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2012年2月

ごめんなさい!今日もヒップホップ(笑)。

ロバート・グラスパーへのインタビューがありました。
グラスパーの思い、ジャズの現状、「なるほどね~。」
必読 : http://bmr.jp/feature/detail/0000000150/index.php

さて、今日もヒップホップ・アルバムを紹介します。

P64 ウルトラマグネティック・MCズ『クリティカル・ビートダウン』(1988年、NEXT PLATEAU)です。

今回も参考書「文化系のためのヒップホップ入門」から紹介文を書きます。「BDPのファーストに大きく関与していたSP1200の名手セッド・ジーを含む、ブロンクス出身の4人組のファースト。JBズなど定番ネタを使いまくったブッといビートに乗って乱れ飛ぶ、4人のラップに興奮させられるアルバムだが、中でもドクター・オクタゴンをはじめとする様々な名義を使い分けて今なお精力的に活動を展開する怪人クール・キースのオフビートかつアブないラップが圧巻だ。」

このアルバムは、ジャズ喫茶「いーぐる」の連続講演、原雅明さんとDJアズーロさんの「ヒップホップ・プロデューサーを聴く」の時にかかりました。その時かけたのは《エゴ・トリッピン’》。サンプリングを極めたセッド・ジーのプロダクションとのことでした。このアルバム全体をポール・Cが監修しているともおっしゃっていました。

今回私がこれを買ったのは上記2つの事項を踏まえてのこと。サンプリングを極めたセッド・ジーがJBズなど定番ネタを使いまくったブッといビートでトラックを作っているところに惹かれたからです。これっ、聴いて嵌りましたね。このビート最高です。サンプリングも多彩で面白いです。

ということでいつものYouTubeから。

《ウォッチ・ミー・ナウ》
アルバム冒頭の曲、ファットなビートが気持ち良いですよね。
JBズをつかっているだけあってファンキーです。
スクラッチも効果的。ギターのカッティングは正にファンク。
ラップが回されているけれど各人の差がいまいちよくわからず、
トラックのほうに耳がいってしまいます。

《イーズ・バック》
これも凝った作りです。
”ヒュ~、ヒュ~、ヒュ~”はパブリック・エナミーと似ています。
こちらはタイト系のビート。カッコいいな~。
間に挟まるリフがファンキーでやっぱりいい。

《クール・キース・ハウジング・シングス》
これはドラム・ビートの引きつり具合が最高。
”ウッ”が効いてます。
自然に体が揺れる気持ち良さ。
ラップのクール・キース、確かにカッコいい。

こんな具合で楽しいトラックに溢れてます。ボーナス・トラックも含めて21曲も入っているので、続けて聴くと少々飽きるきらいはあります。結構ポップなものも入っていて、トラックは好きなんだけれど、渋さでは前に紹介したブギー・ダウン・プロダクションズ(BDP)のほうが好きかも?

以降色々なものがサンプリングされ再構築、コラージュ・アートと化していきます。

さて、ここでヒップホップについてちょっと考察しておきます。

ヒップホップを解釈するのには村井康司さん著「ジャズの明日へ」を読んでおくと分かりやすいです。「ジャズの明日へ」は70年代、80年代のジャズをきちんと書いてある数少ない(ほとんど唯一?)良書です。ここに書いてあることがヒップホップにかなり当てはまるのが面白いところ。まあそれは当然で70年代、80年代のジャズの特徴は同時代のヒップホップの特徴でもあるわけです。

1.「脳」と「腰」の欲望に向けて
1968年以降に起きた「感覚の変容」のことで、「脳」と「腰」に直接訴えかけることで快楽的な変革が実現されるとのこと。ロックの世界では、電気楽器による音色の変化、大音量による感覚の麻痺、多重録音などのレコーディング技術を使った「生演奏の存在しない世界の構築、長時間にわたる反復で生じる時間感覚のよじれなどが脳に働きかけることによって実現され、聴いたとたんに否応なしに体が動いてしまう「腰=グルーヴ」の快感もまた、熱いくせになぜかクールな16ビートの反復を基調とした「ファンク・ミュージック」の誕生により世界に広まったとしています。
これってヒップホップの「ブレイクビーツ」と言ってもいいですよね。

2.「うまい」と「へた」、あるいはフュージョンとパンク
「技術の音楽」「技術の快感」「そのテクニックが目的であることの爽快感」というフュージョンと、粗い手触りをさらにワイルドにしたようなサウンドと、ミュージシャンたちのファッションや顔つき、レコードのアートワークや歌詞など、すべての面から発散される強烈な反権威の匂いによって、ロックシーンに鉄槌を下したパンク・ロックが、同時に起こっていたという話です。
これってヒップホップで言えば、猛烈にテクニカルなDJまたはサンプリングを極めるプロデューサー(トラック・メイカー)がフュージョン的であり、反権威というか反体制な歌詞とファッション/顔つきなどラッパーはパンク的であり、サウンドの粗さを求めたということなどを考えれば、フュージョンとパンクが黒人社会で融合したのが正にヒップホップとも言えるのではないかと思います。

3.「オマージュ」と「コラージュ」
ハル・ウィルナーの『セロニアス・モンクに捧ぐ』『アマルコルド』『星空に迷い込んだ男』などに見られる「コラージュ」と、キップ・ハンラハンの「脱ジャンル音楽」に見られる彼が愛してきた多様な音楽への「オマージュ」について書かれています。
これってヒップホップのサンプリングにおける「コラージュ」であり、多彩な音楽(80年代はファンクやロック、90年以降はジャズ)を「コラージュ」する基には、ファンクやロックやジャズへの「オマージュ」があるということだと思います。

以上の3点ですが、ヒップホップという音楽の特徴をかなり上手く説明できているのではないかと、「ジャズの明日へ」に着目したことに対して悦に入っている私(笑)。

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今日はJAY-Z。またヒップホップです。m(_ _)m

今巷で話題のロバート・グラスパー『ブラック・レディオ』。Amazonの輸入盤がまだ発売されていないので未だ手元にありません。めぼしい曲はYouTubeで聴きましたが、やっぱりアルバムを聴かないと何とも言えませんね。3月に入ってからのんびり聴いて感想を書きたいと思います。別に焦ることはないでしょう。

最近、ジャズよりヒップホップについて書きたい気分(笑)。ジャズに刺激が足りないからか?単に私のジャズ・バイオリズムが”底”なのか?よく分かりませんが、無理してジャズについて書く必要はないわけで、マイ・ブームのヒップホップでいくことにしましょう。

先月ジャズ喫茶「いーぐる」で行われた「ヒップホップ講座」に参加する前にディスクユニオンのヒップホップ店(生まれて初めて入りました)で買った1枚を紹介します。

P63_2 ジェイ・ジー『VOL.3 ライフ・アンド・タイムス・オブ・S.カーター』(1999年、ROC-A-FELLA RECORDS)です。

今回も参考書「文化系のためのヒップホップ入門」から紹介文を書きます。「アルバムの中核を占めるナンバーを、R&B系のトラックから、ティンバランドやスウィズ・ビーツによる打ち込みナンバーに変えたことで、バッドボーイ~ノートリアスBIGの影響下から脱した4作目。ジュヴィナイルやUGKをゲストに招くなど、南部勢への接近が目立つ。こうしたニューヨークに拘らない柔軟な姿勢が彼を”キング・オブ・ニューヨーク”の座にのし上げていくのだった。」

人気ラッパーのジェイZが、色々なプロデューサーが作ったトラックの上で、イカしたラップを聴かせるアルバムです。売れ線狙いのメージャーなものですが、各トラックを聴くと結構マニア受けしそうなサウンドになっていたりして、そこに私は惹かれます。ジェイZのラップも人気があるだけのことはありカッコ良いもの。ゲストとしてマライヤ・キャリーやドクター・ドレーなどもフィーチャしています。

