レズ・アバシの新作ギター・トリオが良い!
ジャズ喫茶「いーぐる」の「2012年ベスト盤大会」で私がかけたのはヴィジェイ・アイヤ。その一派であるギタリストのレズ・アバシが新譜を出しましたので紹介します。
レズ・アバシ・トリオの『コンティニュアス・ビート』(2012年rec. enja)です。メンバーは、レズ・アバシ(g)、ジョン・エイベア(b)、武石聡(ds)です。エンヤ・レーベルに移籍して2枚目のアルバム。アバシはパキスタン出身ということで、アイヤやサックスのルドレシュ・マハンサッパなどとインド系の一派ということになります。しかしエンヤへ移籍してからは、インド色は薄くなってより一般受けする感じになったところに私は好感を持っています。
今回もその流れで正統派現代ギター・トリオです。アバシのギターはカート・ローゼンウィンケルをよりダークにしたような感じ? でもジョン・スコフィールドのようなブルージーさやビル・フリゼールのような浮遊感もあったりと、今時の人らしく現代ギター系譜の色々な要素を含んでいます。バカテクで速弾きするというよりは独特なフレーズをじっくり聴かせるタイプ。職人系のギタリストだろうと思います。
今回のアルバムには9曲収録。ただし冒頭はもろインドなギター多重録音の2分半程の《イントロダクション》で、ラストはなぜかアメリカ国歌なので、実質7曲ということになります。7曲中4曲が自作曲で、残り半分の3曲がゲリー・ピーコック、キース・ジャレット、セロニアス・モンクの曲です。ピーコックにキースにモンク、かなり渋い選曲ですよね。
ピーコックの《メジャー・メジャー》は軽やかな良い曲なので、何となくメセニーのトリオを想起させます。これが単に軽やかではなくなかなか濃厚。ベース・ソロが図太く響きます。
キースの《ザ・キュア》は元々オリエンタルなメロディーだからでしょうか?アバシのメロディーセンスにマッチしています。”エンヤートット”なリズム&ベースの繰り返しリフの上で、アバシのギターが良い味出してます。なんとなく演歌を感じます(笑)。ドラム・ソロは”ドタバタバシャン”と元気に。この曲/演奏が気に入ってます。
モンクの《オフ・マイナー》はテーマを素直に弾かずフリー演奏。3人のインプロビゼーションは腰が据わっていて力強く絡んでます。
アバシのオリジナル曲は変拍子を交え、アブストラクトになり過ぎないメロディアスさが独特の味わい。ギターをしっかり聴かせてくれます。全曲においてベースはゴリゴリと図太く鳴り、ドラムはパーカッション的でいながら腰の据わったグルーヴを生み出しています。3人で決してドシャメシャにやるわけではないのに、ガッツ溢れる演奏になっているところが気持ち良いです。
ちょっと地味な感じですが、これは骨太のギター・トリオです。
なかなか手応えがあります。推薦!
アバシ、ヴィジェイ・アイヤ、ルドレシュ・マハンサッパと、この一派の活動から目が離せません。来年にはマハンサッパの新譜『Gamak』が出ます。これがデヴィッド・フュージンスキー(g)、フランソワ・ムタン(b)、ダン・ワイス(ds)とのカルテット。この顔合わせって異色ですよね。要注目!
アルバム名:『CONTINUOUS BEAT』
メンバー:
Rez Abbasi(g)
John Hebert(b)
Satoshi Takeishi(ds)
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コメント
REZ Abbasi(NYC) w/Rudresh Mahanthappa, Vijay Iyer - Insulin
を
聴きました。
すんごく かっこ 良い ですね!!
フリーの要素のグチャグチャ感と
ガシッとした演奏のところと
とてもバランスが良くて
気持ちいい 曲でした。
それにしても
「いっき」さま は
すごく 色々 お聴きなのですね
すばらしいです☆
時々 訪問するかもです・
投稿: タタガータ氏にここのHPを教わりました | 2013年12月28日 (土) 07時47分
こんにちは。
コメントありがとうございます。
これ、カッコ良いですよね。
おっしゃるような良さがあると思います。
節操なく色々聴くのが私の取り柄です。
色々なものに触れるのは楽しいです。
お気軽にご訪問いただければ幸いです。
投稿: いっき | 2013年12月28日 (土) 12時19分