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「いーぐる」講演「1990年代のジャズを聴く」前編

昨日は ジャズ喫茶「いーぐる」 の連続講演「1990年代のジャズを聴く」に参加してきました。そのレポートです。

せっかく東京へ行くんですから、毎度のことで今回もレコード漁りに行きました。今回一番買いたかったのはケイト・ブッシュの『天使と小悪魔』日本盤LP。

最初は下北沢の「イエロー・ポップ」へ。『天使と小悪魔』はありませんでした。残念。で、他を探していたら、矢野顕子の『峠のわが家』を発見。これは《David》が入っているので探していたのです。そしてもう1枚、プラスチックスの『ウェルカム・プラスチックス』。これは探していたわけではありませんが、YouTubeの動画を見て懐かしく思っていた和製テクノグループ。以上2枚をゲット。

「フラッシュ・ディスク・ランチ」に寄ろうとしたらまだ開店していませんでした。『天使と小悪魔』は吉祥寺の「RARE」あたりにありそうなのですが、時間の関係で新宿へ戻ることに。そっかー、下北のディスクユニオンを覗いてみるべきでしたね。

「ディスクユニオン新宿本館」へ。ここのロックレコード売り場へ初めて入りました。廃盤セールをやってましたが目もくれずお目当てのレコード探し。ここにも『天使と小悪魔』はありませんでした。で、これも探していたボストンの『サード・ステージ』輸入盤とキング・クリムゾンの『太陽と戦慄』日本盤をゲット。

レコード漁りは以上4枚で終了。今回はジャズなし。今はそういう気分なのです。

P15 はいはいっ、「いーぐる」へと向かいましたよ。お店の前でパチリ。久しぶりの「いーぐる」。今回の講演者 com-post の皆さんはほぼお揃いでした。ご挨拶して着席。そこで後藤さんから今回の講演の趣旨を説明していただきました。「90年代ベスト盤」をかけるのではないということでした。

今回の企画「90年代の100枚」は、予備選考の段階でかなりばらけてしまい、1票しか入らなかったものは相当数あるそうです。それを絞るとなると音を聴いてみようということになり、大変な時間がかかってしまうとのこと。それで、今回そういうものをこの場で聴いてみようということになったそうです。なので必ずしも内容がベストというものではないとのことです。

同様のことは講演冒頭、com-post編集長村井康司さんからも説明がありました。ということで早速かかったものを順次紹介していきましょう。各曲をかける前にcom-postのメンバーが選考理由を説明しています。

*私の聞き違いや勘違いがあるかもしれませんし、聴き損ねた部分も多々ありますのでご了承下さい

1.後藤雅洋さんセレクト
Jamaaladeen Tacuma『Gemini-Gemini, the Flavors Of Thelonious Monk』

ジャマラディーン・タクマがサックス奏者ウォルフガング・シュニングと組んだバンドGemini-Geminiのアルバム。モンクの曲を取り上げてクラブミュージックっぽいものをやっています。こんなものもあったという例。店でかけると8割がたのお客さんがジャケットを見に来るそうです。

最初にラップが入っていてブレイクビーツっぽいので、これはジャズ・ヒップホップの部類だと私は思います。そう思って聴くと、私のヒップホップ耳にはビートがいまいちに聴こえてきてしまうのでした。すみません。ジャズ耳では面白く聴けましたよ。(以降緑字は私の感想などです。)

2.柳樂光隆さんセレクト
Innerzone Orchestra『Programmed』

いわゆるテクノ。打込みビートに生演奏を加えたもので名盤と言われています。デトロイトテクノ。色々あるけれど黒人の匂いが強いものを選択。メンバーのカール・クレイグはハービー・ハンコックの『Future 2 Future』にプログラミンで参加しています。このアルバムの「トーキン・ラウド」レーベルはアシッド・ジャズのレーベル。このアルバムはアシッド・ジャズからジャスサイドに向けた最後の回答とも受け取れるとのことでした。アルバム発売は1999年。聴いた後で村井さんは「ドラムが凄い。”無法松の一生”みたい。暴れ太鼓。」と笑っていました。

ジャズではないと思いますが面白いです。ビートが際立った尖がった音。ドラム自体はロックドラムで(買って聴き直したらドラミングもジャズでした)、アコースティック・ベースがジャズっぽさを出して黒さに一役買っているように聴きました。これは是非買って聴いてみたいと思いました。

