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誰が何と言おうとやっぱりレコードはイイ!

色々なご意見はあろうかと思いますが、やっぱりレコードはイイのです。今や配信がCDにとって代わろうとする時代です。でもやっぱりレコードから聴こえる音には何とも言えない味があります。大きい、重い、扱いが面倒、再生するレコードプレーヤーもあまり売っていない、などなどレコードには不利な条件が重なっています。でも一度その味に触れれば面倒くささなど吹き飛んでしまいます。

私アラウンド・フィフティー世代は、レコードからCDへの世代交代を社会人になった頃に目の当りにしました。社会に出るという人生の一大転換期にそれを目撃したことに意味があるような気がします。

街にレンタルレコード屋さんがあらわれたのとCDが発売されたのはほとんど同時だったように私は記憶しています。最初は全く別な物として認識していたのですが、このレンタルレコード屋がCDをレンタルするということになり世の中は一変しました。一方では携帯型音楽プレーヤー(ウォークマン)の登場、レンタルレコードをカセットテープにダビングして聴くというライフスタイルの変化も同時進行していました。

CDはそれまでオーディオ側から音質が良く録音時間が長い(ベートーベンの第九が丸々収録できるということを売り文句にしていました。)ことをアピールしていたのですが、レンタルCDが普及することで一挙に取扱いが簡単という面が全面に出て、更にCDプレーヤーは安くてもそれなりの音が出るという再生機器の普及も追い風になり、あれよあれよというまに世の中CDだけになってしまったのです。

何が世の中を変えるのか、ライフスタイルの変化とはどういうことなのか、分かった瞬間でもありました。

今世の中で騒いでいる携帯型音楽プレーヤー(スマホ含む)と音楽配信と違法ダウンロードなどの問題は、80年代に一挙に起きた変化の成れの果てという見方ができます。色々な問題を孕みつつ灰色なままそれなりに30年やってきたことが、とうとうここに来てそれでは済まされなくなったのではないでしょうか。

税と社会保障の一体改革(消費税増税)についても、これまでなあなあでやってきて国の借金という良く見えないものに押し込めてきたものが、ここに来てそれでは済まなくなったということであって、今やそういう時期に来ているのではないかと思います。これまで良い思いをしてきたけれど、そろそろ痛みを受け入れなければいけないのではないかと私は思っています。

なんか話が脱線しまくっていますね。今日の話はそんなことではありませんでした。
「レコードはいいな~。」というのんきな話です(笑)。

先日渋谷の老舗レコード屋さん 「discland JARO」 からレコードの通販リストが届きました。東京の府中に住んでいた頃は時々お店に買いに行っていましたが、山梨に引っ越してからはこの通販を利用させてもらってます。通販歴はもう5年くらい。3、6、9、12月の年4回送られてくるこのリストが私にとっては風物となっています。このリストから1、2枚の手頃なオリジナル盤を探してはこつこつと聴いていくのが楽しみです。

このリストにはオリジナル盤だけが掲載されているわけではなく、格安な日本盤や希少なヨーロッパ盤もたくさん掲載されています。このリストに並ぶレコード群はJAROの店主柴崎さんの愛情がこもったものばかり。眺めているだけでも楽しくなります。

今回は面白いものが見つかりました。テテ・モントリュー『ピアノ・フォー・ヌリア』です。CD化されていますがその半額くらいで日本盤中古レコードが買えました。今は予約注文しただけなので手元にはありませんが届くのが楽しみです。今回入手し損ねたのがジョージ・ケイブルス『ファントム・オブ・ザ・シティ』。既に売れてしまっていました。このアルバムは後藤雅洋さん著「ジャズ・レーベル完全入門」に掲載されています。ドラムがトニー・ウィリアムス。これもかなり探していますがこれまで目にしたことがありませんでした。ゲットできず残念!

ついでに前回3月に入手したオリジナル盤を公開します。

P200 『スタン・ゲッツ・クァルテッツ』。このアルバムは最初OJCのCDを買い、次にOJCのレコードに買い換え、そしてとうとうオリジナル盤を入手してしまいました。モノラル、N.Y.C.、溝アリ、RVG手書き、盤質N-、何と4桁(通販特価)でした。ジャケットの痛みが結構あって裏に書き込みがあるからなのでしょうか。私はそういうのは全然気にしません。意外と人気がないアルバムなのかも?

どんなアルバムなのかって、はいっ、「ジャズ・レーベル完全入門」にご登場願いましょう。後藤さんはこんな風にお書きになっています。

クールな演奏の中に即興のスリルが。初期ゲッツの傑作
はっきりいって、これはジャズ上級者向きのゲッツ・アルバムである。普通の人がジャズ・テナーに抱いているイメージを全部裏切っている。ゴリゴリと豪快に吹きまくるわけでなし、分かりやすく情緒に訴えることもしない。だが、その裏返しとしてクールなサウンド、抑揚を効かせた、しかしとんでもなくキレの良いアドリブの冴え、そういったものに着目してみると、なるほどこれは名演なのである。しかも折り紙つきの。
これからゲッツを聴いてみようという人は、後期ヴァーブ時代からでも、ボサ・ノヴァものでもいいからとにかく1枚購入し、このアルバムの良さが分かるようになることを一つの目標にしつつ、日々ジャズ修行に励んでいただきたい。ということは、まずこいつを手元に置いて、折に触れ自分の進歩の程度を確かめなあかんのです。

後半は後藤さんに説教されてるみたい(笑)。
最後に関西弁が飛び出すところがおちゃめ。
ということでジャズファンの皆様、”これを聴かなあかんのとちゃいまっか?”
安い輸入盤CDで十分です。
私はオリジナル盤を聴いて独り悦に入ってます。

ちなみに寺島靖国さんは「辛口JAZZノート」の中でこんなことを書かれています。

アドリブのメロディーがテーマを凌駕したもの
これが、ぼくにとっての最高のアドリブになる

というタイトルの記事の中で。

テーマらしきものが出て、いつのまにかアドリブ・パートに入り、テーマを越えた旋律が現らわれ、ハッと気がつくと終わっていたというのが理想である。
そんなうまい話があるものかという人は、『スタン・ゲッツ・カルテット』を聴けばいい。なるほどと合点がゆく。「マイ・オールド・フレーム」や「ホワッツ・ニュー」のメロディ・センスを聴いていただきたい。何人の人がその素晴らしさを理解するだろう。いやっ、わからなくてもいい。そう簡単にわかってもらっては困るのがこのレコードなのだ。

興味深いのは最後のところ。後藤さんと寺島さん、言い回しは違うけれど同じことをおっしゃっていると思います。全く反するお2人のようですが、実はこういう一致が他にもあります。ジャズが分かるってことの基本はこの辺りだと思いますよ。

私はまさにこの文章を読んでこのアルバムを購入しました。そしてなるほどと合点がいったのでした。そしてこの本の「レコード屋巡り」のところにある”一枚一枚に店主の愛情が染み込んだ「ジャロ」”を、この本の発売当時ではなく、だいぶ経ってお金がそれなりに稼げるようになってから読んで、オリジナル盤を買ってみる気になったのです。最初にお店に行ったときは恐る恐るでした。「トニイ・レコード」「コレクターズ」にも行きました。

「JARO」柴崎さんと「いーぐる」後藤さん、ついでに「Meg」寺島さんにはお世話になりっぱなしな私です。この方達に出会わなければ今の私のジャズ・ライフはあり得ません。

最後にもう一度、「discland JARO」 ホームページから買うこともできます。
東京にいるならお店に行って買うべし!
狭いお店なのですがそこはもう宝の山です。

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