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軽やかでナチュラルな響きの中にある芯。

チェックしておいたけれど買いそびれていたアルバムを紹介します。

P51ジョン・ゴードン『ウィズイン・ワールズ』(2002,5,7年rec. artistShare)です。メンバーは、ジョン・ゴードン(as,ss)、ベン・モンダー(ds)、ビリー・ドラモンド(ds)、ケヴィン・ヘイズ(p)、ジョー・マーティン(b)、ビル・スチュワート(ds)、ビル・キャンベル(ds)、ゲイリー・ベルサーチ(org)、マーク。ファーバー(ds)です。リーダー本人より参加メンバーのほうが知られた人達ですよね。過去にチェックしていおいたのを見直していたら、ディスクユニオンの通販に中古品があったので購入。

4つの編成による演奏が収録されています。モンダーとドラモンドによるベースレス・トリオ、ヘイズとマーティンとスチュワートとのカルテット、マーティンとキャンベルとのサックス・トリオ、ベルサーチとファーバーとのオルガン・トリオの4編成です。収録は2002年、2005年、2007年の4セッション。過去に録っておいたものなどをコンセプトのもとに集めたアルバムみたいです。

ジャケット内側には奥さんと子供と一緒に撮った写真があり、公園の風景の写真が散りばめられたりしているので、自分を取り巻く世界(家族や自然)にインスピレーションを得た曲を集めてアルバムにしたのではないかと思います。ヒップホップの黒くてドロドロしたのを聴いていた時にこれが届いたので、最初に聴いた時は世界が大分違うと思いました。もっと洗練された大人の世界なのです。で、そこにある雰囲気というのは”ジャズが失ったもの”を表しているのかもしれないなんて考えてしまいました。

最初の曲、かなりスッキリした音だと思いながら聴いていたらベースレスでした。モンダーのギター・サウンドがベース不在を補うような効果ももたらしていて、最初に聴き流した時にはそれに気づきませんでした。で、上記のように「洗練されているな~。」と思いつつ何度か聴いていると、アルト・サックスはかなりきっちり鳴っていてアドリブも抜かりなく、場面によっては熱く吹きます。モンダーのギターは浮遊感と空気感をいい感じに醸し出してコクもあります。ドラモンドもきっちり煽るべき時は煽ってます。やっぱりきちんと向かい合って聴かないと良さが見えてこないんだなと納得。

ドラムがスチュワートに変わり、ヘイズのピアノが加わると、洗練されたコンテンポラリー・ジャズの典型。各人がサウンドの方向性を理解して、それぞれ出すべき技を繰り出しているので安心して聴いていられます。レベルは高いです。聴くべきポイントをきちんと押さえていないと「面白くない。」で片づけられてしまいそうな気もします。それでは現代ジャズを分かっていないということになってしまうのかもね。

1曲のみですが、ベルサーチとのオルガン・トリオはコテコテに迫らずサウンドは軽やかで甘いです。でもアルトはきちんとソロをとっていて、ドラムもきちんとツボを押さえ、ベルサーチのソロは黒人オルガンとプログレ・オルガンの旨味を程よく抽出し、灰汁を抜いた上で独自のブレンドで聴かせる旨味を生かした日本料理のような感じ、なかなか味わいのある演奏になっています。これも1曲ですが、サックス・トリオは落ち着いた演奏。タイトル《トワイライト・ソウル(薄明りの魂)》といった風情でアルトがツラツラと虚ろに進んでいきます。

後半3曲は組曲。録音年月とメンバーが違う演奏を真ん中に挟んで3曲構成の組曲というのが面白いところです。短い演奏が展開していきます。モンダーのギターが過激なアプローチで怪しく包み込むフリー系の1曲目、静かに揺蕩う2曲目、ソプラノ・サックスの咆哮がスピリチュアルなフリー系の3曲目。聴く者の想像力を掻き立てます。

聴き流せば軽くてナチュラルなものが過ぎて行きますが、芯はきちんとあります。さすがはartistShareレーベルですよね。最近、このレーベルの輸入盤をあまり見かけなないのですが、そろそろ配信だけになっちゃうかもしれません。この手のアートな現代ジャズを聴くにはPCオーディオってことになるんでしょうかね。PCオーディオもそろそろ考えないといけないかも?

アルバム名:『WITHIN WORLDS』
メンバー:
JON GORDON(as)
BEN MONDER(g)
BILLY DRUMMOND(ds)
KEVIN HAYES(p)
JOE MARTIN(b)
BILL STEWART(ds)
BILL CAMPBELL(ds)
GARY VERSACE(org)
MARK FERBER(ds)

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