しっかり聴かせてくれる現代バップ
今日は 「綜合藝術茶房 喫茶茶会記」 で行われている「四谷音盤茶会 vol.06」で紹介された1枚。この会に参加したわけではなく、お店のホームページの「tadamasu-連載」のリストを見て知りました。ジャズ喫茶「いーぐる」で益子さんとお話した時、「良いですよ。」と薦められたので聴いてみました。
ジェロム・サバーグの『プラグド・イン』(2011年rec. BEE JAZ)です。メンバーは、ジェロム・サバーグ(ts)、ジョセフ・ドゥモーリン?(fender rhodes,other keyboards)、パトリース・ブランチャード(el-b)、ルディ・ロイストン(ds)です。サバーグは前に1枚だけFNSTから出たアルバムを聴いたことがあり、悪くはないもののその後はフォローするに至らなかった経緯があります。これは如何に?
なかなか良かったです。エレピにエレベのワン・ホーン・カルテットということから、サウンドのイメージとしては80年代にメインストリーム回帰した、エレクトリックよりのジャズと言う感じです。テナーにエレピの組み合わせは、どことなくその頃のウェザー・リポートのような雰囲気も漂っています。まあショーターとザビヌルのような強烈な個性はありません。
全14曲中7曲をサバーグが、7曲をドゥモーリンが作曲しています。タイトルに「フィーチャリング・ジョセフ・ドゥモーリン」とあるので、サウンド(アレンジ)も含めて2人の共作的な内容になっていると思われます。2人の曲はどちらが作曲したのか区別がつかないことからも、サウンド的な相性はとても良い感じです。今後、ショーター&ザビヌル・コンビみたいになるのかな~?
まずはサバーグのテナーがゆったり朗々と吹いていて気持ち良いです。”ガツガツ”とアドリブをするようなことはなく、曲のメロディーを生かしてフレーズをおおらかに”スラスラ”紡いでいきます。テナーの音も抜けが良くて滑らか。スタン・ゲッツを現代風味のフレージングにした感じか?
ドゥモーリンのフェンダー・ローズがいい味出しています。粗さを出した音はサバーグの滑らかなテナー音とは好対照。時に荒さを前面に出して演奏し、”ザワザワ”感を掻き立てるあたりにフュージョンとは一線を画すジャズとしてのサウンドを感じます。ベースのブランチャードはそれほど目立たずグルーヴに徹し、ロイストンは曲調やテンポに合わせてフレキシブルかつ鋭いキレのドラミングを見せます。
曲は難解さがなく分かりやすいもので、浮遊感や捻った感じが伴うところは現代的。落ち着いた曲調が多いです。ビートは8ビート主体で変拍子や4ビート系の曲も少々。現代ニューヨーク最先端なのですが、最近はこの人達のように内省的なものをあまり感じないものが多くなっているような気がします。この傾向、私としては好ましく思います。
サバーグ&ドゥモーリン・コンビは相性良好。しっかりしたジャズを聴かせてくれる好アルバムです。
アルバム名:『PLUGGED IN』
メンバー:
Jerome Sabbagh(ts)
Jozef Dumoulin(fender rhodes & other keyboards)
Patrice Blanchard(el-b)
Rudy Royston(ds)
*
明日は「益子博之=多田雅範 四谷音盤茶会 vol.8」ですね。
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