ディスクユニオンで「文化系のためのヒップホップ入門」を片手に漁ってみつけた1枚。家のオーディオでレコードを聴きたかったのと値段¥600に釣られました。オリジナル盤とのことでした。輸入盤の常で表面にスレはあるものの、傷もなくゴミの付着も少なくて快調に聴けます。”プチパチ”覚悟で買ったので意外でした。低音が多く入っているのでトラッキング・ミスを恐れてのことなのでしょう、カッティング・レベル自体は小さいです。オーディオのボリュームをかなり上げないと音になりません。コクがありまったりいい感じで鳴っています。

ヒップホップのプロデューサーを分かりやすく説明すれば、自身も演奏する作編曲家という感じでしょうか。松田聖子に楽曲を提供する松任谷由美や細野晴臣や尾崎亜美や大瀧詠一などに相当する存在だと思います。例が古くてごめんなさい(笑)。

トラックだけでなくてラップも含めてカッコ良いグルーヴが次から次へ出てきて気分が良いです。LP2枚組で15曲収録。今回もYouTubeから何曲かピックアップします。

《ドゥー・イット・アゲイン》
とにかくラップがカッコイイです。カウントするあたりがかなりいいいですね。
PVはあちらのギャング/クラブ文化。
なかなか馴染めない世界ですが、日本のAKB48やK-POP女性アイドルグループ好きの若者などと同様で、全く分からないという訳でもありません。

《ドープ・マン》
これはプログレ風?サウンドがカッコ良くて好きです。
パイプ・オルガンとゴングが印象的に使われています。
この危機感を煽るような演出がいいですよね。
女性のナレーションはブロンディの『オート・アメリカン』冒頭を思い出させます。
何がこれほど切迫しているんでしょうか?

《ウォッチ・ミー》
これは怪しく危険感漂うトラックが最高。
ジェイZとドクター・ドレーのラップの掛け合いが素敵。
女性蔑視なヒップホップ。画像はご容赦。
歌詞も女を口説くものなんでしょうかね?卑猥?”俺を見ろ!”

《ビッグ・ピンピン’》
ティンバランドの南部ビート。
祭囃子かチンドン屋の世界ですがだんだん慣れてきました(笑)。
女はべらせクルーザーで豪遊。そしてお祭り騒ぎ。
さすがは”キング・オブ・ニューヨーク”(笑)。

他にも色々あります。どうです。かなかか楽しいでしょ。

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「ジャズ批評」誌のベスト・アルバム2011

今年もこの季節がやって参りました。
「ジャズ批評」誌の「マイ・ベスト・ジャズ・アルバム2011」
今回も私の年間ベスト盤5枚を掲載していただきました。
「ライター編」のトップに私の名が・・・、
”いっき”の文字が一際浮いています(笑)。

P62

まあ、毎年これぞ文句なくベストというのはないわけでして、
私なりのベターな5枚を挙げさせていただきました。
実はジャズ喫茶「いーぐる」の年末ベスト盤大会に持って行ったアルバムを
そのまま選んだという安易ぶり(笑)。

1、ルドレシュ・マハンサッパの『Samdhi』
  「マハンサッパの新譜はなかなかカッコイイ!」
  やっぱこれでしょ!
  他にこのアルバムを挙げた人はなし。多様化した今時らしい。
  「いーぐる」でかけて受けたからそれでいいのだ!

2.クリス・ポッター&DRビッグ・バンドの『トランスアトランティック』
  「クリポタの新譜、いいです!」
  毎年挙げるクリポタ。
  いいんだからしょうがない。
  いよいよ今年の5月、クリポタ来日しまっせー!!!

3.グエン・レの『ソングス・オブ・フリーダム』
  「これは面白いフュージョンだっ!」
  フュージョン好きはこういうのを聴いてこそのフュージョン・ファンなのだ!
  昔のフュージョンをいつまでも聴いてるようなフュージョン・ファンはいらん!

4.ジョン・スコフィールドの『ア・モーメント・ピース』
  「ジョンスコ流哀愁泣かせ技」
  職人ジョンスコの大人の技と味を聴け!
  泣かせてくれるぜっ、ジョンスコ!

5.矢野顕子×上原ひろみ『ゲット・トゥゲザー・ライヴ・イン・トーキョー』
  「矢野顕子と上原ひろみのデュオ、気に入ってます。」
  『ヴォイス』はライヴも観たのに却下。
  こっちのほうがいいんだもん!

次点 『スガダイローの肖像 弐』
    「スガダイローさんのパワーみなぎる1枚!」
    ひろみちゃんとダイローさん、悩んだあげくひろみちゃんに(笑)。
    このアルバムはコメントだけさせていただきました。

というわけで全く私的な5+1枚なのでした。

メインの記事「ジャズオーディオ・ディスク大賞」にはあまり興味なし。
すんません。既に私がフォローするジャズとはかい離が激しいのです。
Suzuckさまが選出しているものにのみ共感。
寺島靖国さんはもうどうでもいいやっ(笑)。
高野雲さんもマイ・ベスト~に投稿してます。東京事変の1枚がらしいです(笑)。

投稿させていたいたこと、「ジャズ批評」誌の皆様に感謝します。

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今日もヒップホップの話です。

前回はブギー・ダウン・プロダクションズのアルバムを紹介したのですが、YouTubeからUPしたロック・ギターをサンプリングした曲《ドープ・ビート》のネタがわかりました。何度もコメントをいただいているkimtさんからの情報です。

元ネタはオーストラリアのロックバンドAC/DCの《バック・イン・ブラック》でした。私はロックにも疎いほうなので全然分かりませんでした。こういう情報をいただけるのは嬉しいことです。ブログをやっている面白さです。情報を発信すると情報が得られるという好例。こういうところがブログの良さだったりするわけです。双方向性ですよね。書籍ではこうはいきません。

さて、面白いので両方を比較して見て下さい。

まずはヒップホップの《ドープ・ビート》

続いて元ネタ、ロックの《バック・イン・ブラック》

サンプリングしたとは言え、サウンドはほとんどまんまな感じもしますよね。ギターだけでなくドラムもサンプリングしてますね。まず最初に言っておくと、私はこういうロックが結構好きです。だから《ドープ・ビート》も気に入ったというわけ。

さて、よく似ているからこそヒップホップとロックの違いが見えてくるのではないでしょうか。

ボーカルはラップとシャウトの違いですね。どちらも怒りや反体制的感情を秘めているのですが、ラップのほうが抑制されているように聴こえます。意外とラップはスタイル的に制限事項が多いからだと思います。韻を踏んだり歌い回しとか型があるのです。ラップには抑圧された中での表現という、黒人の歴史みたいなものが生きている気がします。

サウンドトラックはサンプリングと生演奏の違いですね。ここでもやっぱりサンプリングという制限事項がかかっています。限られたものしかサンプリングできない中で如何に気持ち良いグループを抽出するかが肝です。お聴き比べのとおりグルーヴを見事に抽出していて、ボ~ッと聴き流せばまんまパクッているようにも聴こえます。

この”制限された中で如何にカッコ良く聴かせるか。”がヒップホップの肝なのでしょうね。そしてこれがヒップホップとジャズのバップとの親和性だと改めて思いました。ヒップホップのブレイクビーツはバップの4ビートであり、ラップの型はバップのコード進行に基づいたアドリブなのです。ヒップホップもバップもここから色々取り入れて変化していくことに変わりはありません。

初心者の私が誰のラップが区別しにくいのは特定の型の中ラップされているからで、コード進行という型の中で行うアドリブが似たものに聴こえて分からないのと同じようなものだと思えるのです。

更に、制限事項の中で技を競のはゲームというよりはスポーツと私は言いたいです。野球しかりサッカーしかりバレーしかりテニスしかり、制限事項(ルール)の中で技を競うのです。体育会系ですね。まずはこの視点に立つことがヒップホップを楽しむコツなのだろうと思います。批評性とかメッセージ性とか文化系(白耳?)的なものはその次に来ることなのだろうと思います。

