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2012年10月

今度はブロンディのレコードがほしくなりました。

昨日突然現れたオカマキャラは”イッキデラックス”ということにします(笑)。
今後また現れるかどうかは未定。

さて、今日は「ブロンディ」のお話。アメリカのロックバンドです。
ボーカルの女性の名前ではありません。グループ名です。
ボーカルの女性はデボラ・ハリー。

いつものようにYouTubeを適当に見ていたらこの動画が気に入ってしまいました。

曲は《ハート・オブ・グラス》。
デボラのミニスカ、最高ですよね。デボラ姉さんに惚れてしまいそう。
これって昔聴いて結構気に入っていたのを思い出しました。
最近どこかで聴いたと思ったらトヨタAQUAのCMソングですね。

当時私はイギリスのロック・グループ「JAPAN」の方に嵌っていました。
ブロンディも気になっていたような記憶があります。
他にもいくつか動画を見たらなかなか良い感じです。

ということで、この曲が入っているアルバム『恋の平行線(Parallel Lines)』が、
CDじゃなくてレコードが、ほしくなったのです。
これは中古レコードを探して買うしかありませんね。日本盤がほしい。
次のアルバム『恋のハートビート(Eat To The Beat)』もほしいです。

その次のアルバム『オートアメリカン』は持っているのです。
リアルタイムで買いました。
『オートアメリカン』については以前書きました。
元祖白人ラップ曲《ラプチュアー》

当時のロックやポップス、今聴くといい感じなんですよね。

そういえばケイト・ブッシュについても同じようなことを感じていたんでした。
しばらく前に書いています。
ジャケットの赤色が素敵過ぎる。
『天使と小悪魔』は未だゲットできていません。

ブロンディと言えばこれも大ヒットしました。

ベタなロックテイストは私としてはいまいちです。

なななんと!『恋のハートビート』がアルバム1枚UPされてます。
これをダウンロードすると違法なんですよね?

いつまでYouTubeにUPされていることやら。

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たまにはオーソドックスな新譜も聴きたい。

今日も愚痴っちゃうわよ。覚悟しなさい。

あなたさ~、めんどくさいことを言うジャズオヤジが弊害ですって、失礼しちゃうわ。若者がジャズを聴く妨げになってるってことらしいんだけど、冗談じゃないわよ。そんなの責任転嫁もいいところよ。ジャズを聴くか聴かないかは、誰かがどうこう言うからじゃなくて、本人が聴きたいかどうかの問題でしょ。どうして他人のせいにしたがるのかしら。信じられないわ。

私なんかジャズリスナーからすれば白い目で見られるJ-POPを堂々と聴いてるんだから。J-POPにはJ-POPの良さがあるからよ。いくつか前の記事を読んでもらえば分かってもらえるわよね。人に甘えるのもいい加減にしなさい。

そしてさあ~、めんどくさいことを言ってるって意味では、ジャズに限らず評論家も同じだと思うの。どうせオヤジは汚くてダサイというイメージで毛嫌いしているだけなのよ。”先生”とか呼ばれる評論家をやたらありがたがるのは、肩書きに弱い人がやっていることだとも思うわ。もちろん尊敬すべき評論家はいるわよ。

めんどくさいことを言うのはジャンルを問わずマニアの性ってものよ。ジャスに限らずどこにでもいるのよ。”ジャズオヤジは弊害です”って認めちゃって、そういうことをやめようと思ってるオヤジもどうなのかしらね? 物分りが良いふりをしちゃって、若者ぶってるだけじゃない。あ~っ、嫌になっちゃうわ。

オジサンをバカにすんじゃないわよ!

tommyさんには私の乙女心が分かってもらえたみたい。嬉しいわ。
いっきさんにヒール役はムリだよ。キッパリ!



気を取り直して本題です。

時々オーソドックスなハードバップが聴きたくなります。ということでこんな新譜を買ってみました。

P84コンラッド・ハーウィグ『ア・ヴォイス・スルー・ザ・ドア』(2012年rec. Criss Cross)です。メンバーは、コンラッド・ハーウィグ(tb)、ラルフ・ボーエン(ts)、オリン・エバンス(p)、ケニー・デイヴィス(b)、ドナルド・エドワーズ(ds)です。オーソドックスなハードバップ・クインテット。

たまにはオーソドックスなもの、そしてたまにはトロンボーンのジャジーな熱気が聴きたくなることがあります。これはそんな気分のあなたにぴったり。難しい趣向はありません。皆でテーマを合奏してアドリブ・ソロを回していくだけ。後はジャジーな気分に浸れば良いのです。複雑変拍子とか浮遊感とか現代ニューヨークは出てきません。

今回はハーウィグのオリジナル7曲にスタンダード《オール・オア・ナッシング・アット・オール》1曲の全8曲が収録されています。ハーウィグの曲はバップ曲として佳い曲です。オリジナルだからと言って敬遠するような曲は1曲もありませんでした。

ハーウィグと言えば『ラテン・サイド・オブ・~』というアルバムを何枚か出しました。私は『ラテン・サイド・オブ・ウェイン・ショーター』を持っています。私が好きなショーターの曲をどのようにラテン化しているのか興味が湧いたからです。なかなか良いアルバムでした。ラテンとショーターのマッチングもなかなか良かったです。

ハーウィグのラテン趣味を反映した曲も数曲入っています。ラテンタッチの《トレースレス・ムーン》はどことなくショーターの曲の雰囲気が漂っていました。続く《ザ・サン・ウィズイン》はスピリチュアルなワルツでコルトレーン色濃厚。こうなるとこの手のお決まりで、ボウエンはコルトレーンと化しエバンスはマッコイ・タイナーと化しているのでした(笑)。ドラム・ソロが入っているのはやっぱりエルビンを意識してのことか?

《モーニング・シェイド》はタイトルの朝を思わせる爽やかで優しい空気感が心地良いです。スタンダードの《オール・オア・ナッシング・アット・オール》は快活に推進していく演奏が良く、聴いているとこちらも元気が湧いてきます。《サーン・ウィトニス》はアルバム中唯一のスローテンポ曲。ラテン風味で熱気をはらんだ演奏がじわじわ腹に響きます。

ハーウィグはまろやかかつ力強い音でトロンボーンをスラスラと吹くテクニシャン。ボウエンはコレルトレーン~マイケル・ブレッカー~という現代テナーの主流。結局私はこの手のテナーが好きなのでボウエンのプレーには満足です。エバンスはオーソドックスなバップ・ピアノ弾き。ジャジーでスインギーな腰のあるピアノを弾いてます。ベース、ドラムはハードバップをそつなくこなす正統派。極めてオーソドックスなジャズ・クインテットです。

難しいことを言う必要はありません。安心して聴いていられる質の高い演奏のハードバップ。これもジャズのひとつの楽しみであることに間違いありません。

アルバム名:『A VOICE THROUGH THE DOOR』
メンバー:
Conrad Herwig(tb)
Ralph Bowen(ts)
Orrin Evans(p)
Kenny Davis(b)
Donald Edwards(ds)

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新しいスピーカーは好調です!

先月末、メインスピーカーを十数年使い込んだタンノイのスターリングTWWから
クォードの12L2に変えました。

最初は低音がボンつき、中音は薄くてまとまらない音でした。
そろそろ1ヵ月になるので、最近はすっかりいい感じに鳴っています。
タンノイに変えた時より早く落ち着いてきた感じがします。

タンノイはどちらかと言えば分析的に鳴るようにしていましたが、
今度のクォードはもっと楽しく鳴るようにしました。
というか、スピーカーの性格からそういう感じになりそうです。

スピーカーとスタンドの間に制振スペーサーを3個入れたのは報告済み。

P82

これで低音はしっかりしてきたのですが、量がまだ多い感じなので、
今はバスレフポート2個のうち1個にタオルを詰めてダンプしました。

P83_2

これで低音の量感と締まりのバランスはだいたい満足しています。

スピーカーの上には鉛インゴット、スタンドはTAOCの重量級鋳鉄。
基本はウーファーの反動を重量で押さえて低音を出すセッティングです。

意外と簡単にセッティングは決まってしまいました。
当分これでO.K.かなと思います。
あとはジャズをたくさん聴いて部屋に馴染むのを待つだけという感じ。
ポップスも聴いてます。たまにはクラシックもね。

我がオーディオは好調です!

