躍動感があって良いピアノ・トリオです。
いつもながらのだいぶ遅れた新譜紹介です。
エンリコ・ピエラヌンツィの『パーミュテーション』(2009年rec. CAM JAZZ)です。メンバーはエンリコ・ピエラヌンツィ(p)、スコット・コリー(b)、アントニオ・サンチェス(ds)です。これまでレギュラー・メンバーだったマーク・ジョンソン(b)とジョーイ・バロン(ds)からメンバー・チェンジした注目アルバム。録音自体は3年前ですね。どういう事情でアルバム化が遅れたんでしょう?
私はピエラヌンツィを熱心に聴いてきたわけではないので、今回もいつものピアノ・トリオかと思って無視していたら、私の好きなコリー&サンチェス・コンビに変わっていることが分かり、私界隈のブログにUPされ始めてから慌てて購入。私はピエラヌンツィ・トリオとしては2005年の『スペシャル・エンカウンター』以来の購入です。全9曲ピエラヌンツィ作曲。
1曲目《ストレンジ・カンセクウェンシーズ》を聴いて、”これはなかなか良いぞ” ということになりました。コリー、サンチェスの躍動感溢れるリズムに乗ってピエラヌンツィが喜々としてピアノを弾いているではありませんか。抒情派ピアニストの枠を超えて迫ってきます。鍵盤を”ガツン”と弾く瞬間もあり、タイプは違うけれどチック・コリア的エンターテインメント感すら漂っています。美しさと躍動感の融合が素敵なのです。
2曲目《クリティカル・パス》で早くもサンチェスのドラム・ソロを大フィーチャ。美メロ曲にサンチェスのアグレッシブなドラムが冴えまくりです。サンチェス好きには溜まらない小シンバル”シャンシャンシャン”も入ってノリノリ。ピエラヌンツィも弾けたピアノをガンガン弾いてサンチェスを煽る始末。楽しい!
3曲目のタイトル曲《パーミュテーション》では自由度高めの3人のインプロビゼーションが有機的に絡みついています。こんなアグレッシブな演奏でも美しい響きを失わないピエラヌンツィってやっぱり良いピアニストだと思います。ここまでこのトリオの新局面を提示して、4曲目《ディスタンス・フロム・デパーチャー》はピエラヌンツィらしいしっとり美メロのバラード。コリーのベースをフィーチャして、強靭だけれど深みを見せるコリーの良さを披露します。
なかなか考えられた曲配列だと思います。
6曲目《エブリ・スマイル・オブ・ユアーズ》は6/8拍子。哀愁と明るさのバランス感が心地良い美メロ曲です。こういうメロディーを作れるところがヨーロッピアン、いやっ、イタリアンならではなのでしょう。コリーの強靭なベース・ソロ、サンチェスの弾けるドラムのバース交換もフィーチャされ、私は始終気分良く聴きました。
8曲目《ザ・ポイント・アット・イシュー》は”ガツン”と弾く出だしからこのトリオの良さ全開です。ピエラヌンツィ弾けてますよね。アグレッシブにソロを展開し、途中からアップ・テンポで”グイグイ”とピアノを弾くところが最高。このドライブ感、只者ではありません。コリーの強靭ベースから短いピアノ・ソロを挟んで、ラストには暴れるサンチェスが登場。ピエラヌンツィがまた”ガンガン”弾いてエンディング。楽しい!
