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メセニーのユニティ・バンド行ってみよう!

さすがにそろそろこいつの紹介をしておかないと怒られますよね。って、誰から怒られるんでっか? メセニー&クリポタのファンの皆様にでんがな、きまってるがな。と、おふざけで始めてみました(笑)。

P192 パット・メセニー『ユニティ・バンド』(2012年rec. NONESUCH)です。メンバーは、パット・メセニー(el-g,ac-g,guitar synth,orchestrionics)、クリス・ポッター(ts,b-cl,ss)、ベン・ウィリアムス(ac-b)、アントニオ・サンチェス(ds)です。まさかメセニーのグループにクリス・ポッターが入るとは思っていなかったので、私のようなクリポタ・ファンは嬉しさMAXでごさいます。

自身のグループにサックスを入れてアルバムを作るのは約30年ぶりとか。『80/81』以来ということらしいです。このサックス奏者に我らがクリポタが抜擢されたということが嬉しい! これでクリポタの知名度は一気に上昇するでしょう。めでたしめでたし。

はっきり言ってこのアルバム、私にとっては基本的に想定内でした。ただしオーケストリオニクスと共演した1曲は想定外でしたけどね。なので聴いていて妙に安心感に包まれてしまいます。この人達ならこういうサウンドでしょうというものがそこに鳴っています。ここのところメセニーのアルバムと言えば、オーケストリオンにギター・ソロだったので、そろそろこういう音が聴きたいという私の欲求を十分満たしてくれました。全曲メセニーの曲です。

1曲目《ニュー・イヤー》、これは事前にYouTubeにUPされていた曲ですね。アコースティック・ギターの独奏から入る辺りに、前ギター・ソロ・アルバムとのつながりを感じます。こういう所をきちんと押さえてくるのがメセニーというミュージシャンなのだと思います。メロディーが甘過ぎ。ロマンチック。覚えやすいメロディーなので既に頭の中で時々このテーマが鳴ってます(笑)。

メセニーはもういつものメセニー節。これが好きなので良いとしか言いようがありません。ウィリアムスのベースは初聴きなのですが、バックでさりげなくいいフレーズを弾いてますね。ソロもいい感じで、なるほどセンスいいかも? メセニーに抜擢されるだけのことはあります。サンチェスはもうメセニーと相性抜群。結構叩いている割にはうるさくなく、上手い具合に表情を付けていきます。クリポタのテナーが歌ってますね~。このメロディーなので歌心全開ですよ。

2曲目《ルーフドッグス》、ギター・シンセきたーっ!メセニーはギター・シンセを持つと内に秘めた暴力性があらわになると思います。ハンドルを握る(自動車を運転する)と人が変わる人がいますがあの感覚ですね。サンチェスのフット・カウベルが聴こえてきたりして最高。にしてもサンチェスの向かって右シンバルの中心部を叩く時の金属と木のスティックがぶつかる音は最高に気持ち良く録れています。うねるソプラノがナイス。ギター・シンセ・ソロ、私は「イケイケッ、もっと飛ばせーっ」と心の中で叫んでます(笑)。1曲目の甘さを完全に吹き飛ばす気持ち良さ。参りました。

3曲目《カム・アンド・シー》、エスニックな出だしは42弦のピカソ・ギターとバスクラのからみから。なるほど、クリポタのバスクラがここで効果を発揮。テーマが終わりギター・ソロは高速テクニカル・フレージング炸裂。陶酔感があります。負けじとテクニカルなフレージングで応酬するクリポタ。この2人にしかできない世界でしょう。クリポタのいくつかの面のひとつ、ポスト・マイケル・ブレッカーがここで生きるのです。さりげない3拍子へのリズムチェンジがカッコいい。ウィリアムスもベース・ソロで頑張ってます。

4曲目《ディス・ビロングス・トゥ・ユー》はスロー・バラードをアコースティック・ギターで。ギター弦の擦過音までがアートしていますね。これはメセニーのギターのための曲。

5曲目《リーヴィング・タウン》は美メロ曲、あの名曲《ジェームス》にちょっと似てます。メセニー節全開。テナーは王道コンテンポラリー。サンチェスの左右に飛び散る多彩な音色のシンバル・ワークが気持ち良過ぎです。