ブギー・ダウン・プロダクションズのサウンドはヒップホップの芯みたいなものをシンプルに出していて、そこが渋くてストイックに聴こえるのが私の気に入った理由なのだろうと思います。「ブラック・ミュージック入門」に”玄人受けするアルバム”と書かれていましたが、マニアックな私の趣向が正にそれなのではないかと思いました。

kimtさんのコメントには感謝ですね。色々見えてきましたから。

<補足>2012.2.25

ヒップホップとロックの違いについて補足しておきます。
ロックは広く世界に向かってメッセージを発しているのに対し、ヒップホップは自分達の近隣(コミュニティー)や仲間に対してメッセージを発しているようです。ロックは開かれていますが、ヒップホップは閉じているように思います。ヒップホップは相手にする世界が狭いのです。そして身近な世界。私はそれを黒人のストリート性なのだと解釈することにしました。

<更に補足>2012.2.28

ブギー・ダウン・プロダクションズは、犯罪にまみれたストリートで生きることを初めて本格的なラップのテーマとして打ち出したハードコア・ラップが特徴です。ここには批評性が感じられ、批評性は二の次とは言ったものの、このグループの音楽の強度を増している基には批評性の存在が不可欠なのかなとも思います。

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これが気に入ってしまったのだ。

最近はヒップホップも聴いたりしているのですが、とは言えヒップホップのアルバムはまだ10数枚しか持っていません。昨年から先月までにジャズ喫茶「いーぐる」で行われたヒップホップ関連講座のおかげで、だいぶ聴き方も分かってきました。

今思うとヒップホップがブレイクビーツというループ構造のサンプリングビートで構成されているということさえ知らずに聴いていました。単にリズムフィギュアがヒップホップっぽい電子楽器によるものだと思っていたのです。今ブレイクビーツという視点でリズムを見直すと違った快感が湧いてくるというものです。初心者って漫然と聴いていただけでは聴きどころが掴めないものだということを痛感。

最近これが気に入ってます。

P61 ブギー・ダウン・プロダクションズ『クリミナル・マインデッド』(1987年、B Boy Records)です。

私が参考にしている本から紹介文をここに書きます。

「文化系のためのヒップホップ入門」には「サウス・ブロンクス出身の三人組によるデビュー・アルバム。銃を手にしたKRSワンとスコット・ラ・ロックのジャケットが象徴するように、しばしばハードコア・ラップの先駆といわれる。クイーンズ出身のラッパー、MCシャンとのヒップホップ発祥の地を巡る「ブリッジ・バトル」は②と⑧に収録されている。本作発表後、ラ・ロックはギャングの抗争に巻き込まれて射殺された。」

「ブラック・ミュージック入門」には「DJスコット・ラ・ロックが参加した唯一のアルバムという点で希少価値が高い作品。1986年から2年間に渡ってマーリー・マール率いるジュース・クルーとの間で繰り広げられた「ヒップホップ発祥の地はどこか」論争のアンサー・ソング「ザ・ブリッジ・イズ・オーヴァー」と「サウス・ブロンクス」、ラガマフィンの先駆け的ナンバー「リミックス・フォー・P・イズ・フリー」の3曲が収録されている点が何より重要。オールド・スクール以降の世代を担うひとりとして何をなすべきかを、KRS-ワンは熟知していた。なお、玄人受けするアルバムであることも付記しておく。」

ということです。ジャズ・ファンには分からないことだらけかもしれませんね(笑)。私は一応この辺りの背景を上記ヒップホップ関連講座で知ることができました。銃を持っているとかバトルとかギャングに射殺とか平和な日本のジャズ・ファンにはおよそ理解不能な事情が横たわっていたりするのがヒップホップという音楽なのです(笑)。

私はこの辺りの事情うんぬんではなくサウンドが気に入っています。英語が苦手な私にはハードコア・ラップって言ったって何だかよくわかりませんからね。トラックは必要にして十分な技巧によるブレイクビーツ。そこにクールなラップが乗って、全体としてはかなり落ち着いた感じなのです。テンポが遅めなのがその要因かもしれませんね。どっしりしたグルーヴとクールなラップの組み合わせがカッコイイのですよ。

このトラック、サンプラーSP1200の名手(極めた)セッド・ジーが大きく関与しているとか。実はこのセッド・ジーというトラック・メイカー(プロデューサー)が参加した「ウルトラ・マグネティックMCズ」というアルバムも持っていて、サウンドが両方とも気に入ったことから、私はセッド・ジーが作るサンプリングのブレイクビーツが好きなのだと分かりました。

トラックも色々なタイプがあって、よく聴くと細かい細工がされていて私のツボをプッシュしてくれます。怪しげなファットビートの《サン・ゴーズ・バン》、ファンクをサンプリングしたサビとシンプルなドラムをサンプリングした部分の間に入る太鼓のリズムが生かした《ワールド・フロム・アワ・スポンサー》、バウンスするビートと”ボンボン”太鼓が気持ちいい《エレメンタリー》、ロックギターをサンプリングしたシンプル・ファンキー・ビートの《ドープ・ビート》、CDがトレース不良を起こしているようなビートで始まる《リミックス・フォー・P・イズ・フリー》、スネアドラムを極度にイコライズしダークで素朴なピアノの低音を被せた《ザ・ブリッジ・イズ・オーヴァー》、電話の呼び鈴と女性のコーラスがかわいい《スーパー・ホー》など面白いトラックだらけです。

「ブリッジ・バトル」の2曲のラップって、基本「おまえのかーちゃんでべそ。」な雰囲気ですよね(笑)。それはそれとして、上記のトラックに英語のイントネーションがからみつき、気持ち良いグルーヴが次々と流れていきます。これがなぜか何度聴いても飽きないから不思議です。

2曲ほどYouTubeから貼りつけます。

《エレメンタリー》

《ドープ・ビート》

格好いいですよね。

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あまり堅く考えずに聴ける黒いジャズ

最近新譜を買っていないので新譜紹介ができません。これから2月末~3月は気になる新譜がたくさん出てくるので順次紹介していけるのではないかと思います。今日は過去にチェックしていおいたものをフォロー。

P60 ドクター・ロニー・スミスの『ライズ・アップ』(2008年rec. PALMETTO-RECORDS)です。メンバーは、ドクター・ロニー・スミス(hammond org,vo)、ピーター・バーンスタイン(g)、ドナルド・ハリソン(as)、ハーリン・ライリー(ds)、追加ミュージシャン:ジョー・ローリー(vo)、ジェイムス・シップ(per)、マット・バリサリス(g)です。

時々黒いジャズが聴きたくなる病を発症する私(笑)。ディスクユニオンのレビューの”ドス黒い”と書かれていたのが気になってチェックしていました。そのディスクユニオンの通販に中古品があった(今もあります)ので他のと合わせて購入。合わせて購入すれば1枚あたりの送料増加分を減らせるわけですな。せこい(笑)。

メンバーも気になりました。元新伝承派のドナルド・ハリソンがいます。最近どんなアルトを吹いているのか聴きたかったのです。ギターのバーンスタインは安定したジャズ・ギターを弾くのでハズレはないでしょう。それにも増して”ドス黒さ”の根源であろうスミスのオルガンがどんなものなのか知りたかったのです。

スミスの曲が5曲、レノン・マッカートニーの曲やスタンダードなど4曲の計9曲をやっています。まっ、確かに黒いです。モロにゴスペルな曲なんかを聴いていると”ドス黒さ”は感じられるでしょう。でも何か足りないんですよね。緊張感があまりないんです。全てのジャズに緊張感を求める必要もないのでこれはこれで良いとは思います。

スミスの黒いオルガンが程よくルーズでスイートで心地良く。やっぱりこの人ってあんまり押しが強くないのねなハリソンのアルトが耳を通り過ぎていき、バーンスタインもそつなくギターを弾いていますね。盛り上がる場面もあるのですが、やっぱり全体がルーズに流れていってしまうようなところが無きにしも非ず。