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ミゲル・セノーン買いした1枚

最初に昨日の記事について補足しておきます。

要はサウンドを聴きわける耳、ポップス耳とでもいいましょうか、そういうものは成長する過程で身近にあった音を聴いていいれば、本人の自覚はどうあれ誰でもある程度自然に育っていたのではないかと思います。
ところが私の場合、ジャズを聴くようになり、やっぱり足りないと思ったのは演奏の良否、もっと言えばアドリブの良否を判別する耳なわけで、それがないとジャズが分かったとは言えないと思い、養うためにジャズ本やジャズ評論家のレビューを読んだり、とにかくたくさんジャズを聴きました。何のどこがどういう風に良いのか体に覚え込ませるためです。それはジャズ喫茶マスター後藤雅洋さん著「ジャズ耳の鍛え方」に書いてあるような行為をしていたと言っても良いと思います。そしてその行為は今も途切れることなく続いています。修行は続いているのです(笑)。
さて、ここで最近私が気になる事は、要はジャズ耳を鍛えるような行為はめんどくさい、そういうことを言うからジャズは難しい音楽という事になり、ジャズを聴く人が減ったという論調であり、ジャスを聴く人を増やすためにもっと気楽に聴けばいいという風潮です。実際ジャズは難しい音楽なのにです。(成長する過程で聴く最も身近な音楽がジャズならたぶん簡単に良さが分かると思いますが、昔も今も日本でそれはほぼないでしょう。)
私は疑問を感じますね。本当にそれでいいのかと。で、世の中が全てそういう意識になり、その価値観によって支持されるジャズが残るのなら、私はその時こそ「ジャズは死んだ。」と言いたいと思っています。今はもうほとんど瀕死なのかもしれませんが・・・。

あははっ、また出ちゃいました。年寄りの戯言です。

本題の新譜紹介です。たまにはちょっと変わったものも聴いてみましょう。

P81ミゲル・セノーンローラン・コック『RAYUELA』(2011年rec. SUNNYSYDE)です。メンバーは、ミゲル・セノーン(as)、ローラン・コック(p)、ダナ・レオン(cello,tb)、ダン・ワイス(ds,tabla,per)です。コンセプト・アルバムですので、その内容についてはAmazonの内容紹介を以下にそのまま引用します。

映画「欲望」の原作者としても知られるアルゼンチンの作家、フリオ・コルサタルの小説「Rayuela」にインスパイアされたミゲル・ゼノーンのプロジェクト。相方には、フランス出身の注目ピアニスト、ローラン・コック。ミゲルはコックのセンスに興味を持ちつつもセッションをする程度しか共演機会もなかったとのこと。しかし、このフリオ・コルサルが、南アメリカ(ブエノスアイレス)とフランスを 舞台に実人生で活躍し、その二つの都市を舞台にこの小説を書いたことにもインスパイアされ、コックと共同で本作品をつくることを考えたのだとか。

作曲はミゲルとコックで半々。しかし面白いのは、ミゲル(プエルトリコ出身)がパリを舞台にした小説のPlot 1を題材にして作曲、コック(フランス出身)がブエノスアイレスを舞台にしたPlot 2を題材にして作曲していること。つまりは、あえて、それぞれのアーティストがルーツとは反対の(相手の生地)を舞台にした世界を描くという試み。二人の作曲した楽曲の違いも楽しめる野心作。その名も''ブエノスアイレス''というコックのファンタスティックなナンバーなど聴きものです。

YouTubeでセノーン本人が説明してますので貼り付けます。
英語が苦にならない方はどうぞ、バックに流れているような音楽です。

4人でやっていてベースがいなかったりするのですが、これが結構厚みのある音になっていて、少人数を感じさせないサウンドになっています。哀愁のマイナーメロディーをセノーンのクリーンで艶やかなアルトが歌い上げていくのが最大の聴きどころです。

レオンのチェロとトロンボーンの持ち替えは、曲によってチェロの現代音楽的響きとトロンボーンのジャズ的響きを加えることになり、場面転換的な効果を発揮しています。ジャズ・ファンの私としては、セノーンのアルトとレオンのトロンボーンが熱く吹奏する場面の方に惹かれます。時々入るワイスのタブラも躍動的かつ軽快で良い味付けになっています。なぜか息抜きになります。

セノーンはこれまでマルサリス・ミュージックからアルバムを出していますが、このアルバムはちょっと性質が異なり、サニーサイド・レーベルから出たことが頷ける内容です。この手のコンセプト・アルバムでは以前紹介した以下のアルバムも面白かったです。

こういう唯一無二の音も聴きたくなる。

たまには一味違うジャズを聴いてみたいという場合、このアルバムなんかいかがでしょうか。何はともあれセノーンの爽快なアルトが十分満喫できます。

アルバム名:『RAYUELA』
メンバー:
Miguel Zenon(as)
Laurent Coq(p)
Dana Leong(cello, tb)
Dan Weiss(ds, tabla, perc)

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こんなところに類似性を発見! サウンド・リサイクル

いくつか前の記事にスイング・アウト・シスターの《ブレイクアウト》が好きだったということを書きました。そしてこの流れでドリームズ・カム・トゥルーが好きになったとも書きました。そこには自分の音楽に対する嗜好が見えて面白いと思ったのです。

で、類似性に気付いたんですよね。
まずはスイング・アウト・シスター《ブレイクアウト》(1987年)

そしてドリームズ・カム・トゥルー《うれしい!たのしい!大好き!》(1989年)
この曲が好きだということも以前書きました。

いかがでしょうか?サウンドの類似性がいくつかありますよね。メロディー(多分コード進行)とビートの一部、打ち込みやオーケストレーション、明るさと哀愁のバランス感、途中に入るリズムだけのブレイクなど。2年後にはこういうサウンドをドリカムサウンドとして物にしてしまっているのです。シンセのフレーズは後ろに出てくる《ハッスル》激似。中村正人の編曲、さすがです。こうして改めて聴くと、私ってこういうのが好きなんだなってことがよく分かりました(笑)。

スイング・アウト・シスターがスムースジャズだとすると、ドリカムはスムースジャズに入れても良いことになりますね(笑)。洋楽を聴かなくなった理由として、J-POPが洋楽とあまり変わらなくなったからということが言われたりするのですが、これなんかはその好例なのかもしれません。

考えてみれば、私がある頃から車のB.G.M.のほとんどをフュージョンからJ-POPに変えてしまったのは、上記に似た理由からだっだのです。フュージョンのお洒落でキャッチーな心地良さが、J-POPに余程センス良く昇華されていることを知ったからです。

これなんかも面白いですよ。
同じくドリカム《かくされた狂気》(1990年)
ベースラインに注目して聴いてみて下さい。作編曲:中村正人。

結構黒いサウンドですよね。このベースライン、分かる人には分かるはず。

シック《グッド・タイムス》(1979年)
昨年ジャズ喫茶「いーぐる」のヒップホップ講座で聴くまで知らなかったのですが、ディスコの有名曲で全米No.1ヒット。ストリングスの”ヒューッ”という、俗に言うオケヒットが入った最初の曲だそうです。

このベースラインはオールドスクールヒップホップにサンプリングされているネタとしても有名です。クイーンの《Another On Bites the Dust》、ブロンディの《Rapture》にも影響を与えているとか。これに似たベースラインが上記ドリカムの曲にも採用されていたというわけです。ディスコサウンドもまんま使われているという寸法。やっぱりベーシスト(中村正人)ってこれをやってみたいのものなんでしょうかね。

この人も上記ベースラインに似たディスコサウンドを早くも翌年にやってます。
山下達郎《サイレント・スクリーマー》(1980年)
アルバム『ライド・オン・タイム』収録。

《ライド・オン・タイム》の次に入っている曲の方です。山下達郎はアメリカのソウルミュージックに詳しい人ですので、こういうサウンドを自分の曲のアレンジに上手く生かすのは当然のことだと思います。ウッドブロックやティンバレスが入ってラテン風味も加味してますね。

ついでにこれも。《eyes to me》(1991年)。作編曲:中村正人。

ヴァン・マッコイ《ハッスル》(1975年)
このあたりのディスコサウンドを引用していると思われます。ギターのカッティングやストリングスの具合とかグルーヴとかね。それをドリカムサウンドに消化。

要はどうセンス良く使うかが勝負。ちなみに私は《ハッスル》が好きでした。”せつね~”メロディーだからです。いつものやつです(笑)。

これらはほんの一例、ドリカムのサウンドには過去のポップスの色んな要素が上手く使われています。こういうところが実はドリカムのヒット要因でもあるわけです。私にすればそういうポップスの色んな楽しさが、ドリカムを聴くだけで満たされてしまうということも好都合なのです。私がドリカム好きなのはそのサウンドゆえです。

<追伸>これも追加しておきます。 2015.1.31

《決選は金曜日》 作編曲:中村正人。

アース・ウィンド・アンド・ファイヤー《セプテンバー》。



そして人気のアニメソングなんかはその最たるものです。

こんな露骨な例もあります。
マクロスFの主題歌《星間飛行》(2008年)。前にブログにUPした好きな曲です。
作詞:松本隆、作編曲:菅野よう子
歌詞も気に入ったのですが、聖子ちゃんで散々聴いた松本隆でした(笑)。

分かりますよね。
ギターやシンセストリングスのリフがディープ・パープル《スモーク・オン・ザ・ウォーター》(1972年)。ハードロックのテイストもまんま入ってます。今で言えばヘビメタ・テイスト。

今超久々に聴いてみたら、何これ、すげーカッコイイじゃん!