6曲目《インターヴァル・ワルツ》はこれもメセニーお得意、落ち着いたトーンの美メロ・スロー・ワルツ。もう誰も文句はないでしょ(笑)。テナーは大らかにスケール大きく歌います。クリポタ余裕かましてるじゃん(笑)。ベースをゆったりグルーヴさせるウィリアムス、なかなか腰が据わっています。

7曲目《シグナルズ(オーケストリオン・スケッチ)》にはちょっとビックリ。最初がフリー・ジャズだからです。メセニーはこういうジャズができることは知っていますが、このアルバムに入っているとは思わなかったのです。これが新鮮に響きます。テナーとバスクラの多重録音が不穏な感じ。そのうち聴いたことがあるパーカッション群が絡んできて、その正体がオーケストリオニクスだと分かります。フリー部分もプログラミングしてあるってことですよね!凄い。

オーケストリオニクスとサンチェスのドラミングの絡み具合が聴きどころです。プログラミングの正確なリズムと人間の微妙なグルーヴの彩が楽しめます。もともとオーケストリオンの無表情なベースが特に嫌いだった私ですが、今回はウィリアムスがベースを弾いているのでウィーク・ポイントが解消されました。おもむろにテナーがソロを初め、オーケストロニクスだけの演奏を挟み、じらしにじらして「やっぱりこれでしょ。」という感じでギター・シンセが登場してくるくだりは最高です。テナーとギター・シンセが交換する会話も素敵。

この曲のスケールの大きさが好きです。後半に向かって列車が大草原の中を突き進んでいく感じになり、気持ち良い風を頬に感じます。私はこれをメセニー流トレイン・ソングと呼んでいます。やがて列車は徐々にスピードを落し駅へと滑り込みます。この曲に惚れました! さすがはメセニーじゃーっ、このサウンド・スケールは素晴らしい。オーケストリオニクスをこういう風に使うなら私は大歓迎。

8曲目《ゼン・アンド・ナウ》は落ち着いたバラード。ウェザー・リポートの《お前のしるし》に何となく似てます。ホロッと泣かせる感じのやつです。クリポタのテナーも泣かせてくれますよ。こういうストレートな良い曲でのクリポタの泣きっぷりっもたまにはいいもんですね。テナー・ソロが終わったところで入れるサンチェスの”チャリン”が憎い!

ラスト《ブレイクディーラー》はブレッカー・ブラザーズ風イケイケ曲。最後にこういうのを持ってきますかーっ! 今回最高の速弾き弾き倒しっす。カッコイイ! メセニー節炸裂しまくり。で、クリポタですよ。この高速でメカニカルにして歌いまくるフレージングのハイテンション・テナー。やっぱ、ポスト・マイケル・ブレッカー筆頭でしょっ。私なんか涙チョチョ切れてます(笑)。同世代の人は分かるでしょう。更に最後にはこれでもかのドラム・ソロまで。やっぱメセニーさん、あなたはファン心理が分かってらっしゃる。鷲掴みっす。

最初はクールに想定内と言っておきながら、全曲レビューしてしまうという興奮ぶり。
鬱陶しくてゴメンナサイ。m(_ _)m
「買って下さい。」と言わなくても、買う人はもう買って聴いていますよね。
*まだ日本盤は発売されてないんですね。これから日本盤を買う人は是非!

アルバム名:『UNITY BAND』
メンバー:
Pat Metheny(el-g ac-g, guitar synth, orchestrionics)
Chris Potter(ts, b-cl, ss)
Ben Williams(ac-b)
Antonio Sanchez(ds)

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ジャズ・アルバム紹介」カテゴリの記事

コメント

こんばんは〜

いっきさんのレビュ- 凄いですね。
一曲一曲、丁寧に聴いておられるんですね。

わたしは、このアルバムでクリス・ポッタ-初聴きでした。
メセニ-も あまり枚数、聴いていないので 過去盤と比べてとか分からないのですが、ほんとに良いアルバムでした。

