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フランスの腕利き達を聴く。

今日はジャズの新譜紹介です。新譜とは言え出てからだいぶ経ちます。

P182 ロマーノ、スクラヴィス、テキシェの『3+3』(2011年rec. LABEL BLEW)です。メンバーは、アルド・ロマーノ(ds)、ルイ・スクラヴィス(cl,sax)、アンリ・テキシェ(b)、エンリコ・ラヴァ(tp)、グエン・レ(g)、ボヤン・Z(p,el-p)です。フランスの重鎮、ロマーノ、スクラヴィス、テキシェにゲストの3人、イタリア人ラヴァ、ベトナム系フランス人のレ、セルビア出身でパリ在住のZが濃いジャズを聴かせてくれる1枚。

ロマノ、スクラヴィス、テキシェはトリオを組んでアルバムを出しています。そこにラヴァ、レ、Zという個性派にしてしっかりジャズを聴かせるメンツが絡みます。全曲を6人でやっているわけではなく、3人を主体に曲によってゲスト3人が出入り。曲はロマーノが2曲、スクラヴィスが2曲、テキシェが2曲、3人の合作が2曲、ラヴァ、レ、Zが1曲ずつで全11曲と、なかなかバランス良い構成になっています。

1曲目は6人が参加して顔見世。静かに自由度高いイントロから入るスクラヴィスのプログレ調の曲。ゲスト陣がラヴァ、Z、レの順でソロを披露します。単なる4ビートではなくこういう曲をやるのがこの人達らしいところです。

2曲目は打って変わってラヴァ、スクラビス、テキシェ、ロマノのピアノレス・カルテットでオーネット・コールマン風フリー・ジャズ。ラヴァの曲です。テーマ合奏後テキシェのベースとロマーノのドラムが大暴れ、続くラヴァとスクラヴィスの掛け合いと、それぞれかなりのカッコ良さです。

3曲目はレらしいエスニック曲。ウェザー・リポートの《ブラック・マーケット》のような明るく緩めな感じの響きが心地よいです。奔放なバス・クラリネット・ソロ、エスニックかつロックなギター・ソロはこの人ならではの節回しです。

4曲目は3人の合作ですが即興でしょう。アグレッシブなソプラノ・サックス、”ゴリゴリ”と凄みを効かせる凶暴ベース、暴れ回るドラム。ジャスト2分の快感。

5曲目はクラシカルなクラリネットの無伴奏ソロから入るZの曲。マイナー美メロのワルツです。カルテットで演奏。静かなテーマーの演奏がしばらく続き、ベース・ソロからテンポ・アップして4ビートへ。Zの軽快でいて太いタッチのピアノはいかにもジャズな雰囲気を醸し出します。なかなか凝った構成がZの作編曲らしいです。

6曲目はまた3人の合作でフリー・ジャズ。バス・クラリネット、ベース、ドラムが高速4ビートで自由奔放に演奏します。私は特にテキシェのベースがいいです。テクニカルですけれどテクニックより音圧を聴かせるところに惹かれます。こういう力強いベースを前面に出すベーシストってヨーロッパには少ない気がします。

7曲目はテキシェのスローでのんびりした4ビート曲。ラヴァとレが入ってクインテットで演奏。伴奏ギターがジョン・スコフィールド風に聴こえたり、ラヴァのトランペットがソロをとるので、これが80年代マイルスがやっていたブルース曲に聴こえてきて懐かしいのです。

8曲目はロマーノのアップテンポでシンプルな8ビート曲。3人で演奏。多重録音でスクラビスのクラリネットアンサンブルが付きます。ソロはソプラノ・サックス。これがデイブ・リーブマンの匂い、熱いです。これも80年代のフュージョン経由後のジャズを感じます。

9曲目は現代音楽の匂いがするスクラヴィスのスローな曲。3人で演奏。テーマ部では曲調に合わせてベースはアルコ弾き、ドラムはマレットも使ってスピリチュアルに。ベース・ソロはピチカートでゴリゴリ。バス・クラリネット・ソロは腰の据わった力強い響き。きっちり聴かせます。この人達らしい演奏です。

10曲目はZのエレピから入るウェザー・リポートの《ブギ・ウギ・ワルツ/バディアの楼閣》似の曲。作曲はロマーノでタイトルが《グリオ・ジョー》。ジョー・ザビヌルを意識しているのかな~。伴奏のエレピもザビヌルみたいですしね。演奏は6人で。レの変態ギター・ソロ、ラヴァのトランペットとスクラビスのソプラノ・サックスの自由な掛け合いがフィーチャされます。

ラストはテキシェのミディアム・テンポのワルツ曲。3人で演奏。テキシェらしい哀愁エスニック曲でクラリネットが優しく響きます。バックをしっかり支える太いベースと小粋なブラッシュワークのドラムが一体となり、3人の熟成を聴かせます。

以上のように内容はバリエーションに富んでいて濃いです。やっぱりこのメンバーならではでしょう。80年代から幅広くジャズを聴いている私のようなジャズ・ファンには親近感が湧く内容なのではないでしょうか。演奏の質については保障します。

ラベル・ブリューらしいクリアでいてパワー感のある録音も素敵です。

アルバム名:『3+3』
メンバー:
Aldo Romano(ds)
Louis Sclavis(cl,sax)
Henri Texier(b)
Enrico Rava(tp)
Nguyen Le(g)
Bojan Z(p)

Amazonに1点在庫ありですが、ディスクユニオンには在庫があります。
中古品が3枚もありますね。
ユニオンのジャズ・ファン、分かってないよね。
レア盤とかレア・グルーヴとかマイナー・ピアノ・トリオとか
すっとぼけたことばかり言ってるからこうなるのです。
ダメだこりゃ!(笑) あ~あっ、言っちゃった。

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コメント

最後、、大笑いした。
お腹が痛いくらい笑ったぁ。爽快だ!

投稿: Suzuck | 2012年6月 9日 (土) 17時24分

Suzuckさま

こんばんは。

>お腹が痛いくらい笑ったぁ。爽快だ!

そうおっしゃっていただけると嬉しいです。
まあ、色々思うところはあります。

投稿: いっき | 2012年6月 9日 (土) 21時19分

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