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2012年4月

オーディオは自己満足

オーディオは自己満足なので一人で
”ああでもない。こうでもない。”
と言いながら楽しんでいます(笑)。

今日はレコードプレーヤーの話。
ロクサンのRADIUS3/SME3009Rに取り付けていたカートリッジM97EDを、
最近DP-3000/FR-64fxに取り付けてみたらすこぶる具合が良いことを発見。
高音、低音共に好みの音調で鳴るので ”ニタニタ” してます(笑)。
もちろん中音はレコードならではの味わいです。

これまでRADIUS3/SME3009とM97EDのコンビは
レコードのサーフェイス・ノイズが妙に目立って聴こえていたのに、
DP-3000/FR-64fxとM97EDでは気にならないようになりました。

RADIUS3/SME3009はなんであんなに目立っていたのか?
何となく理由は想像できるのですがそれは追及せず、
今は背景が静かになったことを喜んでいます。
背景が静かになると音がクリーンで鮮やかに聴こえてきます。
きちんとオーバーハング値を調整したことも良かったかも。

この組み合わせを当面のメインセットとすることに。

P107

この組み合わせ、古い録音から新しい録音までどれも良い感じに聴かせます。
モーターDP-3000のプラッタは軽いしカートリッジM97EDも軽針圧なのに、
低音がしっかり出てくれるのが魅力です。
しっかりしたトーンアームFR-64fxと重量級キャビネットDK-300のおかげでしょう。
にしても、古いものばかり集めて音が気持ちいいのがオーディオの妙。

こうなってくるとRADIUS3/SME3009Rが疎ましい(笑)。
ということで、システム変更が頭の中を過ります。
こうやって何かどうかを変えながら自己満足の連続というのがオーディオ(笑)。
時には上手くいかなくて ”ガクリ” と肩を落とすこともあります。

オーディオが調子良く鳴っていると気分良く過ごせますね。

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ヴァージョン・アップされたポルティコ・カルテット

今日も新譜紹介です。どんどん行きましょう!

P106 『ポルティコ・カルテット』(2011年rec. REAL WORLD)です。メンバーは、ジャック・ウィリ(sax,electronics,p,syn)、ダンカン・ベラーミ(ds,electronics,vo)、ミロ・フィッツパトリック(b,electronics)、ケイル・ヴィン(hang,syn)です。あれっ、ハング(ドラム)奏者の名前が前と違っているということはメンバー・チェンジしたみたいです。サウンドからも分かりますがクレジットの順番が上がったドラマーのベラーミの重要度が増しています。

ファースト・アルバム(2007年録音)を買ってこの人達のサウンドが気に入りました。
「ジャズかどうかは分かりませんがこれもまた良し。」
「オレゴン」みたいなオーガニック/ナチュラル・サウンドが心地よく響いたのです。
最新アルバム(このバンドの3作目)を買おうか迷っていたのですが結局購入。

今回はエレクトロニクスの使用が大幅に増加。バージョン・アップされています。サウンドがどのように変化したかといえば、北欧フューチャー・ジャズ/音響系に近くなりました。その分ファースト・アルバムのオーガニック/ナチュラル・サウンドはやや後退。サウンドの強度は増していると思います。私としてはソフトのバージョン・アップにより使いやすくなった反面、使い慣れた操作ができなくなって微妙に馴染めないでいる感じかも(笑)。

トラックによっては従来サウンドを色濃く残しているものもあり、この曲なんかはそういう演奏になっています。一方でフューチャー・ジャズ/音響系のものがあります。

このPVのハング奏者は前任者に見えるのですが? このドラミングのつんのめりそうな感じは正に現代リズムになっていると思います。ご覧のとおりドラマーがエレクトロニクスを積極的に取り入れ、サウンドが更新されています。この人達にしかできないサウンド。

曲は物語のように進んでいきます。とてもイマジネーションを掻き立てるサウンドです。サックスがクジラの声に聴こえるような場面が散見。『鯨の詩』を作ったポール・ウィンターとの影響関係が見えます。「ポール・ウィンター・コンソート」を離れたメンバーが作ったバンドが「オレゴン」なので、サウンドのコアはそういう傾向のものです。全曲ポルティコ・カルテット名義なので合議制で曲を作っているのでしょう。

1曲だけボーカルCorneliaを迎えた曲があり、ちょっと気怠い感じのボーカルはシンディ・ローパーのようでもあり、懐かしいケイト・ブッシュ風サイケ風味も感じさせ、そういうものと違和感なく融合するのがこのバンドです。打込みリズムを前面に出したテクノっぽさもあり、これまた違和感なく融合。極めて今時なサウンドを持ったバンドです。

さて、これがジャズと言えるのかどうか?
イギリスではファースト・アルバムがジャズ賞をとっているようで、
クラブ・ジャズ方面からは注目されているようです。

ジャズの境界線にいて、
我々に”ジャズ耳”の更新を迫るのか?単にそっぽを向かれるだけなのか?
興味深いところです。

私は今回の新譜も結構気に入りました。

アルバム名:『PORTICO QUARTET』
メンバー:
Jack Wyllie(sax, electronics, p, syn)
Duncan Bellamy(ds, electronics, vo)
Milo Fitzpatrick(b, electronics)
KEIR VINE(hang, syn)

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躍動感があって良いピアノ・トリオです。

いつもながらのだいぶ遅れた新譜紹介です。

P105 エンリコ・ピエラヌンツィ『パーミュテーション』(2009年rec. CAM JAZZ)です。メンバーはエンリコ・ピエラヌンツィ(p)、スコット・コリー(b)、アントニオ・サンチェス(ds)です。これまでレギュラー・メンバーだったマーク・ジョンソン(b)とジョーイ・バロン(ds)からメンバー・チェンジした注目アルバム。録音自体は3年前ですね。どういう事情でアルバム化が遅れたんでしょう?