そしてイントロ部分と間奏部分はこちらがパクられてます(笑)。
ノーランズ《恋のハッピー・デート》(1980年)

いかがですか。ディープ・パープルとノーランズを混ぜてしまうセンス。それらを日本お得意のテクノテイストにまとめ、これが新たなポップサウンドになってしまうという面白さ。アニソン恐るべしというか、作編曲の菅野よう子恐るべしなのでした。ヒットメーカーたるゆえんはこういうセンスと技にあるのだろうと思います。菅野よう子は私の一つ年下なので、同じような音楽体験をしてきたことは想像に難くありません。

ポップスってこういう再生利用(リサイクル)の側面が大きい音楽だと思います。サウンド・リサイクルはべつにヒップホップのプロデューサーやDJの専売特許ってわけではないんですよね。ポップスでは常套手段です。

ポップスって面白い音楽ですよ。
私にとってはJ-POPを聴くのもとても楽しいことなのです。

こういう検証作業をするのにYouTubeって便利ですね。
音楽を聴かせながら説明できますから。
どこぞの会場でわざわざ講演を開く必要がありません。

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素敵な夫婦アルバム

今日は新譜紹介です。最近興味が湧く新譜が続々登場中。

P80マーク・ジョンソンイリアーヌ・イリアス『スウェプト・アウェイ』(2010年rec. ECM)です。メンバーは、イリアーヌ・イリアス(p)、マーク・ジョンソン(b)、ジョーイ・バロン(ds)、ジョー・ロバーノ(ts)です。ジョンソン&イリアーヌの夫婦茶碗じゃなくて夫婦アルバム(笑)。私はジョンソンもイリアーヌも好きなミュージシャンです。

アーティスティックなベースを弾かせたら屈指、心地よいグルーヴを生み出すジョンソン、麗しくも品格あるピアノを弾き、芯には女性の逞しさも持つイリアーヌ、ポール・モチアンの後継者筆頭、空間を感じさせるドラマーのバロン、ミスター・アメリカンなテナーマンのロバーノ、この4人が深みのあるジャズを聴かせてくれています。

アルバム内容としては2005年に出たジョンソンの『シェイズ・オブ・ジェイド』に続くものだろうと思います。そのアルバムには今回と同メンバーに加えてジョン・スコフィールドが参加していました。これまで同様ECMレーベルということもあり、今回も基本はジョンソンのアルバムで、イリアーヌがより大きくフィーチャされていると考えれば良いと思います。ロバーノは5曲に参加。

イリアーヌのブラジル色が濃い曲とジョンソンのカントリー/フォーク色が濃い曲の両方が入ったアルバムです。曲はイリアーヌのオリジナルが5曲、ジョンソンのオリジナルが3曲、2人の共作が2曲に、アメリカ民謡1曲の全11曲。どれも良い曲です。今時ニューヨークの抽象的なものや無機的なものがないので安心して聴けます。

冒頭アルバムタイトル曲、ビル・エバンス・トリオ調の演奏ですが、いかにもイリアーヌなブラジルがほのかに薫るロマンチックなバラード曲です。ジョンソンのベース・ソロは深みがありますよね。3曲目《ワン・サウザンド・アンド・ワン・ナイト》はロック調の曲なので、ジョンソンの曲かと思ったらイリアーヌの曲でした。キース・ジャレットにも通じるブルージーな感じがイリアーヌとしては新鮮。結構ガッツリとアドリブしてます。

5曲目《B・イズ・フォー・バタフライ》はパット・メセニーの《ジェームス》にも似た美メロ。イリアーヌの曲ですがこれもどちらかと言えばジョンソンの雰囲気です。フォーク/カントリ~ほのかにブラジル色でクリーンな曲想は、メセニー好きには堪らないサウンドだと思います。6曲目のジョンソン作《ミッドナイト・ブルー》はスロー・ワルツ曲。今度はジャコ・パストリアスの《スリー・ビューズ・オブ・ア・シークレット》も浮かんできて、私個人としてはもうニンマリし通しです(笑)。ロバーノが結構攻めたフレージングだったりします。

7曲目《モーメント》は正調イリアーヌ・ブラジリアン・サウンド。スローな曲で麗しいピアノが素敵。8曲目《サイレント・オブ・タイタン》は2人の共作でミディアム・テンポのボサノバ調。前曲とこの曲、サックスのロバーノがスタン・ゲッツみたいないい味出してます。10曲目《インサイド・ハー・オールド・ミュージック・ボックス》はこれも2人の共作ですが、自由度高めのインプロビゼーション主体の曲のように聴こえます。ラスト《Shenandoah》はアメリカの民謡でジョンソンのベース独奏。優しくて深みがありますよね。静かに幕を閉じます。

80年代から2人を知っている私としては共感できるポイント多数。スピーカーからアメリカまたはブラジルの心地よい風が吹いてきます。いい感じです。秋の夜長にじっくり味わいたいアルバム。

アルバム名:『Swept Away』
メンバー:
Eliane Elias(p)
Marc Johnson(b)
Joey Baron(ds)
Joe Lovano(ts)

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ドナルド・フェイゲンの新譜はハイレゾ音源

ドナルド・フェイゲンの新譜『Sunken Condos』。ハイレゾ(ハイレゾリューション:高解像度)音源を買いました。私はオンキョーのDAコンバータを購入した流れで、オンキョーが運営する音楽ダウンロードサイト e-onkyo music でハイレゾ音源を購入してます。英語が苦手な私にとって国内のサイトは便利です。

今回のアルバムは前作から6年半ぶり4枚目のアルバムです。フェイゲンの前3枚『ナイトフライ』『KAMAKIRIAD』『モーフ・ザ・キャット』は全て国内盤CDを持っています。『ナイトフライ』だけは輸入盤レコードも持っています。今回はどうしようか少し悩んだのですが、前記のとおりハイレゾ音源を買いました。

音質にも拘りを持つフェイゲンですから、ここはやっぱり音質が良いハイレゾ音源を買うべきだと思っての決断。さて、音はもちろん良いのですが、誰が演奏しているとか録音日とかの資料が全くありません。ライナーノーツとは言いませんが、せめて音源データくらいはpdf資料を付けてほしいところです。

サイトの特集記事によると最終曲はカート・ローゼンウィンケルがギターを弾いているとか。なるほどカッコいいギターソロやってますね。アルバム全体は今回特に目新しいということはなく、相変わらず大人でお洒落で上質で繊細なサウンド。これで良いのです。そしてこれが好きなのです。

スムースジャズとかにあまり興味はありませんけれど、そういうジャジーな要素を生かしたフェイゲンのサウンドは好きです。こっちの方がカッコイイと思うのです。5曲目《ザ・ニュー・ブリード》に入っているアコースティック・ベースは今までのフェイゲンにはなかったサウンドで新鮮に響きますね。それから6曲目《アウト・オブ・ザ・ゲットー》の間奏に入っているミステリー・ゾーンみたいな部分が面白いですね。

プレーヤーはKORGのAudioGate です。

P78

このプレーヤーの生々しい音が好きです。ちょっと過剰と言う評判もありますが、私はこれが気に入っています。こちらも評判が高い foobar2000 の爽やかでフラットな感じも悪くはないので、気分によってはこちらも使います。

ここでちょっとハイレゾ音源のありがたみを少々。
今回の音源は24bit/88.2kHzFlacです。

Flacというのは可逆圧縮音声フォーマットです。圧縮はしますが可逆ということで伸長すれば元の状態(音)に戻ります。ということで音質劣化がないフォーマットです。ちなみにi-podなどで使うmp3というフォーマットは非可逆圧縮なので伸長した時に音は元に戻らず劣化します。簡単に説明すれば、圧縮する時に元々あった音の一部を捨ててしまうから、伸長しても元に戻らず音の一部が欠損している状態ということです。

次にハイレゾ(高解像度)の肝である量子化ビット数24bitについて説明しておきます。CDは16bitで録音されています。それに比べこの音源は24bitで録音されています。その差はたった8bit。これが実は大きいのです。CDの16bitというのは数学的には2の16乗のことで65536です。一方24bitは2の24乗のことで16777216です。

この差が何を意味しているか?もう少し分かりやすい例に置き換えてみます。デジカメです。16bitというのは約6万5千画素のカメラで撮っていると考えれば良いのです。CDの音声は6万5千画素のカメラで撮った画像をつないで動画にしているようなものです。さて、24bitはならどうでしょう。そうです。約1677万画素のカメラで撮ったようなものなのです。どうですか。圧倒的に高解像度でしょ。

画像であればそれこそ一目瞭然の違いなのですが、面白いことにこれが音声となると画像ほど差が分かりません。この辺りが視覚と聴覚の特性の差なんですよね。

もう一つの数字88.2kHzはサンプリング周波数と言いまして、1/88200に1回音をサンプリングして(動画で言えば撮影して)いるということで、これはCDのサンプリング周波数44.1kHzの2倍。難しい話を省略して結果だけ言うと、高音がCDの2倍の高い音まで録音できることになります。でもこの辺の音はもう人間が聴くことができる音よりはるかに高い音の話なので、これまた効果の程は微妙です。

色々書いてきましたが、間違いなく言えることはこれらの数値が大きくなればなるほど自然の(アナログの)音に近づくということです。まあそんなのはあくまでも予備知識でして、私達はより良くなった音、いやっ、良く鳴っている音楽を楽しめば良いのです。

そうそう、ジャケットもないのでした。ネットから落としたものを貼ります。

P79
私が好きな青色のジャケットです。海底のイラストはこのアルバムのサウンド・イメージなんでしょうかね?

