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ミゲル・セノーン買いした1枚

最初に昨日の記事について補足しておきます。

要はサウンドを聴きわける耳、ポップス耳とでもいいましょうか、そういうものは成長する過程で身近にあった音を聴いていいれば、本人の自覚はどうあれ誰でもある程度自然に育っていたのではないかと思います。
ところが私の場合、ジャズを聴くようになり、やっぱり足りないと思ったのは演奏の良否、もっと言えばアドリブの良否を判別する耳なわけで、それがないとジャズが分かったとは言えないと思い、養うためにジャズ本やジャズ評論家のレビューを読んだり、とにかくたくさんジャズを聴きました。何のどこがどういう風に良いのか体に覚え込ませるためです。それはジャズ喫茶マスター後藤雅洋さん著「ジャズ耳の鍛え方」に書いてあるような行為をしていたと言っても良いと思います。そしてその行為は今も途切れることなく続いています。修行は続いているのです(笑)。
さて、ここで最近私が気になる事は、要はジャズ耳を鍛えるような行為はめんどくさい、そういうことを言うからジャズは難しい音楽という事になり、ジャズを聴く人が減ったという論調であり、ジャスを聴く人を増やすためにもっと気楽に聴けばいいという風潮です。実際ジャズは難しい音楽なのにです。(成長する過程で聴く最も身近な音楽がジャズならたぶん簡単に良さが分かると思いますが、昔も今も日本でそれはほぼないでしょう。)
私は疑問を感じますね。本当にそれでいいのかと。で、世の中が全てそういう意識になり、その価値観によって支持されるジャズが残るのなら、私はその時こそ「ジャズは死んだ。」と言いたいと思っています。今はもうほとんど瀕死なのかもしれませんが・・・。

あははっ、また出ちゃいました。年寄りの戯言です。

本題の新譜紹介です。たまにはちょっと変わったものも聴いてみましょう。

P81ミゲル・セノーンローラン・コック『RAYUELA』(2011年rec. SUNNYSYDE)です。メンバーは、ミゲル・セノーン(as)、ローラン・コック(p)、ダナ・レオン(cello,tb)、ダン・ワイス(ds,tabla,per)です。コンセプト・アルバムですので、その内容についてはAmazonの内容紹介を以下にそのまま引用します。

映画「欲望」の原作者としても知られるアルゼンチンの作家、フリオ・コルサタルの小説「Rayuela」にインスパイアされたミゲル・ゼノーンのプロジェクト。相方には、フランス出身の注目ピアニスト、ローラン・コック。ミゲルはコックのセンスに興味を持ちつつもセッションをする程度しか共演機会もなかったとのこと。しかし、このフリオ・コルサルが、南アメリカ(ブエノスアイレス)とフランスを 舞台に実人生で活躍し、その二つの都市を舞台にこの小説を書いたことにもインスパイアされ、コックと共同で本作品をつくることを考えたのだとか。

作曲はミゲルとコックで半々。しかし面白いのは、ミゲル(プエルトリコ出身)がパリを舞台にした小説のPlot 1を題材にして作曲、コック(フランス出身)がブエノスアイレスを舞台にしたPlot 2を題材にして作曲していること。つまりは、あえて、それぞれのアーティストがルーツとは反対の(相手の生地)を舞台にした世界を描くという試み。二人の作曲した楽曲の違いも楽しめる野心作。その名も''ブエノスアイレス''というコックのファンタスティックなナンバーなど聴きものです。

YouTubeでセノーン本人が説明してますので貼り付けます。
英語が苦にならない方はどうぞ、バックに流れているような音楽です。

4人でやっていてベースがいなかったりするのですが、これが結構厚みのある音になっていて、少人数を感じさせないサウンドになっています。哀愁のマイナーメロディーをセノーンのクリーンで艶やかなアルトが歌い上げていくのが最大の聴きどころです。

レオンのチェロとトロンボーンの持ち替えは、曲によってチェロの現代音楽的響きとトロンボーンのジャズ的響きを加えることになり、場面転換的な効果を発揮しています。ジャズ・ファンの私としては、セノーンのアルトとレオンのトロンボーンが熱く吹奏する場面の方に惹かれます。時々入るワイスのタブラも躍動的かつ軽快で良い味付けになっています。なぜか息抜きになります。

セノーンはこれまでマルサリス・ミュージックからアルバムを出していますが、このアルバムはちょっと性質が異なり、サニーサイド・レーベルから出たことが頷ける内容です。この手のコンセプト・アルバムでは以前紹介した以下のアルバムも面白かったです。

こういう唯一無二の音も聴きたくなる。

たまには一味違うジャズを聴いてみたいという場合、このアルバムなんかいかがでしょうか。何はともあれセノーンの爽快なアルトが十分満喫できます。

アルバム名:『RAYUELA』
メンバー:
Miguel Zenon(as)
Laurent Coq(p)
Dana Leong(cello, tb)
Dan Weiss(ds, tabla, perc)

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ジャズ・アルバム紹介」カテゴリの記事

コメント

いっきさん、こんばんは。


「ジャズを広く啓蒙する気はない」いっきさんなのに、熱いメッセージですね(笑)。


必然性がある人が聴いている音楽がジャズ。"その人の人生に必要な音楽" ・・・なんだと思いますよ。


「ジャズ耳」というのは単なる思い込みだと思います。好きで長く聴いていると、殆どの人がそうなるものなんですよ。でも優れたジャズミュージシャンのようになれる分けではありません。「好きこそ物の上手なれ」の範疇の事なのではないでしょうか?それ程、大げさなものでもないでしょう?