3.八田真行さんセレクト
Bluesiana Triangle『Bluesiana Triangle』

アート・ブレイキーとドクター・ジョンとデヴィッド・”ファットヘッド”・ニューマンの3人が組んだのでトライアングル。童謡を歌っていて長いので途中でフェードアウトしてほしいとのことだったのですが全曲かかりました。「ブレイキーとか90年代に死んだんだな。」という思いも込めての選曲。聴いた後で村井さんは「ここまで無法松の一生系が3曲続いたね。」と笑っていました。

アフロ・キューバン・リズムで黒くて良い雰囲気でした。ブレイキーはドラム頑張ってましたね。ジャズではないけれどこれもまた良し。

4.林建紀さんセレクト
Jimmy Giuffre『Conversation With a Goose』

ジミー・ジュフリー、ポール・ブレイ、スティーブ・スワローでのトリオ演奏は、60年代、80年代とこの92年の3枚があり、このトリオでのラスト作。前2作と違うのはほとんどジュフリーの曲をやっていること。ジュフリーの静かな狂気。ブレイとスワローは丸くなっています。行っちゃってる爺さん(ジュフリー、72歳)を2人が見守るような演奏。聴いた後で後藤さんから音がなかなか良いとの指摘。

フリー・ジャズ。でもベースとかピアノはバップ的であり聴きやすかったです。確かにジュフリーは凄いでしょう。でも私の耳には聴きなれてしまったというか、ジャズも熟成したんだなという印象でした。

5.原田和典さんセレクト
Cecil Taylor - Elvin Jones - Dewey Redman『Momentum Space』

Verveレーベル。セシルとエルヴィンがやったのが嬉しい。レッドマンがオーネットだったらなお良かったけれど。3人が適当にやっています。家で聴くともっとチャラチャラに聴こえるけれど、ここで聴くといいとのことでした。

これもフリー・ジャズ。さすがの演奏ですね。非常にパワフル。セシルいいですよね。エルヴィンは我が道をゆくいつものドラム。ちょっとバランス的に弱く聴こえました。こういうフリー・ジャズは良いオーディオで大きな音で聴くのが絶対いいです。これを聴いてやっぱりジャズは熟成したんだなと思いました。

6.益子博之さんセレクト
Noel Akchote『Rien』

益子さんは都合が悪くて不参加だったのでレジュメに解説が書いてありました。抜粋します。Akchoteはパリ出身のジャズに留まらない幅広い領域で活動するギタリスト。本作は、コンピューターやターンテーブルとの共演で、記憶や触覚を刺激するサウンドスケープを構築。森山大道のピンぼけ写真を配したインナー・スリーヴには「サウンドトラックというより、これ自体が一つの旅であり、ロード・ムーヴィーである。

益子さんらしいセレクトです。ノイズ/音響系でアバンギャルド。このアルバムは持っています。

7.村井康司さんセレクト
Paul Haines『Darn It!』(プロデュースはKip Hanrahan)

ポール・ヘインズはビートニク(詩人)。カーラ・ブレイの『エスカレーター・オーバー・ザ・ヒル』のテキストを書いています。このアルバムもそれの続編みたいなもの。かける曲はデレク・ベイリーがギターの弾き語りで歌うという変なもの。

確かに変なものです(笑)。こういう世界もありでしょう。

ここまでが1巡目です。

前半のブラック&ビート、中盤のフリージャズ、後半のギター・アバンギャルド。
なるほどー、90年代はこんな感じなのか~。面白いですね。

長くなってしまいますのでここで一旦切ります。
続きはまた明日!

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コメント

いっきさん、こんにちは。


『峠のわが家』『ウェルカム・プラスチックス』の共通点は立花ハジメです。
『峠のわが家』はハジメさんがデザインをやっているのです。
ジャケットにエンボスでイラストがありますよね〜同じ事務所にいたころで、
そのジャケットの制作作業は、かなり手伝った記憶があります。

投稿: tommy | 2012年8月12日 (日) 18時47分

tommyさん
こんばんは。
>『峠のわが家』『ウェルカム・プラスチックス』の共通点は立花ハジメです。
なるほどそうですね。
>ジャケットにエンボスでイラストがありますよね〜同じ事務所にいたころで、
そのジャケットの制作作業は、かなり手伝った記憶があります。
前にそうおっしゃっていましたね。
スタイリッシュなジャケットです。
これはやっぱりCDじゃなくてLPが良いです。

投稿: いっき | 2012年8月12日 (日) 19時47分

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