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2012年5月

東京スカイツリー見物。

土曜日に東京泊となった私、翌日曜日に東京スカイツリーを見に行きました。

地下鉄銀座線で浅草に出てそこからはスカイツリーまでは歩きです。それ程遠くないので良い散歩になります。まずはいつもの吾妻橋の撮影ポイントから。墨田区役所とアサヒビール本社、2つの斬新なビルの間からスカイツリーが見えます。9時半くらいですが西から撮ると逆光ぎみですね。P163_3 途中撮影しながら歩いていきました。オープンしてから最初の週末とあってもうかなりの賑わいです。
P164 南側の川はすっかりきれいに整備されました。業平橋からの眺めです。
P165 川を挟んでスカイツリーの真下から見ると真上を見上げる感じになります。展望デッキから上はアンテナが少し見えるだけです。
P166 広場にあるモニュメントの中からスカイツリーを撮ると面白い写真が撮れるということで順番待ちの行列ができていました。この辺りにはTV局のカメラも来ていました。ニュース用のビデオを撮っているんでしょう。
P167 ソラマチの外の階段を上ってソラマチの屋上からスカイツリーを見る。見る角度によって曲線のラインが変わります。
P168 ソラマチの屋上にあるスカイツリー入口。スカイツリーにはソラマチの中からでももちろん入れます。
P169 この写真を撮ってからソラマチの中へ入ったら凄い混雑でした。人人人。スカイツリーにまつわる商品の数々が売られていました。特にスカイツリーグッズを売るお店のレジなどには長蛇の列。レジが済むまで30分くらいかかるんじゃないかな~。ソラマチは広いんで隅々見るには半日くらいかかりそうです。
また外へ出てイーストタワーとスカイツリーを見ます。曲線のデザインはマッチするようになっています。
P170 少し離れれば展望デッキと展望回廊が見えます。この日はとにかく良い天気。
P171また業平橋から。お昼も近づいてきて人は更に増えていました。
P172 浅草までは帰りも歩きました。途中の源森橋は東部伊勢崎線の電車とスカイツリーが見える絶好の撮影ポイントです。
P173 スカイツリーの上部は色々なアンテナがたくさん付いていてかなりメカメカしてます。ちょっとスマートさに欠けますよね。展望デッキまでの優雅な曲線とミスマッチです。
P174 吾妻橋に戻ってもう一度スカイツリーを撮影。
P175今度はきれいに撮れました。近代美術といった感じの建築物コラボ。東部伊勢崎線の浅草駅もリニューアルしました。駅の上の時計台が復活したんだそうです。外壁も塗りなおしてきれいになりました。
P176 そして雷門前はご覧のとおりの大混雑。人力車観光案内のお兄さん達は盛んに呼び込みをしていました。天気が良いので人力車に乗っての浅草観光は素敵でしょうね。スカイツリーの周辺にも人力車に乗った観光客はいました。
P177 そしてラストは雷門前の交差点から眺めるスカイツリー。
P178 というわけでお昼になったので浅草で昼食を食べました。あとで気付いたのですが、この天気のおかげで一挙に日焼け。薄い頭と広いおでこは見事真っ赤になっていました(笑)。歩き通しだったのでかなり疲れました。

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ジャズ喫茶「GRAUERS」へ行ってきました。

クリス・ポッターを観るための上京ですが他にも色々寄ってきました。4か月ぶりの東京ですからね。

まずはディスクユニオン新宿ジャズ館でいらないCDを処分。査定をしてもらっている間に中古CDを物色。私が気に入っているNY先端ジャズ系のアルバムが安めの値段でチラホラ見つかり、今時ジャズ需要の実態をなんとなく察することができました。レア盤のセールもやっていましたが、最近値崩れしつつあり、その棚を見ている人はあまりいませんでした。今の私はレア盤CDに全く意味を感じなくなしました。ほとんどのものが高いお金を払ってまで聴く価値はないんですよね。

ということでマニアックな2枚を購入しました。アラン・ホールズワース『i.o.u.』MSG『Tasty!』です。我ながら”よくもまあ。”と思う2枚(笑)。

1階の新品売り場もサラッと見渡して、”そうだ!あれを買わなきゃ。”ということで、橋爪亮督グループ『アコースティック・フルード』を買いました。ウェブマガジン 「com-post」 のクロスレビューで取り上げられている1枚です。Amazonで買っても良いのですが、たまにはユニオンにお金を落としてあげましょう(笑)。

クロスレビューを読むとつい聴いてみたくなるんですよね。私にとっての興味はどのアルバムをレビューするとかしないとかではなく、アルバムの中身ですね。それがジャズ聴きってもんでしょう。帰って聴いてみたらとても心地良く聴けるアルバムだったので意外でした。レビューを読んでいるとお堅い物に感じられちゃうんですよね~。

ここではかさ張るレコードは買いませんでした。1泊するので翌日買うことに。

次は御茶ノ水のGRAUERSへ向かいました。これまで2回行ったんですがお店が開いていなかったので、今回こそはという気持ちでお店へ。開いていました!三度目の正直です。

P161

いい雰囲気のお店です。お客さんもたくさんいました。で、一番奥のスピーカー前へ。マスター古庄さんの姿が見えないと思ったら、奥の厨房にいたようでしばらくすると出てきました。ご挨拶してコーヒーを注文。かかっていたのはソニー・クラークの『クール・ストラッティン』

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レンガが積んであるしっかりした土台(外がレンガで中身はコンクリートとのことでした)の上にJBL4333Aが鎮座。低音がしっかり良い感じに鳴っています。スピーカーの上にはJBLの最近のスパーツイーターが乗せられていて高域を伸長。こういう使いこなしがオーディオマニアならではなのですよね。中域重視の濃い音が鳴り響きます。これぞジャズの音です。古めかしい音ではなく適度に新しい響きがブレンドされた音。いい感じです。音量は大き過ぎない程度。

コーヒーが美味しかったです。コーヒーと一緒にフランスパンを切ってシナモン薫るジャムを塗ったお菓子が付いてくるのがお洒落。次にかかったのがナット・アダレイの『リトル・ビッグ・ホーン!』。これは同じステレオ・オリジナル盤を持っています。前にブログで紹介しましたよね。日本放送(AMラジオ)でやっていた「夜のドラマハウス」のテーマ曲が入ったやつです。お気に入りのこれがかかって私の気分は上々。レコードはやっぱりいいな~。

次がデイブ・ブルーベックの『デイブ・ディグズ・ディズニー』。ちょっとバカにしていた1枚なのですが、これがいい。ポール・デスモンドのアルトが心地いいんです。これはオリジナル盤を持っていたいところですね。そしてG.J.T.の『ラブ・フォー・セール』。これってやっぱりトニーのドラムは凄い音で入っているんですね。ここで聴くとそれがよく分かりました。ハンクはちょっと気張り過ぎかな。コーヒーをお代わりしたら今度はカントリーマアムが付いてきました。このお菓子好きです。

次はレッド・ロドニーの『レッド・ロドニー・リターンズ』。私はこれもオリジナル盤を持っています。私がオリジナル盤を持ているのが2枚もかかるなんて奇遇です。何の細工もないストレートなハードバップ。カウンター席に移ってマスターとオーディオのことなどを歓談。次にかかったのはジョー・パスの『Tudo Bom』。ポーリニョ・ダコスタとやっているトロピカルな1枚。この軽い雰囲気もなかなか良いです。

レコードプレーヤーはバーコEMT948が2台、放送局の送り出し用に使われている機種。これ、オーディオ誌で読んだけれどダイレクトドライブです。ペナペナの軽いプラッターなのに生き生きと鳴ると書いてありました。正にそういう音で鳴っていました。カートリッジはモノ用とステレオ用がそれぞれ付いているそうです。もちろん両方EMT製。OFD25とTSD15かな?聞くのを忘れちゃいました。

CDプレーヤーはスチューダ。これも業務用。ドイツの業務用で入り口を固めているのが渋いです。予備も含めて3台ありました。古いので現代的ではないけれど聴きやすい音だとのことでしたが、それでもCDはあまりかけずほとんどレコードをかけているそうです。CDの音も聴かせていただきました。解像度はやはりレコードよりCDの方が良いと思いました。

