私的にこいつはかなりいい。
以前YouTubeで聴いて驚いた曲が入っているアルバムをとうとうゲットしました。CDなら簡単に入手できるのですが、私はレコードを買いたかったので時間がかかっちゃいました。
ハービー・ハンコックの『セクスタント』(1973年rec. CBSソニー)です。メンバーは、ムワンディシ=ハービー・ハンコック(fender rhodes,el-p,hohner D-6 clavinet whith fender fuzz-wah and echoplex,danka-di-bello,melotron,p,hand clap)、ムウィル=ベニー・モウピン(ss,b-cl,piccolo,afuche,hum-a-zoo)、ムガンガ=エディ・ヘンダーソン(tp,flh)、ペポ=ジュリアン・プリースター(b-tb,t-tb,a-tb,cowebell)、ムチャザジ=バスター・ウィリアムス(el-b with wah-wah and fuzz,b)、ジャバリ=ビリー・ハート(ds)、ドクター・パトリック・グリースン(ARP-syn)、バック・クラーク(congas,bongos)です。イスラム教名が併記されているのが時代を感じさせます。
YouTubeで聴いて驚いたのはこの《レイン・ダンス》。
インベーダーゲームもない頃にこのゲーム・ミュージック的なサウンドにはビックリ仰天。テクノでもあります。途中にフリーな咆哮が入ったりしてアグレッシブ。リズムがブレイク・ビーツっぽいところにファットなバスター・ウィリアムス(この人ロン・カータのそっくりさんです。笑)のアコースティック・ベースが切り込んでくるところはヒップホップですよ。ハービーって一体何年先取りしていたのか・・・。その後の音楽を知った今これを聴くと、未来の音楽要素が入ってることが分かります。
A面2曲目は《ヒドゥン・シャドウ》。
何なんだこの変拍子ファンクは。気持ち良すぎるぜっ!変拍子をこれだけレイジーにグルーヴさせるのってかなり難しいと思うんですけど。これ、ほとんどグルーヴだけを聴かせていて、その上に色んなサウンドがカッコ良く散りばめられているという、激しくセンスを問われる曲です。
以上がA面の2曲。B面は《オーネット》1曲のみです。
これを聴いてまた驚き。だって日野皓正の『ダブル・レインボー』(1981年)に入っている《メリー・ゴー・ラウンド》にかなり似ているからです。菊地雅章とヒノテルの81年当時としては最先端コラボだったはずなんですけど・・・。これをパクッたと言われても仕方がないような気がします。エディ・ヘンダーソンのソロとヒノテルのソロだってよく似た雰囲気ですよ。
ちなみに私が生まれて初めて買ったジャズアルバムこそがこの『ダブル・レインボー』です。フュージョンだと思って買ったらこれですから、最初は聴きどころが分からず戸惑いました。でもなぜか繰り返して聴いてしまったのです。
《メリー・ゴー・ラウンド》はこちら。
似てますよね。雰囲気が。私この曲が大好きです。滲み出るパワー。
こうして『セクスタント』を聴いてみたら、当時としてはかなり先取りのサウンドだったことが分かります。でも、でもですよ。このアルバムはほとんど話題になったことがありません。それは同年に出した次のアルバム『ヘッド・ハンターズ』がヒットして、こちらばかりが語られるからです。
音楽的にはなかなかクリエイティブなことをやっていたのに、故に多分売れなかったであろうこの『セクスタント』を出しておきながら、見事にポップに分かりやすくサウンドを作り直して、『ヘッド・ハンタース』をヒットさせてしまったハービー・ハンコックという男。凄いと思います。
私は『ヘッド・ハンターズ』より『セクスタント』が好き。だってよりジャズだから!
これら2枚の間にはフュージョンとジャズの境界があるような気がします。
アルバム名:『SEXTANT』
メンバー:
Herbie Hancock(fender rhodes, etc)
Benny Maupin(ss, etc)
Dr.Eddie Henderson(tp,flh)
Julian Priester(t-tb, etc)
Buster Williams(e-b, b)
Dr.Patrick Gleeson(ARP)
Buck Clarke(per)
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