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ごめんなさい!今日もヒップホップ(笑)。

ロバート・グラスパーへのインタビューがありました。
グラスパーの思い、ジャズの現状、「なるほどね~。」
必読 : http://bmr.jp/feature/detail/0000000150/index.php

さて、今日もヒップホップ・アルバムを紹介します。

P64 ウルトラマグネティック・MCズ『クリティカル・ビートダウン』(1988年、NEXT PLATEAU)です。

今回も参考書「文化系のためのヒップホップ入門」から紹介文を書きます。「BDPのファーストに大きく関与していたSP1200の名手セッド・ジーを含む、ブロンクス出身の4人組のファースト。JBズなど定番ネタを使いまくったブッといビートに乗って乱れ飛ぶ、4人のラップに興奮させられるアルバムだが、中でもドクター・オクタゴンをはじめとする様々な名義を使い分けて今なお精力的に活動を展開する怪人クール・キースのオフビートかつアブないラップが圧巻だ。」

このアルバムは、ジャズ喫茶「いーぐる」の連続講演、原雅明さんとDJアズーロさんの「ヒップホップ・プロデューサーを聴く」の時にかかりました。その時かけたのは《エゴ・トリッピン’》。サンプリングを極めたセッド・ジーのプロダクションとのことでした。このアルバム全体をポール・Cが監修しているともおっしゃっていました。

今回私がこれを買ったのは上記2つの事項を踏まえてのこと。サンプリングを極めたセッド・ジーがJBズなど定番ネタを使いまくったブッといビートでトラックを作っているところに惹かれたからです。これっ、聴いて嵌りましたね。このビート最高です。サンプリングも多彩で面白いです。

ということでいつものYouTubeから。

《ウォッチ・ミー・ナウ》
アルバム冒頭の曲、ファットなビートが気持ち良いですよね。
JBズをつかっているだけあってファンキーです。
スクラッチも効果的。ギターのカッティングは正にファンク。
ラップが回されているけれど各人の差がいまいちよくわからず、
トラックのほうに耳がいってしまいます。

《イーズ・バック》
これも凝った作りです。
”ヒュ~、ヒュ~、ヒュ~”はパブリック・エナミーと似ています。
こちらはタイト系のビート。カッコいいな~。
間に挟まるリフがファンキーでやっぱりいい。

《クール・キース・ハウジング・シングス》
これはドラム・ビートの引きつり具合が最高。
”ウッ”が効いてます。
自然に体が揺れる気持ち良さ。
ラップのクール・キース、確かにカッコいい。

こんな具合で楽しいトラックに溢れてます。ボーナス・トラックも含めて21曲も入っているので、続けて聴くと少々飽きるきらいはあります。結構ポップなものも入っていて、トラックは好きなんだけれど、渋さでは前に紹介したブギー・ダウン・プロダクションズ(BDP)のほうが好きかも?

以降色々なものがサンプリングされ再構築、コラージュ・アートと化していきます。

さて、ここでヒップホップについてちょっと考察しておきます。

ヒップホップを解釈するのには村井康司さん著「ジャズの明日へ」を読んでおくと分かりやすいです。「ジャズの明日へ」は70年代、80年代のジャズをきちんと書いてある数少ない(ほとんど唯一?)良書です。ここに書いてあることがヒップホップにかなり当てはまるのが面白いところ。まあそれは当然で70年代、80年代のジャズの特徴は同時代のヒップホップの特徴でもあるわけです。

1.「脳」と「腰」の欲望に向けて
1968年以降に起きた「感覚の変容」のことで、「脳」と「腰」に直接訴えかけることで快楽的な変革が実現されるとのこと。ロックの世界では、電気楽器による音色の変化、大音量による感覚の麻痺、多重録音などのレコーディング技術を使った「生演奏の存在しない世界の構築、長時間にわたる反復で生じる時間感覚のよじれなどが脳に働きかけることによって実現され、聴いたとたんに否応なしに体が動いてしまう「腰=グルーヴ」の快感もまた、熱いくせになぜかクールな16ビートの反復を基調とした「ファンク・ミュージック」の誕生により世界に広まったとしています。
これってヒップホップの「ブレイクビーツ」と言ってもいいですよね。

2.「うまい」と「へた」、あるいはフュージョンとパンク
「技術の音楽」「技術の快感」「そのテクニックが目的であることの爽快感」というフュージョンと、粗い手触りをさらにワイルドにしたようなサウンドと、ミュージシャンたちのファッションや顔つき、レコードのアートワークや歌詞など、すべての面から発散される強烈な反権威の匂いによって、ロックシーンに鉄槌を下したパンク・ロックが、同時に起こっていたという話です。
これってヒップホップで言えば、猛烈にテクニカルなDJまたはサンプリングを極めるプロデューサー(トラック・メイカー)がフュージョン的であり、反権威というか反体制な歌詞とファッション/顔つきなどラッパーはパンク的であり、サウンドの粗さを求めたということなどを考えれば、フュージョンとパンクが黒人社会で融合したのが正にヒップホップとも言えるのではないかと思います。

3.「オマージュ」と「コラージュ」
ハル・ウィルナーの『セロニアス・モンクに捧ぐ』『アマルコルド』『星空に迷い込んだ男』などに見られる「コラージュ」と、キップ・ハンラハンの「脱ジャンル音楽」に見られる彼が愛してきた多様な音楽への「オマージュ」について書かれています。
これってヒップホップのサンプリングにおける「コラージュ」であり、多彩な音楽(80年代はファンクやロック、90年以降はジャズ)を「コラージュ」する基には、ファンクやロックやジャズへの「オマージュ」があるということだと思います。

以上の3点ですが、ヒップホップという音楽の特徴をかなり上手く説明できているのではないかと、「ジャズの明日へ」に着目したことに対して悦に入っている私(笑)。

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