私はピエラヌンツィを熱心に聴いてきたわけではないので、今回もいつものピアノ・トリオかと思って無視していたら、私の好きなコリー&サンチェス・コンビに変わっていることが分かり、私界隈のブログにUPされ始めてから慌てて購入。私はピエラヌンツィ・トリオとしては2005年の『スペシャル・エンカウンター』以来の購入です。全9曲ピエラヌンツィ作曲。

1曲目《ストレンジ・カンセクウェンシーズ》を聴いて、”これはなかなか良いぞ” ということになりました。コリー、サンチェスの躍動感溢れるリズムに乗ってピエラヌンツィが喜々としてピアノを弾いているではありませんか。抒情派ピアニストの枠を超えて迫ってきます。鍵盤を”ガツン”と弾く瞬間もあり、タイプは違うけれどチック・コリア的エンターテインメント感すら漂っています。美しさと躍動感の融合が素敵なのです。

2曲目《クリティカル・パス》で早くもサンチェスのドラム・ソロを大フィーチャ。美メロ曲にサンチェスのアグレッシブなドラムが冴えまくりです。サンチェス好きには溜まらない小シンバル”シャンシャンシャン”も入ってノリノリ。ピエラヌンツィも弾けたピアノをガンガン弾いてサンチェスを煽る始末。楽しい!

3曲目のタイトル曲《パーミュテーション》では自由度高めの3人のインプロビゼーションが有機的に絡みついています。こんなアグレッシブな演奏でも美しい響きを失わないピエラヌンツィってやっぱり良いピアニストだと思います。ここまでこのトリオの新局面を提示して、4曲目《ディスタンス・フロム・デパーチャー》はピエラヌンツィらしいしっとり美メロのバラード。コリーのベースをフィーチャして、強靭だけれど深みを見せるコリーの良さを披露します。

なかなか考えられた曲配列だと思います。

6曲目《エブリ・スマイル・オブ・ユアーズ》は6/8拍子。哀愁と明るさのバランス感が心地良い美メロ曲です。こういうメロディーを作れるところがヨーロッピアン、いやっ、イタリアンならではなのでしょう。コリーの強靭なベース・ソロ、サンチェスの弾けるドラムのバース交換もフィーチャされ、私は始終気分良く聴きました。

8曲目《ザ・ポイント・アット・イシュー》は”ガツン”と弾く出だしからこのトリオの良さ全開です。ピエラヌンツィ弾けてますよね。アグレッシブにソロを展開し、途中からアップ・テンポで”グイグイ”とピアノを弾くところが最高。このドライブ感、只者ではありません。コリーの強靭ベースから短いピアノ・ソロを挟んで、ラストには暴れるサンチェスが登場。ピエラヌンツィがまた”ガンガン”弾いてエンディング。楽しい!

このトリオ、とても気に入りました。良いピアノ・トリオだと思います。
3年前の録音なので最近の演奏を聴いてみたいところです。

アルバム名:『PERMUTATION』
メンバー:
Enrico Pieranunzi(p)
Scott Colley(b)
Antonio Sanchez(ds)

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コンテンポラリー・バップ

今日は新譜紹介です。リーダーよりはメンバー買いでした。

P104 マイク・モレノ『アナザー・ウェイ』(2009,11年rec. WORLDCULTYREMUSIC)です。メンバーは、マイク・モレノ(el-g,ac-g),アーロン・パークス(p)、ウォーレン・ウルフ(vib)、マット・ブリューワー(b)、テッド・プア(ds)、クリス・ディングマン(vib)、ヨッヘン・ルカート(ds)です。コンテンポラリー・バップ、現代新主流派系のサウンドです。

ご贔屓ピアニストのパークスとお気に入りドラマーのプア(トランペッターのクァン・ヴーのグループのドラマー)がいたので買ってみました。リーダーであるモレノは特にフォローしていません。パット・メセニー以降の現代ギタリストですが私にとってはいまひとつ希求力が足りない人でした。

このアルバムは2009年録音曲に昨年録音曲を加えてアルバムとして出した感じがします。2009年にモレノからプアの5人で録音し、昨年ウルフとプアに替えてディングマンとルカートを呼んで録音したのではないかと想像します。詳細について記載がないので確信は持てませんが・・・。

演奏の編成が面白いです。ギター/ピアノ/ベース/ドラムのカルテットとギター/ヴァイブ/ベース/ドラムのカルテットに分けて録音しています。ギター/ピアノ/ヴァイブ/ベース/ドラムのクインテットで演奏されている数曲ではヴァイブのソロはなく合奏時に音響効果的に使われるのみです。なのでピアノ・カルテット+α。多分ディングマンがヴァイブを叩いていて、このクインテット編成が昨年の録音なのではないかと想像します。

全曲モレノ作曲で8ビート。特に難しくはないですがやたら親しみやすいわけでもない今時の曲揃いです。ピアノ・カルテットはメセニー・カルテットという雰囲気。ギターの響きからはメセニーを感じるところがちらほらあります。特にスローな曲でそういう傾向になります。一方ヴァイブ・カルテットはと言うと、そうですゲイリー・バートン・カルテットの雰囲気です。このヴァイブ・カルテットのほうで、モレノがよりソロで燃えているように聴こえてくるのは気のせいかしら?

モレノは数曲でアコースティック・ギターも弾いていますが、多重録音で音響効果的にも使っったりしていて、この使い方がなかなか面白いところです。相棒のパークス、ウルフともに現代的な響きでモレノのギターに上手く呼応しています。ブリューワーのベースは裏方に徹して支え、プアのドラムは包み込むように熱気をはらませていて、演奏がクールに響き過ぎるのをコントロールしています。ここがプアの良さであり私が好きなところです。

数多あるコンテンポラリー・バップの中の1枚と言ってしまえばそれまでなんですが、悪い演奏をしているわけではありませんし、じっくり聴けばメンバーの顔も見えてくるアルバムです。微妙なところを感じ取らないと今のジャズって皆同じように聴こえなくもなく、面白さも見えにくかったりするのでなかなか悩ましい問題ではあります。

私はお目当てのパークスとプアが好演しているので良しとします。
実はこのアルバムを聴いて、モレノの前作『ファースト・イン・マインド』が聴きたくなってAmazonに注文してしまいました。やっている曲が面白そうで、パークス参加のカルテット演奏というのが魅力。

アルバム名:『aNOTHER WAY』
メンバー:
Mike Moreno (el-g, ac-g)
Aaron Parks (p)
Warren Wolf (vib)
Mat Brewer (b)
Ted Poor (ds)
Chris Dingman (vib)
Jochen Rueckert (ds)

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突然ですがEPO

新譜紹介が4枚ほど溜まっているのですが、なかなか手がつかないこの頃。
というわけで、いつものお気楽YouTube貼り付け更新。

今日はEPO(エポ)。
この人の曲が結構好きなのです。

これが一番好きです。《う、ふ、ふ、ふ、》

元気でハツラツとした感じと面白い歌詞。
もちろん一番のお気に入りはメロディーです。
このメローな感じは好みのテイスト。
これからの季節にはピッタリの曲です。

次はこれ。《DOWN TOWN》

「オレたちひょうきん族」のエンディング曲でした。
レイジーな感じがまんま土曜の夜のイメージ。
曲が特に好きなのですが、これはシュガーベイブ山下達郎の曲をEPOがカバー。
達郎さんの曲って好きです。

そしてこれ。《くちびるヌード・咲かせます》

YouTubeの動画は削除されてしまいました。

懐かしい曲です。春にピッタリ。口紅のCMソングでした。
当時のトレンド。YMOから連なるテクノ/東洋路線です。
この曲は高見知佳が歌うバージョンの方が好きです。

高見知佳のフワリキュートなボーカルが春らしさを演出しています。
いい曲ですよね。

以上終了!