私が勝手に期待した”ドス黒さ”とは違うのですが、黒いジャズとしては及第点+αとしておきましょう。私のようなジャズファンよりはむしろレアグルーヴとかのファンには受けるのかもしれません。

アルバム名:『RISE UP!』
メンバー:
DR.LONNIE SMITH(org,vo)
PETER BERNSTEIN(g)
DONALD HARRISON(as)
HERLIN RILEY(ds)
James Shipp(perc)
Matt Balistaris(g)
Jo Lawry(vo)

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また真空管アンプを製作中

昨年夏から秋にかけ、長い間懸案だった真空管アンプを2台組み直しました。

1台目は6V6GTプッシュプルアンプ。

P55

真空管にも拘って、6V6GTはオランダPOPE製、
前段6SL7GTには同等高信頼管6SU7WGTをおごってしまいました。

2台目は300Bシングルアンプ。

P56

こちらは泣く子も黙るWeatan Erectoric 300B。
ただし98年の再生産品ですが。

2台ともほぼ満足がいく結果になったので一安心。

ところがまだ1台気になるアンプが残っていました。
6B4Gプッシュプルアンプです。

P57

こちらはかなり古い真空管を使っていてレトロカッコイイ球なのですが、
規模が大きい割には出力がとれず、
直熱管のハムノイズが対策の割には残っていたり、
シャシーは何度も組み替えた果てのこのアンプなので、
余分な穴が開いてる始末。
音は気に入っていたのですが、その他がだんだん気になってきました。
一回り小型のアンプにしたいんですよね。

ということで、このアンプを解体して、次なるアンプに着手することに。
解体しないで次のアンプを作れば良いのかもしれませんが、
今も4台あって手に余る状況なのでもうアンプの数は増やさないことにします。

前から作りたかったアンプがあったのです。
6EM7/6EA7プッシュプルアンプです。
故浅野勇さん著「魅惑の真空管アンプ(復刻版)下巻」に掲載されています。
6B4Gと同じ3極管ですがこちらは傍熱管。
傍熱管なのでハムノイスが出にくいです。
6EM7が複合管なのでコンパクトなアンプを作れます。
電源規模は6B4Gより一回り小さくて、同じくらいの出力が確保できるのも魅力。

さあ、いざ製作だ!
今回も手持ち部品をできるだけ活用。
足りない部品は全てネット通販で入手しました。
今までは一度くらい秋葉原に行っていたのに、とうとう行かずに作ります。

最初の難関はシャーシの穴加工。
特に電源トランスの角穴には参ります。
今回は加工工程を書きます。
P58_2

左から右へと加工します。
最初ドリルでふちに沿って穴を開け、 ニッパで穴をつなぎ、
最後はヤスリで根性入れて”ゴシゴシ、ゴシゴシ”と削ります。
手が疲れるので途中休憩しながら1時間半ほどかかってしまいました。
2mmのアルミ板はなかなか手強いですぞ。
ほんと、これが嫌でシャーシ加工に着手できなかったりします。

さて、シャーシ加工が終了し、部品を搭載したところで
真空管も挿して外観チェ~ック!

P59

基本、6V6GTプッシュプルと同じ配列。
今回は更に煮詰め、ミリ単位で調整しなおしました。
球が小ぶりで、出力トランスも小ぶりで安価なものにしたので可愛い?

後は配線をシコシコしていけば完成です。
配線作業は結構楽しいから好きです。
音はどうなるでしょうか?
完成までワクワクしながら楽しいひと時が過ごせます。
続きはアンプが完成したら報告します。

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映像を見て色々考えてしまった&問題発言もアリ?

以前怖い映像を見つけたということでこれをUPしました。

マルサリス兄弟をフロントに迎えたV.S.O.P.Ⅱです。
ここでのウイントンは凄いと思います。
私はこういうジャズの格好良さに惚れてジャズに嵌って行ったと書きました。

上の演奏の元になるものを見つけました。1967年のライブ。
映像があるとよく分かりますね。

これも怖い映像ですよね。この緊張感。
マイルス・クインテットのジャズ最高峰。
1967年には行き着くところまで行っちゃってたわけです。
マイルスのフレージングはウイントンにも確実に影響を与えてますね。
トニーのドラミングはここでも自由奔放。
ウェイン・ショーターはフリー・ジャズの領域にまで行っています。
ウェインを舞台袖から見守るマイルス。
このマイルスの目がこの演奏を生み出す根源なのです。
フリー・ジャズをやるというのではなく、
演奏を突き詰めていくとフリー・ジャズにまで至るというのが、
マイルスのフリー・ジャズ感なのだろうと思います。
しかも本人というよりグループとしてのフリー。

菊地成孔さんがこれに憧れるのはよく分かります。
でもこれにdub(編集目線)を加えたくらいでどうにかなる世界とは思えません。
ウイントンもここを超えようと正攻法で挑んだんですけれど・・・。
新伝承派(ニュー・トラディショナリスツ)も次々参戦したんですが・・・。
この路線において最早先はなかったという・・・。
ジャズを葬ってしまったのがウイントンという話を耳にしたことがあります。
分かる気がしますね。
日本では人気がなかったけれどこの時期M-BASEもトライしています。
今もM-BASEの流れは途絶えておらず、
こちらにはまだかすかに光が見えている気がします。

時代を戻して、1954年の《ウォーキン》をUPします。

ここからひとつ前の映像、1967年まで。
13年で行き着くところまで行っちゃったわけですよね。
マイルス恐るべし。

私が好きなのはこれ。
1967年、アルバム『ソーサラー』から《プリンス・オブ・ダークネス》。

何なんでしょ?この格好良さ。

でも更にこの先を考えてたんですよね。マイルスさん!
ということで1968年のこれ。
アルバム『マイルス・イン・ザ・スカイ』から《スタッフ》。

これはジャズ・ロックではなくファンクと理解すべきでしょう。
中山康樹さんも「ジャズ・ヒップホップ・マイルス」の中で、
70年代マイルスをファンクと捉え直すと書いていました。
ジャズを突き詰めたマイルスがファンクを導入。
ファンクは当時のブラックミュージックのメインストリームです。
最初はスタジオ録音ということもあってクールな演奏。

一挙に飛びます。わずか7年後ですよ。1975年の大阪ライブ。

ファンク路線では、《ウォーキン》の時の13年の約半分でここまで。
行き着くところまで行っちゃったんですよね。やっぱり。
バンドとしてのフリーはここにもあります。
この後引退するのは分かる気がします。
私はこれを聴いて幸か不幸かジャズに嵌ることに。

マイルス引退(休養?)中、フュージョンの嵐が吹き荒れ、
反動でメインストリーム回帰という現象が起こるわけです。
最初の映像のV.S.O.P.は正にその中心。
マイルス不在での1967年への回帰です。
80年代に入り、そこにウイントンが合流したのが最初の映像。
面白い巡り合わせですよね。

そんなウイントンを横目にマイルスが復帰。
ところが回帰しないのがマイルスです。
確かに復帰後のマイルスには引退直前の凄みはなかったけれど、
ファンクを進めつつ模索。
セレブとして世間の目にも応えつつ、
懐かしい同窓会もやってしまったけれど、
ヒップホップに着手していたというのがマイルスという男なのです。
あ~っ、ここまで来ていたのに、ジ・エンド。
私達はマイルスを失ってしまいました。合掌。

書いておきたいことがもう一つありました。

80年代中期のことです。
日本ではM.J.Q.(マンハッタン・ジャズ・クインテット)が大人気を博します。
このM.J.Q.というグループは、
メインストリーム回帰という点と
発想がフュージョン=売れ線狙いのアレンジ指向という点で
ジャズの形骸化の範となったグループだと私は思っています。
ある意味時代の申し子だったのです。

