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このトランペットは気持ちいい。

久しぶりにブログで紹介していない新譜が手元にない状態です。とにかくCDとレコードの数が多いので、最近は余程気になる新譜でない限り買わないことにしています。そんなこともあり、今買おうと思っているのは発売待ちのカート・ローゼンウィンケルの新譜のみ。ブログは適当に棚から選んで書いていくことにします。

P121今日はフレディ・ハバード『ジ・アーティストリー・オブ・フレディ・ハバード』1(1962年rec. impulse)です。メンバーは、フレディ・ハバード(tp)、カーティス・フラー(tb)、トミー・フラナガン(p)、ジョン・ギルモア(ts)、アート・デイヴィス(b)、ルイス・ヘイズ(ds)です。この時期はブルーノートにだけ録音を残しているんだと思ったら、インパルスにもあったんですね。

このアルバムを知ったのは後藤雅洋さん著「ジャズ・レーベル完全入門」に掲載されていたからです。さすがはジャズ喫茶のマスターですね。こういうアルバムを知っているのがマスターの凄いところです。本に書いてあることを転載させていただきます。

フレディ・ハバートというとやたらブルーノートの印象が強いが、インパルスにも吹き込んでいて、これなんかはブルーノートものと対等に張り合える内容になっている。典型的なハードバップ3管セッションだが、やはり50年代演奏とは一味違う新鮮さがある。だが何よりもフレディの調子が好調(ハイ・ノート、バリバリ)なのが一番だ。マニアの視線は、もしかするとサイドのテナー、ジョン・ギルモア方面に向くかもしれない。

聴いてみていつも思うことは、「おっしゃるとおりでございます。」ということ。この短い文章に言うべきことが見事に集約されているのです。

一味違う新鮮さというのは当時のモーダルな響きが感じられるところなのだろうと思います。《サマータイム》なんかはワルツ演奏で、リズム・フィギュアはコルトレーン・カルテットのようですし、テーマの3管アンサンブルはギル・エバンス的淡い色合いを称えています。そんな中で繰り広げられるクールな演奏はかなりカッコイイです。

さて、マニアの視線が向くジョン・ギルモア。一言で言うと熱い情感が醸し出されています。後藤さんが好きなジャッキー・マクリーンにも共通する雰囲気を持っているのです。確かに視線を引き付けてます。ピアノは名盤の影にこの人ありと言われるフラナガン。ここでもツボを押さえた演奏はその名に恥じないと思います。

ハバードは確かにハイ・ノート、バリバリ。トロンボーンのフラーも負けじと頑張ってます。そして全編に渡って爆ぜるヘイズのスネアとシンバルが気分を高めてくれています。黒い雰囲気も最高です。60年代のハードバップ名演。

私のはオリジナル盤なんですよね。モノラル、溝なし、プロモ白ラベル VAN GELDER刻印です。ほとんどノイスなし。ブルーノートのような誇張がないインパルスにおけるルディ・ヴァン・ゲルダーの明快な録音が当時のまま蘇るリアリティ。この生々しさはやっぱり当時のレコードでしか聴くことができないものだと思います。

まっ、オリジナル盤云々より、やっぱり演奏が素敵であることが大事です。

アルバム名:『the artistry of freddie hubbard』
メンバー:
Freddie Hubbard(tp)
Curtis Fuller(tb)
Tommy Flanagan(p)
John Gilmore(ts)
Art Davis(b)
Louis Hayes(ds)

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