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なかなか面白い趣向の新譜です。

今日の1枚はディスクユニオンJAZZ館ホームページの「NEW RELEASE」を読んで買いました。Amazonでは売っていないので先々週上京した時にディスクユニオンで購入。

P145ヤコブ・ブロ/トーマス・ナック『ブロ/ナック』(2011,2年rec. LOVELAND RECORDS)です。メンバーは、ヤコブ・ブロ(el-g,vo)、トーマス・ナック(rebuild)、ポール・ブレイ(p)、ケニー・ホイーラー(flh)、ビル・フリゼール(el-g)、トーマス・モーガン(b)、ダヴィ・ヴィレージェス(p)、オスカー・ノリエガ(cl)、ヤコブ・カルバーグ?(cello)、ジェフ・バラード(ds)他です。

ディスクユニオンや他のサイトには以下の宣伝文が書かれています。

デンマークの才人ヤコブ・ブロがデンマークのエレクトリック/音響系アーティスト、トーマス・ナック(a.k.a.Opiate)による双頭名義でのリリース。ポール・ブレイ、ケニー・ホイラー、ビル・フリゼール、ジェフ・バラードら大御所アーティストが各曲ごとに多様なフォーマットで入れ替わりに参加しております。ベースは完全にブロとナックによる音響系をベースに創り込まれていくスペーシーなサウンド・ワークを展開しております。(新譜インフォより)

これが曲者。これを読むとブロとナックによる音響系をベースにした演奏の上で、大御所アーティストが入れ替わりで演奏するかのように受け取れます。ところが違うのです。

CDは2枚あります。1枚目は「BRO/」と題されています。こちらは現代音楽的な内容。ヴィレージェスやブレイのピアノ・ソロ曲、チェロやハープ入りの小編成でホイーラーがフリューゲルホーンを吹く室内楽的な曲、ノリエガのクラリネットとハープのデュオ曲、フリゼールとブロとモーガンによるカントリー調トリオ曲などがあり、そのほとんどは短い曲です。ブロは9曲中5曲演奏。いずれもほぼ楽譜に書き込まれたものを演奏していると思われます。ブロが全曲を作曲しているのでしょうか?

そして2枚目は「/KNAK」と題されています。こちらは1枚目に録音されたトラックを素材に、打ち込みやサンプリング音を加えてナックが音響系のサウンドに再構築したものです。ヤコブ・ブロがピアノを弾いていたりします。

ということで、このアルバムはブロらによる現代音楽的な演奏と、それをナックが音響的に再構築したもののを合わせてアルバムにしているのです。新譜インフォはバイヤーがきちんとこのアルバムを聴いていないことの表れではないかと思います。情けない。販売店も新譜インフォをまんま記載するだけで売る気が乏しいと思います。これまた情けない。

上記コンセプトを伝えて初めて、「面白そうなので買って聴いてみよう。」という気になるのではないかと私は思います。最近はジャズを売る側の気概があまり感じられない場面もちらほら。で、”あまり売れない ⇒ 売る気が減る ⇒ 更に売れない ⇒ 売る気がなくなる ⇒ ほとんど売れない”の悪いスパイラルが起きかねない状況(涙)。

このアルバム、ジャズではありませんがこれがなかなか良いです。1枚目はメンバーが一流ですから演奏もしっかりしています。各トラックにはアートな空間が現出しています。私は特にポール・ブレイのピアノ・ソロが気に入りました。録音が凄く良くて目の前でブレイがピアノを弾いているように感じられ、ブレイの深みのある美世界にグイグイ引き込まれてしまいます。

余談ですが、リニューアルした私のオーディオはこのピアノの音がとても良く鳴ってくれるのでちょっと感動しました。やはりクォードのスピーカーはこういう音楽的な表現が得意なようで、このスピーカを選んだ甲斐があるってもんです。

2枚目はイマジネイティブなサウンドが物語のように展開していきます。サンプリングや打ち込みビートは洗練されていています。だからと言ってB.G.M.的かというとそうでもなく、なかなかアグレッシブなトラックもあって、芸術性と攻撃性の調和ぶりには感心させられてしまうのでした。決して頭でっかちではありません。自然志向です。こういうサウンドを作れるところがヨーロッパの音楽土壌の豊かさなのかと思ったりします。

1粒で2度美味しいこのアルバム。
「面白そうなので買って聴いてみよう。」という方は是非。

アルバム名:『BRO/KNAK』
メンバー:
Jakob Bro(el-g, vo)
Thomas Knak(rebuild)
Paul Bley(p)
Kenny Wheeler(flh)
Bill Frisell(g)
Thomas Morgan(b)
David Virelles(p)
Oscar Noriega(cl)
Jakob Kullberg(cello)
Jeff Ballard(ds)
etc.

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