ヘンリー・スレッギルのアルバムについて
昨日の記事の中でヘンリー・スレッギルの『トゥー・マッチ・シュガー・フォー・ア・ダイム』について触れたので、このアルバムの内容について紹介します。
4年前にUPしていますので参照願います。
モブレイ特集他
”他”の部分に相当するのが上記のアルバム紹介です。
来月11日に ジャズ喫茶「いーぐる」 で行われる”com-postが選ぶ「90年代名盤」”で後藤さんがこのアルバムを選曲するのではないかと、密かに期待しています。
その時このジャケットになっているアート作品の話も出るのではないかと思います。
このアルバムのライナーノーツは青木和富さんが書いています。80年代からフリー系やアバンギャルドなものを積極的に紹介してきた数少ない評論家で、私は信頼していました。今も評論活動をされているようですが、あまり話題には上りませんね。
さて、そのライナーノーツの冒頭にこんなことが書かれています。長いですがそのまま引用します。90年代から日本のジャズ・ジャーナリズムはダメだったということの証しかも?(笑)
ジャズ・ミュージシャンの評価は、海外と日本と違って当然だと思うが、しかし、それが国民性とか文化の違いによって引き起こされるのではなく、ほとんと理由にならない理由、つまり、これまで「不運」にも日本に紹介されたことなく、ほんの一部の人々しか耳にされずに、無視されつづけている重要なミュージシャンがいるとしたら、それは早急に改善されてしかるべきだろう。
おそらくこのアルバムの主人公ヘンリー・スレッギルは、その代表といっていい。日本ではまったく話題にのぼらないミュージシャンだが、しかし、海外の評価、たとえば『ダウン・ビート』誌の人気投票などを見れば分かることだが、スレッギルは、常にいい位置を保っている。しかも、『ヴィレッジ・ヴォイス』誌の評論家投票でこの『トゥ・マッチ・シュガー・フォー・ア・ダイム』は1993年ベスト・アルバムの2位にランクされているのだが、日本ではこれまで一枚のCDも出されたことがない。つまり、海外では現代のジャズの重要なミュージシャンの一人として受け止められているが、日本では、今やその名前さえ知らないファンが多数いる。この落差は、まったく驚くべきことというしかない。
今やこういう事態は”全く驚くべきことではない”になってしまったんですから、もう笑うしかありませんよね。あれから19年、変化していないのか悪化しているのか?
ライナーノーツの最後はこんな文章で閉めています。
この7人のユニークな音楽編成によるバンド、ベリー・ベリー・サーカスは、数年前結成され、これはブラック・セイント、テイラー・メイド盤に続く第3弾にあたるわけだが、私たちは、こういうバンドこそ、日本で生で接するべきではないだろうか。この音楽は、今ジャズが必要とするパワーを確実に持っているからである。
なるほどね。”ジャズが必要とするパワー”、私は現代それをヴィジェイ・アイヤやルドレシュ・マハンサッパらの一派に感じます。彼ら、あちらの評論家にはきちんと評価されています。
上記の事項、面白いと捉えるのか、笑えないと捉えるのか、あなたはどちら?
このアルバムの1曲目《リトル・ポケット・サイズ・デイモンズ》がYouTubeにありましたので貼り付けます。どうですパワフルで超カッコイイではありませんか。
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コメント
いっきさん、こんばんは。
おっ、現実に憤りを感じていますね。
気持ちはスゴく分かるけど、解決しない問題だからなぁ。
日本にはジャズ・ジャーナリズムがないからだと思いますよ。
自分の信じているジャズを聴くしかない!!
もう、いっきさんがいっぱい聴けばいいと思います(笑)。
この「もやもや感」は、これからも続く。
投稿: tommy | 2012年7月21日 (土) 03時40分
tommyさん
おはようございます。
別に憤りは感じていませんよ。
昔から変わらないということをまた発見しただけのことです。
もやもや感はないです。
はっきり実感しているわけですから。
はいはい、いっぱい聴きます(笑)。
投稿: いっき | 2012年7月21日 (土) 09時17分