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最近あまり話題になりませんが良いです。

新譜紹介です。

P119ザ・バッド・プラス『メイド・ポッシブル』(2011年rec. eone)です。メンバーは、リード・アンダーソン(b,syn,electronics)、イーサン・アイヴァーソン(p)、デヴィッド・キング(acoustic/electronic ds)です。このグループ、ロック・テイストで爆音演奏するということで、数年前まではかなり人気があって話題にもなっていたのですが、最近はあまり話題にならなくなってしまいました。日本盤も出ないみたいですね。

話題になり始めた頃に出たアルバム『ギヴ』(2004年)は買いました。日本盤を買ったので児山紀芳さんのライナーノーツが付いています。2003年度の米ダウンビート誌「国際ジャズ批評家投票」でアコースティック・ジャズ・グループ部門のニュータレント第1位に投票したこと(結果も1位)、ニューポート・ジャズ・フェスティバル in 斑尾(2003年)への参加を強く要望して実現したこと、彼らへのインタビューなどが熱く語られています。やっぱりこういうことをするのがジャズ評論家たるものだと思います。

その『ギヴ』を聴いて、今まで聴いたことがないジャズ・ピアノ・トリオに新鮮さを感じたものの、私は惚れこむところまでには至りませんでした。それから数年経ってディスクユニオンのアウトレットで『プログ』(2007年)を見つけ、安いからという理由で購入。このアルバムはロック・テイストの荒っぽさだけでなく繊細な表現も加味しているところに好印象を感じていました。

あれからまた数年、久しぶりに聴いてみたくなったのでこのアルバムを買いました。基本的な演奏手法は相変わらず保っていて、それがバッド・プラスというアイデンティティなのだろうと思います。ただし、荒っぽさとロック・テイストという表現手段を目的とせず、その手段で自分達なりの表現を深めてきているところにこのトリオの熟成を感じます。デビュー・アルバムが出てからそろそろ10年経つわけですから当然と言えば当然のことですね。

アンダーソンの曲が3曲、アイヴァーソンの曲が2曲、キングの曲が3曲にポール・モチアンの曲が1曲の全9曲です。1曲目アンダーソンの《ポンド・フォー・ポンド》はメランコリックな良い曲で、最初聴いた時はロックバンドのカヴァー演奏なのかと思いました。この手の曲は他にもいくつかあって、この世代の白人感覚というものがよく分かります。ラストにモチアンの曲を持ってきて儚い美しさと空間表現を聴かせるのは、昨年亡くなったモチアンへの追悼だと思われます。

単にロック・ビートだけではなく現代的変拍子あり、意外とオーソドックスなフリー・ジャズあり、曲によってエレクトロニクスを軽く塗すあたりはE.S.T.的であり、曲の途中で極端に音量を下げる演奏があったりするのは音響的であり、色々な要素を取り入れてはいるものの、演奏の基本姿勢は全くのジャズであるところが良いと思います。そして何と言ってもバッド・プラスならではのサウンドを確立しているところが好ましいです。

このアルバムを聴くと荒さよりは繊細な表現が印象に残ります。熟成してきたバッド・プラスは良いピアノ・トリオだと思います。世間で取り上げられないからと言って忘れないであげて下さいね。推薦アルバム。

アルバム名:『MADE POSSIBLE』
メンバー:
Reid Anderson(b, syn, electoronics)
Ethan Iverson(p)
David King(acoustic/electronic ds)

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