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2013年1月

「益子博之=多田雅範 四谷音盤茶会」前編

先日の日曜日は 「綜合藝術茶房 喫茶茶会記」 で行われた「益子博之=多田雅範 四谷音盤茶会 vol.08」へ行ってきました。

P167_2「喫茶茶会記」に来るのは今回が2度目です。1度目はフルート奏者 Miyaさん と雲さんと後藤さんとここで会談?をしたのでした。Miyaさんもここで定期的にライブを開催していて、2月10日(日)には「南無観 New Moon Improvisation Solo Perfomance Vol.16」があります。フルート・ソロによるインプロです。このライブは一度観に行こうと思いつつ、まだ実現していません。「喫茶茶会記」はちょっと奥まったところにある都会の隠れ家的なお店。写真の左側の扉が入口です。

中に入って最初に会計、ワンドリンク付きなのでビールをいただくことにしました。コーヒーにでもすべきところ、冬なのになぜかビールにしてしまったという(笑)。メニューの中でそこに目が行ってしまったのだからしょうがありません。

講演者の皆さんに一言挨拶して着席。開演までの間になぜか汽車の生録がかかったりしてました。今注目のビッグバンドDARCY JAMES ARGUE'S SECRET SOCIETY『INFERNAL MACHINES』もかかりました。デビュー作でグラミー賞を受賞しています。なかなか格好いいサウンドでした。3、4月にはセカンド・アルバムが出るそうです。

このイベントはニューヨーク・ダウンタウン・ジャズを中心とした新譜CD試聴会です。現在選盤は益子さん主体で行われているようで、益子さんがアルバムをかけて解説し、多田さんとゲスト(ベース奏者・作曲家の織原良次さん)がコメントをするような形で会は進行していきました。多田さんがユニークかつユーモア溢れるコメントをされていたのが印象的で、「いーぐる」でやっていたころの、原田正典さん的ポジションを担っている感じでした。

最初にゲストの 織原良治さん から自己紹介がありました。織原さんはサックス奏者橋爪亮督さんのグループでベースを弾いている他、「透明な家具」(ベース音をサンプリングして部屋に鳴らしっ放しにしておき途中音を引いていったりする)という面白いアンビエント/インスタレーションもしているそうです。

今回は2012年第4四半期(3ヵ月間)の新譜紹介です。
リストは tadamasu-連載 を参照願います。

*以下の解説は当日喋った全てのことではなく、誤解している箇所がある可能性もありますので、ご了承下さい。

いつもは厳しいものから始めるけれど、今回は逆に厳しくない歌ものから始めるとのことでした。

1.デイヴ・ダグラス・クインテットの『ビー・スティル』から《ビー・スティル・マイ・ソウル》

イーファ・オドノヴァンが歌っています。オリジナルはやっていません。ダグラスのお母さんがやってほしいと言っていた歌を、お母さんが亡くなった後にこのアルバムでやっているという、お涙ちょうだい的なもの。今回30代前後の若手を起用していて、その人種が様々。ジョン・イラバゴンはフィリピン系、リンダ・オーは中国系マレーシア人、ルディ・ロイストンは黒人といった具合。カントリー系のサウンド。今カントリー系はアメリカだけでなかく、日本でも人気があるとか。大和田俊之さんの話として、今の大学生はブルースのような癖の強いものは聴かず、フォーク・カントリーのような軽いものが好まれているという話がありました。多田さんは、「80年代ECMにあった?」という感じに聴いたそうです。

これはジャズ喫茶「いーぐる」の「年末ベスト盤大会」で田中ますみさんがかけずに紹介だけしたアルバム。私は買おうか迷っていて買わなかった1枚。普段ボーカルはあまり聴かない(J-POPは聴きますが)からです。聴いたらダグラスのトランペットもなかなか良い感じでした。

2.サニー・キムの『ペインターズ・アイ』から《ペインタース・アイ》と《イン・ビトゥイーン》

クリス・スピード、アンジェリカ・サンチェス、ベン・モンダーが入っているから購入したとのこと。サニー・キムは韓国人。ボーカルがちょっと変わっているから聴いてほしいとのことでした。私はスローな曲ではハミングみたいに感じたのですがハングル語でした。益子さんは、クリス・スピードのサックスが良く、多田さんは、アンジェリカ・サンチェスのピアノが良いとのこでした。織原さんは、盛り上がらす併走する感じ(私には”併走”という感覚が正確に把握できていません。この後も度々登場する言葉)が良いとのことでした。それから女子ボーカルが今たくさん出てきているそうです。最近は黒人が歌っていてもそれと気付かない場合が多く、北欧出身だたりするそうで、北欧は意外と黒人が多いとのことでした。サラ・セルパ、マリア・ネッカム、とか何人かあげていました。

これはまあこんなのもあるということで、共演メンバーは良いですけどね。

3.ヤコブ・アンデルシュコフ・ウィズ・アグノスティック・リヴェレーションの『グラウラ・アルケミー』から《メタル》

アンデルシュコフはデンマーク人のピアニスト。クリス・スピードとのカルテットです。アグノスティック・リヴェレーション・バンドはベテランを起用。ベースがマイケル・フォーマネクでドラムがジェラルド・クリーヴァー。マイケル・フォーマネクはECMからアルバムを出していて、ティム・バーンとクレイグ・テイボーンとのバンドだけれど腑抜けた感じ。しかしこのアルバムはだれない。さすがは益子さん、厳しぃー。ILKレーベルはエレクトロニカも出すレーベルで、このアルバムはそんなILKらしさがあります。多田さんは、クリス・スピードの冷やかで揺らぐ感じ、不安定だけれど揺らぎない世界が良いとのことでした。多田さんとしてはこのバンドの2010年のアルバムのほうが良いそう。織原さんは、バラバラなものを重ねていくサウンドが良いとのことでした。こういう演奏が出来るのは凄いとおっしゃっていました。

この手のサウンドは益子さんが前から推薦しているものですよね。そうか2010年のアルバムは、ディスクユニオン新宿ジャズ館でアウトレットになっているのを何度か見ながら買わなかったのは失敗だったか?私はこの手の緊張感溢れるものは今のところ控え気味。

4.オチコチの『Ochikochi』から《秋の歌》

サックスのかみむら泰一はクリス・スピードと同じ頃にバークリーにいて、NYにもいて影響を受けているとのこと。その後かみむらは日本に帰ってきます。かみむらはこれまで2枚のアルバムをイーストワークスから出していてニューヨークっぽいサウンドだそうです。ベーシストの是枝則克は一昨年急逝。かみむらは是枝と一緒に録音しようとしていたら是枝が亡くなったのでかなわなかったとのこと。このアルバムは是枝が存命中に競演したライブ音源をピックアップして収録。織原さんによると、かみむらさんの曲にコードはなく、西洋ルールではないとのこと。しかし決まっているところがあって演奏するのは難しいそう。並走することをテーマとしてやってきて、出すようで出さない音などは、長年かかって到達した深みがあるとのことでした。多田さんは、最初のサックス・トリオ部分はありがちで、ベース・ソロでアルコ奏法になるとサウンドが面白くなるとのことでした。益子さんは、音質がいまいちなのが残念とのことでした。

このアルバムについては益子さんが「com-post」に詳しく書いているので参照願います。http://com-post.jp/index.php?itemid=700

私はこのサックス・トリオが結構気に入りました。おおらかでスケールが大きいサックス、間を埋める逞しいベース、パルシブなドラミングの絡み具合が心地良く感じられました。比較的オーソドックスな感じは私にとって◎。

5.ハン・ベニンク・トリオの『ベニンク #Co.』から《Klein Gebrek Geen Bezwaar》

サックス/クラリネットのヨアヒム・バーデンホルストはニューヨークと行ったり来たりしているそうです。ベニンクはスネアだけ叩いています。トラディショナルな感じ(私には《イン・ザ・ムード》っぽいメロディーに感じられた)が出たり、今風だったりするのが面白いところ。3人の即興と思われます。ミニマルっぽいところがエレクトロニクスを使った感じに似ていて今時。プリペアド・ピアノがギシギシ鳴ったり、ベニンクが鈴を持ちながらやったり、ノイズが鳴っている中の演奏が面白い。織原さんによると、違ったことをやり続けられる記録を残すというような側面があるとのことでした。益子さんは、振り幅がある演奏を若手と年寄りが一緒にやっているのが面白いそう。多田さんは、これのような反応し合う演奏より、動かないで多層に演奏しているものが面白いとか(”併走”と同じことを意味する感覚のようです)。なるほどなるほど。

これは買って聴いてみるところまではいかないかな?