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クリポタ・ファンは皆聴くでしょう。

日本ジャズ・ブロガー連盟推薦!そんな団体はありませんね(笑)。私が徘徊するジャズ・ブロガーの皆さんが取り上げているこの1枚。そうです。クリポタ参加のこれですよ。

P77クラレンス・ペン『ダリ・イン・コブル・ヒル』(2012年rec. Criss Cross)です。メンバーは、クラレンス・ペン(ds,per)、クリス・ポッター(ts,ss,b-cl)、アダム・ロジャース(g)、ベン・ストリート(b)です。

クリポタがらみのサックス、ギター、ベース、ドラムのカルテットと言えば、今年は自己のバンド「アンダーグラウンド」の来日、パット・メセニー・カルテットの新譜と話題が続き、そしてこんなのまで出てきました。クリポタ・ファンの皆さんは間違いなくこのアルバムを買ったことでしょう(笑)。

ペンさん、アンダーグラウンドのフロント2人をそのまま使っちゃうなんてあなた。安易というか贅沢と言うか。よっぽどのへまをやらない限り良いアルバムができるに決まってるじゃないですか。クリス・クロス・レーベルゆかりのクリポタとロジャース故、こういうアルバムが作れるんでしょうね。

ペンのオリジナル8曲にスタンダード《アイ・ヒア・ミュージック》《マイ・ロマンス》の2曲で全10曲。このスタンダードというのがなかなか貴重です。クリポタ&ロジャースのコンビがどのように演奏するか興味津々。アルバム全体としてはこのレーベルならではの現代バップになっています。アンダーグラウンドのような尖がりとかメセニー・カルテットのいかにものメセニー・サウンドとかとは違い、このレーベルらしい現代バップ・セッション。セッションらしいオープンな感じが好印象です。

ペンの緩急とり混ぜた曲を安定した高レベルで演奏しています。ペンのオリジナルはどれも比較的聴きやすい曲。ペンのドラミングは特筆すべき特徴を持っているというのではなく、8ビート、変拍子、4ビートを快適にグルーヴさせることに徹しています。ジェフ・ワッツのようなタイプだと思います。曲によって加わる多重録音のパーカッションが程良くアーシーさを演出しているのもいい感じに聴きました。

ストリートのベースとの安定したビートの上で繰り広げられるクリポタ&ロジャースのアドリブを十分楽しめる内容。クリポタはテナー・サックスをメインに、バス・クラリネットとソプラノ・サックスで1曲ずつやってます。いかにもクリポタらしい演奏です。ロジャースは今時ギターを弾く職人という感じで渋くやってます。スタンダード2曲は特に奇を衒うこともなくしっかり聴かせてくれます。いい感じでした。

クリポタ・ファンに限らず誰にでも薦められる現代バップ好アルバムです。

アルバム名:『Dali In Cobble Hill』
Clarence Penn(ds ,per)
Chris Potter(ts, ss, bcl)
Adam Rogers(g)
Ben Street(b)

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昔気に入ったイギリスのバンド

私は基本ジャズ/フュージョンだったのですが、時々不意に気に入るロック系の音楽というのがありました。今日紹介する2つのグループは1987年に気に入ったものです。なぜかどちらもイギリスのグループ。

まずはスイング・アウト・シスター
これは当時大ヒットした《ブレイクアウト》にやられました。
このお洒落なサウンドが好きでした。

これが入ってるアルバムはレンタルCDを借りてカセットにダビングしてヘビロテ。
カセットしか持っていなかったので一昨年CDを買いました。
『イッツ・ベター・トゥー・トラヴェル』

P76

ちょっと前にCMでこの曲が流れてきて懐かしく思いました。
2曲目の《トワイライト・ワールド》も好きですね。

ウィキで調べたら、スムースジャズ、アシッドジャズって書いてあります。
ジャズだと思って聴いたことは一度もなかったのですが、ふ~ん。
そう意識して聴くとこの曲は確かにジャジーかも?

その後はまったドリカム、
私の中ではスイング・アウト・シスターの流れです。
バーシアにもつながっています。

《ブレイクアウト》とドリカムのこれ、サウンドの共通点、分かりますよね。

次はザ・スタイル・カウンシル
これって当時流行ったのかどうか?記憶にありません。
なぜこのアルバムを買ったのかも覚えていません。
『ザ・コースト・オブ・ラヴィング』、当時よく聴きました。

P75

CDがまだ高かった頃、3,300円也。
この《ヘヴンズ・アバヴ》が一番好きです。

こういうノリの良い曲が好きです。
このロックとR&Bの融合という感じのサウンドが好みです。
このアルバムはブラック・ミュージックの要素が強いです。
《ライト・トゥー・ゴー》には黒人ラップグループが参加してます。

私はヒップホップにあまり興味がなかったのですが、
これみたいに思わぬところでヒップホップが出てきて笑ってしまいます。
”黒さ”は基本的に昔から好きでした。
だからと言って今のジャズに黒さを求める気はないですね。
黒さが足りないと嘆く気もありません。
そういう次元でジャズを聴いてませんから。
この《ウォーキング・ザ・ナイト》なんかは
もうリズム・フィギュアとかメローなサウンドとか最高ですね。

この《ウェイティング》を聴いて思い出しました。

よく似た曲をのことを。
デイブ・グルーシンの《サムホエア・ビトゥイーン・オールド・アンド・ニュー・ヨーク》。
もちろんこちらのほうが先です。

グルーシンのアルバム『ナイト・ラインズ』に収録されています。
これは当時(1984年)オーディオ的に好録音ということでよく聴きました。

上記グループの音楽テイストを考えると、
その後《ジャミロクワイ》が気に入るのも至極当然な流れだったのだと納得。

聴いてきた音楽を振り返ると自分の音楽嗜好が見えて面白いです。

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com-postのクロスレビュー・アルバムを聴いてみた。

ウェブマガジン com-post のクロスレビューで今取り上げられているアルバムを聴いてみました。最初に後藤さんと林さんのレビューだけを読んで興味が湧き、Amazonで試聴して面白そうだったので”ポチッ”としました。その後他のレビューを読んでみると、「アレッ、微妙じゃん。」という思いがフツフツと(笑)。さて、結果や如何に?

P74ネナ・チェリー&ザ・シング『ザ・チェリー・シング』(2012年、Smalltown Supersound)です。メンバーは、ネナ・チェリー(vo)、マッツ・グスタフソン(ts,bs,live electoronics,org)、インゲブリクト・ホーケル・フラーテン(ac-b,el-b,vib,electoronics)、ポール・ニルセン・ラヴ(ds,per)です。ネナ・チェリーはジャズ・トランペッターのドン・チェリーの義理の娘で、ザ・シングは北欧のフリー・ジャズ・グループです。

クロスレビューを読んじゃったんので先入観アリアリでの試聴です。最初に書いてしまいましょう。私は益子さんのレビューにほぼ同感です。まっ、退屈とまでは言いませんけど。

これです。⇒ 益子博之の見解

ジャズっぽいロックだと思います。ジャズというよりロックということですね。なかなかポップで聴きやすいです。バックがフリー・ジャズをやるからと言って怖がるような内容ではありません。アレンジがしっかりされているし、リズムも基本的には定型ですし、要は過激なギターがサックスに置き換わったとでも考えればいいのです。

これはロック・ファンが原曲を知った上で、フリー・ジャズを含めたアレンジの新鮮さを楽しむアルバムなのでしょう。ほぼ原曲も知らない私のようなジャズファンが、刺激や希求力を求めて聴いたとすると、その期待に十分応えるまでには達していないと思いました。このアルバムで初めて聴いたネナ・チェリーのボーカル、私にはいまひとつ魅力不足なのもマイナス要因です。