3曲目、6曲目が好きです♪

投稿: Marlin | 2012年7月 1日 (日) 23時16分

Marlinさん
こんばんは。
ついつい力が入って1曲ずつ書いてしまいました。
どのアルバムも全曲きちんと聴くように努力しています。
クリス・ポッター自身のアルバムは分かりづらい部分がないとは言えませんが、
私はいいサックス奏者だと思っています。
パット・メセニーはもう四半世紀愛聴しています。
今回もなかなか良いアルバムだと思います。
3曲目と6曲目も良いですね。
私は意外と帯に書いてあるおすすめどおり2曲目と7曲目が良い感じです。
両曲ともギター・シンセを使っています。
ちなみに私のは輸入盤なので、帯の情報はMarlinさんのブログから得ました。
*日本盤の帯ではなく輸入盤のシールのようですね。私の誤解。
メセニー&クリポタ、良い組み合わせです。

投稿: いっき | 2012年7月 1日 (日) 23時48分

こんにちはぁ。

トラバありがとうございました。
わたしも期待通りのアルバムでした。
でも、ここまでガッツリいけてるとは、、そりゃ、わたし的には嬉しい想定外でした。

今頃、コノバンドであちこちでライブ歴戦してると思うと。。
もう、じっとしていられない気分です。
しかし、いい曲書きますよねぇ。
先日でかけたライブで、ギターもベースもいないけど(笑)NewYearを演奏してたのですが、やっぱ、かっこよかったなぁ。

と、トラバ返しさせていただきました。
日本版のライナー読んでみたいなぁ。

投稿: Suzuck | 2012年7月 2日 (月) 17時27分

Suzuckさま
こんばんは。


>トラバありがとうございました。
いえいえ。


>わたしも期待通りのアルバムでした。
そうですよね。期待を裏切らない人達です。


>でも、ここまでガッツリいけてるとは、、そりゃ、わたし的には嬉しい想定外でした。
そういう見方もできますね。
さすがに食い足りないようなところはないですね。


>今頃、コノバンドであちこちでライブ歴戦してると思うと。。
>もう、じっとしていられない気分です。
日本に来るなら是非観たいところです。


>しかし、いい曲書きますよねぇ。
全部いい曲ですね。まっ、メセニーですから余裕でしょう。


>先日でかけたライブで、ギターもベースもいないけど(笑)NewYearを演奏してたのですが、やっぱ、かっこよかったなぁ。
今もふと頭の中にこの曲のメロディーがという感じなのですが、こういう曲なら楽器編成が変わってもいいんでしょうね。


>日本版のライナー読んでみたいなぁ。
インタビューとメセニーによる曲解説があるんですよね。
私も読みたいです。


>と、トラバ返しさせていただきました。
トラバありがとうございます。

投稿: いっき | 2012年7月 2日 (月) 20時38分

いっきさん、こんばんは。

僕もこのアルバムのオープニング曲「New Year」をYou Tubeで聴きましたがなかなか良い曲ですね。大変気に入りました。
涼しげに始まりますが、エンディング付近ではクリスのサックスとサンチェスのドラムが暴れまくり凄くホットな展開になりますね。
静と動を兼ね備えた素晴らしい楽曲です。

>>覚えやすいメロディーなので既に頭の中で時々このテーマが鳴ってます(笑)。

僕も昨日から10回以上聴いているので、クリスのサックスの音が頭の中にこびり付いて離れません。
この1曲のお陰で次回のCD購入予定リストの2番目にこのアルバムを入れておきました(1番目は上原さんのトリオです)。

>>*まだ日本盤は発売されてないんですね。日本盤を買いたい人は是非!

パットのインタビューと曲解説は魅力的ですが、日本盤は輸入盤より1000円以上高いんですよね。どうせパットのインタビューはJAZZ雑誌に載るでしょうから、輸入盤と雑誌1冊を買った方がいいかな。

>>5曲目《リーヴィング・タウン》は美メロ曲、あの名曲《ジェームス》にちょっと似てます。
Jamesも聴きましたが、この曲も良いですね。30年前に出たアルバム「愛のカフェ・オーレ(Offrump)」に入っているそうですが、このアルバムも気になります。

あと、上原さんのオフィシャルサイトにニューアルバムのジャケットがアップされています。僕は大変気に入ってます。ぜひ御覧ください。それからコンサートのチケットはオフィシャルサイトで先行予約をするみたいです。

投稿: kimt | 2012年7月 3日 (火) 23時07分

kimtさん
こんばんは。


>僕もこのアルバムのオープニング曲「New Year」をYou Tubeで聴きましたがなかなか良い曲ですね。大変気に入りました。
>静と動を兼ね備えた素晴らしい楽曲です。
1曲目ですから良い楽曲を持ってきたのでしょう。


>パットのインタビューJAZZ雑誌に載るでしょうから
今月発売のジャズライフ誌とかに載るんでしょうかね?