ということで今日は全10枚中の前半5枚で終了します。続きは次回。

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レコード探して東京をブラブラ。

昨日は 「綜合藝術茶房 喫茶茶会記」 で行われた「益子博之=多田雅範 四谷音盤茶会 vol.08」を見てきたのですが、その前にレコードを探して東京をブラブラ歩いたのでその模様を報告します。

まずは、今持っている多量のレコードを少しでも減らすために、ディスクユニオン新宿ジャズ館でジャズ/フュージョンのレコード15枚を買い取ってもらいました。査定待ち時間の間に新着の箱を漁っていると、結局ほしいものが見つかって買う羽目に(笑)。

ボブ・バーグ『ニュー・バース』
 ボブ・バーグの名を見ただけで買いたくなってしまう私(笑)。
 トム・ハレル、シダー・ウォルトン、アル・フォスターの名が、買いでしょう。

『フランクフルトのフィル・ウッズとヨーロピアン・リズム・マシーン』
 ジャズ喫茶「いーぐる」の年末ベスト盤大会で聴いてほしくなった1枚。
 CD化されたけれど、やっぱりレコードが良いのです。

ラリー・ヤング『ユニティ』
 ウディ・ショウにジョーヘンにエルビンで買い。最近ブルーノートも安くなりました。

マンハッタン・トランスファー『メッカ・フォー・モダーンズ(モダン・パラダイス)』
 これは「ジャズ・オブ・パラダイス」掲載盤で蒐集中の1枚。200円也。

以上4枚を購入。買い取り金額は安値推移。期待はしていませんでした。

ジャズはここまで、今日の本当の目的はポップス/ロックのレコード。ユーミンの『ひこうき雲』と『コバルト・アワー』、ケイト・ブッシュの『天使と小悪魔』、ブロンディの『恋のハートビート』などです。

新宿から吉祥寺レコードプラザRAREへ。吉祥寺駅の駅ビル解体で南口のあたりは迷路のような状況。

RAREでは『コバルト・アワー』をみつけたけれど盤質B。実はネット通販店で『ひこうき雲』と『コバルト・アワー』の在庫を確認していて、コンディションが良くて値段が安いものがなければ、通販で2枚まとめて買う予定でした。他のものを物色。『恋のハートビート』がありました。『天使と小悪魔』はなし。そしてこれも買いたかったABBAがありました。TOTOも買いたいのがあったけれどまた今度。結局2枚ゲット。支払の時5000円札不足の文字を発見。5000円を持っていたのでそれで支払いました。

ブロンディ『恋のハートビート』 日本盤、帯付
ABBA『アライバル』 日本盤、帯付

次は神保町のレコード社本店へ。中央線で御茶ノ水駅に出てそこからは歩きです。山梨に住んでいると車での移動ばかりなので運動不足解消のため。この日は快晴で気持ち良かったです。橋の上から神田川渓谷?をパチリ。

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近道をしようと慣れない道を歩いたら、お店から離れる方向へ行きそうになりました。お店から少し離れてしまっていて結局は遠回りをした感じ(笑)。

レコード社本店は品揃えは良いのですが、ちょっと高いんですよね。ユーミンの『コバルト・アワー』がありましたが高いのでネット通販で買うことに決めました。このお店にはあまり来ないので色々チェック。探していたYMOの『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』を発見!でもお値段高め。買いたかったYESの『危機』を見つけたけれどやっぱりお値段高め。ここにも『天使と小悪魔』はなし。フュージョンの棚にジャズが入っていたり、フュージョンが高かったり(ユニオンでは二束三文)、専門店にはない品揃えが面白いです。高いと言っても無茶苦茶高いわけではないので、レコードを愛する人は一度行ってみるべし。かなり探し回って何も買わないでお店を出るのは申し訳ないと思いYMOを買うことに。

YMO『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』 日本盤 帯付(破れあり)

お茶の水のジャズ喫茶「グラウアーズ」でコーヒを飲んでから「茶会記」へ行こうと思ったのに、「グラウアーズ」はまたまた都合によりお休み。ここはこれまで1勝3敗。それではということで、ディスクユニオンjazzTOKYOへは行かず向かいのオーディオユニオンへ。今日はレコードをもう7枚買ったのでおしまい。オーディオの近況をチェックします。中古品の相場、実機の質感、並べ方から売れ線を、試聴機で鳴らしている音などをチェックしました。別に買う気はないけれど眺めているだけで楽しいです。私メカフェチなのです(笑)。

さて、まだ時間があるみたいなので秋葉原へ。はんだ吸取線を買っておくことにしました。湯島聖堂側から秋葉原へ入る所の猥雑な都会っぽさが好きです。

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秋葉原は賑わってますよね。千石電商ではんだ吸取線を買いました。通りに立つメイド喫茶の呼び込みメイドさんが寒そう。東京ラジオデパートへ。ここは日曜日はほとんど閉店。3階のサンエイ電機(真空管販売)は店主が不調で閉店したとの噂があるので確認しに行きました。日曜日(以前は休日)なのにお店が開いてます! 店主の親族の方なのでしょうか?娘(子供)さんと一緒にお店をやっていました。日曜日なのでお父さんの仕事を見にきていたのかもしれません。微笑ましい光景。ここはNEC(LUX)の12AU7Aが¥850で売っていたりして意外と穴場なのです。秋葉原には少なくなった真空管販売店の灯を絶やさないよう頑張って続けてほしいです。ラジオセンターでは内田ラジオ、平方電気、アムトランスをちょっと覗いてきました。

お茶の水に戻り、地下鉄丸ノ内線に乗って「茶会記」最寄りの四谷三丁目駅へ行こうと思ったのに、ここからだと皇居をぐるっと回って行かなければならないことに、ホームに入ってから気付きました。駅員さんに言って改札を取り消してもらいJR御茶ノ水駅へ。四谷駅で丸ノ内線へ乗り換えることにしました。

ということで「益子博之=多田雅範 四谷音盤茶会 vol.08」のレポートは後ほど。

今はもう頑なにジャズを聴こうとは思わないでので、ロック/ポップスを適当に混ぜながら音楽を楽しんでいます。

最近レコードがまた注目されているとか。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013011802000104.html

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しっかり聴かせてくれる現代バップ

今日は 「綜合藝術茶房 喫茶茶会記」 で行われている「四谷音盤茶会 vol.06」で紹介された1枚。この会に参加したわけではなく、お店のホームページの「tadamasu-連載」のリストを見て知りました。ジャズ喫茶「いーぐる」で益子さんとお話した時、「良いですよ。」と薦められたので聴いてみました。

P164ジェロム・サバーグ『プラグド・イン』(2011年rec. BEE JAZ)です。メンバーは、ジェロム・サバーグ(ts)、ジョセフ・ドゥモーリン?(fender rhodes,other keyboards)、パトリース・ブランチャード(el-b)、ルディ・ロイストン(ds)です。サバーグは前に1枚だけFNSTから出たアルバムを聴いたことがあり、悪くはないもののその後はフォローするに至らなかった経緯があります。これは如何に?

なかなか良かったです。エレピにエレベのワン・ホーン・カルテットということから、サウンドのイメージとしては80年代にメインストリーム回帰した、エレクトリックよりのジャズと言う感じです。テナーにエレピの組み合わせは、どことなくその頃のウェザー・リポートのような雰囲気も漂っています。まあショーターとザビヌルのような強烈な個性はありません。

全14曲中7曲をサバーグが、7曲をドゥモーリンが作曲しています。タイトルに「フィーチャリング・ジョセフ・ドゥモーリン」とあるので、サウンド(アレンジ)も含めて2人の共作的な内容になっていると思われます。2人の曲はどちらが作曲したのか区別がつかないことからも、サウンド的な相性はとても良い感じです。今後、ショーター&ザビヌル・コンビみたいになるのかな~?

まずはサバーグのテナーがゆったり朗々と吹いていて気持ち良いです。”ガツガツ”とアドリブをするようなことはなく、曲のメロディーを生かしてフレーズをおおらかに”スラスラ”紡いでいきます。テナーの音も抜けが良くて滑らか。スタン・ゲッツを現代風味のフレージングにした感じか? 

ドゥモーリンのフェンダー・ローズがいい味出しています。粗さを出した音はサバーグの滑らかなテナー音とは好対照。時に荒さを前面に出して演奏し、”ザワザワ”感を掻き立てるあたりにフュージョンとは一線を画すジャズとしてのサウンドを感じます。ベースのブランチャードはそれほど目立たずグルーヴに徹し、ロイストンは曲調やテンポに合わせてフレキシブルかつ鋭いキレのドラミングを見せます。

曲は難解さがなく分かりやすいもので、浮遊感や捻った感じが伴うところは現代的。落ち着いた曲調が多いです。ビートは8ビート主体で変拍子や4ビート系の曲も少々。現代ニューヨーク最先端なのですが、最近はこの人達のように内省的なものをあまり感じないものが多くなっているような気がします。この傾向、私としては好ましく思います。

サバーグ&ドゥモーリン・コンビは相性良好。しっかりしたジャズを聴かせてくれる好アルバムです。

アルバム名:『PLUGGED IN』
メンバー:
Jerome Sabbagh(ts)
Jozef Dumoulin(fender rhodes & other keyboards)
Patrice Blanchard(el-b)
Rudy Royston(ds)

明日は「益子博之=多田雅範 四谷音盤茶会 vol.8」ですね。

P162

私も行きます。面白いジャズに出会えるといいな~。寒いのが気がかり。

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音楽を創造する現場を追体験できる。

前記事のコメントでtommyさんから教えていただいたYouTubeの動画がとても面白かったので貼ります。

荒井由美(松任谷由美)のファースト・アルバム『ひこうき雲』の制作秘話です。
NHKのBS2(BS2なので数年前)の番組をそのまんまUPしてあります。

さすがにこれは削除されました。

ミュージシャンやプロデューサーや録音エンジニアが何を考えてアルバムを作るのかがよく分かります。YouTubeのコメントの中に「プロってすげえな」っていうのがあって、正にその通りだと思いました。