アンプはマッキントッシュの比較的新しい機種。プリが電源部セパレートのフラグシップ機C200、パワーがMC402だと思います。出力メーターの振れを見ていたら最大でも4Wくらいでした。スピーカーの能率が良いし、アンプ出力は数Wもあればかなり大きい音が出るのです。アンプの最大出力は400Wなので使っているのは100分の1ですが、ピーク時でも10倍の40Wもあれば事足りるはずです。400Wは電源の余裕ということです。

これからクリス・ポッターを観に行くと話たら、マスターはアメリカでクリス・ポッターにサインをもらったことがあるんだそうです。羨ましい! などと話をしていると時間が迫ってきましたのでお店を出ることに。そういえばスピーカーがきちんと鳴るまでに半年くらいかかったなんておっしゃってました。私なんかは引っ越した後に音がしっくりくるまでに1年かかってますからね。不思議ですがそういうものです。

出るべき音はきちんと出ているけれど聴き心地の良い疲れない音でした。インテリアの雰囲気も良く居心地の良いお店です。東京に来た際にはまた寄りたいですね。

その後のクリス・ポッターのライブは昨日報告のとおり。とても楽しめました。

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とうとうクリス・ポッターを目の当たりにしました。

5月26日土曜日。待ちに待ったクリス・ポッターのライブを観てきました。

丸の内「コットンクラブ」に行くのは今回初めてなので、要領がよく分からない状態での突撃です。なんたってクリポタですから、あれこれ考えずに行動あるのみです。コットンクラブのイメージは”おめかししていく所”だったのですが、いつもの格好で行きました。

P158_3

1stセットは5時半開場7時開演。 一人だと1時間半も手持ち無沙汰なので、開場時間から30分遅れて6時にお店に入りました。予約してあったので受付で名前を言うと番号札を渡されての案内待ちでした。呼ばれて中に入るとステージ前のテーブル席(自由席)は満席とのこと。右サイドの自由席へ。もっと早く来るべきだったか?まっ、いいか。2ndセットを予約してある人は2ndセットを早く案内してくれるとのことでしたからね。1stセットと2ndセットは完全入替制です。

ピンボケ写真ですがこんな位置。

P159

サイドディッシュとビールを注文して開演待ち。料理を注文せずにドリンクだけでも問題ないようです。料理は高いですからね~。料理はおいしかったですよ。開演までの間にこれから来る人のPVも流れてました。来週来るトム・ハレルも観たいんですけどね。無理です。飲み食いしながら隣のカップルの男の軽いうんちく話や多分知ったかぶりの銘柄指定酒オーダーが耳に入ってきて心の中でニヤリ。男のカワイイ見栄張りです(笑)。うっかりビールを1杯追加注文してしまいました。

前振りが長くなってしまいました。いよいよクリポタ登場です。初日の最初ですから”どうかな~。”と思って観ていましたが順調な滑り出しです。ゆっくりめに入って徐々にブローは盛り上がり最初から中々のソロなのでした。続いてアダム・ロジャースのギター・ソロ。これもなかなか盛り上がるではありませんか。ベース以外は長年やっている仲間なのでコンビネーションはバッチリなのであります。PAはありでした。

ネイト・スミスのタイトで骨太のグルーヴを中心に、良い意味でラフなフィマ・エフロンのエレクトリック・ベースが低くうねり、ロジャースが知性を醸す装飾をほどこし、そこにクリポタがコンテンポラリー・バップ王道テナーのソロをたっぷり聴かせるという塩梅。基本ファンク・グルーヴ(時々変拍子もあり)なのでノリやすいですし、曲構成もきちんとできていてバリエーションでのバス・クラリネットも効果的に機能していました。曲の展開はクリポタが軽く会釈してメンバーに指示。ある程度ジャズを聴いている人には特に説明不要の硬派なバンドサウンド。分かり難さはないでしょう。クリポタのテナー&バス・クラリネットが満載で満足度はかなり高かったです。

アルバム『ウルトラハング』収録曲を含め4曲。スローではきちんと聴かせつつ、アップテンポでの白熱ブローに会場は大盛り上がりでした。魅せることをきちんと意識したステージ。クリポタのMCには真面目さが出ていてこれまた好印象。1stセットでもきちんとアンコールをしてくれるんですね。計5曲。1時間強、1stセットで既にクリポタを満喫しました。

一旦外に出て会計。もう一度受付をするとロビーは人で溢れ返っていました。2ndセットは8時半開場9時半開演です。中の準備が整うまでしばし待つとボックス席から案内開始。そして自由席は1stセットも観た人から案内。9人いた中の最後が私でした。呼び出された人は私も含め皆一人で来ているジャズ・オタク(笑)?中に入るとクリポタ真ん前の隣が開いているではありませんか、迷わずそこに決定。サイドディッシュとビールを注文。しばし待つとクリポタが再び登場。ステージに立つと私との距離1m。かぶりつきで見上げる感じになりました(笑)。最高!席は2ndセットもかなり埋まってましたよ。

ピンボケ写真ですがここにクリポタが立ちました。

P160

テナー・サックスの鳴りはいいですね。ミストーンもほぼなし。テクニカルなフレージングを難なく歯切れよくこなし、それが気持ち良く歌い疾走する様はかなりの快感なのでした。聴いていて頭の中に浮かんできた言葉は”ポスト・マイケル・ブレッカー”。マイケルが亡くなってもう5年経つので今更という感じですが、”ポスト・マイケル”の筆頭がクリポタなのだと強く感じました。日本でのクリポタの知名度はまだまだですが、それは日本のジャズ・ジャーナリズムと需要の問題に他なりません。今クリポタを聴かずしてジャズ・サックスは語れません。これだけのテクニックと表現力とパワーを持った人はそうそういませんよ。

ギターのロジャースを聴いて思い出すのはやっぱりジョン・スコフィールド、ギターの音色が似ているしフレージングの具合も近いものを感じました。ジョンスコから灰汁を抜いて知的にした感じがロジャーズですね。クリポタのバックでは控えめにサウンドを演出し、ソロを与えられればテクニカルなフレーズをアグレッシブに繰り出していました。ロジャースのファンにも納得の内容だったのではないでしょうか。楽譜は時折見ていました。

ベースのアフロンは申し訳程度のソロを各セット1曲だけ。ソロをある程度したら”もうこの辺で”という感じでクリポタに目線を送っているように見えました。楽譜を見ながら演奏してましたが、紙は1枚しかないようでしたので演奏の簡単な決まり事か何かが書いてあるのでしょう。新メンバーですからね。単にベースラインを弾くのではなく、時折アクセントとなるようなステージを揺るがす重低音を交え、即興度高めの柔軟なグルーヴを生み出していました。エフェクターも細かく使い分けていましたね。

スミスのドラムセットはシンプルで今時の水平セッティング。複雑なリズムというよりしっかりしたグルーヴを生み出すことに専念。気持ち良いヘビーなファンク・グルーヴを叩きだしていました。スミスには黒人ならではの粘りのグルーヴを感じます。ソロは各セットの4曲目で長めのスペースをとっていました。2ndセットのソロではシンバルのネジが緩みソロ中にシンバルが床に落下してしまうハプニング。ロジャースがシンバルを拾って乗せていました(笑)。それでもそのままソロ続行。盛り上がりましたよ。

『ウルトラハング』に入っている私が好きな《rumples》もやったような気がしたのですが、違ったかも? 大いに盛り上がって最高でした。ライブで聴くと一味違いますね。とてもカッコ良かったです。クリポタは汗もかかずにクールに、でもパワフルな吹奏は素敵でした。時折遠くを見つめつつの吹奏がまたカッコ良いのですよ。そういえば控えめなカウント出しも可愛かったです(笑)。クリポタはハンサムガイです。アンコールはレディオヘッドの曲。良いメロディーを素直に聴かせる演奏で〆てくれました。

演奏終了は11時くらい。やっぱり甲府帰りの終電には間に合わない時間でしたね。泊まることにして正解。クリポタの興奮冷めやらぬままホテルへと向かいました。

クリポタはやっぱり凄かった!