私が一番面白かったところは、《サドン・モーメント》と《ダート》で、ネナのボーカルそっちのけで暴れまくるザ・シングのフリー・ジャズの部分です(笑)。それから低音過多のモコモコ混濁した録音は私的にあまり気持ち良くないですね。

「こんなのもありますよ。」という事で、興味が湧いた方は聴いてみて下さい。

余談ですが、
私のような古いジャズファンが音楽にまず求めていると思われる”演奏のクオリティ”と、私のような古いジャズファン以外が音楽にまず求めていると思われる”サウンドの雰囲気”、com-postに新規参加された柳樂さんの存在によって、上記”演奏のクオリティ”優先姿勢と”サウンドの雰囲気”優先姿勢の乖離が、最近私は分かってきました。

アルバム名:『The Cherry Thing』
メンバー:
Neneh Cherry(vo)
Mats Gustafsson(ts, bs, live electoronics, org)
Ingebrigt Haker Flaten(ac-b, el-b, vib, electronics)
Paal Nilssen-love(ds, per)

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ダニー・マッキャスリンの新譜

オーディオのリニューアルは一段落したので、そろそろ溜まっている新譜を紹介していかないといけませんね。新しいスピーカーQUAD12L2はやっと落ち着いて鳴るようになってきました。これなら安心して音楽が聴けます。

P73本日の新譜はダニー・マッキャスリン『キャスティング・フォー・グラヴィティ』(2012年rec. Greenleaf Music)です。メンバーは、ダニー・マッキャスリン(ts)、ジェイソン・リンドナー(el-p,p,syn)、ティム・レフィブレ(el-b)、マーク・ジュリアナ(ds)、デヴィッド・ビニー(vo,additional synthesizers)です。今回もプロデュースはデヴィッド・ビニーが担当。日本のマンガに影響されたとおぼしきイラストジャケットが意味不明です(笑)。

基本的に前作『パーペチュアル・モーション』の続編ですが、内容は微妙に変化しています。前作ではドラマーがサンチェスとジュリアナの2人だったのですが、今回はジュリアナのみになりました。キーボードは前作のアダム・ベンジャミンとユリ・ケインからリンドナー1人に変わりました。ベースは前作と同様レフィブレ。今回はメンバーが固定されてサウンドに統一感があります。ビニーがどこでシンセを追加しているのかは不明。冒頭の曲でコーラスしています。

何度も書いていますが、マッキャスリンのテナーはマイケル・ブレッカーからクリス・ポッターへとつながる現代サックスの系譜の間のクリポタ寄りに位置しているように思えます。面白いことに今回は、マイケル寄りの少し懐かし風味のフュージョン系ジャズ路線と、クリポタのアンダーグラウンド寄りの現代ニューヨーク・ジャズ路線の両方の曲があります。

そしてマイケル寄りかクリポタ寄りかの雰囲気を決めているのがリンドナーのキーボードで、マイケル寄りフュージョンではサウンド・エフェクト系のシンセを弾いていて、クリポター寄り現代ニューヨークでは尖がり系エレピを弾いています。その上手い対応ぶりに感心してしまいました。リンドナーのソロは3、4曲くらい、アドリブ・ソロよりはサウンド構築にて貢献しています。

テナーをエフェクト音のように響かせる曲もあり、全体としてはフュージョン色が強めに聴こえます。そういう意味では聴きやすい内容と言えます。とはいえ勢いのあるアドリブも聴かせてくれますので、決して軟弱というわけではありません。基本的にマッキャスリンのテナーを味わうアルバムです。今回はオルタナティブ・ロック系の曲もあったりして、マッキャスリンの音楽的立ち位置は間違いなく現代ニューヨークなのでした。

レフィブレのエレベはファンク系でジュリアナは最近のリズム感覚のドラミングです。ジュリアナのドラミングは、ドラムンベースを基にバスドラをリズムパターンに積極的に使っています。今回のリズムは8ビートと変拍子。当然変拍子も難なくこなし、演奏に躍動感をもたらすドラミングには好感を持ちました。

現代テナーの好アルバムだと思います。

アルバム名:『casting for gravity』
メンバー:
Donny McCaslin(ts)
Jason Lindner(el-p, p, syn)
Tim Lefebvre(el-b)
Mark Guiliana(ds)
David Binney(vo, additionai synthesizers)

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「JAZZ STREET KOFU 2012」を楽しむ。

昨日は「JAZZ STREET KOFU 2012」へ行ってきました。甲府のジャズ・ストリートは今回で7回目です。私は甲府に帰ってきてから毎年行っていたので第2、3、4、5回を観ました。昨年は観に行かなかったので、ジャズストリートを観るのは今回が5度目です。今回の人の出具合は一昨年並みだと思います。やたら多いというわけではいけれど、かと言って少ないわけでもありません。やっぱり主体は中高年。若いお客さんは少ないです。女性も結構来てます。

6ヶ所で6グループがライブをします。一夜限りのイベントで3ステージしかないので1ステージずつ観ると3グループしか観ることができません。各ステージはだいたい1時間。

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この6グループの中から3グループを選びました。

最初はAlfie大森明、村田憲一郎カルテットを観ました。
メンバーは、大森明(as)、村田憲一郎(ds)、佐々木悌二(b)、古谷淳(p)。
ちなみに古谷さんは山梨出身で、活動も山梨を中心にしています。

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フラッシュなしでピンボケ写真になってます。ご容赦。

開演までにお客さんが少なかったので心配しましたが、演奏中に徐々に席が埋まりました。最初のステージだからこんな感じでしょう。Alfieはレストラン・バーなので飲食代が高いです。私はビールとバーボン水割りを飲みましたが各1000円。ここには凛々しいバーテンダーのお姉さんがいてなかなかカッコ良かったです。

オーソドックスなワン・ホーン・カルテット。スタンダード3曲にオリジナル2曲の全5曲を演奏。テーマを演奏した後、大森さんのアルト・ソロを主体にピアノ・ソロ、ベース・ソロ、ドラム・ソロを回すというお決まりの展開。勢いのある曲からしっとりバラードまで、いわゆるジャズを心地良く楽しめました。大森さんがソロの途中に時々挟む引用フレーズをニンマリしながら聴きました。私は山梨出身の古谷さんのピアノが聴いてみたかったのですが、特に凝ったことをするのではなく、瑞々しい感覚のフレージングでピアノを弾いていました。こういうオーソドックスなジャズを続けているベテランの存在。なかなか話題に上りませんが、日本のジャズを支えていることに間違えありません。

次はALONE市原ひかりグループwhitマヤ・ハッチを観ました。

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ALONEは甲府の老舗ライブハウス。その昔はジャズ喫茶でした。マスターは結構有名人。1ステージが終わってすぐに移動したので席がありましたが、遅れてくると席がないくらいの込み具合になっていました。このグループは人気がありますね。生ビールとフライドポテトを頼んだのにフライドポテトが忘れられてました。なのでステージ終了時に返金してくれました。そのくらい混雑してました。

市原さん、一昨年同イベントで観た時(別の場所)はPAなしで苦しそうにラッパを吹いていたのですが、今回はPAもあっていい感じに吹いていました。オープン、ミュート、フリューゲルホーンを適宜使い分けての雰囲気ある演奏でした。最初2曲は市原さんのワン・ホーン・カルテット演奏。途中からハッチさんが入っての演奏。ハッチさんは今時のカワイイ娘。喋り方や雰囲気が何となく夏川純でした(笑)。アメリカ生まれなので英語の発音は問題なし。アメリカと日本で生活してきたそうなので日本語もペラペラ。バイリンガルですね。《イパネマの娘》《オン・グリーン・ドルフィン・ストリート》など4曲ほど軽快に歌ってくれました。私、ハッチさんのボーカルがかなり気に入ってしまいました。今年出たアルバムを買おうかと思うくらいです。ハッチさんが楽しそうにMCをするので、市原さんもつられて楽しそうにMCしてました。楽しい雰囲気で場内が盛り上がるのはこういうジャズ・イベントならではの良さです。こちらは中堅/若手のジャズでした。頑張ってます。

最後はTHE VAULT三好”3吉”功朗、則竹裕之スペシャルユニットを観ました。

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THE VAULTはオーストラリアスタイルのバー、店内は広いです。確かマスターがオーストラリア人で、スキンヘッドの体格の良い方です。ギネスビールとポテトフライを注文。ALONEで食べそこなったのでリベンジ(笑)。ギネスビールは香ばしい風味で美味しかったです。