ジャズを聴く必然性がない時代ですから、聴く人が少なくなるのは当然です(それは音楽全般に言えることかも知れないけど)。
必然性のある人にとってジャズは難しい音楽ではないはずです。特に何らかのトレーニングも必要ないでしょう。必要でない人に聴かせようとするから「ジャスを聴く人を増やすためにもっと気楽に聴けばいい」ということになるのです。でも言っているだけで、結果は同じです・・・。


今ジャズを聴いている人たちは(いっきさんも含め)、ジャズを聴く必然性があった人たちです。これからも誰がどんなに優しく啓蒙しても、必然性のない人はジャズを好きになる事はないでしょう。ジャズはそんな音楽ですから・・・。


難しい簡単ではなく、すでにその人の人生にジャズが必要かどうかは決まっていることだと思います(フュージョン好きは分からないけど/笑)。これは誰にもどうしようもないことです。
世の中には必然性があっても気づかずにスルーする人生の人もいますから、そういう人にアピールするのはいいことだと思いますよ。ブログもツイッターもそのくらいの役割なんだと思います。

投稿: tommy | 2012年10月28日 (日) 01時14分

tommyさん
こんにちは。

「ジャズを広く啓蒙する気はない」はそのとおりです。
更に「とぼけた啓蒙はするな」と言いたいだけです。

>好きで長く聴いていると、殆どの人がそうなるものなんですよ。
おっしゃるとおりだと思います。そういう状態を「ジャズ耳」というコピーで説明したほうが分かりやすいという意味で私は使っています。

>でも優れたジャズミュージシャンのようになれる分けではありません。
当然です。

>「好きこそ物の上手なれ」の範疇の事なのではないでしょうか?
同感です。

>ジャズを聴く必然性がない時代ですから、聴く人が少なくなるのは当然です(それは音楽全般に言えることかも知れないけど)。
これまたおっしゃるとおりです。ジャズを聴くというか音楽を聴く必要性がないので、更にジャズに絞れば本当に少なくなってしまいます。

>今ジャズを聴いている人たちは(いっきさんも含め)、ジャズを聴く必然性があった人たちです。
必然性という言葉を使うことに違和感がありますが、ジャズを聴いて刺激を受けたいとか、触発されたいとか、気分を高揚させたいとか、心豊かになりたいとか、そんな感じで、なぜかジャズを聴いている時そういう気持ちになるという感じです。なぜジャズなのか?偶然だと思うのですが・・・。せいぜい相性がいいくらいだと思います。

>必然性のある人にとってジャズは難しい音楽ではないはずです。特に何らかのトレーニングも必要ないでしょう。
私の経験では、聴きどころを掴むために、本人はトレーニングとか意識しなくても、傍から見ればそういう状態にあったと思います。そういうことろを「難しい」という言葉で表したほうが分かりやすいと思うのです。

>難しい簡単ではなく、すでにその人の人生にジャズが必要かどうかは決まっていることだと思います(フュージョン好きは分からないけど/笑)。これは誰にもどうしようもないことです。
そのあたりのことははっきり言ってよく分かりません。

>世の中には必然性があっても気づかずにスルーする人生の人もいますから、そういう人にアピールするのはいいことだと思いますよ。
どういう人に向かってアピールしているかは、受け取る側にまかせたいと思います。結果、好意的に受け止めるも、批判的に受け止めるも、自由です。

>ブログもツイッターもそのくらいの役割なんだと思います。
そういう役割があれば十分満足です。

投稿: いっき | 2012年10月28日 (日) 11時41分

こんにちは〜

前の記事の ノーランズ懐かしい!!

今回の記事ではコメントに なんか ほっとしております。

まだまだ ジャズ聴き 初心者ですけど、聴きたいと思ったら 自分に合っているジャンルなんですかね。
言っていることの捉え方が違っていたらすみません。

投稿: Marlin | 2012年10月30日 (火) 17時33分

Marlinさん
こんばんは。
>前の記事の ノーランズ懐かしい!!
ですよね。私もYouTubeの動画を見て懐かしさ全開でした。
>今回の記事ではコメントに なんか ほっとしております。
そう受け取っていただけたなら私もほっとします。
>まだまだ ジャズ聴き 初心者ですけど、聴きたいと思ったら 自分に合っているジャンルなんですかね。
合っているんだと思います。
だって聴きたいと思わないジャンルが他にたくさんあるわけですから。
>言っていることの捉え方が違っていたらすみません。
いえいえ、きちんと捉えていただいていると思います。
嬉しいです。

投稿: いっき | 2012年10月30日 (火) 19時17分

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