こんな時代もありました。
紹介したい新譜が何枚か溜まっているのですが、最近どうも書く気力が減退しているので、昔話でも書いてお茶を濁すことにします。
同世代の方には懐かしい話でしょうし、今の若い方には想像できない話でしょう。30年ほど前の話です。あ~あっ、今日はとうとう株価TOPIXがこの頃の水準に戻ってしまったらしいです。当時は将来これほどの景気の落ち込みになるとは夢にも思いませんでした。
まずはこれ。ザ・スクエアー(T-スクエアー)《サバナ・ホテル》。
この軽薄感が1983年当時をよく表していると思うのです。大学2年生の私、受験戦争から開放されて大学生活を謳歌していたので、このサウンドは当時の私の周囲の雰囲気にフィットしていたように思います。バブル前夜ということで世の中明るい感じに満ちていたように記憶しています。超就職難に苦しむ今の大学生には想像できないでしょうね。
これを最初に聴いたのは友達の車の中でです。それは初めてザ・スクエアーを意識した時でもあります。夏休みに伊豆へ海水浴に行く途中、この曲が入った『うち水にRainbow』をリピートして聴かされました。友達の車はシビック。それまでのださいデザインを一新して若者にも受けるデザインになり、当時大流行した車です。
理系の悲しさですが色気はなく、野郎ばかりで海水浴へ行くという硬派な状況(笑)。友達の親が管理していたどこぞの会社の保養(リゾート)施設にただで泊まらせてもえるという、お金がない学生にはたまらない旅行でした。”会社の保養施設”、そういう時代になっていたのです。肌を焼き過ぎて全身激痛。その後初めて全身の皮が剥けました(笑)。
当時私は積極的にこういうジャパニーズ・フュージョンは聴いていませんでした。既にジャズを聴き始めていましたから、この手のチャライサウンドはバカにしていました。まっ。今聴いても音に触発されるようなことはなく、単に思い出の音楽と化しています。ちなみにジャズは私にとって”思い出の音楽”ではありません。
当時惚れていたのはこちらなど。ウェザー・リポート《ブギ・ウギ・ワルツ》。
上記スクエアーの10年前にこんなカッコいいサウンドが録音されてたというんですから。ジャズにどんどんのめり込むことになりました。黒いグルーヴ最高!尖がってます。最後へ向かっての怒涛のリピートに”クラクラ”きます。そこにはヒップホップのブレイクビーツと同質のものを感じるんですよね。私にとっては永遠の愛聴曲。
1982年に出たこれもカッコいいと思いました。
ウェザー・リポート《ヴォルケーノ・フォー・ハイヤー》。
アースキンの”パタパタ”ドラミング全開(これは好き嫌いあるでしょう)。ジャコのアグレッシブなベースが炸裂。でもこの曲の魅力は何と言ってもショーターの逞しいテナー・ブロー。終盤絶好調となるザビヌルのシンセも過激ですよね。各人がやっていることはある意味シンプルです。これがメイン・ストリーム回帰の意味するところだと思います。
ザ・スクエアーの話に戻ります。ザ・スクエアー《オール・アバウト・ユー》。
この曲は学園祭でやった電子工学科の出し物”レザリアム”(レーザー光線を電子制御の鏡で変調して絵を書いたりするやつ)でB.G.M.に使った曲の中の一つ。これも思い出の曲ですね。1984年当時かなり流行ったはずです。
この当時のスクエアーはドラムが嫌いでした。この単調ドラミングはまるで歌謡曲のバックバンドのノリです。当時ジャズの凄腕ドラマーに心酔していた私にとっては許容し難いものがありました(笑)。このドラマー、ウィキで調べたらジャニーズにいたこともあるんだそうです。どうりで歌謡曲ノリなわけです。
この私にとってはダメなドラマーが交代したのがこのアルバム『S・P・O・R・T・S』。
《ラブ・イズ・イン・マイ・サイト》を聴いてみて下さい。いい感じになりました。
変化するリズムをタイトに決めていくこういう腰のあるドラミングがカッコいいのです。ドラマーはご存知則竹裕之。この後スクエアーを支えていくドラマーになります。今や日本のフュージョン・ドラマーの第一人者。当時の私の耳に狂いはなかったのです(笑)。
で、ここにベーシストの須藤満(学芸大のマーカス・ミラーと言われていたとか)が入り、フジテレビF1中継のテーマ曲である《トゥルース》を引っさげて大ブレイク!この頃になるともうバブル真っ只中ですね。当時ライブを観に行きましたが、私が知っている中で最大音量がこのバンドのライブでした。終わったら耳と頭が”ジンジン”。
こんな感じのノリで若者が熱狂していた時代です。これは野外ジャズフェスですから集まった半分以上は単なるお祭り好きでしょう(笑)。
初体験がそうであったように、ザ・スクエアーはその後私のドライブのB.G.M.として定着しました(笑)。真面目に聴き入る対象になったことはありません。m(_ _)m
歳をとるに従い、”昔は良かった。”と思うことが多くなってきます。