ここはもう則竹さんのドラムが目当てです。私は則竹さんのシャープでタイトなドラミングが大好きなのです。リーダーの3吉さん。全く存じ上げませんでした。ゴメンナサイ! このグループはハード・フュージョンですね。とは言ってもバカボンさんの曲や3吉さんの曲は美メロフュージョンでもありました。《ひょっこりひょうたん島》とかやったり途中口笛を吹きながらギターを弾いたり、3吉さんはおちゃめです。テレキャスター?とセミアコを使い分けてました。秋田さんはキーボードとピアノを弾き分けていました。カッコいい今時のお兄さん。ラストにやったバカボンさんの曲で、バカボンさんの超絶壮絶ベース・ソロに感動しました。いやはや凄かった! 則竹さんは相変わらず文句のつけようがないドラミング。グレイト! アンコールの3吉さんの曲は《明日幸せが来るように》(かなりの酔っ払い状態で曲名を忘れてしまいました)とかのタイトルで凄く良い曲でした。幸せな気分で終了!こういうフュージョン・グループも日本のジャズにおいては根強い人気があります。

前の方に女性3人のグループがかぶりつきでした。ハンサムな則竹さんのファン?他に秋田さんの目の前に座ろうとした女性1名は相当な秋田さんファン。もう一人休憩時間中に則竹さんのドラムセットの近くまで見に行っていた女性は則竹さんファンに違いありません。熱烈な女性ファンがいるのも2人のハンサム・ガイならでは(笑)。

則竹さんのドラムセッティングが3年前のジャズストリートの時と変わっていました。3年前はスネア、タム、シンバルをほとんど水平に並べた当時流行りのスタイル。今はもう少しオーソドックスな立体配置で規模も小さめになりました。写真のとおりです。

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私、結構ドラムマニアです(笑)。則竹さんくらいになるとさすがで、ドラムのセッティングをやる人が一緒に来ていました。神保彰さんの「ドラムからくり」(ワンマンオーケストラ)の時もドラムのセッティングをやる人がついてきてました。こちらはセッティングが大変でしょうからね。

というわけで、3グループを酔っ払いと化しながら楽しんできました。
こういうお祭りジャズイベントも楽しいものです。

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プリアンプを改造しました。

2つ前の記事に書いたフォノEQを生かすためのプリアンプ改造をしました。

ヘッドフォンアンプ出力の切り替えスイッチ追加です。

下図の右上のスイッチがそれです。

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これでフォノEQの負荷が重くなるのを防ぎます。

左側手前から2番目がヘッドフォンアンプ出力になります。

フロントパネルはこんな感じです。

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右側にかわいいスイッチが追加されました。

ヘッドフォンアンプのコードを抜き差しする手間がかからなくなります。

さて、そろそろ「JAZZ STREET KOFF 2012」へ行く準備をせねば。

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明日はJAZZ STREET KOFUです。

明日は「JAZZ STREET KOFU 2012」です。
一夜だけのこじんまりしたイベントです。
昨年は観たい人があまりいなかったので行きませんでした。
今年も絶対に観たい人がいるというわけではありません。
とは言いましても、年に一度のジャズイベントであります。
行ってお祭り気分を味わってこようと思います。

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出演者はこんな感じです。
6ヶ所で各グループ3ステージあります。
1ステージずつ観ようとすると3ヶ所3グループしか観ることができません。
ステージの途中で移動するのはせわしいので、
私は毎年3グループ観ることにしています。
さて、どういう順序で誰を観るか? 悩ましいところであります。

パスポートチケットが前売6000円、当日7000円ですからね。
飲食代は別料金ですし。
今回はどのくらい人が集まるのか気になるところです。

話は変わりまして、今新譜CDが続々と届いてます。
聴いてレビューを書かなければいけないんですけれど、
今はレコード三昧なので新譜CDをあまり聴いていません。

今手元にあるのは(届いた順)、

ミゲル・セノーン『RAYUELA』
マイケル・フォーマネク『Small Places』
ダニー・マッキャスリン『casting for gravity』
ネナ・チェリー&ザ・シング『The Cherry Thing』
クラレンス・ペン『Dali in Cobble Hill』
マーク・ジョンソン&イリアーヌ・イリアス『Swept Away』

届くのを待っているのが、

ピエール・ド・ベスマン『Go』

来週から順次紹介していければと思います。

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フォノイコライザー使用上の注意点

フォノイコライザー(フォノEQ)は上手く製作できたのですが、聴きこんでいくうちに低音不足が気になってきました。やっぱり少ないのです。「う~む、こんなものなのか?いやっ、こんなはずはない。」と。実は気にかかることはあったんですよね。で、ぺるけさんのサイトの

「PHONOイコライザー・アンプ <スタディー編>」

をもう一度読み返しているうちに、「やっぱりこれか。」と思い当りました。「次段の入力インピーダンス」の問題です。ここは重要です。私の使い方を下図に示します。

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プリアンプの入力部分の回路です。RECアウト端子にヘッドフォンアンプを接続しています。これが問題なのです。フォノEQの出力にはプリアンプのボリュームとヘッドフォンアンプの入力インピーダンスが並列に接続されることになります。これによって次段の入力インピーダンス(フォノEQの負荷)がかなり小さい値になってしまうのです。今回作ったフォノEQは出力にバッファーアンプがないのでこの小さい値の(重い)負荷を十分ドライブできなかったのです。

試しにヘッドフォンアンプを外し(コードを抜い)たら、低音は出るようになるし音が元気になるではありませんか。「そうだよな~。やっぱりこれが本来の音なんだよな~。」ということが分かりました。しょうがないのでレコードを聴くときはヘッドフォンアンプの接続コードを抜くことにします。

でもいちいちヘッドフォンアンプのコードを抜くのはめんどくさいです。何か良い方法はないものかとあれこれ悩みました。フォノEQにバッファーアンプを入れようかとも考えました。でもそれではこのフォノEQの意味/価値が失われてしまいます。で、妙案(というほどでもないか?)が浮かびました。下図のようにプリアンプを改造します。

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セレクタスイッチを入れてボリュームとヘッドフォンアンプを切り替えるようにします。これで並列接続はなくなります。余分な接点が1カ所増えますが、使い勝手を考えるとしょうがありません。プリアンプは元々スカスカな実装状態なので、この改造のためのスペースはあります。プリアンプにスイッチを1個追加して、内部配線を少々変えるだけですから見た目もスマートです。

こうなるとRECアウト本来の機能ではなくなってしまいますが、私の使いこなしではヘッドフォンアンプ用にこの端子を取り付けたのですからこれで良いのです。RECアウトではなくヘッドフォンアンプ・アウトということになりますね。

ということで、このフォノEQを作った方が本来の性能を発揮させるために、使いこなしの注意点ということで説明させていただきました。

ここで改めて言います。このフォノEQ、実に良い音です! 私は十分満足。

満足ついでにこんなお遊びも実行しました。真空管を松下電器の12AX7Tから、あの!テレフンケンのECC83(12AX7)に変えました。

テレフンケンのECC83と言えば、真空管オーディオが趣味の人なら誰でも知っている名球なのです。こいつは今まで使っていたラックスのCL-32のイコライザー部に入っていたものです。CL-32をオークションで落札して中身を見てビックリしました。何の説明もなかったからです。これが入っていることを言うだけでも少しは高く売れるのに。

これがテレフンケンのECC83です。リブなしプレートですね。表面のテレフンケンマークの印刷は擦れてかすかにしか残っていませんが間違いなくテレフンケンの球です。

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テレフンケンのECC83と言えば、これもお決まりの偽物問題があります。本物なのでしょうか? ご安心下さい。真空管の底には”ダイヤマーク”が刻印されています! 

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このマークがついているだけで高値取引されているのがこの真空管(笑)。っていうか、音が良い(特性も良い)と言われるから高いんですけどね。

挿した後、まずはプレートとバイアスの電圧を確認しました。プレート電圧は少し高く、バイアス電圧は少し低いです。どうやら松下の12AX7Tとは若干特性が異なっているようです。2本のバラツキは少ないです。元々ペア球だったのかもしれません。アンプに接続して残留雑音(バルブノイズ)を比較したらこちらの方が少し大き目。CL-32の方が残留雑音が大き目だったのはこいつのせいだったのかも。

問題の音なのですが、う~む、良くなったのでしょうか。あんまりよく分からないな~ぁ。最近こういう微細な違いを感じるのがめんどうなのです(笑)。まあ、気持ち良く鳴っているんですから、特にどうこう言う気はありません。名球ということで気分は良いです。「テレフンケンのダイヤマークを使ってるんだよ。」と自慢できます(笑)。

もうこうなってくるとレコードを聴くのが楽しくて仕方がない。レコードを次から次へ乗せ換えて気分は上々! ジャズの新譜CDも続々届いているのですが、今はレコード三昧なので新譜CD聴きは後回しです。

今回の一連のオーディオ縮小化。実に楽しい!

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フォノイコライザーは無事完成!