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ECMらしい仕上がりです。

今日は新譜紹介です。

P103 ビリー・ハート『オール・アワー・リーズンズ』(2011年rec. ECM)です。メンバーは、マーク・ターナー(ts)、イーサン・アイヴァーソン(p)、ベン・ストリート(b)、ビリー・ハート(ds)です。以前HIGH NOTEレーベルから同メンバーの『ビリー・ハート・カルテット』が出て、気に入っていたので今回も購入することにしました。

一言で言えばECMらしい内容です。前アルバムのデリケートでありながら過激でユーモアも含んでいたこのメンバーらしい音楽が、ECMレーベルにしっかり調教というか去勢されちゃってます(笑)。これがECMらしさなのですが、私はECMをそれほど支持していなので、ECMファンからひんしゅくを買うことを承知でいいますが、この辛気臭さがあまり面白くないのです。

ハートの曲が4曲、アイヴァーソンの曲が3曲、ターナーの曲が2曲の全9曲です。アイヴァーソンの3曲中の1曲はコルトレーンの《ジャイアント・ステップス》を基に再構築した曲。こういう曲が作れるところがアイヴァーソンの知性。この人はザ・バッド・プラスでロック・マナーの過激なピアノを弾いているのですが、クラシック・マナーもきちんと消化している人です。なので、ここではECMのカラーにはピッタリのピアノを弾いています。

アイヴァーソンの曲はモロにECM向き、ハートの曲はECMに合わせつつ時々バップが顔をのぞかせる曲、ターナーの曲は現代のコンテンポラリー・バップ曲。ECMに調教されていると書きましたが、”フリ”をしつつ時折本音が”チラッ”と顔を出してしまうのが面白いところです。ターナーのデリケートなテナーが全編に渡って良いプレーをしています。デリケートと言ってもひ弱なところはなくきちんと芯はあります。

ストリートは過不足なく、リーダーのハートは知性溢れるドラミングをしています。ドラム・ソロもありますがしゃしゃり出るようなことはなく、楽曲の枠組み内に収めて曲に変化を付ける程度。現代音楽を感じさせる曲も多く、勢い”ドバーッ”なジャズとは対極にある知性溢れるジャズを始終聴かせてくれています。このメンバーですから期待を裏切らないクオリティの高さです。

でもやっぱり私にとってこれは辛気臭い。m(_ _)m
私はどちらかと言えばヒップホップのような下世話さが好きです。
とは言いながら、たまにはこういうアルバムを取り出して聴きたくなったりもします。

アルバム名:『All Our Reasons』
メンバー:
Billy Hart (ds)
Ethan Iverson (p)
Mark Turner (tsax)
Ben Street (b)

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私の”胸キュン”メロディー、アメリカ編

今日は適当に更新。
私の”胸キュン”メロディー、アメリカ編。

まずは、スティービー・ワンダーの《ユー・アー・ザ・サンシャイン・オブ・マイ・ライフ》。
これは小学生の頃気に入っていた曲。

スティービーの曲っていい曲が多いですよね。

次はアース・ウィンド&ファイアーの《宇宙のファンタジー》。

”胸キュン”メロディーと躍動的なリズムの融合は私的最高パターン。
この時期にシンクロしているのが渡辺真知子の《かもめが跳んだ日》。
この曲も好きなんです。
当時流行りのラジカセからはこういう素敵な洋楽がたくさん流れていました。
ベイ・シティー・ローラーズとかも(笑)。
週末にやる「全米、全英ポップス・ベスト10」はよく聴いていましたよ。
私はABBAが大好きでした。

次はミスター・ニューヨーク、ビリー・ジョエルの《素顔のままで》。

これを聴いていると涙が出てきます。”ウルウル”曲最高峰。
アルト・サックスを吹いているのは、何とフィル・ウッズです!
この曲は入っていませんが『ニューヨーク52番街』は大好きなアルバムです。
中学生の私は《ストレンジャー》を聴いてニューヨーク訛ってやつにビックリ。

そしてマイケル・ジャクソンの《アイ・キャント・ヘルプ・イット》。
大学入学祝いとして親からスズキのスクーター「ラブ」を買ってもらったら、
当時コマーシャルをやっていたこの人の
『オフ・ザ・ウォール』がオマケでもらえました(笑)。

このデリケートなボーカルのニュアンスが素敵だと思います。
曲はスティービー・ワンダーです。
この曲はエスペランサの『ラジオ・ミュージック・ソサイエティ』でもやってます。
そのPVを見て驚きました。レズっけアリ(笑)?

ラストはマイケルの《ヒューマン・ネイチャー》。

この曲もいい曲ですよね。
さすがはマイルス、この曲をカバーしたというただけでもう大好き(笑)!