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明日はいよいよクリポタじゃん!

いよいよであります!

明日です!

クリポタです!

丸の内コットンクラブに、

クリス・ポッター「アンダーグラウンド」がやっ来ます!

生で見られるのじゃ~っ!

ブラボーッ!

http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/2012/0526_chris/

とうとう来日しやがるぜっ、こんちくしょう!

かっこいいね~っ!

今はキーボードのクレイグ・テイボーンが抜けてベースが入っています。

アダム・ロジャースのギター、ネイト・スミスのドラム、Fima Ephron のベース、

いたいどんな音を聴かせてくれるんでしょう。

きっと凄いに決まっています。

ファースト、セカンド、両方見ちゃうもんね!

ゲゲッ、終焉時間が帰りの電車に間に合うか微妙じゃん!

こうなったら泊まっちゃうもんね!

クリポタ観戦ツアー、結構大枚払う羽目に・・・(涙)。

地方に住んでいると辛いの~ぉ。

日曜日は東京スカイツリーを見に行くとしましょう。

登りません。チケットがないので見上げるだけ。

東京ソラマチ、めちゃ混みでしょうね。

今夜はこれでも聴いて過ごすことにします。

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これはジャズです。

今日は新譜紹介です。これは面白いアルバムですよ。

P157 大谷能生『ジャズ・アブストラクションズ』(2012年、BLACK S<OKER RECORDS)です。パソコンの音楽編集/再生ソフトを使って大谷さんがミックスとプログラミングをして作ったアルバムです。ジャンルで言えばアブストラクト・ヒップホップというのが良いような気がします。普通のジャズファンはこれをジャズとは呼ばないんじゃないでしょうか。

さて、この唯一無二の面白いサウンドですが、私が聴く限りこれはジャズとしか言いようがありません。音の佇まいがジャズなんですよね。ジャズの何たるかが分かっていないとこういうサウンドは作れないと思います。

サンプリングしたジャズ・アルバムはスリーブに全て記載してあります。有名なアルバムがたくさんあり、トラックによっては元のアルバムが何なのか分からない場合もありますしすぐに分かる場合もあります。このアルバムがジャズだと書きましたが、それはジャズ・アルバムをサンプリングしているからというわけではありません。なぜならヒップホップでジャズ・アルバムをサンプリングしていてもジャズを感じないものがたくさんあるからです。

ジャズ・アルバムをサンプリングすればジャズになるというような簡単なものではないと思うのです。そこへいくと大谷さんはやっぱりジャズがよく分かっているわけで、サンプリングするのがピアノの数音、ドラムの数音、ベースの数音だとしても、その音に宿るジャズが上手く表現されているんです。だからサウンドはジャズの匂いを放っています。

ジャズのアルバムをサンプリングするアブストラクト・ヒップホップと言えばマッドリブがいます。そのマッドリブがいかにもバーチャルで実態感希薄な現代サウンドなのに対して、こちらには昭和のアングラ臭漂う実態感があるところが私は気に入っています。喩えるならば、同じSFものでもマッドリブはアニメであり、このアルバムはウルトラマンやゴジラなどの実写版なのです(笑)。

ライナーノーツは、いかにも菊地さんらしいヒップホップとジャズの関係からこのアルバムを見たものと、大谷さんのこのアルバムを作った意図が掲載されていて、どちらも面白いしうなずけるものがります。特に大谷さんが書いている前半部分は”ジャズとは何なのか”を上手く表現している気がします。”私がジャズに感じるもの”(それを感じるが故にジャズを聴き続けているとも言える)がここに書かれています。そしてそれが見事にサウンド化しているのがこのアルバムだと思います。

大谷さんののっぺりしたラップというかナレーションというかが3曲入っているのはご愛嬌。《ボブ・ジェームス》という曲が全然ボブ・ジェームスじゃなかったり、《エルヴィンヴィー》という曲で私の大好きなエルビンのドラムがめちゃくちゃ格好良く鳴っていたり、《アイル・リメンバー・エイプリル・リジョイス》というバップでフリーなタイトルの曲が格好良いヒップホップだったり、面白さ満載です。

ラストの曲でビリーが歌う《アイ・ラブズ・ユー・ポーギー》からウェスの《ザ・ジョーカー》へというエンディングがなるほどです。いかにもな”バップ”曲を持って来ないところが面白いじゃありませんか。

このアルバムは私にとって”ジャズとは何か?”を再認識させてくれます。
”ジャズとは何か?””何でジャズを聴き続けているのか?”
私としてはそれをこのアルバムから是非感じ取ってほしいです。
こんな感じで妄想が進んでいくからジャズは楽しい(笑)。

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皆さんは金環日食を見ましたか?

今日はこのことに関するブログが多いんでしょうね。

先週からTV報道が凄かった金環日食、皆さんはご覧になりましたか?
自然科学大好きな私にとっては外せないイベントです。
日食メガネは先週入手しておきました。
見られないかもしれないのですがAmazonで購入。

P154

Vixenの信頼できるやつです。
同じ形で色々なデザインのものがあります。
ビクセンは埼玉県にある総合光学機器メーカー。
Vixenなので、私の勝手なイメージではドイツのメーカーでした(笑)。
中国製などのバッタモンは危険ですが日本製なら安心。

6時に起きたら良い天気ではありませんか。
昨日の夕方の感じでは曇りだったのですが、良い方に予測が外れました。
日食メガネが無駄にならずに済みました。
日食メガネを通してきれいに写真が撮れることも確認。
結果はご覧のとおり。
太陽が欠けていくのがよく見えましたし撮れました。

P155_2 

きれいで神秘的ですよね。
欠けていくに従って辺りも少し暗くなりました。
と、
ここまでは順調に進んでいたのですが・・・。
輪になる直前に雲がかかってしまったのです!
何といじわるな神様。
でも、おかげで肉眼でも見られてしまいました。
ちなみに日食メガネではほとんどみえない状態でした。
雲から透けて見える金環も悪くはなかったです。

P156

TVのニュースによるとこういう状態のところも多かったみたいです。
ここ甲府では見事な金環でした。
雲という自然の日食メガネも悪くはないです。
神様の粋な計らいとしておきましょう。
ここまで見て観測はおしまい。

実に貴重な体験をすることができました。
めでたしめでたし。

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ジャズはユダヤとも係りは深いのです。

ジャズはユダヤ人とも深く係りがあるわけですが、今日紹介するのはイスラエル出身ベーシストの新譜です。最近のジャズにおいては黒人がパワーダウンした分ユダヤ人の活躍が目につくようになったりしています。

P153 オマー・アヴィタル『スイート・オブ・ザ・イースト』(2006年rec. Anzic Records)です。メンバーは。アヴィシャイ・コーエン(tp)、ジョエル・フラーム(ts)、オマー・クライン(p)、オマー・アヴィタル(b)、ダニエル・フリードマン(ds)です。6年前の録音が何で今頃新譜として出たのかは不明。この演奏が”没”にならず、陽の目を見たのは良かったと思います。

私が知るところでは、アヴィタル、コーエン、クラインがイスラエル出身です。トランペッターのアヴィシャイ・コーエンは『ザ・トランペット・プレイヤー』という名盤がありますからご存知の方は多いでしょう。アヴィタルもニューヨークのジャズを追いかける人にとっては最近すっかり知られる存在になりましたよね。

ニューヨークの先端ジャズというと、トリスターノ系や浮遊系の馴染み難いメロディー&複雑リズムの変拍子というのが相場になりつつあると思いますが、このアヴィタルに関してはメロディーを生かしたジャズをやっています。そのメロディーはもちろん哀愁ユダヤメロディー。日本人にとってはこのマイナー調哀愁メロディーは馴染みやすいのではないでしょうか。その分尖がり度は落ちますので先端ジャズ好きには逆に物足りないかもしれません。クールではなくウォームな演奏です。

