こんなところに類似性を発見! サウンド・リサイクル
いくつか前の記事にスイング・アウト・シスターの《ブレイクアウト》が好きだったということを書きました。そしてこの流れでドリームズ・カム・トゥルーが好きになったとも書きました。そこには自分の音楽に対する嗜好が見えて面白いと思ったのです。
で、類似性に気付いたんですよね。
まずはスイング・アウト・シスターの《ブレイクアウト》(1987年)。
そしてドリームズ・カム・トゥルーの《うれしい!たのしい!大好き!》(1989年)。
この曲が好きだということも以前書きました。
いかがでしょうか?サウンドの類似性がいくつかありますよね。メロディー(多分コード進行)とビートの一部、打ち込みやオーケストレーション、明るさと哀愁のバランス感、途中に入るリズムだけのブレイクなど。2年後にはこういうサウンドをドリカムサウンドとして物にしてしまっているのです。シンセのフレーズは後ろに出てくる《ハッスル》激似。中村正人の編曲、さすがです。こうして改めて聴くと、私ってこういうのが好きなんだなってことがよく分かりました(笑)。
スイング・アウト・シスターがスムースジャズだとすると、ドリカムはスムースジャズに入れても良いことになりますね(笑)。洋楽を聴かなくなった理由として、J-POPが洋楽とあまり変わらなくなったからということが言われたりするのですが、これなんかはその好例なのかもしれません。
考えてみれば、私がある頃から車のB.G.M.のほとんどをフュージョンからJ-POPに変えてしまったのは、上記に似た理由からだっだのです。フュージョンのお洒落でキャッチーな心地良さが、J-POPに余程センス良く昇華されていることを知ったからです。
これなんかも面白いですよ。
同じくドリカムの《かくされた狂気》(1990年)。
ベースラインに注目して聴いてみて下さい。作編曲:中村正人。
結構黒いサウンドですよね。このベースライン、分かる人には分かるはず。
シックの《グッド・タイムス》(1979年)。
昨年ジャズ喫茶「いーぐる」のヒップホップ講座で聴くまで知らなかったのですが、ディスコの有名曲で全米No.1ヒット。ストリングスの”ヒューッ”という、俗に言うオケヒットが入った最初の曲だそうです。
このベースラインはオールドスクールヒップホップにサンプリングされているネタとしても有名です。クイーンの《Another On Bites the Dust》、ブロンディの《Rapture》にも影響を与えているとか。これに似たベースラインが上記ドリカムの曲にも採用されていたというわけです。ディスコサウンドもまんま使われているという寸法。やっぱりベーシスト(中村正人)ってこれをやってみたいのものなんでしょうかね。
この人も上記ベースラインに似たディスコサウンドを早くも翌年にやってます。
山下達郎の《サイレント・スクリーマー》(1980年)。
アルバム『ライド・オン・タイム』収録。
《ライド・オン・タイム》の次に入っている曲の方です。山下達郎はアメリカのソウルミュージックに詳しい人ですので、こういうサウンドを自分の曲のアレンジに上手く生かすのは当然のことだと思います。ウッドブロックやティンバレスが入ってラテン風味も加味してますね。
ついでにこれも。《eyes to me》(1991年)。作編曲:中村正人。
ヴァン・マッコイの《ハッスル》(1975年)。
このあたりのディスコサウンドを引用していると思われます。ギターのカッティングやストリングスの具合とかグルーヴとかね。それをドリカムサウンドに消化。
要はどうセンス良く使うかが勝負。ちなみに私は《ハッスル》が好きでした。”せつね~”メロディーだからです。いつものやつです(笑)。
これらはほんの一例、ドリカムのサウンドには過去のポップスの色んな要素が上手く使われています。こういうところが実はドリカムのヒット要因でもあるわけです。私にすればそういうポップスの色んな楽しさが、ドリカムを聴くだけで満たされてしまうということも好都合なのです。私がドリカム好きなのはそのサウンドゆえです。
<追伸>これも追加しておきます。 2015.1.31
《決選は金曜日》 作編曲:中村正人。
アース・ウィンド・アンド・ファイヤー《セプテンバー》。
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そして人気のアニメソングなんかはその最たるものです。
こんな露骨な例もあります。
マクロスFの主題歌《星間飛行》(2008年)。前にブログにUPした好きな曲です。
作詞:松本隆、作編曲:菅野よう子
歌詞も気に入ったのですが、聖子ちゃんで散々聴いた松本隆でした(笑)。
分かりますよね。
ギターやシンセストリングスのリフがディープ・パープルの《スモーク・オン・ザ・ウォーター》(1972年)。ハードロックのテイストもまんま入ってます。今で言えばヘビメタ・テイスト。
今超久々に聴いてみたら、何これ、すげーカッコイイじゃん!
そしてイントロ部分と間奏部分はこちらがパクられてます(笑)。
ノーランズの《恋のハッピー・デート》(1980年)。
いかがですか。ディープ・パープルとノーランズを混ぜてしまうセンス。それらを日本お得意のテクノテイストにまとめ、これが新たなポップサウンドになってしまうという面白さ。アニソン恐るべしというか、作編曲の菅野よう子恐るべしなのでした。ヒットメーカーたるゆえんはこういうセンスと技にあるのだろうと思います。菅野よう子は私の一つ年下なので、同じような音楽体験をしてきたことは想像に難くありません。
ポップスってこういう再生利用(リサイクル)の側面が大きい音楽だと思います。サウンド・リサイクルはべつにヒップホップのプロデューサーやDJの専売特許ってわけではないんですよね。ポップスでは常套手段です。
ポップスって面白い音楽ですよ。
私にとってはJ-POPを聴くのもとても楽しいことなのです。
こういう検証作業をするのにYouTubeって便利ですね。
音楽を聴かせながら説明できますから。
どこぞの会場でわざわざ講演を開く必要がありません。
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コメント
とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。
投稿: 株の初心者 | 2012年11月 1日 (木) 01時47分
株の初心者さん
はじめまして。
ありがとうございます。
また遊びにいらして下さい。
投稿: いっき | 2012年11月 1日 (木) 20時06分