このM.J.Q.の売り出しにスイングジャーナル誌と中山康樹さんが
強く係っているという点は改めて指摘しておきます。
この辺りから日本のジャズジャーナリズムっておかしくなっていった気もします。
成れの果ての現在、中山さんが「かんちがい音楽評論」を出したのは、
過去の反省の上に立っているのかも?
と皮肉って本日の〆としましょう(笑)。

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色んなメーカーのカセットテープを使っていました。

昨日はカセットデッキが届いたので、やっとカセットテープが聴けるようになったわけですが、ツイッターでカセットの銘柄の話が出たので、今日はちょっとその話をしておきます。

私のカセットテープはカーステレオで聴くためのものです。レンタルCDをカセットテープにダビングして聴いていました。基本J-POPを聴くためのものなので音質にそれほど拘ってはいませんでした。それでもノーマルポジション(タイプⅠ)ではやはりオーディオを趣味とする者にとっては役不足。なのでハイポジション(タイプⅡ)を愛用していました。

カセットはレンタルCD屋さんに売っていたので、その時に一番安く売っているものを買っていました。だから銘柄には拘っていません。ハイポジションの中にもランクがいくつかあったりしたのですが、安いということで一番下のランクのものが多かったように記憶しています。さて、どんな具合になっているかといいますと。

P54

こんな具合です。これは今残っている松田聖子と杏里のカセットテープ。杏里のは歯抜けですが、それはブックオフでCDを買ったものはカセットを捨ててしまったからです。松田聖子はレンタルしたのがここに残っているものです。左から右へと年代が新しくなるように並んでいます。手書きのタイトルがなかなか凝っているでしょ(笑)。それからテープの長さもCDの収録時間に合わせて選んでいました。

カセットテープのメーカーは当時の4社、TDK、AXIA、SONY,Maxell混合です。銘柄はSA、PS-Ⅱs、SA、SUPER CDingⅡ、K2、XⅡ、DO、XLⅡ、CD’sⅡなどです。あれまっ、よく見たらメタルポジション(タイプⅣ)がいくつか混ざっていました!記憶なんていい加減なものですね。メタルはPS-ⅣX、PS-Ⅳ、ES-Ⅳがありました。途中からカセットケースが薄型になっています。カセットの歴史を見ているようで楽しい!

メタルテープがあったけれど、今回のカセットデッキはメタル対応だったので再生には問題なさそうです。危ない危ない。今の若い人には分からないだろう歴史の一部分を公開しました。私の年代の近辺には懐かしい文化でしょうね。

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久しぶりにカセットが聴けるようになりました。

カセットデッキが壊れて久しいのです。
25年くらい前に買ったパイオニアのT-838
当時の高級機です。
クローズド・ループ・デュアル・キャプスタン方式3ヘッド。
バイアス、レベルのキャリブレーション機能付き。
内部には高級部品が多数使われいます。

P52_2

ホルダーが電動開閉式だったので最初にホルダーが開かなくなり、
放っておいたら走行系もおかしくなってしまいました。
多分ゴムベルトが切れてしまったのでしょう。
中を開けてみたらメカが複雑すぎて私の手におえるしろものではなさそうです。

メーカーに修理依頼しても既に保守部品はないと思います。
あったとしても修理費はバカにならない値段になるはずです。
で、オーディオラックの中で置物と化していました。
こいつはもう放棄するしかないでしょう。

先日の松田聖子の記事を書く少し前から、
今持っているカセットテープを聴けるようにしたくなりました。

最初Amazonを見たら今生産している機種はあるのですが、
CDからのダビング用でお値段もそれなりに高いもの。
今更ダビングなんてしないからな~。
カセットテープが再生できれば良いのです。

それではということで、ハードオフへ行って中古を買う手もあるでしょうが、
ここはYahooオークションを利用することにしました。
色々漁っているとだんだん目当てがはっきりしてきました。

録音はしないので高級機は不要です。
80年代のそれなりの機種はいつまで動くか不安。
そうそう、カセットは全てノイズリダクションDOLBY Cで録音してあります。
DOLBY Cが内臓されていないと困ります。

ではではということで、90年代くらいのミニコンポ用に目をつけました。
お値段も安いし、デザインが結構キュート。
今持っているテープが傷んでいる可能性もあるし音質はそこそこでO.K.

ジャーンッ! 今日届きました。
ビクターのTD-F1

P53_3

F1シリーズのミニコンポのカセットデッキ部分らしいです。
なかなかお洒落なデザイン。
ちゃんと音が出ました。
早速松田聖子の『SEIKO TOWN』を聴いて懐かしさに浸っています。

テープの劣化もあるのか?
ソフトな音が耳に優しい感じです。
CDのコントラストが強い音に晒されているのでたまにはこんなのも良いでしょう。

まっ、当分は動いてくれるでしょう。
しばらくは古いカセットテープを順次聴いてマッタリしたいと思います。

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軽やかでナチュラルな響きの中にある芯。

チェックしておいたけれど買いそびれていたアルバムを紹介します。

P51ジョン・ゴードン『ウィズイン・ワールズ』(2002,5,7年rec. artistShare)です。メンバーは、ジョン・ゴードン(as,ss)、ベン・モンダー(ds)、ビリー・ドラモンド(ds)、ケヴィン・ヘイズ(p)、ジョー・マーティン(b)、ビル・スチュワート(ds)、ビル・キャンベル(ds)、ゲイリー・ベルサーチ(org)、マーク。ファーバー(ds)です。リーダー本人より参加メンバーのほうが知られた人達ですよね。過去にチェックしていおいたのを見直していたら、ディスクユニオンの通販に中古品があったので購入。

4つの編成による演奏が収録されています。モンダーとドラモンドによるベースレス・トリオ、ヘイズとマーティンとスチュワートとのカルテット、マーティンとキャンベルとのサックス・トリオ、ベルサーチとファーバーとのオルガン・トリオの4編成です。収録は2002年、2005年、2007年の4セッション。過去に録っておいたものなどをコンセプトのもとに集めたアルバムみたいです。

ジャケット内側には奥さんと子供と一緒に撮った写真があり、公園の風景の写真が散りばめられたりしているので、自分を取り巻く世界(家族や自然)にインスピレーションを得た曲を集めてアルバムにしたのではないかと思います。ヒップホップの黒くてドロドロしたのを聴いていた時にこれが届いたので、最初に聴いた時は世界が大分違うと思いました。もっと洗練された大人の世界なのです。で、そこにある雰囲気というのは”ジャズが失ったもの”を表しているのかもしれないなんて考えてしまいました。

最初の曲、かなりスッキリした音だと思いながら聴いていたらベースレスでした。モンダーのギター・サウンドがベース不在を補うような効果ももたらしていて、最初に聴き流した時にはそれに気づきませんでした。で、上記のように「洗練されているな~。」と思いつつ何度か聴いていると、アルト・サックスはかなりきっちり鳴っていてアドリブも抜かりなく、場面によっては熱く吹きます。モンダーのギターは浮遊感と空気感をいい感じに醸し出してコクもあります。ドラモンドもきっちり煽るべき時は煽ってます。やっぱりきちんと向かい合って聴かないと良さが見えてこないんだなと納得。

ドラムがスチュワートに変わり、ヘイズのピアノが加わると、洗練されたコンテンポラリー・ジャズの典型。各人がサウンドの方向性を理解して、それぞれ出すべき技を繰り出しているので安心して聴いていられます。レベルは高いです。聴くべきポイントをきちんと押さえていないと「面白くない。」で片づけられてしまいそうな気もします。それでは現代ジャズを分かっていないということになってしまうのかもね。

1曲のみですが、ベルサーチとのオルガン・トリオはコテコテに迫らずサウンドは軽やかで甘いです。でもアルトはきちんとソロをとっていて、ドラムもきちんとツボを押さえ、ベルサーチのソロは黒人オルガンとプログレ・オルガンの旨味を程よく抽出し、灰汁を抜いた上で独自のブレンドで聴かせる旨味を生かした日本料理のような感じ、なかなか味わいのある演奏になっています。これも1曲ですが、サックス・トリオは落ち着いた演奏。タイトル《トワイライト・ソウル(薄明りの魂)》といった風情でアルトがツラツラと虚ろに進んでいきます。

後半3曲は組曲。録音年月とメンバーが違う演奏を真ん中に挟んで3曲構成の組曲というのが面白いところです。短い演奏が展開していきます。モンダーのギターが過激なアプローチで怪しく包み込むフリー系の1曲目、静かに揺蕩う2曲目、ソプラノ・サックスの咆哮がスピリチュアルなフリー系の3曲目。聴く者の想像力を掻き立てます。

聴き流せば軽くてナチュラルなものが過ぎて行きますが、芯はきちんとあります。さすがはartistShareレーベルですよね。最近、このレーベルの輸入盤をあまり見かけなないのですが、そろそろ配信だけになっちゃうかもしれません。この手のアートな現代ジャズを聴くにはPCオーディオってことになるんでしょうかね。PCオーディオもそろそろ考えないといけないかも?

