ジャック・ディジョネットの穏やかなアルバム
かなり久しぶりの新譜紹介です。
ジャック・ディジョネットの『サウンド・トラヴェルズ』(2011年、Entertainment One)です。メンバーは、ジャック・ディジョネット(ds,p,vo,bells)、エスペランサ・スポルディング(b,vo)、リオーネル・ルエケ(el-g)、アンブローズ・アキンムシーレ(tp)、ティム・リース(ss,ts)、ルイシート・キンテーロ(per)、ブルース・ホーンズビー(vo)、ボビー・マクファーリン(vo)、ジェイソン・モラン(p)です。
ディジョネットが多重録音で1曲を除きピアノを弾いています。この人は昔からピアノを弾いていますし上手いです。それにしてもなんとも穏やかな肩の力が抜けた感じのアルバムになっています。ラテンやメキシカンなど中南米の音楽をやっています。ソロを中心としたジャス度高めなのは1曲《ニュー・ミューズ》のみ。他はパーカッションやギターを生かしたワールド・ミュージックと言った方が良いかもしれません。
自身が書いているライナーノーツの最初に奥さんリディアへの感謝の言葉があるので、ある意味奥さんに捧げたアルバムなのかもしれませんね。その愛故の優しい音楽なのかもしれません。まあ、聴く方も力まずサウンドに身を委ねればここにある音楽がすんなり入ってくるのではないでしょうか。
頭とラストはピアノ・ソロ、ゆっくり始まり静かにエンディングを迎える構成です。その間に中南米の音楽が現れては消えてゆく、そんな感じの音楽旅行(サウンド・トラヴェルズ)をしばし楽しみましょう。ホーンズビーとの1曲を除いて全曲ディジョネットが作曲しています。作曲も上手いんですよね。
ディジョネットのピアノとドラムはあまり意識に上ってこないのですが、それはディジョネットの意図なのだろうと思います。旅行のガイドのような役回り。あくまで主役は旅の情景であり出会う人々、ディジョネットのピアノとドラムは旅行者をさりげなくガイドすることに徹している感じなのです。
各旅先では、エスペランサのナチュラルなボーカル、昨年メジャー・デビューを果たしたアキンムシーレのしっかりしたトランペット、スモールズ・ライブが良かったリースのセンス良いサックス、ルエケの哀愁エスニックギター、ホーンズビーの味わい深いボーカル、マクファーリンの個性的なボーカル、モランのしっかりしたピアノが入れ替わり立ち代わり楽しませてくれます。パーカッションは中南米の長閑な雰囲気そのものかもしれませんね。
たまには穏やかな音楽旅行をしてみてはいかがですか?
アルバム名:『SOUND TRAVELS』
メンバー:
Jack DeJohnette(ds ,p, vo, resonating bells)
Esperanza Spalding(b, vo)
Ambrose Akinmusire(tp)
Tim Ries(ss,ts)
Lionel Loueke(g)
Jason Moran(p)
Luisito Quintero(per)
Bruce Hornsby(vo)
Bobby McFerrin (vo)
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コメント
確かに「Sound Travels」という題の通り、身をまかせて曲に寄り添って聴いていくのがいいのかもしれないなあ、と思いました。
彼はいろいろな趣向でアルバムを出しているので、次が何が出るか、というのが楽しみでもあり、気になるところですけど、今回はワールド色が目立っていたですし、サイド参加作では本格的ジャズで参加するのが多いので、リーダー作ではこういうのもアリかな、と思います。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2012年2月 4日 (土) 23時38分
910さん
おはようございます。
TBありがとうございました。
最初聴いた時は何かいまいちだなあと思ったのですが、何度か聴くうちに聴き方を変えてみようと思うようになりました。そうしたらこれもまた良いのではないかと思えてきました。
そうですね。ディジョネットは色々出してますよね。これまでピアノを弾いているのは避けてきましたが、今回はメンバーが面白いので買ってみました。
サイド参加ではミシェル・ポルタルの『BALADOR』、ルドレシュ・マハンサッパの『APEX』できっちり仕事していましたね。
投稿: いっき | 2012年2月 5日 (日) 07時56分