ユーミンのビブラート唱法を治すのにレッスンして1年かけてボーカルを録ったというのは凄いです。ユーミンは元々は作曲家を目指していて、声も変だしまさか私が歌うことになるとは思っていなかったと言っているので、そういう経緯になったようです。にしても、ユーミンが自分で歌ったからこそ曲も歌詞も生きることになったわけですし、だからその後日本音楽界に新風を巻き起こしたとも思うので、産みの苦労がその後に繋がったということになりますよね。

中盤に出てくる《きっと言える》。ユーミンのボーカルと細野晴臣のギターだけを抜き出したバージョン、これだけで十分楽曲として成り立っていますよね。こういう部分部分を積み重ねて1曲が作られているというのは凄いと思います。

ユーミンがイギリスに傾倒していたのにキャラメル・ママ(ティン・パン・アレー)はアメリカ傾倒していたので、最初は違和感があったのがそのうち馴染んでくるというのも面白いです。違った個性が溶け合っていく、当時流行リ始めたフュージョン(融合)音楽の文字通りの融合が日本のこの現場でも起こっていたとも言えます。

まあ他にも面白いネタ満載ですので是非ご覧になって下さい。

当時ニューミュージックと言われていたJ-POP、ここから40年経つわけですから豊かになっていても当然なのです。

『ひこうき雲』を聴いてみたくなりました。レコードで聴きたいので、今度の日曜日に上京する時に、「イエロー・ポップ」や「RARE」や「レコード社」あたりを探してみようかと思っています。『コバルト・アワー』もほしいし、前に書いたケイト・ブッシュの『天使と小悪魔』(日本盤)、ブロンディの『恋のハートビート』もほしい。

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独特な世界に引き込まれてしまった。

昨年末、ツイッターのタイムラインに流れてきた記事を読んでなるほどと思ったのと同時に、YouTubeで聴いて気に入ってしまったので買ったアルバムです。年賀状と一緒に届いたので今年最初に聴いたアルバム。

P163転校生『転校生』(2012年、EASEL)です。
「転校生」は水本夏絵のソロ・プロジェクト。

プロデューサー:塚本亮、水本夏絵
ミュージシャン:
水本夏絵:歌、シンセサイザー、
塚本亮:ピアノ、シンセサイザー、ベース、エレキギター、ドラムス(m3)
神谷恂平:ドラムス(m1,m2,m4,m7,m9)
白石尚吾:エレキギター(m1,m3,m7,m8)、アコースティックギター(m3)
市川和則:エレキギター(m4)、アコースティックギター(m4)
吉良都:チェロ(m1,m4,m5,m10)
禹貴恵:バイオリン、ビオラ(m1,m4,m5)

これにはちょっと衝撃を受けたというか。現代の女子高校生がクラスの中で疎外されている心境や、そこからくる自殺願望などが赤裸々に歌詞になっていたりするのです。そんな重い歌詞がとても上質なポップに乗せて歌われています。私とはかけ離れた世界の出来事。なのになぜかその気持ちが心に”スーッ”と入ってくるから不思議です。その繊細な感性に心を揺さぶられるのです。

私にもその傾向があるからなのでしょうか、自分が置かれた状態を客観視するその視線に共感してしまうのです。感情的に訴えかけないクールな視線ゆえ、返って説得力があるように感じます。重い歌詞をポップに歌えてしまう転校生の感性には驚かされると同時に、こういうミュージシャンが出てきていることに新しい時代の到来を感じます。

この感覚、昭和な私には井上陽水の歌に出会った時に似ています。《人生が二度あれば》、《傘がない》、《東へ西へ》、《断絶》などに、当時の若者の素な感情が歌われていました。陽水の場合、かなり感情的なのは時代性でしょう。当時小学生だった私は、今の私が転校生を見る場合とは逆に、まだ知らない大人の世界に共感できた気がしました。

『転校生』はサウンドが素敵です。まずピアノの響きが凄くクリアに録音されていて、今時ありがちなチャラチャラしたJ-POPサウンドとは一線を画しています。そんなピアノの音を聴いただけで世界に引き込まれてしまいます。他の楽器もピアノと同様に表情豊。そのため曲やアレンジはポップなのですが、大人の私が聴けるクオリティの高い深みのある音楽になっています。

歌詞の独特な世界観とクオリティの高いサウンドが一体となって私の心に響く。

さて、このアルバムを買うきっかけとなたのがこちらの記事。
「洋楽聴いてないのに聴いたかのような若者音楽ってのがあるんですヨ。」

YouTubeなどで容易に世界中の音楽にアクセスでき、結果世界中の音楽の「テイスト」みたいな部分だけは蓄積されているのかも?という推論があり、なるほどと私は納得したのでした。

しかしその後、私は別な推論が可能なのではないかと思ったのです。それはテレビでもラジオでもお店のB.G.M.でも、そこらじゅうに流れていて意識しなくとも接している現代のJ-POPが、世界中の音楽の「テイスト」を内包しているからではないかというものです。つまり今やJ-POPも豊饒な音楽なのです。

だからわざわざ洋楽を聴かなくても、J-POPを聴いていれば豊饒な音楽を作れるのではないかということです。その結果がこの『転校生』と言っても良いのではないのでしょうか?

本当に今のJ-POPは世界中の音楽の「テイスト」を内包しているのでしょうか?それの答えになるのではないか思われる記事を以前私は書いています。
こんなところに類似性を発見! サウンド・リサイクル

ちなみにユーミンの《ひこうき雲》はプロコル・ハルムの《青い影》の影響下にあります。メロディーを聴き比べてみて下さい。分かりますよね。

それにしてもこの歌が自殺について歌っていたものとは知りませんでした。これまで歌詞が意図するところがよく分からなかったのですが、そう思って聴くと確かにそうですね。なるほど、私が井上陽水と出会ったのと同じ時、荒井由美にも出会っていたのですが、こういう感性との出会いが私の音楽体験を豊かにしてきたのかもしれません。

sikoがユーミンと共演しているものもありました。転校生の水本夏絵がaikoのファンならば、これを見ているんじゃないでしょうか? ユーミン~aiko~転校生。

いい加減J-POPが獲得するに至った豊かな音楽性をきちんと認めたらどうなのかと思うのです。洋楽至上主義じゃあ今のJ-POPは語れません。まあポップス(洋楽も邦楽も)にそれほど詳しいくない私が言っていることなので信憑性は? それにしても、YouTubeってやっぱり凄い。こういうのを使えない(知らない)と音楽評論も時代遅れになりますよね。私の問題処理能力や如何に?(笑)

さて、『転校生』に戻ります。これなんかどうですか?

教室の中の疎外感、不思議なことに共感できてしまいます。

このアルバムの中で私が一番好きな曲はやっぱり《東京シティ》かな。あなたも転校生の繊細な感性に触れてみませんか?是非聴いてほしいアルバムです。

ユーミンも良いですよね。40周年記念アルバムのラストには、《ひこうき雲》と《青い影》が続けて入っていて、しかも《青い影》はユーミンとプロコル・ハルムの競演バージョンなのです。

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新たなインド系コネクション?ではなく、アラブ・コネクションでした。

今日はニューヨーク・ダウンタウンです。昨年はメジャーな人の新譜を中心に聴きましたが、やっぱりこちらの動向も気になるわけでして、また少しずつ気になるもをフォローしています。ニューヨーク・ダウンタウンと言えばやっぱり益子博之さんの情報が一番頼りになります。

今日紹介するアルバムは、四谷の「綜合藝術茶房 喫茶茶会記」開催されている 「益子博之=多田雅範 四谷音盤茶会 vol. 07」 で紹介されたアルバム。

益子さんからコメントしていただいた情報にて以下修正します。2013.1.20

P161HAFEZ MODIRZADEH『ポスト・クロモーダル・アウト!』(2012年rec. PI RECORDS)です。メンバーは、HAFEZ MODIRZADEH ハフェス・モディルザデー(as,ts)、アミール・エルサファー(tp)、ヴィジェイ・アイヤ(p)、ケン・フィリアノ(b)、ロイアル・ハーティガン(ds)、DANONGAN KALANDUYAN(filipino kulintang)3曲、FARAZ MINOOEI(persian santur)3曲、ティモシー・ヴォルピセラ(el-g)2曲です。この名前からいってリーダーとトランペッターはインド系の人だと思われます。アイヤがいるのでニューヨーク・ダウンタウンの新たなインド系コネクションによるアルバムということか?

