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現代先端ニューヨークな音。

新春一番のジャズ新譜紹介はマニアックでっせー(笑)。

今回のアルバムは、四谷の「綜合藝術茶房 喫茶茶会記」で行われている益子博之さんと多田雅範さんの「四谷音盤茶会」で紹介されたアルバムです。私はその会へ行ったわけではありませんが「喫茶茶会記」のホームページに内容がUPされていたのを見て購入を決定。MENUの中の「tadamasu-連載」をご覧下さい。今年は是非この会に参加しようと思っています。

P150トニー・マラビー/ペル・オスカー・ニルソン/ジョニー・アマン/ペーター・ニルソン『9 Stygn』(2010年rec. fresh sound new talent)です。メンバーは、トニー・マラビー(ts)、ペル・オスカー・ニルソン(g)、ジョニー・アマン(b)、ペーター・ニルソン(ds)です。カタカナ表記は参考まで。マラビー以外は初めて聴きましたし経歴も知りません。スウェーデン録音なのでスウェーデン人? フレッシュ・サウンド・ニュー・タレントからまだ新譜が出ていたんですね。

このアルバム購入の理由はマラビーがいたからです。現代サックスとしてはクリポタとこのマラビーが私の2大アイドル。クリポタがメセニーのバンドに起用されて知名度が上昇しつつある昨今ですが、マラビーは相変わらず知る人ぞ知るレベル(涙)。やっている音楽がなかなか世間一般受けする状況にないので仕方ありません。

このバンド、メセニーのユニティ・バンドと同じ構成ですが、こちらはいかにも現代ニューヨークのテイストです。3曲の即興曲にペル・オスカー作曲の8曲、そこにマイルスの《サークル》が加わって全12曲が収録されています。《サークル》をやっているのはあの時代のサウンドとの共通項があるからでしょう。

ペル・オスカーが8曲提供しているので、一応この人がリーダーと見て良いと思います。ギター演奏はビル・フリゼールの系譜。フリゼールほどカントリー調ではありませんが、そういう匂いがただようフレージングです。演奏としてはマラビーのサポートのような部分が多いです。

現代ニューヨークと言ってもアブストラクトなメロディーに変拍子のリズムというのではありません。曲は哀愁感を基調としたもので、リズムも8ビートと4ビート。空間性を意識させるあたりが現代ニューヨーク。即興演奏以外は特に難解なものはありません。

曲のメロディーを大切にしつつ、アドリブのテクニックではなく、サウンドを膨らませるようにして丁寧にメロディーを綴っていく曲を主体とする演奏の中に、従来のアドリブ・ソロを主体とした現代バップも数曲あります。3曲は4人による完全即興です。

何といってもマラビーの繊細な表現が素晴らしく、フレージングのテクニックではなく、サウンドの表情で聴かせる現代ジャズの一面がよく分かります。即興曲では触覚を刺激する音響的なソロが彼らしいです。パワフルにソロをとる場面もあり、マラビー・ファンには納得の1枚だと思います。

ドラムとベースは特別凄いというものは感じませんが、ドラミングは間違いなく現代の手法で巧みにグルーヴし、ベースはアーティスティックなものです。マラビーとやっていてグループ・サウンドに特に違和感がないわけですから、現代ニューヨークの人達と比べても何ら劣るところはないと思います。

陽気に明るくというよりは落ち着いて静かにという音楽ですが、きちんと聴かせてくれますし、イマジネーションを喚起してくれる音楽です。

アルバム名:『9 Stygn』
メンバー:
Tony Malaby(ts)
Per-Oscar Nilsson(g)
Johnny Aman(b)
Peter Nilsson(ds)

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