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「益子博之=多田雅範 四谷音盤茶会」前編

先日の日曜日は 「綜合藝術茶房 喫茶茶会記」 で行われた「益子博之=多田雅範 四谷音盤茶会 vol.08」へ行ってきました。

P167_2「喫茶茶会記」に来るのは今回が2度目です。1度目はフルート奏者 Miyaさん と雲さんと後藤さんとここで会談?をしたのでした。Miyaさんもここで定期的にライブを開催していて、2月10日(日)には「南無観 New Moon Improvisation Solo Perfomance Vol.16」があります。フルート・ソロによるインプロです。このライブは一度観に行こうと思いつつ、まだ実現していません。「喫茶茶会記」はちょっと奥まったところにある都会の隠れ家的なお店。写真の左側の扉が入口です。

中に入って最初に会計、ワンドリンク付きなのでビールをいただくことにしました。コーヒーにでもすべきところ、冬なのになぜかビールにしてしまったという(笑)。メニューの中でそこに目が行ってしまったのだからしょうがありません。

講演者の皆さんに一言挨拶して着席。開演までの間になぜか汽車の生録がかかったりしてました。今注目のビッグバンドDARCY JAMES ARGUE'S SECRET SOCIETY『INFERNAL MACHINES』もかかりました。デビュー作でグラミー賞を受賞しています。なかなか格好いいサウンドでした。3、4月にはセカンド・アルバムが出るそうです。

このイベントはニューヨーク・ダウンタウン・ジャズを中心とした新譜CD試聴会です。現在選盤は益子さん主体で行われているようで、益子さんがアルバムをかけて解説し、多田さんとゲスト(ベース奏者・作曲家の織原良次さん)がコメントをするような形で会は進行していきました。多田さんがユニークかつユーモア溢れるコメントをされていたのが印象的で、「いーぐる」でやっていたころの、原田正典さん的ポジションを担っている感じでした。

最初にゲストの 織原良治さん から自己紹介がありました。織原さんはサックス奏者橋爪亮督さんのグループでベースを弾いている他、「透明な家具」(ベース音をサンプリングして部屋に鳴らしっ放しにしておき途中音を引いていったりする)という面白いアンビエント/インスタレーションもしているそうです。

今回は2012年第4四半期(3ヵ月間)の新譜紹介です。
リストは tadamasu-連載 を参照願います。

*以下の解説は当日喋った全てのことではなく、誤解している箇所がある可能性もありますので、ご了承下さい。

いつもは厳しいものから始めるけれど、今回は逆に厳しくない歌ものから始めるとのことでした。

1.デイヴ・ダグラス・クインテットの『ビー・スティル』から《ビー・スティル・マイ・ソウル》

イーファ・オドノヴァンが歌っています。オリジナルはやっていません。ダグラスのお母さんがやってほしいと言っていた歌を、お母さんが亡くなった後にこのアルバムでやっているという、お涙ちょうだい的なもの。今回30代前後の若手を起用していて、その人種が様々。ジョン・イラバゴンはフィリピン系、リンダ・オーは中国系マレーシア人、ルディ・ロイストンは黒人といった具合。カントリー系のサウンド。今カントリー系はアメリカだけでなかく、日本でも人気があるとか。大和田俊之さんの話として、今の大学生はブルースのような癖の強いものは聴かず、フォーク・カントリーのような軽いものが好まれているという話がありました。多田さんは、「80年代ECMにあった?」という感じに聴いたそうです。

これはジャズ喫茶「いーぐる」の「年末ベスト盤大会」で田中ますみさんがかけずに紹介だけしたアルバム。私は買おうか迷っていて買わなかった1枚。普段ボーカルはあまり聴かない(J-POPは聴きますが)からです。聴いたらダグラスのトランペットもなかなか良い感じでした。

2.サニー・キムの『ペインターズ・アイ』から《ペインタース・アイ》と《イン・ビトゥイーン》

クリス・スピード、アンジェリカ・サンチェス、ベン・モンダーが入っているから購入したとのこと。サニー・キムは韓国人。ボーカルがちょっと変わっているから聴いてほしいとのことでした。私はスローな曲ではハミングみたいに感じたのですがハングル語でした。益子さんは、クリス・スピードのサックスが良く、多田さんは、アンジェリカ・サンチェスのピアノが良いとのこでした。織原さんは、盛り上がらす併走する感じ(私には”併走”という感覚が正確に把握できていません。この後も度々登場する言葉)が良いとのことでした。それから女子ボーカルが今たくさん出てきているそうです。最近は黒人が歌っていてもそれと気付かない場合が多く、北欧出身だたりするそうで、北欧は意外と黒人が多いとのことでした。サラ・セルパ、マリア・ネッカム、とか何人かあげていました。