と、愛すべき曲がたくさんある私です。

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ヨーロッパ音楽土壌の豊かさを感じる。

今日は新譜紹介です。

P102 パラティノ『バック・イン・タウン』(2011年rec. naive)です。メンバーは、ミシェル・ベニタ(b)、グレン・フェリス(tb)、パオロ・フレス(tp,flh)、アルド・ロマーノ(ds)です。フランスのグルノーブルでのライブ録音2枚組。パラティノはロマーノ率いるピアノレス・カルテット。

このグループを知ったのは杉田宏樹さん著「ヨーロッパのJAZZレーベル」に掲載されていたからです。ラベル・ブリューから出た『テンポ』(1997,8年rec.)を聴いてそのオープンでリラックスした感じが気に入っていました。でも、その後このグループをフォローすることもなく放っておいたら、Amazonの”こんな商品も買ってます”にたまたまひっかかってきたので購入することに。最近はほとんどアメリカのジャズを聴いているのですが、たまにはヨーロッパのクオリティが高いジャズも聴きたくなります。

ロマーノとベニタのフランス勢リズムに、フランス在住のアメリカ人フェリスとイタリア人フレスというフロント2管が加わり、アンサンブルとアドリブ・ソロを何の衒いもなく素直に聴かせるカルテットです。個々のテクニックは折り紙つきなので何の不安もありません。今回はライブ録音ですがスタジオ録音と何ら変わりがない完成度の高い演奏をしています。違うとすれば観客に後押しされての熱気が感じられるところくらい。

ロマーノの曲が3曲、フェリスの曲が4曲、ベニタの曲が3曲、フレスの曲が2曲、スタンダード2曲の全14曲。7曲ずつ1枚のCDに収められています。メンバーオリジナル曲が6曲演奏され、ラストにスタンダードが演奏されるという面白い構成。各オリジナル曲はメロディーを大事にしつつ、特に際立った特徴はないのですが、ヨーロッパらしい音楽性を聴かせるものになっています。リズムは4ビート、8ビート、ラテンまでと多彩。

フェリスのテクニカルでありながら大らかに歌うトロンボーン、フレスのテクニカルでありながら哀感薫るまろやかなラッパが素敵です。2管のアンサンブルは極上のまろみを聴かせてくれます。バックは軽やかなリズムを刻むロマーノとベニタ。ゴリ押し感はないのですが、リズムの推進力には心地良いものを感じます。フェリスとフレスがバリバリ吹く曲もあるので、2人のファンは必聴の内容。

広い会場なのですが、静かに聴きつつ要所で拍手をするところは、ヨーロッパならではの音楽土壌の豊かさを醸し出しているように感じます。ジャズというフォーマットの上でヨーロッパならではの音楽性を聴かせる。今巷で話題のDCPRGのような、ある意味日本の未成熟感(あるいは幼児性は菊地の狙いであると思う)とは対極にあるような成熟のサウンドがこのアルバムからは響いています。どっちが良いとかではなく、色々楽しめるのが今のジャズです。

こういうジャズを聴いているとこちらも心豊かになる感じがします。
ホールトーンを適度に含んだ録音は優秀。
カッコイイ素敵なジャズだと思います。

アルバム名:『Back In Town』
メンバー:
Michel Benita(b)
Glenn Ferris(tb)
Paolo Fresu(tp, flh)
Aldo Romano(ds)

この雰囲気を知ってもらうには映像が一番と思いつつ、YouTubeを探さなかったのですが、ジャズ友のすずっく様がブログに貼っていたので、私もマネをしてペタ。なかなか良い雰囲気だと思いませんか?

ダウンロードだけじゃなくてCDもAmazonで買えます。

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この娘がお気に入り!ワッハッハッ。

最初に、私は ”ジャズはカッコイイしお利口” なんて発想が嫌いです。
だから私のブログのコンセプトは、”ジャズ=ダサイ&おパカ”(笑)。
”こいつダサイね。”とか”こいつバカだね”と言われれば本望です。

さて、今日はそんなネタを全開!

以前マクロスFのこの曲が好きだということを書きました。

ディープ・パープルの《スモーク・オン・ザ・ウォーター》のフレーズをまんま使ったり、ノーランズの《恋のハッピーデート》みたいなニュアンスがあったり、ハードロックとテクノの融合であったり、”胸キュン”メロディーがあったりと、このポップな曲が大好きなわけですが、YouTubeを見ていたらこれを歌っているご本人の映像がありまいした。

歌っているのは中島愛(なかじまめぐみ)さん。マクロスFのランカー・リー役でデビューした声優さんです。ウィキによると日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれたそうです。うん?茨城出身。愛さんが生まれた年(1989年)、私も茨城に住んでいました。そういえばその頃ってフィリピン・パブが急増した頃です。バブルの日本にフィリピン人が稼ぎに来ていたんでしょう。時代性を感じる生い立ちです。

それはどうでもよくて、私はこの娘が気に入ってしまったのです。一目惚れ(笑)。顔が気に入ったのですが、そこでハタと考えました。なぜこの娘の顔が好きなのかと。思い当る節があります。この4人です。

P101_2

左から、元全日本バレーの杉山祥子、NHKの井上あさひアナ、中島愛、Perfumeのあーちゃん。皆さん似ていますよね? 口の大きさとかは左右の2人で違うんで、そっくりとは言いませんが、目元と鼻のあたりと全体の雰囲気は共通点があるように思います。

私は浮気性なので(笑)、好きなタイプがコロコロ変わるのですが、以前、杉山ブームというのがありました。数年前の全日本女子バレーボールの代表選手の中ではスピード&ビューティー杉山に惚れたわけです。あとは高橋とかもお気に入りでした。そして時は流れ、少し前にブログにも書いた井上アナが登場します。これはもう杉山系のクールビューティーなんで自分でも合点がいきました。

一方でPerfumeのあーちゃんも気に入っていたのですが、それは顔だけでなく、AKB48のリーダー格高橋みなみさんがお気に入りなように、リーダーの性格に惹かれるというのが加味されています。そして今回、中島愛さんの登場ということになります。写真を並べて笑ってしましました。井上アナとあーちゃんを足して2で割った感じではありませんか?もう完全にマイブームのど真ん中(笑)。

自分の好みの顔を分析する面白さ。私ってどこか自分を外から見ているところがあるので(それこそ2重人格なのか?)、時々こういう分析をして独り悦に入ってます。

それにしても今のアニソンのイヴェントって凄いですね。武道館にこれだけの人を呼べるわけですから。若者はジャズなんて聴かなくていいから、もっと他の面白い音楽を聴けばいいと思いますよ。ジャズはオジサン達が面倒みますから(笑)。

関連でもう一つUPします。これもマクロスFの歌です。

中島愛さんと一緒に歌っているのはマクロスFのシェリル・ノームの歌を担当していたMay'nさんです。シェリルの歌も前にアップしていますが、May'nさんが歌っていたんですね。この人も人気のアニソン歌手です。歌はMay'nさんの方が上手いですし、この手の歌の正統派路線。おっ、ギターを弾いているのは今堀恒雄(ウンベルティポ)さんですね。ピアノを弾いているのはもちろん菅野よう子さん。

で、またまた気付きがあるのです。May'nさんって見た目がなんとなく平原綾香さんに似ていると思います。と思いながら聴くと、声や音程の揺らし具合が似ているように聴こえます。

ジャズを神妙に聴いているだけじゃ面白くない。
今回のネタ、ほとんどの人にとってはくだらないでしょうけれど、
絶対頷いて共感してくれている人がいるはずです。
これからもこの手のネタを恥を捨てて開陳していきますのでよろしく!