この休みに取り組んでいたフォノイコライザー(フォノEQ)が完成しました。

数日前に紹介したとおり、「情熱の真空管」 というサイトを運営されている「ぺるけ」さんが設計した 「PHONOイコライザー・アンプ」 を製作しました。

実は最近思い立ったわけではなく、もう半年以上前からこれが作りたかったのですが、きっかけがないまま作りそびれていました。今回はオーディオを縮小化しようということで、プリアンプは自作のもの1台だけにし、フォノEQも単体もの1台にしたいという動機ができたので、早速製作に取りかかったというわけです。

機構部品は手持ちのものを流用し、ケースと回路部品はほとんど新規購入しました。作るからには自分のオーディオになじむ形にしたいということでケースを選択。タカチのこのシリーズのケースを使ってこれまでも何台かアンプを製作してきたので、使いこなしの要領は分かっていました。

あまり小さくすると電源トランス等のノイズを拾うので、大き目のケースに余裕を持って実装しました。レコードプレーヤーは2台あるので、両方接続して切り替えて使えるように入力は2個にして、レコードプレーヤー用のサービスコンセントも2個付けました。フォノEQの電源スイッチと連動しています。こうしておけばレコードを聴くときだけレコードプレーヤーに電源が入ります。省エネ(笑)。

こんな感じになりました。私は薄型が好きなのです。

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サービスコンセント連動なので電源スイッチは大き目のものを使いました。フォノEQ単体の電源ON/OFFならもう少し小型のスイッチが使えて、フロントのデザイン的なバランスはとれるのですがしょうがありません。RCAジャックが入力と出力で少し異なっているのは、手持ち品と新規購入品の混在だからです。リアはRCAジャックが高級品のイメージを醸し出してますよね。ももちろん穴開けは全て自分でやりました。

中身はこんな感じです。電源回路のみほんのちょっとリメイク。アンプ部の回路はまんまコピーさせていただきました。平ラグへの実装は少し見直して10P⇒8Pに変更。

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なかなかきれいに配線されているでしょ。私は音さえまともに鳴れば中はグチャグチャでも良いというのには反対です。きれいに配線してこそ価値があるのです。メカフェチなので眺めてニヤニヤできるようにしたい(笑)。右半分がアンプ部で左半分が電源部です。電源トランスはシールドがついていない安物なので、アンプ部とできるだけ離し、電源トランスからのノイズがアンプに乗らないように配置。

久しぶりにこういう実装のアンプを作ったのでなかなか要領を得ず、きれいに配線しようとしたら、簡単な回路であるにもかかわらずそれなりの時間を要してしまいました。私の場合はたえず確認しながら組み立てていくので、組み上がった時に改めて回路チェックとかしません。

いよいよ緊張の電源投入!スイッチON後各部の電圧をチェック。設計値より電圧は低めになりました。う~ん、この辺りの商用電圧(AC100V)が低めなのかも?ということで電源部の抵抗を少し小さいものに変えます。手持ち部品がたくさんあるので、こういう時には不自由しません。再度電源ONして確認。妥当な電圧になりました。

今回は特に大きな問題はなく完成。さて、ここからが重要です。音だし確認。まずは残留ノイズチェック。私はノイズが多いといくら音が良くても我慢できないのでここは重要です。プリアンプのボリュームを最大にします。真空管特有のバルブノイズはありますね。でも試聴レベルでは気になりません。これならO.K.

そしてレコードをかけてみると、今まで使用していたCL-32より中高音がはっきり出るようになりました。その分バランス上低音が少なく感じます(使いこなしの見直しで低音も出るようになりました)。一言で表すと瑞々しくなりました。やっぱりCL-32は経年劣化で中高音が出なくなっていたのかも? チャンネルセパレーションも良好。ボーカルは真ん中にしっかり定位します。何だ、普通にいいんじゃない。

レコードを何枚か聴いてみました。さっぱりした音ですね。妙にアナログチックに鳴らないところがこのフォノEQの美点のようです。確かにこれで立派に実用になります。ぺるけさんの回路は設計がしっかりしているので、きちんと作ればまっとうな音が出ます。こうなるとCL-32には引退していただくことになりそうです。

いやはや大成功!ぺるけさんには感謝。

(注)このフォノEQの使用上の注意点を次の記事に書いていますので是非お読み下さい。

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只今こいつと格闘中。

またまたオーディオのネタです。

只今こんなの作ってます。

真空管式フォノイコライザーです。

なかなかサクサク進まず格闘中。

只今はこんな感じです。

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ケースに穴開けして部品を取り付け、配線にやっと手をつけたところです。

こういう実装は久しぶりなのでゆっくり確認しながら作業中。

後ろから見ると高級品のようなツラ構えだと思うのですが?

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まあ、本人の自己満足ということで(笑)。

2台のプレーヤーをつないで切り替えできるようにしました。

明日中に出来上がるか?

まあ、急がず確実に作業します。

上手く鳴ってくれることを期待して。

先週末届いたQUADのスピーカーちゃんは元気に鳴ってます。

エージングが進み低音がしっかり出るようになってきました。

基本的に元気で明るい音です。

あまり細かいことを気にせず音楽に浸れる感じがします。

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メルドー・トリオはいいですね。

ジャズ評論家の岩浪洋三さんが亡くなられたそうです。
岩浪さんがライナーノーツを書いたレコードをたくさん持っています。
寺島靖国さんとの番組「PCMジャズ喫茶」(現:ジャズ喫茶「MUSIC BIRD」)を聴いて、当ブログのレポートで散々ツッコミを入れさせていただきました。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

今年は良いピアノ・トリオのアルバムが出ているので、ジャズ批評誌の「2012年マイ・ベスト・ジャズ・アルバム」の依頼がくるようなら、ピアノ・トリオだけにしてしまおうかなんて考えています。私としてはかなり珍しい。

ヴィジェイ・アイヤ『アッチェレランド』、エンリコ・ピエラヌンツィ『パーミュテーション』、ブラッド・メルドー『オード』、ルイス・ペルドモ『ユニバーサル・マインド』、そしてこれは絶対欠かせませんの上原ひろみ『ムーヴ』と、それぞれ良い出来です。そしてまたメルドーがピアノ・トリオのアルバムを出してくれました。

P56ブラッド・メルドー・トリオ『ホエア・ドゥー・ユー・スタート』(2008, 11年rec. NONESUCH)です。メンバーは、ブラッド・メルドー(p)、ラリー・グレナディア(b)、ジェフ・バラード(ds)です。もうあちらこちらでこのアルバムについて書かれているとおり、前作『オード』と同じ日に録音されていて、『オード』とこのアルバムは兄弟アルバムなのです。

あちらがメルドーのオリジナル曲(誰かのためのトリビュート曲が多い)ばかりなのに対して、こちらはカバー曲にメルドーのオリジナルが1曲という構成。2008年と3年後の2011年に録音したものを、こういう形で2枚のアルバムに収録して出すというのもちょっと変わっていると思います。でも、2枚の異なるコンセプトのアルバムに仕上げたところは、なかなか憎い所を突いているとも思います。

『オード』についてはこちら⇒メルドー・トリオってやっぱりいいな~。

今回ロックやポップスの色んなミュージシャンの曲がカバーされているのですが、残念ながら私はジャズ・マン・オリジナル以外は原曲を聴いたことがありません。まあそれでもメルドーが料理した結果は、きっと原曲の良さを生かした上でメルドーらしさが出ているのだろうと想像します。

冒頭《ゴット・ミー・ロング》からメルドーらしさ全開。7拍子をスイングさせるところが現代的リズム感覚ですよね。ダークな匂いのメルドー節になっています。続く《ホランド》はワルツ曲。荷物を徐々にほどいていき中にあるメロディーを取り出してゆく感じでだんだん盛り上がる展開が素敵です。

《ブラウニー・スピークス》はクリフォード・ブラウンの曲なのですが、メルドーの特異なハーモニー・センスと相まってモンクの曲に聴こえてきます。後半はキース・ジャレット風にメロディーが湧いてきます。ベース・ソロから始まりピアノ・ソロ、ドラム・ソロという展開がジャズらしいです。次の《ベイビー・プレイ・アラウンド・アゲイン》はバラード。メロディーを慈しむように優しく大事そうに弾いていき、最後の無伴奏ソロに向かっての演出がなかなか感動的。メルドーのバラードは染みます。

次の《エアジン》はソニー・ロリンズの有名曲。メルドーがこんなベタな曲を選ぶなんて意外です。最初からしばらくはテーマのメロディーを隠して演奏。強靭なベース・ソロの後にメルドーのソロがあるのですが、アドリブの噴出具合がキース的に聴こえます。私の頭の中はキースの唸り声が聴こえてこない不思議な感覚に(笑)。パワフルなドラム・ソロが入る展開はやっぱりジャズの曲だからか。