アルバム名:『WITHIN WORLDS』
メンバー:
JON GORDON(as)
BEN MONDER(g)
BILLY DRUMMOND(ds)
KEVIN HAYES(p)
JOE MARTIN(b)
BILL STEWART(ds)
BILL CAMPBELL(ds)
GARY VERSACE(org)
MARK FERBER(ds)

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ホイットニー・ヒューストンが亡くなりました。

ホイットニー・ヒューストンが亡くなりました。
びっくりしました。まだ若いのに。
私と同じ年齢だったんですね。

ホイットニーと言えば、映画「ボディーガード」。
水曜ロードショーで何度か見ました。
結構好きな映画でした。

で、ホイットニーと言えば私にとってはこの曲。
Saving All My Love For You》(邦題:すべてをあなたに)
いつもの私的”せつね~、胸キュン”メロディー。
これを聴いているとウルウルしちゃいそうになります(笑)。

ではお聴き下さい。YouTubeから。

今見ると追悼映像に見えてきて泣けます。
いい曲ですよね。

こちらは1994年のブラジルのライブ。絶頂期でしょう。

これぞエンターテインメント。グレイト!

ご冥福をお祈りいたします。

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久しぶりにこんなピアノ・トリオを買ってみた。

最近はピアノ・トリオにすっかり飽きてしまい、ほとんど買わない私なのですが、久々にこんなのを買ってみました。先月末に閉店したサンリンの閉店半額セールで買った1枚です。山中千尋の『レミニセンス』とこれから紹介するのとどちらを買おうかと悩んだ挙句、こっちを選びました。半額セールなんだから両方買えばいいのにね(笑)。

P50マルチン・ボシレフスキ・トリオ『フェイスフル』(2010年rec. ECM)です。メンバーは、マルチン・ボシレフスキ(p)、スワヴォミル・クルキエヴィッツ(b)、ミハウ・ミスキエヴィッツ(ds)です。最早説明不要でしょう。ポーランド出身のピアノ・トリオです。名前が読み難いのは相変わらず(笑)。

今回日本盤を買ったわけですが、直輸入盤に帯兼ライナーノーツが付いているだけなんですね。定価¥2500で売るにためにはこんな方法になるんでしょう。安く売ろうとする努力は認めます。

実は私、この人達のアルバムはシンプル・アコースティック・トリオを名乗っていた時の『ハバネラ』しか持っていませんでした。青色ジャケットが素敵な1枚として有名なやつです。当時は寺島靖国さんの影響下にあったので、寺島本を見て購入したわけです。ジャケットに似合った深い青みを帯びたサウンドでした。その後このトリオは買わずに今日この頃を迎えることに。たまにはこういうピアノ・トリオも聴いてみたくなるのですよ。

さすがにECMで売り出しただけあり、落ち着いていてなかなか深いものがあります。今更言うまでもありませんがジャズは色々あるわけですから、別に黒くなくてもいいわけです。アフタービートじゃなくてもいいのです。未だに欧州ピアノ・トリオを聴いて”これはジャズじゃない。”とか言う人もいますが、時代錯誤も甚だしい(笑)。まっ、色々な意見があっていいとは思います。

ボシレフスキのオリジナルと他人の曲が上手く混ざって配列されています。オーネット・コールマンの《フェイスフル》(アルバム・タイトルでもある)なんかはいい曲ですよね。オーネット独特の哀愁というか侘しさというか美を生かした演奏になっています。ポール・ブレイの《ビッグ・フット》はベースとピアノのインタープレイが素敵。杉田宏樹さんのライナーノーツによるとレーベルへのオマージュの意識だろうとのこと。なるほどなるほど。

本アルバム唯一のスタンダード《バラッド・オブ・ザ・サッド・ヤング・マン》は染みます。杉田さんのライナーノーツによると、この曲はキース・ジャレット・トリオのコンセプトの継承者としての表明と推察できるとか。日本語ライナーノーツもたまにはいいですね。参考になります。エルメット・パスコアールの《オズ・ギーゾス》はギリギリのスローでたゆとう葉の如く進んで行くのが心地よいです。

さて、ボシレフスキのオリジナルでアルバム最長の《ナイト・トレイン・トゥ・ユー》がとても気に入りました。タイトルから想像するに、彼女に会いに行くための夜行列車の旅だと思います。リズミックで列車がゴトゴト走るイメージの曲になっています。列車が駅を出発すると彼女への思いが徐々に高まっていきます。列車は走ります。思いを巡らしながら。ミニマルな要素があって美しい同じテーマが少しずつ形を変えて繰り返されるのが私を刺激して止みません。夜明けには彼女の待つ駅に到着。気持ちの高ぶりも落ち着いていき、列車は静かに停車します。彼女との楽しい1日への予感と共に。

ボシレフスキの他の曲も良い曲揃い。トリオの親友であるマレク・スピルコフスキに捧げた《ソング・フォー・スピルク》は哀愁と楽しさの狭間が良い感じですし、ラストの《ルガーノ・レイク》は収録地の大自然に囲まれた街へといざなわれる優しさと美しさです。ボシレフスキの美意識を共有し、3人の世界を構築するベースのクルキエヴィッツとドラムのミスキエヴィッツもいい仕事してます。

曲を聴いて思いを巡らすのも楽しいものですよ。素敵なピアノ・トリオですね。

アルバム名:『Faithful』
メンバー:
Marcin Wasilewski(p)
Slawomir Kurkiewicz(b)
Michal Miskiewicz(ds)


ヒップホップ~酒井俊~ハリエット・タブマン~松田聖子、そしてこれ。
我ながらこのハチャメチャな展開に呆れます。
でもそれこそが私なのです(笑)。

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松田聖子の胸キュンメロディー&おまけ

たっ、たっ、大変です。
クリス・ポッターがとうとう来日します!
ジャズ友すずっくさまのブログにそのことがUPされてました。
「前祝!クリポタ(Chris Potter)来日!!!」
いや~っ、めでたい!
う~む、これは観に行かねばなるまい。
コアなファンが殺到?
5月27日~29日、丸の内コットンクラブ。
まだ先の話ですが、一応告知しておきます。

で、いきなり話題が変わりまして軟派路線(笑)。
松田聖子に見る私的胸キュンメロディー!
時々この胸キュン企画がやりたくなってしまいます。

まずはこれっ。《Rock'n Rouge》

作曲は呉田軽穂(松任谷由美)。
さすがはユーミン。いい曲作りますよね。
松任谷正隆のアレンジも素敵。
”ぐぅうとしぶ~い。すぽ~つかぁで” ”パァーンッ”がいい(笑)。
フルートが効果的に使われています。