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ブログデザイン変更&近所の桜

そろそろ飽きてきたのでブログデザインを変更しました。

さて、この時期好例の桜の記事をまだUPしていなかったので、
ついでにUPしておきます。

近所に咲いている桜です。
家の窓からも見えるのでこの時期は毎日花見気分です(笑)。

P98

これらは数日前の満開桜。

P99

今年は開花が遅かったです。
寒かったですからね。

P100

本日の雨で一挙に散リ始めました。
桜の樹の下はピンクの花びらでいっぱい。
雨に散る桜も風流です。

次はゴールデンウィークへと、季節は移り変わっていきます。

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メルドー・トリオってやっぱりいいな~。

これまた少々遅れた新譜紹介。昨日と同じピアノ・トリオですがこちらはかなり気に入ってます。

P96 ブラッド・メルドー・トリオ『オード』(2008,11年rec. NONESUCH)です。メンバーは、ブラッド・メルドー(p)、ラリー・グレナディア(b)、ジェフ・バラード(ds)です。ドラマーが変わってからのいつものメンバー。2008年録音の8曲に昨年録音した3曲を加えた全11曲。全てメルドーのオリジナル曲です。特に今回新機軸みたいなものはありません。

『ハイウエイ・ライダー』録音前に録音しておいたのに、何で今頃の発売になったんでしょう? ピアノ・トリオばかりを続けるのを避けて『ハイウエイ・ライダー』プロジェクトを優先させたということなのかもしれません。その後はソロとかデュオとかのアルバムを出していて、久々のメルドー・トリオということになります。今回3曲追加してアルバム化したみたいですね。

曲のほとんどが誰かのためのトリビュートらしく、マイケル・ブレッカーやカート・ローゼンウィンケルに捧げた曲も入っています。基本的にメルドーの音そのものです。ちょっと暗めでねじれたトーンを含みつつ独特な美しさを持った曲が並んでいます。メルドーさん、すっかり貫禄が出てきてしまった感じです(笑)。特に気負うところもなく自分の感じた世界をそのまま音にして綴っています。

相変わらず左右の手は変幻自在。別々のメロディーを奏でたり、輪唱モードだったり、その音の重なり具合からはメルドー特融のトーンが発せられていて、ちょっと過大気味に言えば、あのセロニアス・モンクが持っていたような、自分独特のトーンまで感じさせてくれます。そしてかなりテンション高めだったりするのですが、私には温もりまで感じられます。

ブルージーでジャジーでモロにバップな《ビー・ブルー》、ジェフがドラムをパーカッションとして叩いているオーガニック・ミュージックのような《ツイギー》、高速4ビートでこれまたモロにバップでユーモアまで含んでいるように感じさせる《スタン・ザ・マン》、フリー要素強めだけれど排他的ではない《ユーロジー・フォー・ジョージ・ハンソン》とか色々あって、メルドー・ジャズの懐の深さが分かります。

グレナディアのベース、バラードのドラムが何の違和感もなく、これ以外ないという説得力を持ってメルドーの世界をサポートしているのが、このトリオの熟成を物語っているように思います。で、タイトルのとおり ”メルドー・トリオってやっぱりいいな~” なのです。

変に威圧的に尖がったりしていないので、何回か聴くうちに音がだんだん染み込んできていい感じに聴こえてきます。メルドーがこんなスルメ盤的なものに感じられるようになるとは思いませんでした(笑)。私の耳が変化しているってことなんでしょうか? メルドーのピアノ、なかなかいい感じに熟成してきていると思います。

『ハイウエイ・ライダー』がちょっと”やっちゃった”感があったので心配しましたが、このアルバムでは2008年の演奏と2011年の演奏に大きな変化がないことから、ピアニスト・メルドーのぶれない芯が感じられたので一安心。

現代ジャズを聴く人は聴いておくべきピアノ・トリオです。

アルバム名:『ODE』
メンバー:
BRAD MEHLDAU(p)
LARRY GRENADIER(b)
JEFF BALLARD(ds)

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菊地雅章トリオの新譜を聴いて。

今日はウェブ・マガジン 「com-post」 でクロス・レビューしていた話題のアルバムについて書きます。レビューには色々な見方があったので聴いて検証してみたくなってしまったのです。このアルバム、ネットでの流通に問題があったみたいですね。

P96_3 菊地雅章『サンライズ』(2009年rec. ECM)です。メンバーは、菊地雅章(p)、トーマス・モーガン(b)、ポール・モチアン(ds)です。菊地のECMレーベル初吹き込み。ライナーノーツには菊地のモチアンへの思いが書いてありますので、昨年亡くなったモチアン追悼アルバムの意味合いがあるのでしょう。全10曲、菊地とモーガンとモチアンの共作というクレジットなので、菊地を主体とした3人のフリーな即興演奏だと思われます。

実は今これを書いている段階ではこのアルバムを1度通して聴いただけです。それなのにレビューを書いてしまおうという暴挙(笑)。「com-post」のレビューを1回読んでいるので誰が何を書いていたかうっすら記憶にあり、それを基にこのアルバムの印象がだいたい掴めてしまったから書いちゃおうというわけです。ゼロから自分の感覚に従って聴くのが正しいんでしょうけれど、読んじゃったんだからしかたがない。

まずは菊地がこんな素直なアルバムを出すとは思いもよりませんでした。で、いきなり結論(笑)。あまり面白くなかったです。その理由は? トピックがないんですよね。例えば美的なメロディーが噴出するとか、ナルシスティックに自己に溺れているとか、枯れてしまって詫び寂びに溢れているとか、エモーションが発散されているとか、緊張感が張り詰めているとか、極端に書いていますがそういうような何かがないのです。私の気持ちを同調させにくいんですよね。残念ながら。