《ヘイ・ジョー》はゴスペル風?ここでもキースの演奏が思い浮かびます。次の《サンバ・エアモール》はラテン調の演奏。寺島靖国さんのラジオ番組「PCMジャズ喫茶」でラテン好きの寺島さんがメルドーの《トレス・パラブラス》をかけて、良いと言っていたのを思い出しました。寺島さん、メルドーが良いとは(笑)。哀愁と内に秘めた情熱が素敵。後半へ行くに従い徐々に熱を帯びていきます。メルドーのラテン風味はいいですよ。

メルドー作《ジャム》は前曲と続けて演奏されるので、最初は曲が変わったことに気付きませんでした。前曲の途中からメルドー得意の右手左手バラバラメロディーが現れ、そのソロが続くような感じでこの曲に入り、右手左手2重人格を披露するための曲がメルドーのオリジナルというのが彼らしい(笑)。

《タイム・ハズ・トールド・ミー》はワルツ曲。漂う暗さはやっぱりメルドーならでは。メロディーをじっくり弾いていきます。メルドーのワルツ演奏って説得力がありますよね。次の《Aquelas Coisas Todas》はトニーニョ・オルタのサンバ曲。哀愁の美メロと躍動するリズムの取り合わせが最高。これは寺島さんも絶対気に入ると思います(笑)。ラリーとジェフのリズムが素敵。ラスト《ホエア・ドゥー・ユー・スター》は夕暮れ時の郷愁か。やさしくしっとり終了します。

各曲の良いところをしっかり聴かせたうえで、メルドーならではの世界をきちんと描き出しています。ラリー、ジェフのわきまえたサポートぶりとトリオとしての一体感は文句ありません。途中でキースを連想させるところもあったりして、何度か聴くうちにこれはメルドー流の「スタンダーズ・トリオ」なのかもしれないと思いました。私は「アナザー・スタンダーズ・トリオ」とでも命名したい気分です。

『オード』とは甲乙付けがたい出来です。
メルドー・トリオ、いいです!聴いて下さい。

アルバム名:『WHERE DO YOU START』
メンバー:
Brad Mehldau(p)
Larry Grenadier(b)
Jeff Ballard(ds)

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軟弱アルバムを紹介(笑)

久しぶりに聴いたら妙に心地よかった1枚を紹介します。
硬派ジャズ・ファンは絶対に聴かないでしょう(笑)。

P55天野清継国分弘子『ヘブン』(1993年rec. ビクター・エンターテインメント)です。メンバーは、天野清継(ac-g,el-g)、国分弘子(p)、アレックス・アカーニャ(ds,per)、ドン・グルーシン(syn)、ゲイリー・ハービッグ(sax,fl)、エイブラハム・ラボリエル(el-b)です。2人のリーダーの頭漢字「天」と「国」を合わせて「天国」=「Heaven」という何ともいい加減な命名です(笑)。LA録音ということで、サポートはあちらの凄腕セッション・プレーヤー。

やっている音楽はスムース・ジャズ=フュージョンなので、確かに「天国」気分です。「フォープレイ」をもう少し軟弱にした感じの音楽です。テクニックを聴かせるような場面はほとんどなく、ただひたすら良いメロディーの曲を心地よく聴かせていくというもの。リズミックな曲が多いので楽しく聴けます。

天野のギターはアール・クルー風&少しリー・リトナー風。デビュー・アルバム『アズール』が大ヒットし、その流れでこのセッションへとつながったのでしょう。相棒の国分のピアノはあまり特徴はありませんね。当時それなりに話題にはなっていたように記憶しています。私は『アズール』は買わなかったものの天野のことが気になっていたので、このアルバムを買ったのだと思います。

曲は天野の3曲、国分の3曲、2人の共作が4曲、クレア・フィッシャーの曲が1曲の全11曲。共作が4曲もあるのはちょっと珍しい感じがします。2人による曲作りの仕掛けはライナーノーツの各曲紹介に詳しく書かれています。とにかく美メロ&天国気分な曲が並んでいます。ラストは2人だけのデュオ演奏でクラシック的です。

超久しぶりに聴いて思い出したのですが、当時は結構ヘビロテだったように記憶しています。真空管アンプ作りに没頭していた頃なので、ジャズを真摯に聴くという感じではなく、仕事に疲れた気持ちをこういう心地良い音楽で慰めていたのかもしれません。

まっ、こんな音楽も時にはいいでしょ。
「天国」サウンドに酔いしれましょう。

アルバム名:『Heaven』
メンバー:
天野清継(ac-g, el-g)
国分弘子(p)
Alex Acuna(ds, per)
Don Grusin(syn)
Gary Herbig(sax, fl)
Abraham Laboriel(el-b)

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只今オーディオ病発症中!

やばいです!
オーディオ病が発症してしまいました(笑)。

スピーカーを変えて気分一新でオーディオを楽しんでいるわけですが、
更なる構想が進行しつつあります。

今度はフォノイコライザーを作ろうという魂胆です(笑)。
基本的にはオーディオ縮小化の流れです。

今フォノイコライザーとして使っているのはラックスのCL-32。
これは優秀なプリアンプなのに、
フォノイコライザーの機能だけを使うなんてもったいないでしょ。

ということで専用のフォノイコライザーを作って、
上手くいったらCL-32を外そうという思惑です。
そうすればプリアンプが1台だけになってスッキリします。

フォノイコライザーを買えばいのにというご意見はあるでしょう。
でもこの際だからアンプ類は全部自作にしてしまおうというわけ。

フォノイコライザーの自作といえば、今はオペアンプを使うのが主流。
でもそこで敢えて真空管を使おうというヘソ曲がりぶり(笑)。

過去に5台(1台はキット)真空管式フォノイコライザーを作ったのですが、
結局どれももうひとつしっくりこなくて、解体などしてしまいました。
今度こそ上手くいくでしょうか?

参考にするのは「ぺるけ」さんというこのスジでは知る人ぞ知る方のもの。
ぺるけさんはご自身のサイトでアンプ作り等のノウハウを詳しく解説しています。
私が今使っている自作プリアンプはこの方の設計です。

サイトはこちら⇒「情熱の真空管」

「FET式作動ライン・プリアンプ」のところには私の作例がリンクされています。
このアンプを作った時には部品を頒布していただきました。
なかなか良いプリアンプで私は十分満足しています。

で、今度はフォノイコライザーを作ろうというのです。
こちら⇒「PHONOイコライザー・アンプ」

まんまデッドコピーしてしまおうという寸法。
ただし意匠は変更して薄型のケースに入れます。

作るとなると前はわざわざ秋葉原へ部品を買いに行ったのに今はもう通販。
「若松通商」「海神無線」の通販で部品を調達します。
ケースだけは「楽天市場」で購入済み。

今回はほとんどの部品を新規購入。
一部の部品は手持ちストック品を使用します。

私はモノツクリとアナログを楽しみたい!

ジャズの新譜も聴いてますが、今はオーディオな気分。
新スピーカーは順調にエージング中!

ジャズファンの皆様、オーディオ・ネタばかりでごめんなさい。

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新スピーカーは快調!

一昨日セッティングした新スピーカーは快調です!

昨日はちょっぴりセッティングを見直しました。
何しろ低音がブーミー過ぎるからです。
原因は推測できました。
ネット上でもチラホラ書かれていますからね。

P53

ということで、スピーカーの下に制振メタルのインシュレーターを入れました。

このスピーカーは下にハカマ(黒色の板)が付いていて、それは良いのですが、
その下に柔らかいゴム系の脚が4つ付いています。
この脚が低音を緩くブーミーにしていると推測。
この影響をなくすためにインシュレーターを噛ましたというわけ。

インシュレーターは前2個、後ろ1個の3点支持。
ゴム脚を浮かせてハカマとの間に挟みました。
効果はてきめんでした。
ブーミーな低音が締まりました。
結果、中音へのかぶりが減り中音が前に出るようになってメリハリ感向上。

このスピーカーは結構鳴りが良いのでした。
オーディオ雑誌「管球王国」の比較試聴の冒頭に書いてあった
「音があふれるように出てくる」には納得しました。
音離れが良好で明るい音です。そして暖色系。
こういう鳴り方が私の好みなのです。

今はまだ音がはしゃいでいますが、鳴らしこめば落ち着くはずです。
まあ落ち着いても屈託なく鳴ってほしいですけどね。

P54

このアルバムが気持ち良く鳴るように調整中。

ついつい音量大きめで聴いてしまいます。
上原ひろみが発するエネルギーをスピーカーから噴出させたい。
エネルギッシュに鳴れとスピーカーに言い聞かせているところです(笑)。
オーディオ歴が長い人は分かると思いますが、
こういう思いが自分のオーディオの音になるのです。

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