ではなくて、リーダーのモディルザデーはイラン系で、トランペッターのエルサファーはイラク系。ということでアラブ・コネクションです。

短めの曲を次々と演奏していく組曲2曲が収録されています。1~17曲(48分31秒)がMODIRZADEHの組曲《ウェフト・ファセッツ》、18~28曲(26分16秒)がジェイムス・ノートンの組曲《ウォルフ&ワープ》。内ジャケにはコード(和音)名を並べた図が書いてあるので、そういう作曲法によって作られているのかもしれません。ジャズであり現代音楽です。図がいかにも数学なので、やはりインドの人は数学が”売り”なのかもしれません。

ではなくて、アラブ系の人なので強引に解釈すればアラビア数学つながりということでしょう。

大衆音楽ではなく芸術音楽としてのジャズです。特に難解な音楽というわけではありません。現代音楽的な楽曲の中にフリー・ジャズが織り込まれています。MODIRZADEHのサックスはルドレシュ・マハンサッパやスティーブ・リーマンの系統で、フレージングはウネウネのアブストラクト。曲によってはエリック・ドルフィーのような感じの部分があります。

MODIRZADEHがドルフィーならば、エルサッファーのトランペットは新主流派のフレディ・ハバードという感じか。2人ともしっかり演奏していますし説得力があります。アイヤが曲によっては一部の調律をわざと狂わせたピアノを弾いていて、琴を弾いているようにも聴こえるところがあって面白いです。この人は色々攻めてきますよね。フリー・ジャズの部分ではガツンと弾いてくれます。

ここも調律を狂わせているのではなくて、アラブ音階をベースにモディルザデ―が考案したクロモーダル音階に調律されているとのことです。アラブ・コネクションは面白いところを突いてきますよね。

ベーシストはピチカートだけでなくアルコも交え現代音楽をきちんとこなせるレベル。ドラムは緩急自在にリズムをこなし、4ビートのフリー・ジャズ部分でのドラミングはなかなかキレがあって良い感じです。曲によってはフィリピンの打楽器などが加わりガムラン的な響きがあったり、シタールのような弦楽器が出てきたり、インド系/東南アジアのアイデンティティをジャズに混ぜ込みます。とは言っても、フリー・ジャズの部分はやっぱりアフロなんですよね。

インド系/東南アジアのアイデンティティではくて、中東からパキスタン/インドを挟み東南アジアまで行ってしまうような、ひとまとめにしてエスニック・テイストと強引に言ってしまいましょう。そういうサウンドが鳴っています。

頭でっかちの音楽というわけではありません。間にはスポンティニュアスなジャズもあり、知性的ではありますが、堅苦しくなく自由な空気も漂っています。その自由な雰囲気がジャズの持つ良さなのだろうと思います。

なかなか面白いジャズだと思いました。間違っても日本のジャズ・ジャーナリズムに取り上げられることはないと思いますし大衆性はないですが、こういうジャズが出てくるニューヨーク・ダウンタウンの動向には注目する価値があると思います。

アルバム名:『POST-CHROMODAL OUT!」
メンバー:
HAFEZ MODIRZADEH(as, ts)
AMIR MODIRZADEH(tp)
VIJAY IYER(p)
KEN FILIANO(b)
ROYAL HARTIGAN(ds)
ゲスト:
DANONGAN KALANDUYAN(filipino kulintang) 4,5,17
FARAZ MINOOEI(persian santur) 8,10,17
TIMOTHY VOLPICELLA(el-g) 16,17

ニューヨーク・ダウンタウンのジャズに興味がある方はこちらのイベントに注目。

来週1月27日(日)「綜合藝術茶房 喫茶茶会記」 で開催される「益子博之=多田雅範 四谷音楽茶会 vol.8」です。2012年の年間ベスト10が発表されます。面白そうなので私は行く予定です。

P162

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この本はなかなか面白かった。

最近はヒップホップのアルバムを紹介していないのですが、相変わらずたまにはヒップホップを聴いていて、手元に紹介していないアルバムが5枚あります。まあ、気が向いたらまた紹介しようと思います。

今日はヒップホップに関連する本の話です。私は最近メチャクチャ遅読なので、これなんかは電車で移動中とかに読み進める程度で、結局読み終えるまでに半年くらいかかってしまいました(笑)。

P160

「ヒップホップはアメリカを変えたか?」、なかなか面白い本でした。

アメリカ社会におけるヒップホップの意義、ヒップホップを取り巻く音楽業界との係り、ヒップホップと政治の係りなど、ヒップホップとは一体どういうものなのかを知るのにはとても良い本です。私は基本的に音(楽)に興味があるのですが、この本にあるようなアメリカ社会におけるヒップホップの全体像を知っておくのも悪くないと思いました。

ヒップホップが「ビルボード」のヒットチャートを占める巨大音楽ビジネスになるために、「サウンドスキャン」という統計システムが大きな役割を担った話、白人ラッパーのエミネムの成功話、カリフォルニア州の刑務所コンビナートの存在、ヒップホップ世代の政界進出など、私が知らなかったアメリカのここ30年くらいの姿が見えてきて面白かったです。

アメリカのヒップホップ世代/カルチャーが日本のアニメ/オタク世代/カルチャーに被って見えるのは気のせいか? アメリカ社会の問題は日本社会の問題と共通する部分が多々あり、色々考えさせられます。

ヒップホップ好きは必読の本だと思います。

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こんなの買いました。

先日上京した際に、吉祥寺のディスクユニオンで見つけたレコードを紹介します。久しぶりに吉祥寺のユニオンへ行ったら店内の陳列棚の配置がかなり前の状態に戻っていました。ただしCDやレコードの並んでいる順序は変わっていました。

P159レッド・ロドニー『ファイアリー』(1957年rec. signal/キング)です。メンバーは、レッド・ロドニー(tp)、アイラ・サリバン(ts,tp)、トミー・フラナガン(p)、オスカー・ペティフォード(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)、エルビン・ジョーンズです。極オーソドックスなハード・バップ。なんでこのレコードを買ったかというと、後藤雅洋さん著「一生モノのジャズ名盤500」に掲載されていたから。

「一生モノのジャズ名盤500」の紹介文を引用させていただきます。

かなり通好みの「幻の名盤」だが、難解だったり地味すぎたりというわけではなく、ふつうにいい演奏だと誰でもわかるだろう。チャーリー・パーカーのサイドマンを務めた輝かしい経歴を持つ白人トランペッター、レッド・ロドニーの代表作に挙げて間違いのない作品である。ごくオーソドックスのスタイルながら、素直な感情表現が好感を呼ぶ。

毎度のことながら明快な紹介文です。文章のまんまの内容。こういうアルバムを知っているのがジャズ喫茶のマスター。

日本盤のLPで¥900でした。たすきには「LP絶対支持の愛すべきジャズ・ファンに贈る 最後のジャズLP part3 オリジナル盤(時代の音)の忠実な再現(キング技術陣によるスペシャルカッティング) 完全限定盤 この時代のジャズが持っていた熱気は、黒人だけのものではありません。チャーリー・パーカーが惚れ込んだ白人バップ・トランペッター、レッド・ロドニーが残した渾身の名アルバムです。」とあります。

厚みがありながら柔らかい良い音です。こういう音はやっぱりレコードにしか出せません。この時代のジャズはやっぱり良いですよね。色々なジャズを聴きますが、こういうのを聴くと、「やっぱりジャズはこれなんだよね。」と思ってしまうのがジャズファンってやつではないでしょうか。

私が好きなドラマー、2人のジョーンズがいます。A面がフィリー・ジョーでB面がエルビン。う~ん、贅沢な。心地良いスイングを聴かせるフラナガンのピアノ、図太いペティフォードのウォーキングベース、いいですな~。その上でロドニーとサリバンが腰の据わった吹奏を聴かせます。名盤ですよね。確かに。

「一生モノのジャズ名盤500」の第1章「これがジャズだ!」の中の1枚!

アルバム名:『FIERY』
メンバー:
Red Rodney(tp)
Ira Sullivan(ts, tp)
Tommy Flanagan(p)
Oscar Pettiford(b)
Philly Joe Jones(ds)
Elvin Jones(ds)

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「クラブジャズの範疇」とは書いたものの・・・

先週末、ジャズ喫茶「いーぐる」で行われたイベント「新春ジャズ七番勝負 : 原田和典 vs 大塚広子」のレポートで、大塚さんのジャズ観をクラブジャズの範疇だろうと書きました。客観的に見ているつもりだったのですが、やはり私の主観は入っていますよね。そのあたりに関して補足的なことを書かせていただきます。

そのイベントの打ち上げで大塚さんと会話を交わしたところ、「私がクラブでかけるのは(いわゆる)クラブジャズとは違うんです。(いわゆる)クラブジャズはフュージョンなどで聴きやすいものです。柳樂さんや私は(いわゆる)クラブジャズとは違う(ものを志向している)んです。」というようなことを強調されていました。

実は年末の「いーぐる」忘年会で、柳樂さんからも同様の話をお聞きしていたのです。その時私は大塚さんにとても興味を抱きました。「大塚さんのクラブジャズ(ジャズ観)とはいったい何なのか?知りたい!」、それが今回の「七番勝負」に参加した最大の理由です。相手がどっぷりジャズの原田さんなので、大塚さんのジャズ観がより浮き出るのではないかという期待がありました。

結果は最初に書いたとおり「クラブジャズの範疇」ということに。この表現、大塚さんにとっては”違う”というお気持ちがあるようです。後になって大塚さんのツイッターを読んで気付きました。

これは私がジャズとフュージョン(ジャズではない)の間にある微妙な演奏を、これはジャズではないと言いたい気持ちと似ていると思いました。「あなたはジャズだと言うけれど違います。あなたは何も分かっていません。」という気持ちです。

そういう気持ちは私もよく分かります。大塚さんのそういう反応も想像できないことではなかったのに、「クラブジャズの範疇」と書いてしまう私。あ~っ、実にいやらしい。大塚さんごめんなさい。

