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この広告が私をジャズにドップリ嵌らせてしまった。

ジャズ雑誌「スイングジャーナル」に「モダンジャズ読本(ジャズ・ブック)」という臨時増刊があることを皆さんはご存知でしょうか? 私は76年から94年までの(85年欠)「モダンジャズ読本」を持っています。

リアルタイムで買ったのではなくもちろん中古本を購入しました。なぜ買ったのかと言うと、10年くらい前にYahooオークションで懐かしの日本オーディオ機器を落札しまくっていた時、この本でオーディオ機器の仕様などを確認したからです。記事の1/3くらいはオーディオ記事で、オーディオ評論家による組み合わせコンポ例を眺めては当時を思い出してニンマリしていました。

そういうオーディオ機器がオークションにはわんさか出品されていて、そこそこ動きそうなもので興味があるものはかなり落札しました。レコードプレーヤー、アンプ、スピーカー、カートリッジなど、70個くらいは落札していると思います。ほとんどの機器はある期間楽しんだ後に再出品という流れでした。気に入ったものはメンテして長く使ったりもしました。今も使用しているものがあります。

面白いのは「ジャズオーディオ道場」なる記事、オーディオ評論家が当時流行っていたジャズ喫茶にオーディオ機器をたくさん持ち込み、ジャズ喫茶のお店のオーディオと対決するという企画です。

よくもまあ高価なオーディオ機器を持ち込むわけですよ。それでお店の時間をかけてセッティングされているオーディオと対決。オーディオ評論家がいくら高価な機器を組み合わせたからと言って、持って行っていきなり良い音で鳴るほどオーディオは甘くないとは思うのですが、お店の個性的な音と評論家の考える良い音を聴き比べるのは面白かったろうと想像します。最後にはオーディオ評論家がお店に「免許皆伝」を与えるという上から目線がが凄い(笑)。「ベイシー」や「メグ」でもやっています。

さて、今日の話題はオーディオではなくてある広告の話です。

P94
これは81年に出た「モダンジャズ読本’82」。内容は81年の総括です。表紙からも分かるようにマイルスが長期休養から復帰した年です。児山紀芳さんのマイルスインタビュー記事が大々的に掲載されています。新宿西口広場でのマイルスのライブ写真も満載。懐かしですね。これです。この《ジャン・ピエール》は『ウィ・ウォント・マイルス』に収録されてます。当時TVで観ました。カッコいいなと。

全国有名ジャズ喫茶のオーディオ装置一覧表があります。

「いーぐる」はカートリッジがM97HE、トーンアームがAT-1500Ⅲ、ターンテーブルがDP-75、アンプがAU-D907Limited、スピーカーがJBL4343Bです。あらまっ、今私が使っているカートリッジはM97EDなので、似たような選択にニンマリ。ターンテーブルはDP-80からDP-3000にした私とこれまた似たような選択。

「メグ」はカートリッジがSTS455E、トーンアームがSME3009、ターンテーブルがDP-3000、アンプがC-200とP-300、スピーカーがJBLオリンパスS8R、レコードプレーヤーは当時の定番。アキュフェーズでオリンパスを鳴らしていたんですね。

まっ、はっきり言ってしまえば、「いーぐる」も「メグ」も当時のオーディオの定番品を使っているわけでして、優等生的な組み合わせです。捻りがありませんね。しいて言えば両店のカートリッジ選びにらしさを感じます。

やっと本題です。この本に当時のCBSソニーの再発廉価盤の広告があります。「ビッグ・ジャズ・フュージョン23」。そうです。この広告こそが私をジャズ聴きへと嵌らせてしまうことになるのです。

P95
「マイルス、ハービー、ウェザー。フュージョンは、ここから始まった。」、私が最初に買ったジャズ・アルバム日野皓正の『ダブル・レインボー』を買った時に、このチラシをもらったのです。当時はジャズよりフュージョンに興味がありましたから、「やっぱマイルス、ハービー、ウェザーを聴かなきゃヤバイでしょ。」と思ったわけです。

実際に買ったのは翌82年だと記憶していますが、お小遣いをオーディオへと回していたため、レコードにはそれほど回すことができず、悩みに悩んで選びに選んで最初に買ったのが、もう何度も書いているように下記の3枚。