>輸入盤と雑誌1冊を買った方がいいかな。
その判断もなかなかグッドではないかと思います。


>30年前に出たアルバム「愛のカフェ・オーレ(Offrump)」に入っているそうですが、このアルバムも気になります。
これが結構くせもので、フリー・ジャズ、テクノっぽいもの、ロックンロールっぽいもの、環境音楽っぽいものと、バラエティーに富んでいます。
メセニーの色々な面が凝集された重要アルバムだと思います。
日本のタイトルは当時の日本の流行りを反映していますね。


>あと、上原さんのオフィシャルサイトにニューアルバムのジャケットがアップされています。僕は大変気に入ってます。
行き違いになってしまいましたが、本日の記事にUPしました。
私はこのデザイン、微妙だと思います(笑)。


>それからコンサートのチケットはオフィシャルサイトで先行予約をするみたいです。
情報ありがとうございます。

投稿: いっき | 2012年7月 3日 (火) 23時41分

いっきさん、こんにちは。

>>>パットのインタビューJAZZ雑誌に載るでしょうから
今月発売のジャズライフ誌とかに載るんでしょうかね?

「Jazz Life」 「Jazz Japan」共に7月号ではパットの特集はないみたいですね。
ただ、You Tubeで「Pat Metheny Unity Band Podcast」という動画があり、そこではパットが新作について語っています。ただし英語ですが。
このメンバーでの日本公演も実現させて欲しいですね。

愛のカフェ・オーレについてのコメントありがとうございます。
それにしても80年代の邦題には傑作がたくさんありますね。
僕にとって一番インパクトが有ったのは、レイ・パーカーJr.の「I Still Can't Get Over Loving You」の邦題「I・Still・愛してる」です。
当時友人とネタにしていたのを思い出します。

>>私はこのデザイン、微妙だと思います(笑)。

いっきさん的には微妙ですか。それは残念。僕は上原さんの表情が気に入ったのですが。初回限定盤も楽しみです。

投稿: kimt | 2012年7月 4日 (水) 15時01分

kimtさん
こんばんは。
>「Jazz Life」 「Jazz Japan」共に7月号ではパットの特集はないみたいですね。
来月号はあるかもしれませんね。
YouTubeは英語ですか~。う~む苦手です。
>このメンバーでの日本公演も実現させて欲しいですね。
是非来日してほしいところです。来年で良いので。
>レイ・パーカーJr.の「I Still Can't Get Over Loving You」の邦題「I・Still・愛してる」です。
それはまた無茶苦茶ですね(笑)。
>いっきさん的には微妙ですか。それは残念。
ごめんなさい。風に吹かれているのが香港ホラー映画みたいで??
表情は確かにいい感じかもしれません。
>初回限定盤も楽しみです。
ですよね。

投稿: いっき | 2012年7月 4日 (水) 20時12分

やっと昨日届きました。値段の安い方に色目を使ったら、組み合わせの関係で他の人の感想を見つつ、指をくわえて待っている状態でした(笑)。

最初はクリ・ポタが遠慮がちに参加していると思ってましたが、吹きまくっているところは吹きまくっていて、けっこう、4人のバランスがとれている感じですね。もちろんメインはパット・メセニーですけど。管入りでは、彼が考える最強のクァルテットになるんじゃないでしょうか。2回目を聴き終えて、これから珍しく、3回目に突入します。

TBさせていただきます。

投稿: 910 | 2012年7月15日 (日) 17時32分

910さん
こんばんは。
メセニーの作品らしいですし、クリポタは実力を遺憾なく発揮し、
2人のコンビネーションも良好という。
特に欠点がみあたらないアルバムでした。
なかなか良いグループです。
私はこのサウンドがかなり好きです。
個人的にはオーケストリオニクスを今後どう使っていくのかに興味があります。
トラバありがとうございました。

投稿: いっき | 2012年7月15日 (日) 19時52分

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