実に面白いですね。私が硬派ジャズと軟派フュージョンを一緒にするのを嫌うように、大塚さんもフュージョンぽい軟派路線のクラブジャズと一緒にされるのを嫌っています。というか、そういうクラブジャズのあり方に大塚さんは危機感のようなものを抱かれているのではないかと思うのです。それには共感できる部分があります。

上記のことを書くに至った大塚さんのツイート2件(青字)を貼らせていただきます。
ツイッターを勝手に引用すること、ご容赦願います。

「矢部直さんのDJは刺激的で繊細で。振り幅が広くて繋ぎになる要素、曲の並べ方の理由がわかる。気持ち良いダンス。いーぐるで私が紹介したのを一概にクラブジャズと言われるのはやっぱり違う。それは矢部さんのやってることでDJプレイとして体感して感じてほしいです。」

「だからジャズサイドの環境で、じっくり矢部さんのDJでクラブジャズを体感してほしいんです。場所は、故日野元彦さんの奥様容子さんのジャズハウス、六本木のアルフィー。」

(注)上記イベントは既に終了。

ツイートはジャズ喫茶リスナー全般に対するのものだと思います。DJプレイ/クラブジャズを現場で体感したことがない私。う~む、大塚さんのおっしゃるとおりです。私が東京に住んでいれば行けるんでしょうけれど・・・、そういうことを理由にせず、行って体感しておかないといけないでしょうね。やっぱり体感していないと自分の意見が説得力を持ちません(涙)。

こちらも興味深い大塚さんのツイート。3件(青字)貼ります。

ジャズ喫茶いーぐるで、かけたsteve reid /  kai 。ジャズ喫茶にいるみなさんでは、reidのドラミングや、les walkerのピアノじゃなくて、arthur blythe のサックスのソロを聴いてる。

それはすごく貴重な発見で。いままで気付かなかったこと。でもその聴き方の違いはどんな音設備の環境で聴いてるかによる、無差別的に。クラブや家の音で、こんないいサックスの響きは聴こえてこなかった。

でもリズムや鼓動はスピーカーよりも、なによりもフロアからの響きで感じとれる

P158_2

なるほど。確かに音設備の環境の違いは大きいでしょう。しかし、ジャズ・リスナーとクラブジャズ・リスナーの聴き方の違いもそこに浮き上がっています。

まず私達ジャズ・リスナーは個々のアドリブ/ソロの良し悪しを聴き取るのが基本だと思います。たとえ音が悪くても(音響装置が良くても録音がひどいものもあります)、まずそこに耳をそばだてます。それがある程度できないと「いーぐる」にはとても行けません(笑)。

一方、大塚さんの「リズムや鼓動はスピーカーよりも、なによりもフロアーからの響きで感じとれる。」、これは私にはない感覚です。凄く説得力がある言葉です。ここに「踊れるかどうかを唯一の基準にジャズを選ぶ」クラブジャズの聴き方の本質を見ます。”フロアーからの響き”って踊っている人がいる場でしか感じられないと思いますから。

最後に言い訳めいてしまいますが、その感覚を持ち合わせてクラブのフロアでジャズをかける(基本的に躍らせるわけですから当然のことです)大塚さんのジャズ観、私から見ればやはり「クラブジャズの範疇」ということで。m(_ _)m

ただし一概にクラブジャズと言っても様々なスタンスの方がいらっしゃるわけで、それは一概にジャズ喫茶と言っても様々なスタンスの店がある(例えば「いーぐる」と「メグ」の違いとか)のと同じことでしょう。「クラブジャズの範疇」と書いた上で、大塚さんのスタンスについてもう少し丁寧な説明をしていなかったのは反省点です。

これが話題の曲。スティーヴ・リードの『リズマティズム』から《カイ》。

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「新春ジャズ七番勝負 : 原田和典 vs 大塚広子」

昨日は ジャズ喫茶「いーぐる」「新春ジャズ七番勝負 : 原田和典 vs 大塚広子」に行ってきました。今回は吉祥寺ディスクユニオンでレコード1枚、新宿ディスクユニオンでレコード3枚を買った後「いーぐる」へ。買ったレコード4枚は全て\1,000未満。

P157「新春ジャズ七番勝負」は com-post メンバーであり音楽ライター/ジャーナリストの 原田和典さん若手人気女性DJ 大塚広子さん が7つのテーマで曲をかけて対決するというイベントです。元々はジャズ喫茶「メグ」で模様されたもの(「いーぐる」のマスター後藤さんもそれを観戦)を参考にしています。「メグ」のマスター寺島さんには了解を得たうえで今回の開催とのことでした。対決方法には色々な趣向がこらされていました。

どのテーマからかけていくかはあみだ(線はお客さんに1本ずつ入れてもらう)で決めました。曲名、ミュージシャン、アルバム名等、一切伏せた状態で聴き、挙手により勝ち負けを判定してからネタ明かしをしました。原田さんは自分の曲をかけると表情に出てしまうということで、曲をかけている間はお面を被るという原田さんらしいエンタメぶり(笑)。勝敗の挙手については、両方良い場合は両方に挙手O.K.、逆に両方ともいまいちなら両方に挙手しなくてO.K.というルールです。私は灰色決着はよくないと思い必ずどちらかに挙手しました。

今回の企画、私にはいくつか目的がありました。まずはDJ大塚さんのジャズ観を知りたいということ。そこからクラブ・ジャズ(後で大塚さんに伺ったところ、この対決でかけた曲はクラブでかけるものとは違うというこでしたし、大塚さんがクラブでかけるものは一般的なクラブDJがかけるジャズとは違うということでしたが)とは何なのか具体的な感触を掴みたかったのです。それからお2人の選曲を聴き分けることができるかということ。原田さんの好みは結構分かっているつもりなのでそれが生かせるかどうか。「いーぐる」のお客さん(大塚さんのファンも来ているとは思いますが)がどういう勝敗を下すのか。単純にかかる曲を楽しみたいというものありました。

前置きはこのくらいにして、対決の模様をレポートします。

各テーマの最初の感想はブラインド状態で聴いた時のものです。メモのままをここに書きます。大塚さんはお客さんがどういう風に聴いたのか知りたいとおっしゃっていたので、少々コアな一ジャズ・ファンの意見として参考にしていただけたら幸いです。

1.私の一押しトンガリ系

後藤さんのリクエスト題目

(先) : 北欧音響系トランペッターの大き目の編成。クラブ・ジャズ~フューチャー・ジャズで大塚さんの選曲と推測。

(後) : フリーっぽいところもある4ビートのアグレッシブなピアノ・トリオのライブ。どこがトンガリなのかよく分からないけれど原田さんの捻った選曲と推測。

私は(先)に挙手。トンガリ系はこっちでしょう。勝ちは(先)。

勝ち(先) : 原田さんの選曲でロバート(ロブ)・マズレク(tp)のサンパウロ・アンダーグラウンドの曲。北欧ではなく南米でした。ロブ・マズレク(パルサー・カルテット)のアルバムは少し前に私もブログに取り上げています。このアルバムはほしいです。

(後) : 大塚さんの選曲でロジャー・ケラウェイ(p)。1967年のレコード。頭と最後に変な音が入っていて、大塚さんによるとこの時代でライブにテープレコーダーを持ち込んで出しているのがトンガリとのこと。なるほど。後から振り返れば、このB級感は私が感じているクラブ・ジャズ。

2.ジャズの未来は君にまかせた~これからが楽しみなミュージシャンをセレクト

(先) : アルト・サックス・トリオ。4ビートでの迫力演奏。演奏がちょっと長い。アドリブがちょっと単調かも。これはもう原田さんの選曲でしょう。原田さんのなでアンドリュー・ディ・アンジェロ(as)あたりか?

(後) : フュージョン/ブラコン/トロピカル。これはもう大塚さんの選曲でしょう。アース・ウィンド・アンド・ファイアーの《宇宙のファンタジー》に似た感じのメロディー。スチール・ドラムが南国の雰囲気。

私は(先)に挙手。ジャズの未来ですからね。勝ちは(先)。

勝ち(先) : 原田さんの選曲でジョン・イラバゴン(ts)。フィリピン系でシカゴで活動。テナー・サックス・トリオでした。後藤さんからは「一応こちらだろうけど、フレーズが繰り返されていていかがなものか?」とのご指摘あり。

(後) : 大塚さんの選曲でカルロス・ニーニョのプロデュース・チームが作ったデクスター・ストーリー(vo)のデビュー作。ネオ・ソウル。

3.大人数の快楽~ビッグバンドで正月を

(先) : ピアノから始まり、最初はジョー・サンプルかと思いましたが、ピアノ・ソロではマッコイ・タイナーお得意フレーズ連発。ソプラノ・サックス・ソロはフュージョン系。エレベで8ビートの比較的オーソドックスな現代ビッグ・バンド。ライブ演奏。大塚さんの選曲でしょう。

(後) : 太いベースから入りコテコテのテナー。原田さんの選曲ですね。ホーンの炸裂具合が良いです。8ビートから4ビートへ。これぞジャズです。

ここでちょっとしたハプニング。曲が終わり勝敗挙手の前に、原田さんは「最初のマッコイ・タイナーなやつと、後のチャールズ・ミンガスなやつ」と漏らしてしまったのです。まあ、これを聴いたからと言って勝敗が変わるとは思いませんが。