お次は。《時間の国のアリス》

作曲はこれも呉田軽穂(松任谷由美)。
これはもう文句なくセツネ~メロディー。
私のハートに”ズキュン”です(笑)。
”まっほぉのとっけい~っっ、ぎゃくにっ~まっわっせ~ばぁっ”のところに挟まる
ギターのフレーズがいい。
よく似たフレーズは太田裕美の《木綿のハンカチーフ》にも出てきます。
《木綿のハンカチーフ》もセツネ~の代表曲ですからね。
間奏のギターソロも泣かせます。クゥ~、タマラン。

お次は。《ピンクのモーツァルト》

これは洒落ていてかわいい曲。
作曲は細野晴巨。細野さん、あの顔でこの曲つくりますかっ!(笑)
細野晴巨は《天国のキッス》も提供しています。
”ピ・ン・ク・のモォ~ツァルト” と ”キィ~ッス イン ブルゥ ヘェ~ブン”。
サビの部分は良く似ています。
いい曲だと思います。

ラストは。《天使のウィンク》

静かに始まりますが、元気が良いので好きです。
ハツラツとしていて聴いていると元気が出ます。
作曲は尾崎亜美。尾崎節ですよね。
この人の曲はポップでいいです。
コーラスも尾崎亜美がやってます。
当時流行りのシンセベースが大活躍。

この頃(84年~85年)の松田聖子が私的には最高レベル。

おまけはコレ。中山美穂《女神たちの冒険》

私としては中山美穂はほとんどこの1曲のみ(笑)。
説明不要のセツネーメロディー。
アハハッ、この曲にもありました。私が好きな転調(笑)。
こちらも全面的にシンセベース。
この頃の中山美穂、いい女ですよね。

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黒いエレクトリックなフリー・ファンク

昨年出たアルバムを紹介します。

P49ハリエット・タブマン『アセンション』(2000年rec. SUNNYSIDE COMUNICATIONS)です。メンバーは、ブランドン・ロス(g)、メルヴィン・ギブス(b)、JT・ルイス(ds)、ロン・マイルス(tp)、DJ・ロジック(turntables)、DJ・シンジ(turntables)です。ハリエット・タブマンは黒人女性の奴隷解放家で、このグループ名。

昨年出たティム・バーンの 『ザ・ヴェイル』 をAmazonで買った時、本アルバムが”よく一緒に購入されている商品”になっていたので、気にはなっていたのですが買わずじまい。結局ディスクユニオンの通販限定セールで¥1,000だったので購入しました(笑)。

ハリエット・タブマンはロス、ギブス、ルイスによって98年に結成されたグループです。ロス、ギブス、ルイスはM-BASE系譜であったりNYアンダーグラウンドで活躍する人達。そしてこのアルバムがニッティング・ファクトリーでのライブということになれば、分かる人には分かるマニアックな音が聴こえてきそうです。さらにタブマンが奴隷解放家、タイトルの『アセンション』はもちろんコルトレーンの『アセンション』ということで、黒い音も聴こえてきますよね。

1曲目《アセンション》を除きあとの9曲は全員の共作ということなのでフリー・インプロビゼーションなのでしょう。サウンドはギブスのうねる重いベースを中心においたファンク。そこにロスのフリー/アバンギャルド・ギターがからみつき、ドラムはヘビーなロック・ビートを刻み、マイルス(ロンね)が浮遊するという展開。更に左右2人のDJがサウンド・エフェクトを被せ、随所にパトカーのサイレンを想起させる怪しげな世界を構築していきます。

メロディーもリズムもあるのでフリーだからといって聴きづらいようなものではありません。オーネット・コールマンのプライム・タイム・バンド周辺の人達がやっていたサウンドを思い出す部分が多々あります。そこにマイルス(ロンね)がクールなトランペットを鳴らせばエレクトリック・マイルスにも通じます。DJがらみではヒップホップにまでつながるかも?サウンド的にはフリー・ファンクでありヒップホップではありませんけど。

オーネットのプライム・タイム、エレクトリック・マイルスが好きな私のような人にはたまらないものがあります。ニッティング・ファクトリーってこういうサウンドがゴロゴロしていたんでしょうね。素晴らしい!2000年にこういうサウンドがあったというのはいいな~ぁ。そこから11年経って昨年このアルバムが出たという、意味があるよなないような?NYのジャズには頑張っていただきたいです。

黒くてアバンギャルドでジャズ。カッコイイじゃありませんか!

アルバム名:『Ascension』
メンバー:
Harriet Tubman Double Trio
Brandon Ross (g)
Melvin Gibbs(b)
JT Lewis(ds)
Ron Miles(tp)
DJ Logic(turntables)
DJ Singe(turntables)

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酒井俊さんと今堀恒雄さんのライブを観てきました。

今日は 「桜座」酒井俊さんと今堀恒雄さんのデュオライブを観てきました。

P47昨年酒井俊さんとスガダイローさんのデュオを観てとても楽しかったので、今回も観ることにしました。スガダイローさんはピアノですが、今堀さんはギターなので、その違いがどんな具合になるのか興味があったのです。実は昨日、荻窪ベルベットサンでやっていた市野元彦(g)さんとのデュオをUSTREAMでチラッと見ていたので今日が楽しみでした。

今回は3部あるとのことだったのでどうしてかと思ったら、何とDVDのための撮影をするとのことでした。「桜座」では毎回撮影もしているのですが普段はプライベートなもの。しかし今回は酒井さんの希望でDVDにするというのです。観たライブがDVDになるなんて素敵ではありませんか。

1部は時間短めとのこだったので、ウォーミングアップと撮影テストだと理解。1部は約25分で3曲。ゆったりした曲から入り、MC、ノリの良い曲、《クレイジー・ラブ》(たぶん)をやりました。

P48スガさんの時はジャズ・テイストが強かったですが、今回は酒井さん独特の世界。ピアノという楽器が平均律でカッチリしているためある程度型が決まってしまうところがあるのに対し、ギターは音程、音色の自由度が高い上にエフェクターとサンプラーまで使っていたので、サウンドで酒井さんの世界を表現していました。

今堀さんは「ウンベルティポ・トリオ」という踊れないグルーヴの超絶技巧ギター・トリオをやっているのですが、今回は技巧を駆使しつつも基本はメロディーを弾いて酒井さんをサポートしていました。写真は今堀さんのエフェクター&サンプラー。凄い数ですよね。ギターアンプも3台使っていました。

休憩をはさんで2部はいよいよDVD撮影本番。ストーブの音がうるさいので消してしまうことになり、広くて天井が高い「桜座」はかなり寒い状況に。

最初は詩の朗読から入る十八番曲。スガさんとのデュオの時も最初はこの曲でした。酒井ワールドに引きずり込まれます。次がいきなりフリーでアバンギャルドなギター。サンプリングも駆使してかなりのカッコ良さです。歌は《ボルガの舟歌》!酒井さんのファンキーかつ豪快な歌が炸裂。ギターとのバトルは壮絶でした。次のフォークっぽい曲を経て、マリリン・モンローがビーチで寝そべり聴いている姿を想像しつつの《ラブミー・テンダー》。ギターによるエフェクトも効果的。スローな曲、静かに始まり途中からノリノリのワルツ曲と6曲を歌って終了。今堀さんとは何度もやっているようなので息もピッタリ。

「桜座」の場合は舞台照明も完璧なので、素晴らしい映像になっているんじゃないかと思います。もちろん音も最高のはず。拘りの音響エンジニアがいるからです。にしてもストーブなしはかなりの寒さでした。たまらず休憩時間に熱いコーヒを1杯。今日はさすがにビールを飲む気にはなれませんでした。

3部は《セプテンバー・ソング》から。最初は何か分からなかったのですが、詩とメロディーをよく聴いていたら曲名が浮かんできました。とにかく独特の世界。次は詩の朗読から面白い曲《4丁目の犬》(たぶん)。ギターによるサウンド・エフェクトもいい感じ。これも酒井さんにしか歌い上げられない世界です。スローな曲からワルツの楽しいリズミックな曲。ここでは今堀さんのカッティングが良かったです。ラストは短めの曲。5曲を歌って終了。アンコールは2度ありました。曲名がよく分からなくてごめんなさい。

