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今日は久しぶりに聴いた1枚。

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さて、今日は懐かし1枚を紹介します。久しぶりに聴いたら良かったのです。

P31 ベニー・ウォレス~チック・コリア『ミスティック・ブリッジ』(1982年rec. enja)です。メンバーは、ベニー・ウォレス(ts)、チック・コリア(p)、エディ・ゴメス(b)、ダニー・リッチモンド(ds)です。私のはCD初期盤¥3,500。あの頃CDは高価でした。

ベニー・ウォレスって当時はかなり話題の人だったのに、今では名前が出ることはほとんどありません。帯には「次代のジャズを模索し続ける俊英サックス奏者」と書かれています。この人のフレージングは独特で好き嫌いが分かれるタイプ。

そんな独特なサックを吹きピアノ・レスのグループで演奏することが多かったウォレスが、コンテンポラリー系の路線だったチックと吹き込んだので、当時は異色アルバムとして捉えられていました。私は当時ワン・ホーン・カルテットが好きだったことと、チックのピアノが好きだったことから購入。

今でこそチックは終わったと私は言ってますが、ジャズを聴き始めてからかなりの期間は好きなピアニストとだったのです。最初に聴いたのが『スリー・カルテッツ』だったので、マイケル・ブレッカーのテナーとチックのピアノのモダンな響きにやられ、次に聴いた『ナウ・ヒー・シングス・ナウ・ヒー・ソブス』でその瑞々しいタッチにやられたというわけです。

その後チックは色々聴きましたが、エレクトリック・バンドの後期でだんだん飽きてきて、オリジンあたりからは懐疑的になり、リターン・トゥ・フォーエバーを何度も再結成するにあたり最早愛想が尽きました(笑)。基本的にチックのピアノのフレージングは好きなんですよ。だけどやってるジャズにもう刺激がないのです。またやってるのかみたいな。

で、このアルバムの話です。ウォレスのテナーについて油井正一さんはライナーノーツに「エリック・ドルフィーのアルトやベース・クラリネットをうまくテナー・サックスに応用したような感じを抱かせる」と書いていて、正にその通りだと思います。間に表れる音程の飛翔具合がドルフィーによく似た雰囲気なのです。

そしてそこが前に書いたとおり好き嫌いを分けるポイントです。当時の私もこのテナーのフレージングは若干苦手でしたが、今聴くとこのユニークなフレージングがいいんです。こういう個性的なところがやっぱりいいんですよ。一癖あるところがある時旨味に変わるともうその魅力から離れられなくなります。そこがジャズの面白さ。

チックのピアノについては、1曲目なんかは言われなければチックが弾いているかどうか分からないと油井さんはライナーに書いていますが、よく聴くとチックのフレーズは出てきます。その1曲目《ザ・ボブ・クロスビー・ブルース》はウォレスの曲で、これがセロニアス・モンク的なメロディーの曲。チックもそれに合わせて不協和音のような音を混ぜつつ弾いているのが面白いところです。

このアルバムの他のウォレス曲もモンク的で、ウォレスが前年に出した『ベニー・ウォレス・プレイズ・モンク』の流れを汲んでいるのです。実はこの頃チックも『トリオ・ミュージック』という2枚組アルバムを出していて、1枚目はフリー・インプロで2枚目がモンク曲集となっていました。なのでモンクという点でこのウォレスとチックの異色な組み合わせは繋がっているのです。

そんな中にあってアルバムタイトル曲だけはチックの曲で、これがいつものチック節美メロで私はかなり好きです。ビル・エバンスのかしこまったちょっと重い美を、もっと手近に身軽にした美がチックだと私は思っていてそこが好きなのです。ここでもウォレスはドルフィー的飛翔フレーズ炸裂ですがこれが意外とチックの美メロにマッチしています。

ずり上がったようなフレーズのゴメスのベースも私は嫌いではありません。そしてミンガス・グループでドラムを叩いていたリッチモンドの躍動するドラムはこのアルバムに勢いを与えています。ウォレスとゴメスとリッチモンドはトリオなどを組んでアルバムを出している仲なのでマッチングは良いです。そこにチックが上手く溶け込んでいます。

ウォレスの癖とチックの大衆性が意外にマッチしたのがこのアルバム。2人のデュオで《マイ・ワン・アンド・オンリー・ラブ》もやっています。ここでのウォレスはさすがにオーソドックスな方向に振っていて実に味わい深いバラード演奏になっています。

久しぶりに聴いたんですがなかなか良いアルバムです。

アルバム名:『THE BENNIE WALLACE TRIO & CHICK COREA』
メンバー:
Bennie Wallace(ts)
Chick Corea(p)
Eddie Gomez(b)
Dannie Richmond(ds)

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コメント

こんにちは。私もリアルタイムに聴いていて,Public Theaterのライヴは良かった,と思いました.で,ピアノが入った,と云うことで,これも買った.で,当時,チックは好みだった,というあたりまで経験共有なので,面白く読みました.
ボクは輸入盤だったので,油井さんの文章は知らないのですが,確かにボクはドルフィーが好きなので納得.
最近もタマにはアルバム出していて健在ですよ.

投稿: ken | 2012年9月 5日 (水) 17時10分

kenさん
お久しぶりです。ご無沙汰してます。
Public Theaterのライヴもいいですよね。私は7、8年前に買ったのですが。
当時チックが好きだったということは、今はやっぱり・・・?
油井さんのドルフィー近似説は納得できますよね。
kenさんもたまには聴かれているんですね。健在というのは嬉しいです。
このアルバムを紹介してみて良かったです。

投稿: いっき | 2012年9月 5日 (水) 21時03分

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