私は(後)に挙手。ジャズ的な快楽はやはりこちら。勝ちは(後)。

(先) : 大塚さんの選曲で88年録音のブルーノートのライブ。大塚さんはビッグ・バンドが苦手で、今は勉強している最中とのことでした。マッコイの《フライ・ウィズ・ザ・ウィンド》も考えたけれどストリングスが苦手とかで、こちらにしたそうです。

勝ち(後) : 原田さんの選曲でミンガスの『レット・ヒア・マイ・ミュージック』から。ミンガスが子供に聴いてほしい音楽として作ったんだとか。原田さんからは「子供にこんなのを聴かせるのはどうか。」という笑い話がありました。

ここで原田さんが大塚さんに質問。「大塚さんはライブの曲を選ぶことが多い(ここまでの3曲中2曲)けれどどうして?」と。この質問、実は私もそう思っていたところだったので、ちょっとビックリ。原田さんと以心伝心なのかシンクロしているのか? 大塚さんによるとクラブでライブ曲をかけると観客が盛り上がるとのこと。入っている拍手とか歓声につられて開場が盛り上がるんだとか。なるほどと思いました。

4.このアルバムの良さがあなたにわかるか!~私だけの名盤、極めつけの1曲

大塚さんはレコード片面全部を聴いて来なかったという話がありました。その代りレコードのどの部分が使えるか、その場所は全て覚えているということでした。これは私達ジャズ・ファンとDJの皆さんとの音楽需要形態の違いであり重要なところですよね。

(先) : ラテン・リズムから始まるオーソドックスなバップ。途中4ビートにリズム・チェンジしたりします。聴いたことがあるようなトランペット。ドラム・ソロでマックス・ローチかと思いました。ラテン・リズムのクラブ・ジャズつながりで最初は大塚さんかとも思いましたが、次の曲を聴いてこれが原田さんの選曲と思いました。

(後) : 濃いめの8ビートでスピリチュアル。トロンボーン・ソロとかはいい感じ。しばらく聴くと微妙にB級感が。70年代の音。リズムが時々よれたりしてます。これは私が感じているクラブ・ジャズのテイストなので大塚さんの選曲でしょう。

私は(先)に挙手。王道ジャズで演奏が良いから。勝ちは(後)。

(先) : 原田さんの選曲でドラマーのチャーリー・パーシップの『ジャズ・ステイツメン』から。ジャケット写真のハイハットが大きく開いているのを見て、豪快な演奏だろうと思い購入。豪快だけでなく繊細さもあり良いとのことでした。

勝ち(後) : 大塚さんの選曲でドラマーのスティーブ・リードのオリジナル盤。1万円したとか。76年の演奏。最初に声が出ちゃうところが良いそう。トロンボーンとアルトはアーサー・ブライス。後藤さんから発言。最初の方はダメだったけれど後でアーサー・ブライスが出てくると良い感じになるとのこと。おっしゃることは理解できます。

特に示し合わせていないのに、どちらもドラマーのアルバムというシンクロぶりが面白かったです。

5.音楽はジャズだけじゃない!~他ジャンルの最近のオススメ曲

(先) : テクノ/ミニマル/打込み。大塚さんの選曲ですね。こういうやつも好きですが、これはというインパクトが不足ぎみ。

(後) : 原田さんは何をかけるのか、パフューム?モモクロ?やっぱりその手のやつした(笑)。テクノですね。J-POPをバカにしてはいけません。なかなか良く出来ているのです。

私は(後)に挙手。J-POPはバカにできない。勝ちは(後)。あらまっ!(笑)

(先) : 大塚さんの選曲。ダブステップというジャンル。「ゾンビ」(ユニット名?)。レゲエの箱(クラブ)でやる時にトリップしそうな感じなものとして良いとのこと。低音が気持ち良い。このジャンルは勉強中だそうです。原田さんはパフュームかしゆかがダブステップに興味があるということでこのジャンルを聴けて良かったとか。

勝ち(後) : 原田さんの選曲。9nineの《イーアル!キョンシー》。インドネシアのダンス・ミュージック”ファンコット”を取り入れているとか。パフュームのメンバーの妹がいるそうです。

この対決もどちらもテクノ系ダンスビートというシンクロぶり。

6.たまにはしっとりバラードを~じっくり聴いてほしい1曲

DJの方がバラードをどう考えているかを原田さんが知りたかったから。

(先) : チコ・フリーマンですよね。このアルバムは持っています。テナーとベースのデュオ。サブ・トーン”ズリズリ”。これは好きなアルバムです。原田さんの選曲ですね。

(後) : テナーとピアノのデュオ。フュージョンですな。きれいなメロディー。こちらもサブ・トーン入りでいい感じ。大塚さんの選曲ですね。

私は(先)に挙手。やっぱジャズではこっちなのですよ。勝ちは(先)。

勝ち(先) : 原田さんの選曲でチコ・フリーマンの『スピリット・センシティブ』から《ニューヨークの秋》。原田さんが最初に見たジャズ・マンがこの人。フュージョン全盛期にこういうジャズが出ていました。セシル・マクビーのベースが良い。後藤さんもベースが良いとおっしゃっていました。私も同感。

(後) : 大塚さんの選曲で田中邦和(p)、林正樹(ts)の『ダブル・トゥルース』から。村井康司さんが大塚さんにおすすめしたアルバムだったようです。プロデュースは「いーぐる」にも来る徳永さん。曲はラーシュ・ヤンソンの《マリオネット》。どうりで美メロなわけです。このアルバムにはフリーキーな演奏もある中でこの曲を選曲。

これも両方ともテナーと他の楽器のデュオというのシンクロぶりが面白いです。私はこの対決において、ジャズ・テイストとフュージョン・テイストの微妙でありながら実は大きな差異を感じ、原田さんと大塚さんのジャズ観の差が象徴的に現れていると思いました。

7.私の考えるまっくろアルバム

後藤さんのリクエスト題目。黒さの感受性は世代により異なるのでそれを知りたい。

(先) : ギターとムード・テナーのデュオで始まり後でオーケストラが加わる。曲は《マイ・ウェイ》。サム・テイラーみたいな感じ。デヴィッド・マレイか? 徐々に盛り上がるテナーはいい感じ。確かに黒いテナー。こういうコテコテは原田さんの選曲でしょう(笑)。

(後) : フリー/スピリチュアル・ジャズで大き目の編成。アフリカ/アフロです。これはもうクラブ・ジャズ範疇の黒さでしょうから大塚さんの選曲でしょうね。

私は(後)に挙手。原田さんの黒さも分かるけれど、基本はジャズでありアフロな黒さが好きだから。勝ちは(後)。

(先) : 原田さんの選曲でテナーはジーン・アモンズ、曲や周りのメンバーなどは白人で、白人のための音楽だけれど、やっている人が黒ければ黒いというのが原田さんの選曲理由。

勝ち(後) : 大塚さんの選曲で『トリプル・・・』(よく聞き取れませんでした)。73年の録音。原田さんの”ドロドロ”ジャズに影響を受けているそうで、こういう選曲になったとか。原田さんからベースは「レジー・ワークマン?」との問い。当りでした。オル・ダラとかもいます。イムホテップ・レーベルのレコード。

以上で七番勝負は終了。原田さん5勝、大塚さん2勝でした。「ジャズ喫茶という大塚さんにとっては不利な条件の中での2勝は大健闘ではないか。」と、後藤さんがおっしゃっていましたが同感です。

終了後の大塚さんの感想は、普段聴く音とここの音は全然違っていて、最後の曲は音に立体感があり、始めてこういう音を聴いたというものでした。そういえば一昨年、原雅明さんが「いーぐる」の音を聴いた時にも、聴こえ方が違うという感想をおっしゃっていましたね。原田さんは貴重な体験で勉強になったとのことでした。

大塚さんは今日聴いたお客さんがどういう感想を持ったのか知りたいとおっしゃっていました。後藤さんからは今度やる時にはもう少しかける曲(テーマ)を減らして、聴いた後でお客さんに感想を聞きながら進めようという提案もありました。

大塚さんのジャズ観はやはり私が感じるクラブ・ジャズの範疇でした。フュージョン、B級テイスト、アフロ・スピリチュアルなどがキーワードか? クラブ・ジャズの中では少々立ち位置が異なる大塚さんなんでしょうけれど、どっぷりジャズに浸かった私から見ると、そう大きく逸脱しているとも思えないのでした。一方の原田さんの選曲はとてもらしいものだと思いました。

最初こそハズレでしたが、後はどちらか一方を聴いた段階で、ほぼどちらの選曲か分かってしまったことも面白かったです。実は原田さんがかけたのは全てCDで、大塚さんがかけたのは全てレコードだったので、時にはスクラッチ・ノイズでどちらの選曲か分かってしまうところがあったわけですが、私はそういうことに関係なく、お2人の志向で判別できました。

大塚さんにとっては完全アウェイ状態、こういう場に独り殴り込みをかけてくる大塚さんの(女性ですが)男前な心意気に惚れました。フランクなお人柄にも好感を持ちました。ジャズについてもっと知りたいということなので大塚さんには頑張ってほしいです。

今回のイベント、とても面白かったです。改めて自分のジャズ観を見直す機会にもなりました。終了後に聞いた「いーぐる」常連の皆さんのご意見も「そう思われますよね。」という内容。終了後の打ち上げもとても楽しかったです。

原田さん、大塚さん、後藤さん、皆さん、楽しい時間をありがとうございました。

今回かかった曲目のリストは ジャズ喫茶「いーぐる」 の「blog」に後ほど掲載されると思います。そこには後藤さんのレポートも掲載されますので合わせて参照願います。

本件について次の記事に補足を書きましたのでお読み下さい。

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「音楽の正体」ふたたび

だいぶ前に「音楽の正体」という番組について書きました。

こちら⇒ 「音楽の正体」は最高です!