アドリブ一発というのではなく、アレンジがしっかりされていて展開にも色々工夫が凝らされています。テーマの合奏は長めにとりそこから自然にアドリブ・ソロが展開されソロのつなぎにも眺めの合奏が入ったりします。曲によって展開も様々。必ずしも全員にアドリブを回すわけではありませんし、ベースやドラムのソロはほとんどありません。

1曲目はテナー・ソロが主体、2曲目はフロント2人の掛け合いが主体、3曲目はトランペット・ソロを主体にピアノとテナーのソロもあり、4曲目はピアノ、トランペット、テナー3人均等のソロ回し、5曲目はピアノ・トリオ、6曲目はトランペット・ソロ主体(これはスペイン調)、7曲目はベースのソロのみのエンディング曲という構成。7曲全てアヴィタルの作曲です。

主演男優2人、コーエンとフラームは良い熱いソロをとっています。名脇役クラインはツボを押さえた演技で主役2人を映えさせつつ、時には主役を食ってしまったりという感じです。アヴィタルは脚本・演出をきっちりこなし舞台をまとめあげ、フリードマンは堅実な舞台照明と音響で舞台を支えます。そんな5人がやるのは身近なことをテーマにしたホームドラマとでも言ったら良いでしょうか。

私がお気に入りの曲は真ん中にある《ザ・マウンテン・トップ》。タイトルどおり山の頂上から辺りを眺めるような見晴らしが良い清々しい曲です。なんとなくカーペンターズの《トップ・オブ・ザ・ワールド》に通じるような気がするのは私だけ? 曲が良いとピアノ・ソロ、トランペット・ソロ、テナー・ソロ、皆良く聴こえてしまいます(笑)。

小難しいことはやっていませんが、音楽性はきちんとあり演奏の質も高いです。
なかなか良いアルバムだと思いました。

アルバム名:『Suite Of The East』
メンバー:
Avishai Cohen(tp)
Joel Frahm(sax)
Omer Klein(p)
Omer Avital(b)
Daniel Freedman(ds)

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私のオーディオは今こんな具合

オーディオ話です。
絶えず変化していくのがオーディオ。
寺島靖国さんじゃないけれど、停滞してしまったらオーディオ趣味はそこでおしまい。
今の私はオーディオよりジャズリスナーを重視していますが、
時々無性に変化させたくなる時がやってきて、ここ最近色々いじりました。
で、その結果こんな具合に落ち着きました。

P150
CDプレーヤーはマランツの廉価CDプレーヤー+中級DAコンバータ。
サブシステムにはCDプレーヤーの出力をそのまま入力。
メインシステムにはDAコンバーターを経由して入力。

メインシステムのパワーアンプは自作したものを引っぱり出してきました。
このパワーアンプにはヘッドホン端子がないので、
アナログはヘッドホンで聴けません。
CDはCDプレーヤーのヘッドホン端子に挿して聴けば良いのです。

ということで急遽ヘッドホンアンプを購入。
オーディオテクニカの廉価品のちょっと上のAT-HA21です。
最初は自作も考えたのですが、今は微妙に面倒。
基準品としての意味もこめて既製品を買いました。

P151
あははっ、早速ヘッドホンアンプの上に鉛インゴットが。
高島屋タイムズスクエアーの中にある東急ハンズで昔買いました。
これを乗せると低域がしっかり出る気がするんです。
見た目はそこそこ高級っぽいですが、ボリュームの感触が安っぽいです。
電源がACアダプターなので、電源だけ強力なものを自作しようかな~。
音はまあ特に不満なく聴いています。
凄く良い音とかってことはないです。

そして、レコードプレーヤーは前に紹介したとおり、
ゴールデンウィークからビクターのQL-7が加わりました。
なのでビクターとデノンの2台体制。

P152
オーディオ全盛期のジャパンメイドは私にとってかなりの安心感。
デノンはもう変えないことに決めているのでずっと使い続けるでしょう。
ビクターの方は飽きたら別なものに変えちゃうかも。

当時のダイレクトドライブ・ターンテーブル3大メーカーが
テクニクス、デノン、ビクター。
実は私、なぜかテクニクスはこれまで使ったことがありません。
テクニクスってデザインが良くない気がします。
なぜか”美”が感じられないんですよね。

こんな具合で私のオーディオ遍歴は果てしなく続いて行きます。

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90年代の音です。

ハンク・ロバーツに興味を持った私が以前買った過去のアルバムを紹介します。

P138 ハンク・ロバーツ『バーズ・オブ・プレイ』(1990年rec. Winter&Winter)です。メンバーは、ハンク・ロバーツ(cello,vo)、D.K.ダイソン(vo)、マーク・ランパリエロ(g,vo)、ジェローム・ハリス(b,vo)、ヴィニー・ジョンソン(ds,vo)です。ヴォーカル・アルバムです。一昨年買ったアルバムなのでリアルタイムでは聴いていませんが当時の音です。

P139 再発盤は文字と数字のジャケットになっていますが、元のジャケットはこちらのようです。ご覧のとおり白人/黒人の混成バンド。フィーチャされているボーカルが黒人女性で、ベースとドラムが黒人。リダーのロバーツとギターが白人という組み合わせです。

90年代らしくフュージョンを経由したファンク・リズムを黒人が作り、その上に片やカントリーなロバーツのチェロと片やロックなギターが左右チャンネルに分かれて演奏するという混合ぶりが当時のアメリカを感じさせます。

ボーカルのダイソンは当時人気があったダイアン・リーヴス系。パワフルで艶やかなボーカルは魅力的です。これだけの歌が歌えてもその後の人気につながるかどうか分からないのがこの世界。最近も歌っているみたいで、ここでその歌が聴けます。
http://www.myspace.com/dkdyson
こういうアフロスピリチュアル~ファンクは結構好みです。
Amazonでもダウンロード・アルバムが買えます。

アルバムの話に戻って、全曲をロバーツが作曲して、1曲を除いて作詞もロバーツがしているのは面白いです。全員にボーカルのクレジットがありますが、1曲目の冒頭といくつかの曲の途中で軽くコーラスをしているだけで、ガッツリ歌を歌っているというわけではありません。

元気ハツラツとした曲が大半。ベースとドラムのファンク・リズムはドライブ感抜群。でも微妙に軽薄なところは90年代故か? チェロもギターもどちらかと言えばロックですね。時々アバンギャルドなサウンドも入れつつ、でも決して重くならず、良くも悪くもノンシャランな感じで、その軽さが今の私としては食い足りなく感じます。時代の音なんでしょうけど。

このポップな出来は歓迎するべきかもしれませんね。
ダイソンのボーカルは良いので興味がある方はご一聴下さい。

アルバム名:『Birds Of Prey』
メンバー
Hank Roberts(cello, vo)
D.K.Dyson(vo)
Mark Lampariello(g, vo)
Jerome Harris(b, vo)
Vinny Jhonson(ds, vo)

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カントリー系のアメリカ音楽

com-post の掲示板で最近ブルースとカントリーの話題があったり、ジャズ喫茶「いーぐる」 のブログや掲示板で今年の初めに”黒耳””白耳”の話題があったりと、黒vs白というのはアメリカ音楽を聴く者にとってはかなり気になる事項であります。私の場合、”黒”というと最近はヒップホップになっていますが、”白”というと最近のジャズの主流なので、特に意識して聴いていません。そんな状況の中で今日の1枚はカントリー系です。準新譜。

P137 ハンク・ロバーツ『エブリシング・イズ・アライブ』(2010年rec. Winter&Winter)です。メンバーは、ハンク・ロバーツ(cello,voice,jazzaphone,fiddle)、ビル・フリゼール(el-g,ac-g)、ジェローム・ハリス(sc-bg,ac-g,voice)、ケニー・ウォルスン(ds,per)です。カントリー系と言えばやっぱりこの人。ビル・フリゼールがいます。

このアルバムをチェックしていたのはディスクユニオンの「1月度WEB、店舗スタッフ推薦盤」になっていたからです。推薦文は四浦さんが書いていました。私にとって四浦さんの推薦盤はかなり信頼できるものになっています。買うのが遅れてしまったのはAmazonで安い輸入盤を書いたかったから。4月にユニオンの中古盤を安く購入したのですが、今はAmazonの輸入盤のほうが安く買えます。これはボンバ・レコードから日本盤も出ています。