このトリオ、とても気に入りました。良いピアノ・トリオだと思います。
3年前の録音なので最近の演奏を聴いてみたいところです。
アルバム名:『PERMUTATION』
メンバー:
Enrico Pieranunzi(p)
Scott Colley(b)
Antonio Sanchez(ds)
| 固定リンク
「ジャズ・アルバム紹介」カテゴリの記事
- 明けましておめでとうございます!(2023.01.01)
- 今日はこんなの聴きました。(2022.01.01)
- 追悼、チック・コリア。(2021.02.14)
- このアルバムのこの曲が好き!(2021.02.07)
- こんなの聴いています。(2021.01.03)
コメント
こんばんは〜
こちらのアルバム 話題になっていましたね。
最近ポイントをためるためタワレコでお買物しているのですが オンラインのほうのリストに入れてあります。
今月は いろいろ出費が…(^_^;)
なので 忘れたころ購入してみるかもです。
投稿: マ-リン | 2012年4月28日 (土) 23時59分
マ-リンさん
はいっ、こんばんは。
>こちらのアルバム 話題になっていましたね。
各所で話題です。
>最近ポイントをためるためタワレコでお買物しているのですが オンラインのほうのリストに入れてあります。
私は最近ワワレコで買わなくなってしまったのでポイントカードが有効なのかどうなのかすらも分からない始末です。
>今月は いろいろ出費が…(^_^;)
そいう月もありますよね。
>なので 忘れたころ購入してみるかもです。
焦らずじっくり聴いていきましょう。
聴きたいアルバムを手に入れるまでのワクワク感も”また楽し”だと思います。
投稿: いっき | 2012年4月29日 (日) 01時02分
こんにちは。
今日は、暑いくらいでなので、ボッサ入ったサウンドを流してます。
このピエラヌンツィは、強面な部分も結構ありますが、難解ではないですよね。
そこが多くの方にストレートに伝わってくる一因だと思います。
分かりやすいと言っても、安易なものでも、媚びへつらったものでもないと思いますし。。
美メロもここまで来ると芸術的ね。(笑)
トラバ、ありがとうございました。
投稿: Suzuck | 2012年4月29日 (日) 15時30分
Suzuckさま
こんにちは。
>今日は、暑いくらいでなので、ボッサ入ったサウンドを流してます。
こちらは今日曇りなので昨日よりは暑くないです。
暑いとボッサ系はいい感じに聴こえますよね。
>このピエラヌンツィは、強面な部分も結構ありますが、難解ではないですよね。
強面な部分は確かにありますね。
それを難解にならずプレゼンできるのは良いと思います。
>そこが多くの方にストレートに伝わってくる一因だと思います。
そういう形のポピュラリティ。
私は歓迎したいと思っています。
>分かりやすいと言っても、安易なものでも、媚びへつらったものでもないと思いますし。。
はい、そう思います。多くの人に聴いてもらいたい1枚です。
>美メロもここまで来ると芸術的ね。(笑)
確かにおっしゃるとおりです。芸術的美メロ(笑)。
>トラバ、ありがとうございました。
いえいえ、トラバありがとうございました。
投稿: いっき | 2012年4月29日 (日) 17時05分
美メロでゆったりとはじまったかと思うと、割とその雰囲気のままにアントニオ・サンチェスが手数王と化して盛り上げていく場面がいくつかあったのですが、やっぱり彼ならではのアプローチだな、と思いました。硬派な場面もけっこういいですし。メロディが良くても甘くないですね。
他の複数の方が「Dream Dance」と比較されていた(私、まだ聴いてません)こともあって、そちらも注文中で、明日あたり発送になると思います。リズム陣が違うと印象も異なるとは思うのですが、そちらも届くのが楽しみです。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2012年4月30日 (月) 21時06分
910さん
こんばんは。
サンチェスのドラミングは彼らしいですよね。
それがピエラヌンツィに上手く作用していたと私は感じました。
>硬派な場面もけっこういいですし。メロディが良くても甘くないですね。
おっしゃるとおりだと思います。
硬軟上手く取り混ぜられていると思います。
そしてそれが俗っぽくなっていないところが良いです。
>他の複数の方が「Dream Dance」と比較されていた
結構話題になったアルバムですね。
私も未聴ですが、今のところ優先順位は上がっていません。
TBありがとうございました。
投稿: いっき | 2012年4月30日 (月) 22時09分