YouTubeにアップされている2回分を貼りました。

あと数回分がアップされているので、今回は別の回を貼ります。

この番組、私の妹に見せたらNHKの「歴史秘話ヒストリア」に似ているとの指摘。

確かに似ています。NHKがパクッたのかも?(笑)

時々鋭い指摘をする妹なのでした。

「根音と転回形」

ベース弾きの人には当たり前のことだと思いますが、

私にとっては「なるほどな。」と。

竹内まりやの《夢の続き》、好きです。

ベースと言えば、今日からシーズン3が始まった「スコラ」の以前の放送で、

細野さんがベースについて語っています。

細野さんが好きなチャック・レイニーのこのベース、

ヒップホップではこんな具合にカッコ良くなります。

EPMDの《I'm Housin'》は大好きです。

で、細野さんの超カッコ良いベースはこちら。

この《コバルト・アワー》がテーマ曲となっている回の「音楽の正体」が見たい!

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ゆったりした王道サックス・トリオ

昨年出た新譜の紹介です。前々回の記事でマイケル・ブレイクのアルバムを紹介しました。Amazonを見ていたらこの人のサックス・トリオが出ていたので買ってみました。

P156ベン・アリソン/マイケル・ブレイク/ルディ・ロイストン『ユニオン・スクエア』(2012年rec. ABEAT Records)です。メンバーは、ベン・アリソン(b)、マイケル・ブレイク(ss,ts)、ルディ・ロイストン(ds)です。3人併記なのでリーダーは特にいないようです。ブレイクの曲が4曲、アリソンの曲が2曲、ロイストンの曲が3曲にエリントンの1曲を加え計10曲が収録されています。

マイケル・ブレイクのサックス・トリオ・アルバム 『ライト・ビフォー・ユア・ベリー・イヤーズ』 とはドラマーがチェンジしています。今回参加しているロイストンは、宣伝文によると”ポスト・ブライアン・ブレイドの1番手との声も高い気鋭”とのこと。私が持っているアルバムではスティーブ・カーディナス(g)の『ウエスト・オブ・ミドル』、リンダ・オー(b)の『イニシャル・ヒア』、レイナルド・コロン(tp)の『ライズ』に参加していました。リンダとコロンのアルバムは私も高評価なので、このロイストンには今後注目していきたいと思います。

冒頭、ブレイク作《ストレイズ》はノホホンかつトホホなメロディーなのでちょっと拍子抜け。タイトル「ストレイズ」の意味を調べたら「迷子、放浪者」という意味なので、なるほど確かにそういう感じだと思いました。ブレイクの落ち着き払ったテナー、逞しいアリソンのベース、パルシブで繊細なロイストンのドラムが絡んでゆったりした時が流れていきます。この曲調がこのアルバムを象徴していると思いました。

収録されているのはミディアム~スローな曲がほとんどで、メロディーや曲の雰囲気を大事にしつつ3者がじっくり各曲を料理していきます。ゆったりしていますが緩くはありません。白熱する場面も現れます。リズムは基本的に4ビートと8ビートで、フリーな演奏はありませんから王道バップでしょう。ブレイクの『イン・ザ・グラウンド・スキーム・オブ・シング』と同様、フレージングのテクニックをひけらかすようなことはせず、メロディーを大事にしつつそのバリエーションでアドリブを展開。

ブレイクの《フラッパー》はユーモラスな曲で、私の頭にはドン・チェリーの『コンプリート・コミュニオン』が浮かんできました。4ビートで快調に飛ばし、ラストはテナーの無伴奏ソロで終了するオーガニックな演奏。ブレイクが娘イリスのために書いたホンワカ優しい曲《ビッグ・スマイル》がこのアルバムにも入っていました。娘の笑顔を見るとこんな気持ちになるのでしょうね。何となくボブ・ディランが作りそうな曲調です。こちらはソプラノ・サックスで包み込むような感じに演奏。

エリントンの《ウィグ・ワイズ》はソプラノ・サックスでしっかりスイング。ソプラノ・サックスがクラリネットのようでもあり、古き佳さを感じさせます。ロイストンの《ラッキー・マン》はアルバム中唯一の変拍子。ドラマーが作る曲らしく、ドラムが暴れ回ります。これもロイストンの《ラン・サザン・ボーイ》は4ビートでベースがかきむしり、曲調(特にドラミング)はあのアンリ・テキシェ『粘土の城壁』の《サクリファイス》みたいな感じがします。朗々とテナーを歌わせるブレイクが素敵。

地味目テイストのアルバムだと思いますが聴くうちに良さがじんわり染みてきます。
現代味を持つ王道バップ・サックス・トリオとしておすすめ。

アルバム名:『UNION SQUARE』
メンバー:
Ben Allison(b)
Michael Blake(ts, ss)
Rudy Royston(ds)

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オーディオの近況

今日はオーディオの話です。

昨年秋、急にオーディオ縮小化を思い立ち、メイン&サブシステムを1システムに統合。その時長年使っていたメインスピーカーのタンノイスターリングTWWを思い切って手放しました。小型スピーカークォード12L2にしたので省スペース化。自作したサブスピーカーはユニットを取り外してボックスを処分。

フォノイコライザーを自作し、サブシステム用プリアンプ兼フォノイコライザーとして使っていたラックスマンCL32を処分。ついでに予備機として保管していたヤマハC-2aも処分してしまいました。パワーアンプの予備機NEC A-10Ⅲも処分して、持っていたオーディオ機器はだいぶ減りました。ちなみに処分した機器は全てYahooオークションに出してリサイクル。

年末にはCDプレーヤーをマランツCD5003からオンキョーC-7070へと変更して、これにてオーディオの縮小化&リニューアルは終了。当分はこの状態で行こうと思います。

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スピーカー : クォード12L2
レコードプレーヤー : デンオンDP-3000/DK-300&FR-64fx、ビクターQL-7
MCトランス : フィディリティ・リサーチXG-5
カートリッジ : シュアーM97ED、デノンDL-103R
フォノイコライザー : 真空管12AX7自作
CDプレーヤー : オンキョーC-7070
DAコンバータ : オンキョーDAC-1000
プリアンプ : 差動FET自作
パワーアンプ : 真空管6V6プッシュプル自作、真空管6EM7プッシュプル自作
           真空管300Bシングル自作、MOS-FETプッシュプル自作
チューナー : ケンウッドKT-1010F
カセットデッキ : ビクターTD-F1
ヘッドホンアンプ : オーディオテクニカAT-HA21
ヘッドホン : AKG K-501
(注)右側ラック最下段のアンプは接続していません。

新品、中古、自作とバラバラのシステムですが、これでもまともに鳴ります。こういうところがオーディオの面白さであり腕の見せ所だと思います。自作や真空管ではまともな音が出ないと思う人はいるでしょう。それが違うんですよね。やってみれば分かります。私にとってのオーディオは必要十分な気持ち良い音で鳴れば良いので高級機は不要です。

真空管アンプ作りが趣味なので3台の真空管パワーアンプを交代で使って楽しんでいます。新しいスピーカーとのマッチングは順次確認してきました。最初は6V6プッシュプルアンプです。

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スピーカーのインピーダンスが8Ωから6Ωに変わったので、出力トランスの接続を変更しました。変更して音を出したらノイズが! 最初は配線ミスかと思いましたよ。しかし配線ミスはなく、真空管6V6の1本が不良でした。この真空管、買ってから1年経たないのにノイズが発生したのです。他のアンプと交換しながら使ったので使用時間はそれほど長くありません。ハズレだったのでしょう。仕方がないので同じメーカーの物をもう1組買いました。なぜこのタイミングでノイスが発生するようになったのか?謎です。特に不満なく鳴りました。このアンプでスピーカーのエージングを2か月程。

スピーカーの音が次第に落ち着いて、スピーカーの音色がだいたい掴めたところで次のアンプに交換してみました。6EM7プッシュプルアンプです。

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こちらもスピーカーのインピーダンスに合わせて出力トランスの接続を変更。今度は問題なし。聴いてみると低音が少々緩い感じです。アンプのダンピングファクターをもう少し上げるため、NFBを増やすことにしました。-6dBかかっていたので更に3dB(2倍に)増やそうと思ったのですが、手持ち抵抗に適当な値がなく、2dB増やして-8dBに変更。このくらいで良い感じになりました。6V6よりこれの方が中音が濃いかも?