なんか嫌にもなりますが、そういうものなんですよね。
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コメント
いっきさん、こんばんは。
いきなりですが、
「この当時のスクエアーはドラムが嫌いでした。」
「この私にとってはダメなドラマー」
に反応してしまいました。
僕はこの手のネガティヴワードに反応するのですが、早速このドラマーは誰かなと
調べようと思いましたが、
「ジャニーズにいたこともあるんだそうです。」で誰だかわかっちゃいました。
実は僕、彼がジャニーズ時代に結成した、「ANKH」というバンドの「FIRST WAVE」というアルバムを所有しています。
サウンドは所謂歌謡ロックという感じです。
個人的には彼のプレイもそれほど悪くないと思いますが、後任の則竹裕之さんはかなりのテクニシャンですからね。
それにしても、T-SQUAREは良い曲が多いですね。
「TRUTH」はかっこいいですね。何度聴いても飽きないです。また、「All About You」も以前聴いた事があります。懐かしいです。
彼らの全盛期のライヴをご覧になったとは羨ましいです。
あとT-SQUAREのメンバー、ルックスの良いメンバーが多いですね。
則竹さんも元日本代表のGK川口能活選手に似ている気がします。
投稿: kimt | 2012年6月 8日 (金) 22時16分
kimtさん
こんばんは。
>実は僕、彼がジャニーズ時代に結成した、「ANKH」というバンドの「FIRST WAVE」というアルバムを所有しています。
そんなアルバムをお持ちだったとは、降参です(笑)。
>個人的には彼のプレイもそれほど悪くないと思いますが、後任の則竹裕之さんはかなりのテクニシャンですからね。
当時はトニー・ウィリアムスやジャック・ディジョナットにぞっこんだったこともあって、ダメということになってしまったのだろうと思います。
同じフュージョン・バンドでもカシオペアの神保彰は当時から気に入ってましたよ。
そのカシオペアの熱烈なファンだった則竹裕之を私が気に入ったというのは、当然の成り行きだったような気がします。
>それにしても、T-SQUAREは良い曲が多いですね。
確かに多いですね。
私が一番好きな曲は《TAKARAJIMA》、不動の1位です。
http://www.youtube.com/watch?v=avkCvzZ-bVY&feature=related
ただそちらかと言えば、ベタなSQUAREよりは少し捻ったCASIOPEAのほうが好きかも?
CASIOPEAのこれなんかはかなり好きです。《CHANDELLIER》。
《TAKARAJIMA》と雰囲気が似てますよね(笑)。
哀愁美メロという括り。 ”胸キュン”or”セツネ~”(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=K5isR7N571g
>彼らの全盛期のライヴをご覧になったとは羨ましいです。
若い頃の良い思い出です。
>あとT-SQUAREのメンバー、ルックスの良いメンバーが多いですね。
>則竹さんも元日本代表のGK川口能活選手に似ている気がします。
今風に言うと”イケメン”ですね。
則竹≒川口、正におっしゃるとおりだと思います。
甘いマスクのイケメン。
投稿: いっき | 2012年6月 8日 (金) 23時10分
いっきさん、こんにちは。
>>ただそちらかと言えば、ベタなSQUAREよりは少し捻ったCASIOPEAのほうが好きかも?
確かにT-SQUAREはベタな感じはしますね。それと比較するとCASIOPEAの方が洗練されている気がします。 「CHANDELLIER」始めて聴きましたが良いですね。特にリズムとギターのカッティングが気持ち良いです。
そういえばCASIOPEAは東京JAZZ2012にCASIOPEA3rdとして出演するみたいですが、いっきさんはあまり興味はないでしょうね。
投稿: kimt | 2012年6月10日 (日) 16時32分
kimtさん
こんにちは。
「CHANDELLIER」、気に入っていただけたなら嬉しいです。
>そういえばCASIOPEAは東京JAZZ2012にCASIOPEA3rdとして出演するみたいですが、いっきさんはあまり興味はないでしょうね。
CASIOPEAファンの間では話題騒然になっている再々結成ですね(笑)。
キーボードの向谷実さんが参加しないらしいんです。
ギターの野呂さんと向谷さんの確執があるとかないとか?
私は向谷さんなしのCASIOPEAなんて認めません派(笑)。
だってサウンドの重要な部分を彼が担ってきたわけですから。
向谷さんの華麗で優しいキーボード・サウンドなしではね~。
投稿: いっき | 2012年6月10日 (日) 17時31分