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これはなかなか曲者です。

ディスクユニオンの「NEW RELEASE」を見て買った新譜です。買ったのはもちろんAmazonから(笑)。ユニオンさんすみません。

P151マイケル・ブレイク『イン・ザ・グランド・スキーム・オブ・シング』(2011年rec. SONGLINE)です。メンバーは、マイケル・ブレイク(ts)、JP・カーター(tp,electronics)、クリス・ゲストリン(fender rhodes,moog micromoog synthesizer)、ディラン・ヴァン・デル・シーフ(ds)です。ベース・レス・カルテットですが、ベース・ラインは全てシンセで弾いていますので、サウンド的にはシンセ・ベースのクインテットに聴こえます。

マイケル・ブレイクはラウンジ・リザーズのメンバーです。一癖あるサックス奏者という風に認識されていて、私はそこが気に入っています。この人のアルバムは『マイケル・ブレイク・ブレイク・タルタル』(2003年?)『ライト・ビフォー・ユア・ベリー・イヤーズ』(2005年)の2枚を持っていて、それ以降忘れかけていたのですが、今回久しぶりにこの人のアルバムを買ってみることにしました。

このアルバムはブレイクの息子ローランドに捧げられています。ジャケット写真のパーカーを着て道路にいたずら書きをしているのがその息子。写真を撮影したのはもちろんブレイクで、かなりの親バカぶりですね(笑)。娘やお母さんなどのために書いた曲もあるなど、家族愛がテーマのようです。1曲を除いてブレイクが全て作編曲。

1曲目《ロード・トゥ・ルサカ》はガムラン風リズムに乗ってインド~スピリチュアルな雰囲気。ブレイクのテナーとカーターのトランペットが左右で掛け合いをして、軽快な心地良さがあるところが面白いです。次の《ザ・バラエティ・アワー》は素朴な南部の黒人音楽風で長閑に進行して行き、真ん中にスペイシーな部分が現れるという不思議な曲。

3曲目《サイバー・モンク》はタイトルどおりのモンク風バップ曲で、テナー・ソロ部分はサックス・トリオ。モロにバップ演奏です。アコースティック・ベースのように聴こえるシンセによるウォーキング・ベースがいい感じ。ベース・ソロはシンセ風味の音色になり、ここが”サイバー”なのか?メタな視線を感じます。次の《ウィリー》はカントリー/ブルース風バラード。その奥にユダヤ~アフリカが薄ら見えるところがアメリカならではか?

音響系トランペットが効果的なフリー系スピリチュアルなジャズあり、ボブ・ディランが歌いそうな曲を素直にメロディックに演奏する曲あり、ウェザー・リポート初期のような音響的でスペイシーな曲ありと、ジャズ~アメリカ音楽全般が見えるサウンドが現れては消えていく展開。ジャズの枠に縛られない、ブレイクが考えるジャズが表現されています。

ブレイクのテナー演奏は堅実でしっかりしたもの。カーターのトランペットは音響的な演奏はクォン・ヴー、バップ的な演奏はデイヴ・ダグラスといった感じか。似ているということを言いたいわけではなくしっかり演奏しているということです。ゲストリンのエレピとベースが時にスピリチュアルでありアフリカの黒さであり郷愁感をつのらせたりと、サウンドをリードします。ドラムは曲調に合わせて柔軟にビートを刻みます。

なかなか曲者ですが、気を衒っているわけではないので、じっくり聴き進めることができます。現代アメリカでなければ出てこないサウンド。独特な雰囲気のアルバムだと思いました。興味が湧いた方は是非。

アルバム名:『In the Grand Scheme of Things』
メンバー:
Michael Blake (ts)
JP Carter (tp, electronics)
Chris Gestin (fender rhodes, moog micromoog synthesizer)
Dylan van der Schyff (ds)

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