年が明け、寒いので300Bシングルアンプに変えてみました。こいつは発熱が多いので寒い冬向き、逆に夏は暑くて大変です。夏には発熱が少ない6V6アンプを使うのが〇。

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300Bアンプの出力トランスには6Ω端子がないので変更はせず8Ω端子にスピーカーをつなぎます。8Ω端子に6Ωスピーカーを接続すると真空管の負荷インピーダンスが3/4(3.5KΩ⇒2.625KΩ)に減り、歪は増えますが出力は多く出るようになります。今の使用状況では真空管に無理な負荷はかかっていません。シングル動作なので低音の駆動力に不安があったのですが問題ありませんでした。逆に3台の中ではこれが一番豊かに鳴っている感じです。質も良く気に入りました。これが一番今度のスピーカーにマッチしているかも?

さて、ここで懸案事項が沸々と湧いてきました。6V6アンプの低音がもう少し豊になってほしいのです。以前から気にはなっていました。出力トランスが小型なので低域の容量が少々不足気味なのです。「えいっ、こうなったらやっちゃえー。」というわけで、出力トランスを一回り大型にします! 変更したら報告します。

こんな具合でオーディオ趣味は果てしなく続いていくのでした(笑)。

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これはなかなか曲者です。

ディスクユニオンの「NEW RELEASE」を見て買った新譜です。買ったのはもちろんAmazonから(笑)。ユニオンさんすみません。

P151マイケル・ブレイク『イン・ザ・グランド・スキーム・オブ・シング』(2011年rec. SONGLINE)です。メンバーは、マイケル・ブレイク(ts)、JP・カーター(tp,electronics)、クリス・ゲストリン(fender rhodes,moog micromoog synthesizer)、ディラン・ヴァン・デル・シーフ(ds)です。ベース・レス・カルテットですが、ベース・ラインは全てシンセで弾いていますので、サウンド的にはシンセ・ベースのクインテットに聴こえます。

マイケル・ブレイクはラウンジ・リザーズのメンバーです。一癖あるサックス奏者という風に認識されていて、私はそこが気に入っています。この人のアルバムは『マイケル・ブレイク・ブレイク・タルタル』(2003年?)『ライト・ビフォー・ユア・ベリー・イヤーズ』(2005年)の2枚を持っていて、それ以降忘れかけていたのですが、今回久しぶりにこの人のアルバムを買ってみることにしました。

このアルバムはブレイクの息子ローランドに捧げられています。ジャケット写真のパーカーを着て道路にいたずら書きをしているのがその息子。写真を撮影したのはもちろんブレイクで、かなりの親バカぶりですね(笑)。娘やお母さんなどのために書いた曲もあるなど、家族愛がテーマのようです。1曲を除いてブレイクが全て作編曲。

1曲目《ロード・トゥ・ルサカ》はガムラン風リズムに乗ってインド~スピリチュアルな雰囲気。ブレイクのテナーとカーターのトランペットが左右で掛け合いをして、軽快な心地良さがあるところが面白いです。次の《ザ・バラエティ・アワー》は素朴な南部の黒人音楽風で長閑に進行して行き、真ん中にスペイシーな部分が現れるという不思議な曲。

3曲目《サイバー・モンク》はタイトルどおりのモンク風バップ曲で、テナー・ソロ部分はサックス・トリオ。モロにバップ演奏です。アコースティック・ベースのように聴こえるシンセによるウォーキング・ベースがいい感じ。ベース・ソロはシンセ風味の音色になり、ここが”サイバー”なのか?メタな視線を感じます。次の《ウィリー》はカントリー/ブルース風バラード。その奥にユダヤ~アフリカが薄ら見えるところがアメリカならではか?

音響系トランペットが効果的なフリー系スピリチュアルなジャズあり、ボブ・ディランが歌いそうな曲を素直にメロディックに演奏する曲あり、ウェザー・リポート初期のような音響的でスペイシーな曲ありと、ジャズ~アメリカ音楽全般が見えるサウンドが現れては消えていく展開。ジャズの枠に縛られない、ブレイクが考えるジャズが表現されています。

ブレイクのテナー演奏は堅実でしっかりしたもの。カーターのトランペットは音響的な演奏はクォン・ヴー、バップ的な演奏はデイヴ・ダグラスといった感じか。似ているということを言いたいわけではなくしっかり演奏しているということです。ゲストリンのエレピとベースが時にスピリチュアルでありアフリカの黒さであり郷愁感をつのらせたりと、サウンドをリードします。ドラムは曲調に合わせて柔軟にビートを刻みます。

なかなか曲者ですが、気を衒っているわけではないので、じっくり聴き進めることができます。現代アメリカでなければ出てこないサウンド。独特な雰囲気のアルバムだと思いました。興味が湧いた方は是非。

アルバム名:『In the Grand Scheme of Things』
メンバー:
Michael Blake (ts)
JP Carter (tp, electronics)
Chris Gestin (fender rhodes, moog micromoog synthesizer)
Dylan van der Schyff (ds)

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現代先端ニューヨークな音。

新春一番のジャズ新譜紹介はマニアックでっせー(笑)。

今回のアルバムは、四谷の「綜合藝術茶房 喫茶茶会記」で行われている益子博之さんと多田雅範さんの「四谷音盤茶会」で紹介されたアルバムです。私はその会へ行ったわけではありませんが「喫茶茶会記」のホームページに内容がUPされていたのを見て購入を決定。MENUの中の「tadamasu-連載」をご覧下さい。今年は是非この会に参加しようと思っています。

P150トニー・マラビー/ペル・オスカー・ニルソン/ジョニー・アマン/ペーター・ニルソン『9 Stygn』(2010年rec. fresh sound new talent)です。メンバーは、トニー・マラビー(ts)、ペル・オスカー・ニルソン(g)、ジョニー・アマン(b)、ペーター・ニルソン(ds)です。カタカナ表記は参考まで。マラビー以外は初めて聴きましたし経歴も知りません。スウェーデン録音なのでスウェーデン人? フレッシュ・サウンド・ニュー・タレントからまだ新譜が出ていたんですね。

このアルバム購入の理由はマラビーがいたからです。現代サックスとしてはクリポタとこのマラビーが私の2大アイドル。クリポタがメセニーのバンドに起用されて知名度が上昇しつつある昨今ですが、マラビーは相変わらず知る人ぞ知るレベル(涙)。やっている音楽がなかなか世間一般受けする状況にないので仕方ありません。

このバンド、メセニーのユニティ・バンドと同じ構成ですが、こちらはいかにも現代ニューヨークのテイストです。3曲の即興曲にペル・オスカー作曲の8曲、そこにマイルスの《サークル》が加わって全12曲が収録されています。《サークル》をやっているのはあの時代のサウンドとの共通項があるからでしょう。

ペル・オスカーが8曲提供しているので、一応この人がリーダーと見て良いと思います。ギター演奏はビル・フリゼールの系譜。フリゼールほどカントリー調ではありませんが、そういう匂いがただようフレージングです。演奏としてはマラビーのサポートのような部分が多いです。

現代ニューヨークと言ってもアブストラクトなメロディーに変拍子のリズムというのではありません。曲は哀愁感を基調としたもので、リズムも8ビートと4ビート。空間性を意識させるあたりが現代ニューヨーク。即興演奏以外は特に難解なものはありません。

曲のメロディーを大切にしつつ、アドリブのテクニックではなく、サウンドを膨らませるようにして丁寧にメロディーを綴っていく曲を主体とする演奏の中に、従来のアドリブ・ソロを主体とした現代バップも数曲あります。3曲は4人による完全即興です。

何といってもマラビーの繊細な表現が素晴らしく、フレージングのテクニックではなく、サウンドの表情で聴かせる現代ジャズの一面がよく分かります。即興曲では触覚を刺激する音響的なソロが彼らしいです。パワフルにソロをとる場面もあり、マラビー・ファンには納得の1枚だと思います。

ドラムとベースは特別凄いというものは感じませんが、ドラミングは間違いなく現代の手法で巧みにグルーヴし、ベースはアーティスティックなものです。マラビーとやっていてグループ・サウンドに特に違和感がないわけですから、現代ニューヨークの人達と比べても何ら劣るところはないと思います。

陽気に明るくというよりは落ち着いて静かにという音楽ですが、きちんと聴かせてくれますし、イマジネーションを喚起してくれる音楽です。

アルバム名:『9 Stygn』
メンバー:
Tony Malaby(ts)
Per-Oscar Nilsson(g)
Johnny Aman(b)
Peter Nilsson(ds)

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明けましておめでとうございます。

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。

さて、年末「転校生」が気になったのでAmazonでアルバムをチェックしたら、
「よく一緒に購入されている商品」に”パスピエ”の名がありました。
クリックして試聴してみるとこれがなかなかいい感じ。
今度はYouTubeでパスピエを検索すると何曲かアップされていました。

これなんかかなり好きです。

曲調がどんどん展開するところが痛快。
サビのメロディーがかなり好き!
過去にどこかで聴いたことがあるようなサウンドの集合体。
ポップでロッケンローなところが気に入りました。

ということで、パスピエの『onomimono』『転校生』をAmazonで”ポチッ”。

30日の深夜に注文したのが今日届きました。
まさか元旦に年賀状と一緒に配達されてくるとは!

P149_2

ということで、今年はこの2枚で始まりました。
タイプの違うこの2組。
それぞれ良いです。
色々な音楽に出会えるのは楽しいですよね。

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