ハンク・ロバーツを知ったのはこのアルバムです。
「ハンク・ロバーツって知ってますか?」
”ジャズ/ジャズではない”問題もはらんだ音楽。

上記アルバムから4年ぶりの新作が今回のアルバムです。前回はマルク・デュクレ(g)、ジム・ブラック(ds)を起用して前衛色が強かったけれど、今回はビル・フリゼールということなのでカントリー色が強まっています。ベースとドラムもロバーツとフリゼールゆかりのメンバーということで、この人達らしくてこの人達にしかできない演奏です。

アメリカ音楽の色々な要素がない交ぜになったサウンド。それはアメリカの田舎の風景と大地や自然を想起させます。私の場合はあくまでテレビや映画で知るアメリカの風景ということではありますが。

私達の世代(アラウンド・フィフティー)は”アメリカに追いつけ追い越せ”を知るたぶん最後の世代なので、アメリカへの憧れというものがあります。それは日本にない広大さと豊かさへの憧れです。青春時代がそんな時期に当たります。その後私が就職した80年代は”ジャパン・アズ・ナンバー・ワン”=”バブル景気”なので、それ以降の人達はたぶんアメリカへの憧れは薄れているだろうというのが私の想像。日本も豊かになったのです。

私のオーディオ歴なんかは正に”ジャパン・アズ・ナンバー・ワン”を肌身で感じてきました。JBL、SHURE、TANNOYなどへの憧れはありましたが基本は優秀な日本製品。それはある意味オーディオ評論家の故長岡鉄男さんの姿勢にも言えると思います。音源は外盤で機器は日本製。長岡さんは一番共感できたオーディオ評論家です。

ジャズや洋楽好きというのはアメリカへの憧れと切り離なせないと思います。そして実は対象がイギリスや他国だとしても、アメリカを通してその先に広がっていたというのが私の実感です。今思えば青春時代は”アメリカ≒世界”だった気がします。個人的な感覚ではありますがそういうものでした。ビートルズもレッド・ツェッペリンもクイーンもABBAもビージーズも私の中では皆アメリカでした(笑)。

話が大分反れてしまいましたね。このアルバムの話に戻しまして、メンバーがメンバーですから一筋縄ではいきません。独特の捻りが加味されたサウンドはイマジネーションをくすぐってくれます。作曲は全てロバーツがしていますが、中には音響系のフリー・インプロみたいな部分もあります。スタジオライブのアナログ2トラック録音。ポスト・プロダクションが注目される昨今ですが、やっぱりこのライブ一発録りがジャズなのです。

アメリカへの憧れが分かる人には聴いてほしいサウンド。
ゆったりとした時が流れつつも時々”グイグイ”迫ってきます。

ドイツのレーベルWinter&Winterがこれとか、ポール・モチアンの『ザ・ウィンドミルズ・オブ・ユア・マインド』とか、アメリカンサウンドとしか言いようがないものを録音しているところが興味深いですよね。古くはブルーノートのオーナーのアルフレッド・ライオンがドイツ人だったり、今やドイツのECMがジャズの一大勢力だったり、これってつまりはドイツ人のアメリカへの憧れなのかもしれませんね?憧れるが故に本人達以上に良さが分かったということがあるかもしれません。日本にも同じようなことが言えるのではないでしょうか。

第二次世界大戦の敗戦国ドイツと日本がジャズの良き理解者である現在というのはかなり興味深いことです。そういえば第二次世界大戦のもう一つの同盟国イタリアも現在は伝統的なジャズの良き理解者でした。米に負けた日独伊こそが現在はジャズの最良な理解者だったりして(笑)。

ついでにもう一つ。日本のクラブ・ジャズの人達はイギリスを通してアメリカを見ている気がします。ここが私と合いいれない根本的理由なのかもしれません?

更に、今や日本自身がかつてのアメリカの立場だったりします。アニメやコスプレなど、日本に憧れる人たちが世界中にいて、日本人以上にその良さを理解しているのです。世の中面白いですよね。

話が脱線しまくり。ご容赦願います。m(_ _)m

アルバム名:『EVERYTHING IS AKIVE』
メンバー:
Hank Roberts (cello, vo, jazzaphone fiddle)
Bill Frisell (el-g, ac-g)
Jerome Harris(ac-b, el-b, vo)
Kenny Wollesen (ds, per)

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こういうのも悪くありません。

今日は新譜紹介です。Amazonで一時期再入荷未定みたいになっていたので買いそびれ、最近やっと入手。ひとつ前のアドリブ一発とは逆のアルバムです。

P136 ジョエル・ハリソン・セプテット『サーチ』(2010年rec. Sunnyside)です。メンバーは、ジョエル・ハリソン(g)、ダニー・マッキャスリン(ts)、ゲイリー・バセーシ(p,Hammond B-3)、クリスチャン・ハウズ(vl)、ダナ・レオン(cello)、ステファン・クランプ(b)、クラレンス・ペン(ds)です。タイトルが”7つの探求”、そしてこのメンバーなのでニューヨークの小難しい演奏かも?なんて想像しますが、そんなことはありません。

なぜこのアルバムを買ったかと言えば、以前聴いたこの人のアルバム『アーバン・ミシーズ』が良かったからです。このアルバムについては以前ブログに書いています。
「このメンバーにしては分かりやすい。」
ニューヨークの精鋭揃いのわりには難解さはなくファンクとして聴けるものでした。なので、今回もその路線を踏襲しているのかと思って買いました。聴いてみると違う路線だたのですが、これはこれでなかなか面白いのでした。

昨年はストリングスと組んでポール・モチアンの曲をやるという『ミュージック・オブ・ポール・モチアン』なんて変わったアルバムも作っています。ハリソンはコンポーザー型のギタリストです。

このプロジェクトは、自分のジャズにクラシック音楽の影響を持ち込みたいという要望から始まったそうで、自発性を犠牲にせずトリッキーなバランスで新しい作編曲にチャレンジしたいというようなことが、ライナーノーツに書かれていました。

最初はライナーノーツを読まずに聴き、クラシック的で構成要素が強い音楽だと思っていたので、ライナーノーツを読んでなるほどそういうことかと思いました。意図は成功していると感じました。最初の4曲の自作曲がそういうチャレンジなのだろうと分かります。クラシック的な匂いはバイオリンとチェロのアンサンブルで主に簡潔に表現されています。曲の起伏ある展開がクラシック的だとも言えます。

私が気に入っているところは、クラシック的な匂いの中でバセーシのピアノとマッキャスリンのテナーが構築力あるアドリブ・ソロを展開して、それが映えて聴こえるところです。やっぱりジャズにはこういうソロがないと面白くありません。ソロを上手く生かしているところに自発性を犠牲にしないというハリソンの試みの成功を感じます。ハリソンがギター・ソロをほぼせず控えめなサポートに回っているところにもセンスの良さを感じます。曲はサウンド・トラック的にも聴こえますので、景色をイメージしながら聴くと楽しめますよ。

で、4曲終わると、静かにロック系変態ギターがソロをとり、プログレ的とも言える曲《ウィッピング・ポスト》(グレッグ・オールマン作)が始まります。「だよね。やっぱりこういう曲はやりたいよね。」と笑ってしまいます。バイロリンがソロをとっているのがプログレですね。この曲だけバセーシがオルガンを弾いてます。ブルージーな雰囲気があると思ったらサザンロックのオールマン・ブラザーズ・バンドのボーカリストが作った曲でした。ということはバイオリンはカントリー的と言った方が良いのでしょうか。アメリカらしい曲を現代のセンスで。ドラム・ソロも入って、前半4曲の欲求不満を解消?(笑)

次はオリヴィエ・メシアンの現代音楽曲。編曲はハリソン。牧歌的な雰囲気が漂って、マッキャスリンのテナーが現代音楽してます。バセーシのピアノもクラシックをきちんと消化。なかなかしっかりした演奏ですよね。この人達はやろうと思えば現代音楽をきちんとこなせる技術は持っているのだと思います。