即興の主体となる菊地のピアノがそんな具合なので、共演する2人に活路を見出すのも難しい気がします。モーガンはやっぱり菊地への遠慮があるんだろうと思います。例えば積極的に鼓舞するような場面はあまりみられません。菊地の世界を尊重しているのでしょう。そして厳しい言い方になってしまいますが、モチアンとは予定調和みたいなものを感じてしまいます。予想外の瞬間みたいなものが生まれていません。ということで3者の絡みが想定内なのです。このメンバーですからクオリティはもちろん高いんですけど・・・。

まあでも、以上の聴き方は私が菊地の演奏に思い入れできないせいでしょうから、私というリスナーの未熟さがそのまま感想になってしまっている可能性大です。それに菊地のアルバムをたくさん聴いているわけでもないので、良き理解者になれていない可能性もあります。何度も聴いたら面白く聴こえるようになるのかな~? 面白くなったらまたブログに書きます。

録音については特に言及するような問題は感じませんでした。録音が菊地の音楽をスポイルしているとも思えません。ECMファンでない私の感想なのであてにならないとは思いますが・・・。

「com-post」のクロス・レビューで村井康司さんが ”菊地雅章は「アメリカン・スタンダードをシンプルに弾くべき時期」にさしかかったのではないか” と書いていました。なるほどと思いました。私は今回のようなフリー即興より、菊地なりの解釈で弾いたアメリカン・スタンダードを聴きたい気分です。きっとこれまでのジャズ歴の中で蓄積したものが滲み出る良い演奏になるのではないかと思うのです。

かなり無責任なレビュー?でした。ご容赦願います。m(_ _)m

ブログって個人裁量で好き勝手できるから面白い。

アルバム名:『Sunrise』
メンバー:
菊地雅章(p)
Thomas Morgan(b)
Paul Motian(ds)

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菊地成孔DCPRGのインタビューを読んで。

先日、「DCPRGの《キャチ22》を聴いて驚いた!」 という記事を書きました。

”DCPRG”という検索ワードで私のブログへ来る方がいたので、
Google検索していたら菊地成孔さんへのインタビュー記事を発見。
ここにリンクを貼りますので、読んでみて下さい。

http://www.cinra.net/interview/2012/03/26/000000.php

なるほどね。
私が聴いて違和感や気持ち悪さを感じたラップの意図が分かりました。

「フィックスされたリズムのあるトラックにラップが乗るんじゃなくて、全員がバラバラに、パッと聴くとフリージャズに聴こえる、そういうトラックにラップが乗ったら面白いんじゃないかって」

とのことでした。
意図していることはちゃんと聴き取れていたわけですが、
まっ、それを面白いと感じるかどうかは人それぞれ。
私は古い人間なので馴染めません。

やっぱりね。ボーカロイドは安直な発想だったようです(笑)。

さて、インタビュー中に出てくるSIMI LABの《WALK MAN》を早速チェック。

これカッコイイと思います。
DCPRGの《キャッチ22》よりこっちの方が全然面白い。

さて、ここで終わらないのが私。
似たサウンドに出会っているんじゃないかと。

タイラー・ザ・クリエイターです。
ジャズ喫茶「いーぐる」で行われた
長谷川町蔵さんと大和田俊之さんによる「ヒップホップ講座」でかかった人。
当日かかたのは下記の曲とは別のものです。

これですよ。
ちなみにこのPVでは、ゴキブリ食ってゲロ吐いてますんで、
食べるところは一瞬でゲロはシルエットになっているとはいえ、
食事中の方は絶対見ないように(笑)。

アンファンテリブルなタイラーでした。
アメリカではかなり人気があるらしいです。

私、タイラー・ザ・クリエイターのサウンドは結構気に入っていたので、
日本にも同じようなことをやっていた人がいたというのが面白いと思いました。
年代的にはSIMI LABの方が先です。
菊地さんの
日本のアンダーグラウンド・ヒップホップはすごく優秀なラッパーを輩出という話。
納得です。

そこに目を付けた菊地さん、着目点はなかなか鋭いんですよね。

昨年、ヒップホップに引き込んでもらった中山康樹さんには感謝ですね。
最近のヒップホップがらみのジャズがそれなりに見通せるようになりました。

4/12(木)、新木場STUDIO COASTでDCPRGのライブがあるようなので、
興味がある人は行って見て下さい。
私も一度見てみたいけれど山梨からでは無理(涙)。

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美意識を聴かせるユーロ・ジャズ

ちょっと遅めの新譜紹介です。黒々ヒップホップの後にこれでは説得力に乏しいのですが、雑食な私ならではということで[笑)。

P95 ラーシュ・ダニエルソン『Liberetto』(2011年rec. ACT)です。メンバーは、ラーシュ・ダニエルソン(b,cello,wulitzer piano on#8),ティグラン(p,vocals on #7)、ジョン・パリッセリ(g)、アルヴェ・ヘンリクセン(tp)、マグヌス・オストロム(ds)です。メンバーの組み合わせが面白そうなので購入。

ラーシュ・ヤンソン・トリオでベースを弾いていたダニエルソンに、フューチャー・ジャズ音響系トランペッターのヘンリクセンに、e.s.t.のドラマーだったオスオトロムに、アメリカで活動するティグラン(アルメニア出身とのこと)というちょと畑が違う人達が集まって、どういうサウンドを構築するのかに興味がありました。

聴き終えてみたら、ピアノ・トリオでの演奏を中心に、曲によってはトランペットまたはギターを入れ、北欧の美メロ系演奏にフューチャー・ジャズ系新風味や高いテンションを程良くまぶしたものになっていました。じっくり落ち着いて聴ける内容です。

曲はダニエルソンが8曲、ティグランが2曲、ダニエルソンとティグランの共作が1曲、アルメニア民謡が1曲という構成で全12曲。時にクラシックやエスニックを感じるヨーロッパらしいものです。このアルバムを買う人は誰も期待していないと思いますが、ブルージーなジャズではないことを一応言っておきます。少しずつ表情の違う曲が一連の物語のように流れていく展開。

1曲目こそニルス・ペッター・モルヴェルのようなフューチャー・ジャズ系の演奏になっていますが、他はそういうものではありません。2曲目のタイトル曲なんて日本もしくは韓流の恋愛ドラマのテーマ曲にピッタリで、私にとってはちょっと甘過ぎなのですが、他はここまで甘くないので許してあげます(笑)。んっ?10曲目も結構甘々ですね。まっ、許しましょう。

