意外と面白いことが分かりました。
今年出たヴィジェイ・アイヤの『アッチェレランド』を聴いて、この人に対する興味がもりもり湧いてきました。なので、まだ買っていなかった昨年のアルバムを買って聴いてみることにしました。ちょっと変則的なアルバムなので敬遠していたものです。
ヴィジェイ・アイヤの『tirtha』です。メンバーはヴィジェイ・アイヤ(p)、プラサンナ(g,vo)、ニティン・ミッタ?(tabra)です。ピアノにギターにタブラのトリオ、それにインド音楽をやっているというので敬遠してしまったのです。ネットでちょっと試聴してみたらそれほど毛嫌いするようなものでなかったので思い切って買ってみました。
最初に言ってしまいますがなかなか心地よい音楽です。インド・メロディーが意外と私のフィーリングにマッチしているからです。私にとってはむしろユダヤ・メロディーの方が苦手だということが分かりました。
昨年、ヴィジェイ・アイヤが参加した別のアルバムをブログで紹介した際、どなたかがこのアルバムが良いとコメントしてくれて、その時は乗り気になれず買いそびれてしまったのですが、今これを聴いてなるほどと合点がいった次第です。
アイヤが弾くピアノは相変わらず重厚で、ジャズではありますが現代音楽的な前衛の響きを持ったもの。意外とインドっぽくないのが面白いところです。それに対してギターとタブラはモロにインド・テイストで軽やかです。ピアノによる西洋音楽とギター&タブラによるインド音楽の対比とブレンドの妙がこのアルバムの肝だと私は思います。
アイヤが弾くガッチリ構築されたピアノとプラサンナが弾く揺れ動くギターが反発し合わずお互いを上手く補完しあっているのが良いです。そして私にとってはかなり重要なのですが、タブラが刻むリズムの軽快なノリがありますね。このノリがあるからこそポップに聴けるのです。
ギターはあの変態ギタリストのデヴィッド・フュージンスキーに似たところがあって、なるほどそういえば上原ひろみのガッチリしたピアノのとのマッチングが良かったということを思い出させてくれました。
アイヤの5曲とプラサンナの4曲で全9曲。2人の曲がほぼ交互に演奏されるのですが、どちらが作曲しているのか私にはよく分かりません。そういう意味で2人の音楽性はとてもマッチしているように思います。プラサンナが作る曲は意外と情感豊かな美メロで、これをアイヤがピアノで弾くと、ポップスとしていけそうな瞬間があって面白いです。
プラサンナのボーカルが1曲だけ入っています。これが実に面白い。リズムパターンを口ずさんでいる感じのもので、その急速なリズムに驚いてしまいます。よくぞここまで口が回るものだと(笑)。このリズム感覚こそがインド音楽の神髄なのかも?
意外とポップでなかなか心地良い音楽です。
アルバム名:『tirtha』
メンバー:
Vijay Iyer(p)
Prasanna(g, voice)
Nitin Mitta(tabla)
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