ラストはバセーシとハリソンの共作。バセーシのピアノ・ソロでその響きが特に美しい2分少々のエンディング曲。これなんかはもうクラシックなわけですが、でもどことなくアドリブしているような匂いがあります。これってひょっとしたらハリソンが曲のモチーフを提示して、バセーシがそれを基にアドリブしているのかもしれません。

というわけで、クラシック的に構成されつつジャズのアドリブも生かす面白い音楽になっています。ハリソンの本音が”ポロッ”と出ていたりして、それがまた親近感につながっていると思います。

良いアルバムですよ。聴いて見て下さい。

アルバム名:『SERCH』
メンバー:
Joel Harrison(g)
Donny McCaslin(ts)
Gary Versace(p, Hammond B-3)
Christian Howes(vln)
Dana Leong(cello)
Stephan Crump(b)
Clarence Penn(ds)

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アドリブ一発!漢のサックス・トリオ。

今日は新譜紹介です。

P135 スティーヴ・リーマン・トリオ『ダイアレクト・フルオレセント』(2011年rec. PI RECORDS)です。メンバーは、スティーヴ・リーマン(as)、マット・ブリューワー(b)、デミオン・リード(ds)です。漢のサックス・トリオ!このジャケットは何ともミスマッチです。それが今時と言えば今時か?

リーマン久々の新譜です。今回は買うかどうか様子見だったのですが、私が徘徊するブログでなかなか良さそうなことが書いてあったので、慌てて購入しました。一応リーマンはフォローしているサックス奏者です。多分これが前リーダー作だと思います。

「今日は新譜紹介しまっせー。」

昨年注目作を出した同じアルト奏者のルドレシュ・マハンサッパとの双頭クインテットのライブ録音でした。ベースとドラムは今回と同じくブリューワーとリード。現代ジャズのひとつの形ですね。私は支持しています。マハンサッパとリーマンは良きライバルだと思います。今回はリーマンがやってくれました。

このサックス・トリオはリー・コニッツ『モーション』の現代版です。リーマンがアドリブ一発にかけて朗々とアルトを吹き切っています。これがカッコいいのですよ。久しぶりに心踊らされる熱い吹奏を聴いた気がします。現代ニューヨーク・ジャズにもこういう面はあるのです。

面白いのは曲配列。リーマンのオリジナル曲とジャズメン・オリジナル曲などが交互に並んでいます。これらの比較をするのが面白いです。リーマンの曲は現代トリスターノ系。ウネウネと幾何学的で馴染み難いメロディー。こういうのが嫌いな人が少なからずいることは承知しています。このメロディーが乗るのが数えるのもバカらしくなる複雑怪奇な変拍子。現代ニューヨーク・ジャズの一つの形ですが、良さが分からないと言ってしまえばそれまでのこと。

こんなのがアルバム1枚続くと私も疲れてしまうのですが、今回は間にジャズメン・オリジナルなどが入っています。これが馴染めます(笑)。やっぱり知っているメロディーの効果は絶大。リズムも4ビートを基本にした現代的なパルシブなものになっています。これはもう『モーション』の現代版と言って良いでしょう。アドリブ一発の凄み。ジャズメン・オリジナルを聴くと今度はリーマンのオリジナル曲にも馴染めてしまうのが面白いところです。

ブリューワーのベースがゴリゴリ・ゴリゴリと迫り、手数が多いリードが縦横無尽にパルシブなドラミングを繰り広げて鼓舞し、それに乗ってリーマンが熱く燃え上がるのがこのアルバムです。ドラムとのバース交換やベース・ソロはほんの少し。とにかくリーマンが吹きまくっています。私が最高だと思う演奏はデューク・ピアソンの曲《JEANNINE》。このピアソンらしい良い曲をとにかく熱く勢い溢れて吹き切るところが素晴らしい!

大音量で聴くと”スカッ”とします。できるだけ大音量で聴いて下さい。

ジャズについては、黒いだの白いだの、ブルースだのカントリーだの、踊れるだの踊れないだの、批評性だの、ヒップホップだの、ポスト・プロダクションだの、色々な語句が飛び交っていますが、やっぱりアドリブ一発の凄みを聴かないで何のためのジャズなのかと思う今日この頃です。DCPRGにしたってそうですよ。類家心平さんや津上健太さんなどのソロついて言及しないような人達はジャズ・ファンとはみなしません。キッパリ。

ジャズ・ファンならスティーヴ・リーマンを聴け!

アルバム名:『DIALECT FLUORESCENT』
メンバー:
Steve Lehman(as)
Matt Brewer(b)
Damion Reid(ds)

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気になるこの2枚。

最近この2枚が気になっています。

ますはこれでしょう。
パット・メセニーの新譜。
既にAmazonに予約済。

何と! クリス・ポッター(クリポタ)とのカルテット! ワォッ!
これまで散々クリポタを押しているんですけれど、いまいち人気薄(涙)。
メセニーとの共演で認知度は一挙に上がるかも? と期待しています。

メセニー(g)、クリポタ(sax)、サンチェス(ds)にスコット・コリー(b)ではなく
ベン・ウィリアムス(b)という布陣が興味深いところです。
メセニー&クリポタ、私にとっては最強魅力的コンビです。

クリポタと言えば、いよいよ今月来日します!

自身のグループ、「アンダーグラウンド」での来日です。
前はベースレスでキーボード入りだったのですが、
キーボードが抜けベースが入りました。
メセニーの新譜と同じ構成のカルテットです。
ニューヨーク最先端のジャズが東京で聴ける幸せ。

丸の内コットンクラブ。5/26(土)、5/28(月)、5/29(火)
http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/2012/0526_chris/

あ~っ、まだ予約埋まってませんね(涙)。
っていうか、クリポタ・ファンとコットンクラブの客層ってズレがありますよね。
クリポタさん、どうせ来るなら新宿ピットインにしてほしかった。

私ですか? 頑張って予約入れました。上京して観に行きます。


もう1枚気になっているのがコレ。
マーカス・ミラーの新譜。
これは日本盤を買うかどうか思案中。

5年ぶりのスタジオ録音らしいです。

最近のマーカスってフォローしていなかたのですが、これは何となく面白そう。
ラップがいたりして、どうなんでしょう。
と、思ってネットを検索したらビクターのサイトで試聴できました。

http://www.jvcmusic.co.jp/-/Discography/A015860/VICJ-61665.html

な~んだっ、従来路線踏襲でした。
これなら慌てて日本盤を買うこともない感じですね。
様子見決定!

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あ~、また悪い虫が・・・、こんなのを入手してしまった。

今日もジャズの話題ではありません。
オーディオです。

最近また悪いオーディオの虫がうずいてしまっています。
とうとうこんなのを入手してしまいました。
レコードプレーヤーです。

ビクターのQL-7。
35年前に発売されたレコードプレーヤーです。
これがなかなかの美品。
こんなに状態良く使われていた物があったとは驚きです。

P133_4

アクリルカバーはこの透明度。スリ傷ほとんどなしです。
元々きれいだったんですが、一応プラスチッククリーナーで掃除しました。
金属部分の腐食もほとんどありません。
湿気が少ないところで使用/保管していたんでしょう。

難点ががないわけではありません。
まずインシュレータ(脚)のゴムの接着がはがれそうなものが1個。
今のところ大きな支障はありません。

それからトーンアームの錘を挿すパイプと回転部を結合するゴムがへたり、
錘部がほんの少し垂れ下がってしまっています。
これはニュー・ジンバル・サポート・トーンアーム共通の欠点。
オークションや中古品を見るとおもいきり垂れ下がったものがあります。
そういうものから比べたら今回入手したものは問題なし。

こういう昔の日本製プレーヤーのメカニカルなデザインが好きです。
メカ好きな私は見ているだけでウットリしちゃいます(笑)。

P134_2

それにしてもカッコイイな~。といつもの自己満足(笑)。
ラックの大きさにドンピシャなのも素敵。

このプレーヤーの特徴は単体発売されていたターンテーブルTT-71が
そのまま搭載されているところです。
このターンテーブルはビクター自慢のクォーツロック方式。
高トルクDCモーターと慣性質量の大きな重量級プラッターの組み合わせで、
スムーズな回転を得ています。
スイッチが当時一部で流行ったタッチセンサー式というのもいかします。
1方向サーボということでメカ式ブレーキが付いています。