マイルス:『パンゲア』、ウェザー:『スイートナイター』、ハービー:『マン・チャイルド』。

この広告のコメントを何度も読んで選びました。『パンゲア』にはこう書いてあります。「”アガルタ”と同様’75年大阪公演夜の部を完全収録。’70年代マイルスワールドの総集編ともいえる傑作。」。”総集編ともいえる傑作”これですね。選択のポイントは。なんで『アガルタ』にしなかったかというと、『アガルタ』は”重要作”と書かれていたからです。”重要作”と”傑作”の違いは大きいのです。ちなみに『ビッチェズ・ブリュー』は”歴史的名盤”。今にして思えば、歴史的な『ビッチェズ・ブリュー』より時代の匂いが薄い『パンゲア』にして正解でした。聴いてとにかく衝撃を受けました。

続いて『スイートナイター』にはこう書いてあります。「思わず息をのむ音宇宙。マイルスの”ビッチェズ・ブリュー”と共に、’70年代ジャズの流れを決定づけた問題作」。これもなぜか”歴史的処女作”と書かれていた『ウェザー・リポート』を選びませんでした。この選択も正解だったと思います。『スイートナイター』の黒いファンクが最高だったからです。曲構成も新鮮でしたね。最初に聴いた時は変なメロディーだと思いましたよ。メロディアスだけれど、それまで聴いてきた経験からこういう風に続くだろうという予測を裏切るメロディーでした。

最後に『マン・チャイルド』にはこう書いてあります。「最強のハービー・バンドに多彩な顔ぶれを迎えての大ファンキー・サウンド。史上に残るブラック・ファンクの秀作。」。”ブラック・ファンクの最高傑作”と書かれた『ヘッド・ハンターズ』ではなく、“秀作”のこれを選択した不思議。これはその”大ファンキー・サウンド”に酔いました。ブラザーズ・ジョンソンのツイン・チョッパー・ベース、アープ・オディッセイのシンセ・ベースにはクラクラきました。

今にして思えば歴史的な名盤を見事に避けての選択でした。私のヘソ曲がりぶりを改めて認識しましたね(笑)。でもそれこそがきっと私をマニアへと駆り立てる根源なのです。

この短い宣伝コメントは重要ですよね。私がジャズに嵌るか嵌らないかの鍵を握っていたわけですから。時にはこんな短い宣伝コメントがある人間の人生を変えてしまうことも有りうるのではないかと思います。はははっ、ちょっと大げさ過ぎ。

ここに掲載されているアルバムではマイルスの『ビッグ・ファン』とハービーの『デディケーション』を未だに持っていません。ハービーのソロ作『デディケーション』はこれからも買わないと思います。『ビッグ・ファン』は安い中古レコードを見つけたら買います。ウェザーのレコードは全部このシリーズのものを持っています。ただしリアルタイムで新品を買ったのは『スイートナイター』と『幻祭夜話』だけで、あとはその後中古レコードを買いました。

この広告、私のジャズ聴きの原点としてとにかく懐かしいです。

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コメント

いっきさん、こんばんは。


「スイングジャーナル」の'70年代’80年代の記事は面白いですね。
先日、ディスクユニオンの新宿店で「モダンジャズ読本」の’75、'76、’83、'84が4冊セットで400円で買ってきて楽しんでいたところなので、いっきさんの楽しみも分かる・・・オーディオの記事はもう読まないなぁ〜(笑)。


この頃完全に'70年代〜'80年代のマイルスに熱中しています。そうそう自分の記憶をたどって、サンタナの友だちだと考えればマイルスも楽しいです。(笑)。

投稿: tommy | 2012年11月16日 (金) 02時57分

tommyさん
こんばんは。

>「スイングジャーナル」の'70年代’80年代の記事は面白いですね。
そうですね。
ジャズ界自体が今と比べ物にならないくらい活況を呈していたわけですから、自ずと面白くなったんだろうと思います。
今にして思えば良い時代でした。

>「モダンジャズ読本」の’75、'76、’83、'84が4冊セットで400円で買ってきて楽しんでいたところなので、いっきさんの楽しみも分かる・・・
それは安いですね!良い買い物だと思います。

>オーディオの記事はもう読まないなぁ〜(笑)。
でしょうね。私にとっては青春時代のオーディオなので懐かしさいっぱいでした。オークション込みで一時期楽しんだということです。

>この頃完全に'70年代〜'80年代のマイルスに熱中しています。
マイルスはそれだけ注目されていたということです。

>そうそう自分の記憶をたどって、サンタナの友だちだと考えればマイルスも楽しいです。(笑)。
それもいいのではないでしょうか。

投稿: いっき | 2012年11月16日 (金) 20時28分

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