これはまあこんなのもあるということで、共演メンバーは良いですけどね。

3.ヤコブ・アンデルシュコフ・ウィズ・アグノスティック・リヴェレーションの『グラウラ・アルケミー』から《メタル》

アンデルシュコフはデンマーク人のピアニスト。クリス・スピードとのカルテットです。アグノスティック・リヴェレーション・バンドはベテランを起用。ベースがマイケル・フォーマネクでドラムがジェラルド・クリーヴァー。マイケル・フォーマネクはECMからアルバムを出していて、ティム・バーンとクレイグ・テイボーンとのバンドだけれど腑抜けた感じ。しかしこのアルバムはだれない。さすがは益子さん、厳しぃー。ILKレーベルはエレクトロニカも出すレーベルで、このアルバムはそんなILKらしさがあります。多田さんは、クリス・スピードの冷やかで揺らぐ感じ、不安定だけれど揺らぎない世界が良いとのことでした。多田さんとしてはこのバンドの2010年のアルバムのほうが良いそう。織原さんは、バラバラなものを重ねていくサウンドが良いとのことでした。こういう演奏が出来るのは凄いとおっしゃっていました。

この手のサウンドは益子さんが前から推薦しているものですよね。そうか2010年のアルバムは、ディスクユニオン新宿ジャズ館でアウトレットになっているのを何度か見ながら買わなかったのは失敗だったか?私はこの手の緊張感溢れるものは今のところ控え気味。

4.オチコチの『Ochikochi』から《秋の歌》

サックスのかみむら泰一はクリス・スピードと同じ頃にバークリーにいて、NYにもいて影響を受けているとのこと。その後かみむらは日本に帰ってきます。かみむらはこれまで2枚のアルバムをイーストワークスから出していてニューヨークっぽいサウンドだそうです。ベーシストの是枝則克は一昨年急逝。かみむらは是枝と一緒に録音しようとしていたら是枝が亡くなったのでかなわなかったとのこと。このアルバムは是枝が存命中に競演したライブ音源をピックアップして収録。織原さんによると、かみむらさんの曲にコードはなく、西洋ルールではないとのこと。しかし決まっているところがあって演奏するのは難しいそう。並走することをテーマとしてやってきて、出すようで出さない音などは、長年かかって到達した深みがあるとのことでした。多田さんは、最初のサックス・トリオ部分はありがちで、ベース・ソロでアルコ奏法になるとサウンドが面白くなるとのことでした。益子さんは、音質がいまいちなのが残念とのことでした。

このアルバムについては益子さんが「com-post」に詳しく書いているので参照願います。http://com-post.jp/index.php?itemid=700

私はこのサックス・トリオが結構気に入りました。おおらかでスケールが大きいサックス、間を埋める逞しいベース、パルシブなドラミングの絡み具合が心地良く感じられました。比較的オーソドックスな感じは私にとって◎。

5.ハン・ベニンク・トリオの『ベニンク #Co.』から《Klein Gebrek Geen Bezwaar》

サックス/クラリネットのヨアヒム・バーデンホルストはニューヨークと行ったり来たりしているそうです。ベニンクはスネアだけ叩いています。トラディショナルな感じ(私には《イン・ザ・ムード》っぽいメロディーに感じられた)が出たり、今風だったりするのが面白いところ。3人の即興と思われます。ミニマルっぽいところがエレクトロニクスを使った感じに似ていて今時。プリペアド・ピアノがギシギシ鳴ったり、ベニンクが鈴を持ちながらやったり、ノイズが鳴っている中の演奏が面白い。織原さんによると、違ったことをやり続けられる記録を残すというような側面があるとのことでした。益子さんは、振り幅がある演奏を若手と年寄りが一緒にやっているのが面白いそう。多田さんは、これのような反応し合う演奏より、動かないで多層に演奏しているものが面白いとか(”併走”と同じことを意味する感覚のようです)。なるほどなるほど。

これは買って聴いてみるところまではいかないかな?

ということで今日は全10枚中の前半5枚で終了します。続きは次回。

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