トーンアームはビクター自慢のニュー・ジンバル・サポート方式。
単体売りしていたトーンアームのいくつかの部分を簡略化したものです。
アームベースとの嵌合部分はプラスチックモールドなのでやや強度に劣ります。
回転部分やパイプ素材は同じなので性能的には単体トーンアームに準じます。
使い方が簡単で高性能なトーンアームだと思います。
実は私、過去にジャンク級のQL-5やQL-7を所持していたことがあり、
コンディションが悪かったにもかかわらずトーンアームにガタはありませんでした。

QL-5はモーターを取り付けてあるベース部が鉄板になっています。
プラッター外周部分の囲いはプラスチック製です。
プラッターが軽くなっていたりモーターのトルクがそれほど強くなかったりと、
QL-7と比べるとかなりコストカットされてしまっています。

余談ですが、トリオ(ケンウッド)のプレーヤーはオークションで
KP-7070、KP-700、KP-7300を入手して、
3台ともトーンアーム部にガタが生じていました。
以来トリオの古いプレーヤーのトーンアームはあまり信用していません。
またダストカバーの蝶番がプラスチックで割れているものがほとんど。
オークションで落札する時には要注意!

それらターンテープルとトーンアームを美しい木製キャビネットにコンパクトに実装。
ご覧のとおりのスマートで美しいプレーヤーになっています。

早速一部改良。
出力コードのコネクタがプラスチック製で端子がクロームメッキなので、
それをチョン切り、メタル製金メッキ端子のコネクタに付け替えました。
ターンテーブルシートも東京防音のハネナイト製のものに交換。

肝心の音はどうかというと、安定感のある音です。
特に何かが素晴らしいというものではない気がしますが、
レコードの良さを上手く引き出せていると思います。
今はカートリッジがDL-103(中古品入手)。
高級品ではなく定番品との組み合わせがこのプレーヤー向きでしょう。

私ってこういうグレードのものが好きです。
現代のハイエンド・オーディオのプレーヤーとか興味が湧かないんですよね。
それは多分中高生の頃、こういうオーディオ機器に憧れて育ったからでしょう。

いつまでこのコンディションを維持できるか不明ですが当分は遊べそうです。
これ、元箱に梱包されていて取説や付属品も入って、
それほど高くなかったので、かなりお買い得感がありました。

この手の機器はもう市場にあまり出回らなくなってます。
あと3年もすればオーディオの中古/オークション市場はつまらなくなりそうな予感。
今が最後の遊び時かも?

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昇仙峡へ行って散歩してきました。

去年はゴールデンウィークに諏訪湖へ行って車をへこませてしまった苦い経験が。
今年はそんな災難に見舞われないことを祈りつつ近場の昇仙峡へ行ってきました。

家からは車で30分くらいなので、
昼食を食べて大河ドラマ「平清盛」再放送を見てからのんびり出発。
昇仙峡へ行くのは数年ぶりです。
県営の無料駐車場待ちが15分くらいでした。
ゴールデンウィークとはいえ大混雑とまでいかないのが昇仙峡。
駐車場からは歩きです。

*写真をクリックして拡大し、自然を満喫して下さい。

ますはコレ。昇仙峡と言えば覚円峰。
名前の由来は覚円(僧侶)がこの岩の上で昔座禅して修行したからとか。
高さ約180mの巨岩です。
P112_2 

新緑がとてもきれいでした。
秋の紅葉シーズンは最高ですが、新緑シーズンも悪くないです。
P113

渓谷の中は巨岩がゴロゴロ。
この渓谷に沿って遊歩道を歩き仙娥滝へ向かいます。
P114

遊歩道はこんな感じです。
人がいなくなる瞬間もあるくらいなのでそれほど混雑していません。
P115

深い渓谷なので日陰になってます。
巨岩と水しぶき。
P116

こんな危険な岩の下を歩きます。
親子連れよりカップルのほうが多かったです。
P117

通り抜けるとこんな感じです。
P118 

滝の手前の橋と渓谷。
この黄色い花は何だろう?
P119

深い渓谷です。
橋の上から。
P120

こんな岩の下も歩きます。
仙娥滝はこの先です。
P121

昇仙峡と言えば仙娥滝も有名です。
日本の滝百選に選定されているとか。
落差30m。
どんどん浸食して奥に入っちゃってます。
P122

ここが滝の上。
すぐ近くまで行けます。
この先超危険。
P123

そして今日は更に上がって昇仙峡ロープウェイに乗ることにしました。
このロープウェイに乗るのはたぶん20数年ぶりです。
往復¥1000(大人)。
所要時間5分で、仙娥滝からパノラマ台駅まで上がります。

で、パノラマ台駅の発着場所から下を見ます。
湖のように見えるのが荒川ダム。
自然はいいな~。
P124_3

パノラマ台と言えばこれですよね。富士山!
今日は良く見えました。
P125

岩山の向こうは甲府盆地で甲府市街地。
P127

パノラマ台には神社やらパワースポットやら。
観光客を呼ぶためのあれやこれやが点在していました。
これはパワースポット「約束の丘」の「福を呼ぶ鐘」。
私も一応お願いごとしてきました。
P128

うぐいす谷からの眺め。
雄大だな~。
P129

帰りのロープウェイ。
すれ違うゴンドラ。
P130_2

赤色と黄色と緑色がきれいだったのでパチリ。
P131

ということで、3時間弱の散歩で自然を満喫してきました。
近くにある観光地、昇仙峡。

お土産を買うなら「紫水晶」がオススメ。
これは以前買ったものでスピーカーの上に飾ってあります。
¥1000くらいで売ってます。
P132

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メインシステムのパワーアンプを交換してみた。

これまでオーディオのメインシステムのパワーアンプはNECのA-10Ⅲを使っていました。プリ部を使わずにパワーアンプとして使用していました。CDプレーヤーを1台にしたので今はラックの中に余裕がある状態になってます。

P111

実はもう1台控えのパワーアンプがありまして、数年ぶりに使ってみることにしました。これは自作アンプです。アンプの基板は秋葉原の若松通商で売っていた安井先生が設計したものです。「無線と実験」誌に色々発表していた中のひとつ。写真の下のアンプがそれです。シンプル&ビューティーでしょ。アンプ交換の際、ラックに溜まったホコリが凄かったです。たまには掃除がてら機器を交換するほうが良いかも。

P109

若松通商では部品実装済みのアンプキット基板という形で販売していたので、それを買ってきて電源部を作ってケースに入れたものです。付属した取扱い説明書はかなりいい加減でした。記載されている回路図と実際の回路が違っていたり、調整方法の説明がそっけなかったり、電子回路の知識がないと到底つくれないようなシロモノでした(笑)。

P110_2 

ご覧のとおりの強力電源になっています。左右完全セパレート構成。自作ならではということで、電源トランスは倍以上の容量をおごっています。最大出力30Wのアンプにこんな強力電源を組み合わせるようなバカげた真似は自作だからできること。電源トランスと電源用電界コンデンサーなどがほとんどの領域を占め、アンプ部は左右のハガキより一回りくらい小さい基板だけです。フイルムコンデンサーだけ少し高価なものに交換してあります。

アンプ回路は上下対称2段MOS FETシングルプッシュプルの無帰還です。信号を増幅する素子は片チャンネルFET4個だけという超シンプルさ。メーカー製の複雑な回路のアンプにはないシンプル&ストレート設計。大切なスピーカーを飛ばさないようにスピーカー保護リレーは入れています。

使用するにあたり、出力端子のオフセット電圧と出力素子のアイドリング電流を再調整しました。数年使っていなかったにもかかわず意外とズレはなかったです。一応もう少し追い込んでおきました。FET無帰還なので熱暴走と発振に気を使わずに済むのが良さです。

久しぶりに聴いたけれどこれはこれで意外とイケてます。無帰還なので音が窮屈にならず明るく開放的に鳴るのが美点。MOS FETならではの高域のシャープさとしなやかさは魅力。強力電源のおかげなのか低域も不足はなく、ただ無帰還故に低域のダンピングが少々不足していているのが気になる点です。低域だけもう少し締めたい。

不便な点は夜間にレコードをヘッドホンで聴けないことです。CDの場合はCDプレーヤーのヘッドホン端子で聴けば良いんですけど、レコードはパワーアンプにヘッドホン端子がないと聴けません。この組み合わせだと別にヘッドホンアンプがほしくなります。

低域のダンピング不足は前から気になっていて、実は最近このアンプを作り替えたい気持ちがムクムクと湧いてきていました。いつものようにネット検索するわけですが、自作用のパワーアンプキットというと最近はもっぱらデジタルアンプになってしまっています。特に拒否しているわけではないので、デジタルアンプに作り替えようかとも思案。

選択肢が少ないなりに調べていくと、ジェフローランドのアンプに使われているというパワーICを使った基盤キットが目に入り、改造したい気持ちもあり、さて、どうしたものか。当面こいつを聴きながら様子を見ることにします。

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ハーブ・アルパートがヒップホップやってました!