全編をとおしてティグラン(・ハマシアン)のピアノが素敵です。アリ・ホニックのスモールズ・ライブでこの人がピアノを弾いていましたがあまり印象に残っていませんね。甘いメロディーを丁寧に慈しむように演奏するだけでなく、e.s.t.のような高いテンションの演奏もあり、決して難解にならず美しさをたたえつつきっちり音を積み重ねていく様に説得力を感じました。

トランペットのヘンリクセンとギターのパリッセリはゲストのような感じです。ピアノ・トリオの演奏にバリエーションを与え一味加えてくれており、役目は2人ともきっちりこなしてくれています。全体を通してダニエルソンの美意識に筋が通っており、その世界をきちんと理解して深みのある演奏でサポートするティグランとオストロム。良いアルバムに仕上がっていると思います。

さすがACTレーベル、クオリティは高いですね。

アルバム名:『Liberetto』
メンバー:
Lars Danielsson (bass, cello, piano on #8)
Tigran(piano, vocals on #7)
John Parricelli(guitar)
Arve Henriksen(trumpet)
Magnus Öström(drums & percussion)

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DCPRGの《キャチ22》を聴いて驚いた!

とあるところでこれについて話題になっていたので聴いてみました。
何なんでしょうね?これは。

菊地成孔の音楽性や姿勢についてあれこれ言う気はありませんので、
あらかじめご了承下さい。

”何なんでしょうね?”と思ったのはラップの違和感です。
このラップ、グルーヴしていませんよね。
抑揚がのっぺり”ヌラ~ッ”と流れていくだけです。
日本語だから抑揚がなくのっぺりなのでしょうか?

バックのサウンドにも注意してみました。
これは色々なリズムが重なるポリ・リズムなのですが、
それがもたらすものとは?
リズムがならされ(平均化され)ビートが喪失しているということです。

このビートが喪失したリズムに乗るからラップはこうなるのだろうと思います。
そしてこんな調子だからボーカロイドも違和感なく乗ります。
私にはこのビート・レスなグルーヴしないラップは気持ち悪いです。
グルーヴしないというか、これが新しいグルーヴなのかもしれませんね。

本当にこんなビート・レスな曲でクラブの聴衆は踊るのでしょうか?
これで踊っている人がいたら、傍から見たら全く乗れていないように見えるかも?
乗るべきビートがないんですから。
いや~っ、ビックリですね。

今時の人のビート感覚って何なんでしょう?
それを意識してこういう曲を作って、クラブで踊らせるとしたら、
菊地成孔、恐るべし!です。

後半は単なるフリー・ジャズになっていると思います。
こういうエレクトリックでカオス系のフリー・ジャズは他にもたくさんあります。
だからフリー・ジャズのギタリストとはマッチングが良いはずです。

ということで、私は古い人間なので、
やっぱりこっちのグルーヴが最高にカッコイイと思っています。
ドクター・ドレーをもう一度。

これなんかドラムとギターの単純な繰り返しだけですから。
それでここまでグルーヴしちゃう。
左チャンネルで鳴るパーカッションが小さい音量で
かすかに意識に上るか上らないかというのがカッコイイ。

やっぱりラップってこれでしょう。
このエッジが効いたグルーヴしまくりのラップ。
これを聴いていたら体を動かさずにはいられません。

黒人のグルーヴ VS 日本人のグルーヴ

興味深いテーマです。

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今日はヒップホップ

相変わらず少しずつヒップホップを聴き進めています。ということで、今日はこれ。

P94 ドクター・ドレー『ザ・クロニック』(1992年、Death Row)です。1992年と言えば、マイルス・デイビスの『ドゥー・バップ』が発売された年にしてマイルスが亡くなった翌年。このアルバムがヒップホップに革命をもたらしたそうで、マイルスの死を境にこういう現象が起きてくるところが面白いです。

はっきり言ってUs3なんか足元にも及ばないカッコ良さだと私は思います。サウンドが新しいんですよね。ヒップホップって面白いです。

今回も2冊の本から紹介文を乗せます。

まずは「文化系のためのヒップホップ入門」から

NWAの音楽面の中心人物が、西海岸だけでなくヒップホップ界全体に革命をもたらした初リーダー作。スローなビート、不穏さを強調したハーモニー、単音シンセのピーヒャラ音といった特徴を持った、いわゆる”Gファンク”は、全米に無数の追従者を生み出した。ラップ面では本人以上に当時無名だったスヌープ、ダズ、クラプトら若手が活躍、彼らのブレイクのきっかけとなったアルバムでもある。

続いて「ブラック・ミュージック入門」から

ドレーのファースト・ソロでヒップホップ史上最強の名盤のひとつ。N.W.A.のセカンドで確立したファンク・サウンドを磨き上げたこのアルバムのサウンドこそ、1990年代のギャングスタ・ラップやウエスト・コースト・ヒップホップを象徴する音となった。しかし、ラップの内容はストリート犯罪やギャングを露骨に描くものから離れ、そうした犯罪がはびこる地域で育つやさぐれた心情とでたらめな青春を描いたものになって、それもまた大きな共感を呼ぶことになった。スヌープ・ドッグを発掘し、この作品でデビューさせるなど、ドレーのセンスが冴えまくる作品。

私が気に入ったのは正にこのサウンドです。”Gファンク”! ファンク好きな私のハートに”ズキュン”ときました(笑)。英語が苦手な私には、幸か不幸か敬遠されるラップの内容がよく分からないだけに、サウンドだけを楽しめてしまいます。

こういうサウンドが出てきたというだけで、もうジャズ・フュージョンよりヒップホップが優れていると言ってもいいかもしれません。この頃(20年前)出たジャズ・ヒップホップのアルバムより、ヒップホップのほうが数段カッコいいじゃん!こういうのを聴いてしまうと、ジャズ・ヒップホップなんてどうでもよくて、素直にヒップホップを聴いたらいいんじゃないかというのが私の考え。

YouTubeから数曲UPします。

このGファンク、カッコ良過ぎると思いませんか? 私は激しく好きです。

これは文句なく面白いサウンドでしょ!

