マイケル・フォーマネクの新譜
今日はこれから甲府 「桜座」 で「EDGE」のライブを観ます。ライブレポートは後日UPしますのでお楽しみに。
今日は新譜紹介。
マイケル・フォーマネクの『スモール・プレイシーズ』(2011年rec. ECM)です。メンバーは、ティム・バーン(as)、クレイグ・テイボーン(p)、マイケル・フォーマネク(b)、ジェラルド・クリーバー(ds)です。12年ぶりに出た前アルバムと同メンバーによる2年ぶりの新譜になります。
前アルバムについては以前書いてありますので参照下さい。
もう少しECM系NY現代サウンドをやってほしかった。
そちらはプロデュースがマンフレート・アイヒャーとマイケル・フォーマネクの2人がやっていて、ECMサウンドから逸脱した部分もままありました。ちょっと統一感に欠けていつつも、このメンバーですから演奏力とアートなジャズは魅力的でした。
今回のアルバムはアイヒャーのみがプロデュース。なので見事にECMサウンドです。アイヒャ―の美意識の徹底ぶりには恐れ入るのもがありますよね。クールで寒色系で落ち着いたトーンで統一されています。作曲も結構重視しているため、通して聴くと現代音楽のように聴こえます。ライナーノーツの写真、バーンが楽譜を見ながらアルトを吹いているものが3枚、楽譜を見て考えているものが1枚。それに象徴されるようなジャズです。
最近俗なポップスをよく聴いているので、ちょっとダレた耳になってしまうところがあります(笑)。そこでこのアルバムなんですよ。これを聴くとダレ耳がリフレッシュされるという効果があります。実に気持ち良いのです。私なんかは同じようなものを聴き続けると飽きてしまう性分なので、こんな具合に硬軟織り交ぜて聴くのが音楽を長く聴き続ける秘訣になります。
バーンが粗野に咆哮するのはもちろん好きなのですが、このアルバムのようにクールに知的に吹くのも好きです。テイボーンについても同様なことが言えます。クリポタのアンダーグラウンド(今は脱退)での尖がったフレーズでダークに迫るプレイも、このアルバムでのクラシック的な知性溢れるプレイも好きです。クリーバーもきちんとこの手のサウンドに対応。演奏力は皆高レベルなのは言うまでもありません。
リーダーのフォーマネクはアイヒャーの要望をきちんと消化。作曲(全曲)とリーダーシップでこのアルバムをきっちり作り上げていると思います。ベースのプレイはもちろん知的。芸術的な音楽/ジャズも必要なのです。こういう時代に左右されないジャズも必要なのです。
昔はこの手のジャズが嫌いだったのに、今はどうやら落ち着いて聴けます。
歳を取ったということなのでしょうね。それもまたよし。
アルバム名:『Small Places』
メンバー:
Tim Berne(as)
Craig Taborn(p)
Michael Formanek(b)
Gerald Cleaver(ds)
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コメント
昔JMT(Bambooだったかな?)のティム・バーンの一連のリーダー作を聴いて、フリーなんだけどこの構築感は一体どうなっているのか、疑問でした。このアルバムの中の写真で氷解したというか、予想がある程度当たったというか、やはり書き込まれた楽譜が存在していて、そことフリーと行ったり来たり、あるいは同時進行だったんですね。フォーマネクのリーダー作だけど、おそらく手法は近いのでは、と思わせます。プロデュースも見事な感じですね。最近のECMの諸作の中でも気に入ってます。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2012年11月 6日 (火) 20時41分
910さん
こんばんは。
JMT(Bamboo)にティム・バーンのそういうアルバムがあったんですか。私は当時ティム・バーン方面に全く興味がありませんでした。ということは、今回のこれはもう手慣れた表現方法だということなんでしょうね。凄く収まりが良く聴こえるのはそのせいかもしれません。以前はこういうのは全くダメでしたが、やっと良さが分かるようになりました。
TBありがとうございました。
投稿: いっき | 2012年11月 6日 (火) 23時02分