ジャズ友tommyさんが貴重な情報を教えて下さいました。m(_ _)m

何とハーブ・アルパートがマイルスよリ先にヒップホップをやっているというのです。
この映像を紹介してくれました。

本当だっ!これは紛れもなくヒップホップ。
ブレイクダンスしてるし。
1991年2月26日ということなので、90年に録音しているんでしょう。
マイルスよりちょっと早いじゃん。
ご丁寧にPVまで作ってます。

ハーブ・アルパートとは盲点でした。
にしても、ラッパがショボ過ぎ(笑)。
だからイージー・リスニングなんですよ。
こういうショボさって、クラブジャズ・ファンが好きなテイストかも?

さすが、メジャー(売れている)のほうがこういう動きって早いんでしょうね。
この年は、マイルスが亡くなって、Us3が結成されて、
ア・トライブ・コールド・クエストがジャズを引用した新サウンドで
ファースト・アルバムを出した年です。
90年代に入って一気にジャズ/フュージョンとヒップホップがクロスオーヴァー。

マイルスを失って、少なくともジャズ界はこの流れが迷走したと私は思います。

さてっ、

ジャズ・ヒップホップと言えば、今日面白い新譜が届きました。

大谷能生さんの『ジャズ・アブストラクションズ』

今聴いている最中なのですが、これは文句なくジャズ!
はっきり言ってロバート・グラスパー何かよりずっと面白い。
のっぺりラップがこういうトラックに乗るなら面白いのです。

菊地成孔さんのライナーノーツが興味深い。
珍しく言っていることが分かります(笑)。
なるほどね~。
ところで”アンチ・オイデプス的”って何?
ギリシャ神話のオイディプス王的な行動のアンチという意味?
こういう言葉を持ち出すところが
菊地さんの面白くも嫌味なアンビバレンツなんでしょうね(笑)。

これっ、聴いておかないと絶対まずいでしょ!
私は激しくプッシュします。

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マイルスがもう少しヒップホップをやっていたら・・・

マイルスがヒップホップをもう少し続けていたらどうなったのか?
今となっては考えてもしかたがないことなのですが・・・。

YouTubeでたまたまこんなのを見つけました。
ビッグ・ダディ・ケインの《エイント・ノー・ハーフ・ステッピン》。
この人はヒップホップの「黄金時代」のもっとも偉大なラッパーのひとりに挙げる人も多いそうで、高速のラップやシャープなフローなど、その後のラッパーに与えた影響は計り知れないとか。

これを聴いたらまたまたマイルスの『ドゥー・バップ』が浮かんできました。
《ファンタジー》です。トラックの雰囲気が似ているからです。

『ドゥー・バップ』はマイルスとイージー・モー・ビーの未完成セッションを死後に完成させたものなので、これなんかはマイルスのソロの完成度は低く、あとから上手くつないでどうにか1曲にした感じがします。
とライナーノーツを見たら、85年のマイルスの録音に後からイージー・モー・ビーがトラックを付けた見たいです。なるほどフィットしていないはずです。
それはそれとして、マイルスが自分のトランペットを未だヒップホップに上手くフィットさせているとは言い難いここを出発点として、それまでのマイルスがそうだったように、その後上手くフィットさせて行ったら、どんな風になったのか興味は尽きません。
上記のビッグ・ダディ・ケインのラップのフローなんかは、そのポップな雰囲気も含めマイルスにとっては参考になる人だったのかもしれませんね。

昨日の《ドゥー・バップ・ソング》といい、これといい、『ドゥー・バップ』というアルバムは、80年代後半のヒップホップ・サウンドの上に成り立っているのだろうと想像します。
発売された92年としては、ア・トライブ・コールド・クエストやドクター・ドレーなど90年代の新しいサウンドから少し遅れていたのかもしれませんが、出発点としては決して悪くはなかったのではないかと思います。
マイルスの死によってその出発点だけが残ってしまったという歴史の皮肉。

合掌。

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黒いグルーヴならこれだ!

今日はヒップホップ、相変わらず楽しく聴いています(笑)。

P108_2 EPMD『ストリクトリー・ビジネス』(1988年、Fresh/Sleeping Bag)です。私が買ったのはスヌープ・ドッグのリマスター盤。

いつものとおり紹介文はこの2冊の本から。

まずは「文化系のためのヒップホップ」

ロング・アイランドから登場。ラッパーたるもの社会的なメッセージを訴えるべきとされていた当時の東海岸シーンで、「金が欲しい」と本音をラップ、全米規模の成功を得たデュオのデビュー作。ザップ等80年代ファンクをサンプリングしたレイドバックしたトラックに乗って、かったるそうにラップする姿が当時は新鮮だった。本作だけでなく、一時解散までの4枚のアルバムはすべて必聴だ。

そして「ブラック・ミュージック入門」

1988年にリリースされた当初、かなりの衝撃をもって迎えられたデビュー・アルバム。たとえば冒頭のタイトル曲などは「アイ・ショット・ザ・シェリフ」をネタに使っているのだが、これがボブ・マーリーを使わずにエリック・クラプトンのカヴァーのほうを使っているのがミソで、エリックのファンキーなリズム・カッティングがファンキーにヒップホップとして鳴るところがあまりにも新鮮だった。全編EPMDのこうしたセンスが冴えまくる内容で、90年代までものすごく大きな影響力を持った作品。ビートを外した感じのラップも当時の若手随一でひどく新鮮なものだった。

これはAmazonのレビューが秀逸で思わずそれに釣られて買ってしまいました。
「とにかく極太い黒~いファンクが聴きたいのならコレを聴け!
EPMDによって男を磨け!! 」

なんて書いてあるんだもん(笑)。

もう私からは付け足すことはありません。 黒いグルーヴを聴け!

YouTubeからペタッ。

ヴォコーダーの音、シンセベースのファンキーぶりは最高ですな。
私の中ではハービー・ハンコックの『マン・チャイルド』が鳴ってます。
途中に入るホーンはJB’sか何かでしょう。
かったるいラップが黒い。

次の《ユーアー・ア・カスタマー》を聴いて思いましたね。
マイルスの『ドゥー・バップ』。
こういう黒さがマイルス好みだったのでしょう。
かったるいラップとマイルスのトランペットがオーバー・ラップします。
下はフル・アルバム。40分から始まる曲がそれです。

そのマイルスの《ドゥー・バップ・ソング》。
”マイルスのはヒップホップになっていない” なんて意見も聴きましたが、
私も何となくそう思っていたのですが、
EPMDを聴いて、”いやっ、ちゃんとヒップホップをやってたんだ” と確信。
マイルスって、やっぱスゲーよ!

これなんかも面白いしカッコイイですよね。
《ムーン・リバー》って好きな曲です。
こういうサウンドが出てくる時点でヒップホップって凄いと思います。
当時のフュージョンなんて、このサウンドの足元にも及ばないです。

ヒップホップを聴くとどんどん色々見えてきます。
ジャズ聴くよりよっぽど面白かったりして(笑)。

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