・ユーズ・ユー》などが並んでいます。キャロザーズは曲のメロディーを大切にしつつ慈しむように紡いでいて、ロマンチックな香りに溢れています。メロディーに浸れるピアノ・トリオ。

このトリオのもう一つの快感はオーディオ的な音の良さです。シンバルの金属音やブラシの擦過音やタムのスキンの振動がリアル。ピアノはクリアで音が空間に浸透し、ベースはズ太く沈み込んでいきます。広がる残響音も見事に捉えられています。録音はミネソタの小さな教会ということからも分かるように音に拘っているのです。アメリカ発のこういうオーディオ快感ピアノ・トリオって、私はこれが初めての出会いかも?

各曲は短めで全8曲39分弱。メロディーの処理、サウンド、収録時間、どれをとっても寺島靖国さんが提唱する理想的なピアノ・トリオなのでは(笑)? 寺島ファン、ピアノ・トリオ・ファンは必聴! 

それにしてもサニーサイド・レーベルって、尖がったアルバムがある一方で、こういうのを出してくるところが面白いです。私はその音楽センスが気に入っています。

アルバム名:『"I've been ringing you"』
メンバー:
Dave King(ds, cymbals & waterphone on (1))
Bill Carrothers(p)
Billy Peterson(b)

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