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ジャック・ディジョネットが活躍するピアノ・トリオ

昨日はサッカーワールドカップのアジア最終予選でした。
ヨルダンに圧勝!本田凄いね。もちろん香川も凄い。
他にもタレント揃い。今の日本代表はこれまでで最強な感じです。

続けてジャズの新譜紹介です。これも発売されてからだいぶ経ちます。

P183_2 ルイス・ペルドモ『ユニヴァーサル・マインド』(2009年rec. BKM music)です。メンバーは、ルイス・ペルドモ(p)、ドリュー・グレス(b)、ジャック・ディジョネット(ds)です。録音は2009年で発売は2010年ですが、輸入されたのは今年。

ペルドモのピアノはアルト・サックス奏者ミゲル・セノーンのアルバムで聴いて気に入っていました。プエルト・リコ出身でラテン風味の哀愁を明るく聴かせるセノーンにぴったりのピアノを弾いていたからです。そのピアノはほのかに甘く爽やかな哀愁漂うフレージングを聴かせる美メロピアノ。ペルドモはベネズエラ生まれの黒人です。セノーンとペルドモは中南米つながりで相性が良いのかもしれません。

そんなペルドモは何枚かピアノ・トリオのアルバムを出しているのですが、これまで買いそびれていました。今回はメンバーを見て購入を決定。ディジョネットがいるからです。最近のディジョネットのアルバム『サウンド・トラヴェルズ』はドラムがあまり目立たなかったので消化不良気味でした。それはそれで違う意図があると感じたのでアルバム自体は否定するのものではありません。で、今回はディジョネットのドラムがより多く聴けるのではないかと期待したわけです。

期待は見事に的中。ディジョネットは大活躍です。ペルドモが書いたライナーノーツの冒頭にはペルドモがディジョネットのファンだと書かれています。どうやらペルドモの希望でディジョネットとの共演がかなったアルバムということのようです。ディジョネットはファンであるペルドモの期待に応えてとても楽しそうに溌剌とした感じでドラムを叩いています。ディジョネットは録音時67歳、歳をとってもまだまだ衰えませんね。

曲は、ジョー・ヘンダーソンとミリアム・サリバンの曲が1曲ずつ、ペルドモの曲が6曲、ディジョネットの曲が1曲、ペルドモとディジョネットの共作2曲です。というわけで曲構成からもディジョネットへの敬愛は分かります。

1曲目はジョー・ヘンダーソンの《テトラゴン》。しっかりしたタッチの現代王道バップ・ピアノです。最初のほうで”哀愁漂う美メロピアノ”と書きましたが、マイナー・ピアノ・トリオのそれではなく、しっかりしたテクニックに支えられた逞しいピアノを弾いています。音はとても粒立ち良くクリア。気持ちの良いピアノです。ドリュー・グレスのベースがガッツある骨太の確固としたグルーヴで気持ち良いことこの上なし。で、ディジョネットのパルシブなドラミングが炸裂。ベース・ソロ、ドラムとのバース交換もあり痛快な演奏。

2曲目はペルドモの《Lagnau》。こちらは一転して美メロのミディアム・テンポ。曲が持つ情感を表情豊かに奏でていきます。最初の方のベース・ソロもとても情感豊かで曲の中にぐいぐいと気持ちを引き込んでくれます。伴奏に回っても情感を維持させる好サポートぶり。グレスのベースもこのアルバムの聴きどころであることに間違いはありません。ディジョネットは繊細に叩いています。こういう繊細なドラミングも魅力的ですね。

3曲目もペルドモの曲で《リベリアス・コンテンプレイション》。アップテンポの曲でこちらはディジョネットとのバース交換から弾けてますね。ピアノ・ソロに入ると淀みなくテキパキとフレーズが繰り出されていきます。フレーズが疾走する感じはチック・コリアか?ペルドモは特別個性的という感じではないのですが良い感じです。ディジョネットとグレスを堂々とリードしているところはなかなかのものです。

4曲目と6曲目はディジョネットとのデュオで共同名義の曲。この2人、非常にマッチングが良いです。最初の曲はメロディーがしっかりあるので、即興というよりはしっかり作ってあるのかもしれません。ちょっとエスニック漂う確固とした美しい世界が繰り広げられます。次の曲は即興だと思われます。集中度高い演奏が高レベルでぶつかっています。

7曲目は懐かしい曲です。ディジョネットの《ティン・カン・アレイ》。ジャック・ディジョネッツ・スペシャル・エディションの2枚目のアルバムのタイトル曲ですね。ちょっとユーモラスな感じを含むオープンンな曲にとてもマッチしたピアノを弾いています。最後のほうではフリーに突入。ペルドモのアグレッシブなピアノが弾けます。

クリーンで溌剌とした良いピアノ・トリオだと思います。ディジョネットが好きなら買い!

アルバム名:『Universal Mind』
メンバー:
LUIS PERDOMO(p)
DREW GRESS(b)
JACK DEJOHNETTE(ds)

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