ジャズ度でいったらこれか?アコースティック・ベースやフルートの使い方◎

長谷川町蔵さんと大和田俊之さんがジャズ喫茶「いーぐる」でかけたのはこれ。
こういうドライブに向いた気持ち良いサウンドもあります。

にしてもカッコいいサウンドに溢れています。

気に入ったらYouTubeにUPされている全曲を聴いてほしいのですが、それだけじゃなくて是非アルバムを買って聴いてほしいところです。

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こんなことにも気付いた。

YouTubeを見てこんなことに気付きました。

荒井由美(松任谷由美)の《コバルト・アワー》を聴いて下さい。
この曲のことは前にもブログで書いていて、
TV番組「音楽の正体」で、この曲に転調が多いと知り、
当時そんなことを知らずに聴いていたけれど、
転調好きな私の心をとらえていたんだと気付きました。

これを更に聴いていて別なことに気付きました。
ベースの気持ち良さです。
私は昔からこういうファンキーなものが好きだったみたいです。
これを聴いた当時は小学6年生。

コメントを見て驚きました。
あのY.M.O.の細野晴臣がベースを弾いていたんですね。
Y.M.O.での細野のファンクベースは好きだったのですが、
なるほどこっちが先かと思いました。
奔放なベースは最高っす!
ギターのカッティングとパーカッションもいい感じですよね。
後にマイルスのファンク路線がすんなり好きになった理由も分かった気がします。

続いてこれ。
同じ頃に流行ったこの歌が大好きでした。
バンバンの《いちご白書をもう一度》。

この歌詞を聴いて小学生の私は、
大人になるってこういうほろ苦いものなのだろうと思っていました。
「就職~がきまあってぇ~ 髪を切~って来た時ぃ~
もう若~くないさとぉ~ 君に言い訳しいたねぇ~」
ませてたな~っ、私(笑)。

作曲が荒井由美だということに今回初めて気付きました。
結局私は松任谷由美の曲が好きだったということです。
当時荒井由美の歌い方は嫌いだったけれど、曲は好きだったのです。

上記2曲って1975年、マイルスの『アガ/パン』の年でした。

先週NHKの「SONGSスペシャル」で松任谷由美をやっていました。
高校時代の思いでの中で、
よくピアノを弾いて作曲もしていた部屋の雰囲気の話がありました。
グルーミーな(薄暗い)感じと言っていました。
その部屋のイメージで作ったのが《翳りゆく部屋》とのことでした。
私は《いちご白書をもう一度》にも似たイメージを感じたのです。

番組の中でこの曲についても触れていました。
プロコル・ハルムの《青い影》。

私はこの曲も好きでした。
今回初めてバンド名と曲名を知りました。
数十年忘れていたこの曲、懐かし過ぎます。
いい曲だな~。私の大好きな”胸jキュン”(笑)。ここにもありました。

松任谷由美は讃美歌とロックのこういう融合があっていいと感動したとか。
松任谷由美は当時讃美歌が好きだったらしいです。
そんな松任谷由美が作る曲を私は好きなのです。

自分の音楽趣向のルーツが分かるのって面白い!

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com-postの特集記事を読んで気付いた!

ウェヴ・マガジン 「com-post」 の特集記事(special)
「村井康司の蔵出し菊地成孔vol.04」を読んでいて面白いことに気付きました。

この特集記事は村井さんの鋭い菊地成孔分析がなされていてとても面白いです。

今回の内容。
私はダブ・セクステットを聴いてあまり面白いとは思わなかったので、
村井さんの分析は「なるほどそうですか。」程度にしか感じないのですが、
ある言葉にひっかかりました。

その言葉とは?
”菊地成孔もマイルスも「どんどん作り、どんどん次に行く」人
です。

私は菊地さんと同じ歳で誕生日も近いことから他人とは思えないのですが(笑)、
実は菊地さん、マイルス、私にはある共通点があって、
それは誕生日にも関係がある「双子座」であり、血液型が「AB型」ということ。

双子座のAB型は多重人格と言われてます。
そしてアンビバレントな部分を持っているのです。
菊地さん流に言えば統合不全のきらいがあります(笑)。

私はかなりまともな人間だと自分では思っているのですが、
他人から見れば変な人なのかもしれないということは、
薄々感じていたりして(笑)。でもだからどうした?

と、話がちょっと反れてますが、
要は何が言いたいかというと似たもの同士だということ。

で、”菊地成孔もマイルスも「どんどん作り、どんどん次に行く」人”。
実は私にも思い当る節があるのです。

まずはこのブログですよね。
どんどん作り、どんどん次に行ってます。
基本的にはあまり過去に書いたことは気にしてません。
時々振り返ることもあるけれど稀です。
だから危険なのは、前に言っていたことと違うことを言っている可能性有り(笑)。

そもそも最初は寺島さんびいきだったのに、
平気で後藤さんびいきになってたりします。
それって一貫性がないのですが、前に進んで行っているんだからしょうがない。
両方の気持ちが分かるというのもアンビバレントか?

前にサブスピーカー遍歴を書いたのですが、今は確か26代目くらい。
使っては処分、使っては処分を繰り返して、どんどん遍歴してます。

真空管アンプだって、作っては解体し、作っては解体しで、
もう20台くらいは作ってます。
今は3台しかないのですが、実は去年と最近作ったものです。
一昨年持っていたのは全部解体してしまいました。

だから未練があっていつまでも処分できずに持っているということが
私にはあまりありません。
「どんどん作り、どんどん次に行く」です。

そういえば何度かパソコンが壊れ過去のデーターを喪失しているのに、
意外とダメージがないことに、自分自身が驚いているのですが、
その基に何があるかと言えば、
「どんどん作り、どんどん次に行く」です。

パソコンOSにも拘りとかないから、
95、ME、XP、VISTA、7と平気で遍歴してます。

ブログも書き方をどんどん変化させえてます。
同じ書き方を続けるなんて退屈だからです。
同じ書き方をするような行為に興味が湧かないのです。

アルバムレビューを書くときも書き方は毎回適当気分次第。
「どんどん作り、どんどん次に行く」のです。
ブログって、この欲求を満たす格好のアイテムだということに今気付きました。

他人から「どうしていっきさんはそんなにブログを書けるんですか?」と聞かれ、
上手い回答ができなかったのですが、今日分かりました!
「どんどん作り、どんどん次に行く」からです。

飽きっぽいわけではないですよ。
オーディオ趣味は中学生の時から続け、
ジャズは大学生の時から聴き続け、
ブログは5年目に突入しました。

持続性はあるけれど「どんどん作り、どんどん次に行く」のです。

いやっ、面白いな~っ。

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