よく聴いていたら酒井さんは英語も上手いのでした。今回も酒井ワールドを満喫させていただきました。今堀さんは酒井さんと阿吽の呼吸。しっかりサポートしつつ時折マニアックなサウンドを駆使するギター職人です。「ウンベルティポ・トリオ」は「桜座」で2度観ましたが、それとはちょっと違う面も観られて楽しかったです。

今回のステージはどんなDVDになるのか楽しみです。
とても楽しい時間を過ごすことができました。
甲府には「桜座」という素敵な小屋があって幸せです。

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ジャック・ディジョネットの穏やかなアルバム

かなり久しぶりの新譜紹介です。

P46ジャック・ディジョネット『サウンド・トラヴェルズ』(2011年、Entertainment One)です。メンバーは、ジャック・ディジョネット(ds,p,vo,bells)、エスペランサ・スポルディング(b,vo)、リオーネル・ルエケ(el-g)、アンブローズ・アキンムシーレ(tp)、ティム・リース(ss,ts)、ルイシート・キンテーロ(per)、ブルース・ホーンズビー(vo)、ボビー・マクファーリン(vo)、ジェイソン・モラン(p)です。

ディジョネットが多重録音で1曲を除きピアノを弾いています。この人は昔からピアノを弾いていますし上手いです。それにしてもなんとも穏やかな肩の力が抜けた感じのアルバムになっています。ラテンやメキシカンなど中南米の音楽をやっています。ソロを中心としたジャス度高めなのは1曲《ニュー・ミューズ》のみ。他はパーカッションやギターを生かしたワールド・ミュージックと言った方が良いかもしれません。

自身が書いているライナーノーツの最初に奥さんリディアへの感謝の言葉があるので、ある意味奥さんに捧げたアルバムなのかもしれませんね。その愛故の優しい音楽なのかもしれません。まあ、聴く方も力まずサウンドに身を委ねればここにある音楽がすんなり入ってくるのではないでしょうか。

頭とラストはピアノ・ソロ、ゆっくり始まり静かにエンディングを迎える構成です。その間に中南米の音楽が現れては消えてゆく、そんな感じの音楽旅行(サウンド・トラヴェルズ)をしばし楽しみましょう。ホーンズビーとの1曲を除いて全曲ディジョネットが作曲しています。作曲も上手いんですよね。

ディジョネットのピアノとドラムはあまり意識に上ってこないのですが、それはディジョネットの意図なのだろうと思います。旅行のガイドのような役回り。あくまで主役は旅の情景であり出会う人々、ディジョネットのピアノとドラムは旅行者をさりげなくガイドすることに徹している感じなのです。

各旅先では、エスペランサのナチュラルなボーカル、昨年メジャー・デビューを果たしたアキンムシーレのしっかりしたトランペット、スモールズ・ライブが良かったリースのセンス良いサックス、ルエケの哀愁エスニックギター、ホーンズビーの味わい深いボーカル、マクファーリンの個性的なボーカル、モランのしっかりしたピアノが入れ替わり立ち代わり楽しませてくれます。パーカッションは中南米の長閑な雰囲気そのものかもしれませんね。

たまには穏やかな音楽旅行をしてみてはいかがですか?

アルバム名:『SOUND TRAVELS』
メンバー:
Jack DeJohnette(ds ,p, vo, resonating bells)
Esperanza  Spalding(b, vo)
Ambrose Akinmusire(tp)
Tim Ries(ss,ts)
Lionel Loueke(g)
Jason Moran(p)
Luisito Quintero(per)
Bruce Hornsby(vo)
Bobby McFerrin (vo)

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ジャズ・レーベル完全入門 増補版が出た。

ジャズ喫茶「いーぐる」 マスター後藤雅洋さんの本が発売になりました。

「ジャズ・レーベル完全入門~増補版」です。

P45

最近私はヒップホップばかりに頭が行ってしまっているのですが、

どっこいジャズも忘れていません。

基本ジャズ・ファンですから。

この本は最初のバージョンが出た直後に買い、ずいぶんお世話になりました。

たくさんの良いアルバムに出会うきっかけになりました。

今回はマイナー系のレーベルがたくさん追加されたので、

先週の「ヒップホップ講座」に参加した際に「いーぐる」で購入。

Amazonで買ってもいいのですが、「いーぐる」で買うことに意味があるのです。

明日2月4日(土)ジャズ喫茶「いーぐる」午後4時から

「ジャズ・レーベル完全入門~増補版」発売記念イヴェントがあります。

気になる方は是非ご参加を!

増補版に追加された19マイナー・レーベルから、

後藤さんオススメのアルバムを紹介するそうです。

当日、この本の販売はもちろんあり、プレゼントもあるそうです。

私はさすがに2週連続行けないので今回は断念(涙)。

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ヒップホップ講座 パート4 これでおしまい。

1月28日(土) ジャズ喫茶「いーぐる」 で行われた「ヒップホップ講座」のレポートの続きです。

講演の内容については前回までに書きました。
今回は講演後の質問と私の感想を簡単にまとめます。

P44

質問はたくさんあったのですが、その中からいくつか書きます。

 ラップの上手さがわからない。
 ジャズの楽器と同じで、きちんとキャラが立っているかどうか。
(こういうのはある程度聴きこまないとダメでしょうね。私なんかまだラッパーの区別さえままなりません。)
 

 今はコミュニティー感が減っているようだが聴いている人はコミュニティー内?
 黒人が住んでいる場所にはコミュニティーがある。そこの人達も聴いている。

 ラップを聴いていると歌詞がひどい。
 時には社会ネタ、時にはギャングネタ、色々なのが回っている。ウィットが肝心で、そういうセンスでラッパーから俳優になる人が多い。

 音源㉖のところで「これが売れているのはどういうことか?」と言っていたがもう少し詳しく。
 真剣に考える必要があると思う。そのためにもメジャーのヒップホップを聴きましょう。

 ここで聴くとキック(ドラム)にサイン(波)を被せたのがバラバラに聴こえてよくない。どいうところで聴くことを想定しているのか?
 車で聴くことが多いんではないか。最後にかけた音源なんかは音がしょぼいが、それは作品としての完成度じゃなく、ヒップホップの場に参加できれば良いという考え方。タイラー・ザ・クリエイターは若くてヒップホップを意識していない。
(解像度が高いとよく聴こえないという場合もありますよね。ボロが見えちゃうという。それにしても「いーぐる」オーディオの低音の解像力。恐るべし。)

今の学生は洋楽を聴くというだけで嫌味と受け取られてしまうなんて話もありました。若者が聴いているのはほとんどJ-POPだそうです。大和田さんは大学の先生ですからこういう事情には詳しいのです。中山康樹さんが「かんちがい音楽評論」で、”日本に洋楽は根付かなかったということに向かっている”と書いていたことがここにも表れていますよね。R&B(ヒップホップ)を聴いているのは不良女子で、渋谷辺りにいるまっ茶な毛の女の子などだとか。

日本ではイギリス経由のアメリカ音楽評論が多く、そのためロック系の価値観でヒップホップも捉えられる傾向があるとのことでした。音そのもの以外のことによって耳ができてしまうことが起こりがちであることは自覚しておく必要があると思います。

 ティンバランドのビートは祭りばやしのようだったが、アメリカの民族音楽に先祖帰りがあり、中南米経由のビートになっていることは日本とどう繋がるのか?
 黒人のバックビートはどこから出てきたのかよく分からない。中南米のビートにしても、アフリカのビートにしてもバックビートというわけではない。
(日本との繋がりについては回答なし。)

 ヒップホップはポストモダンという話があったがどういうこと?
 モダンは偉大なアーティストの作品を聴かせていただくというものだが、ヒップホップは聴き手と作り手の境がなくなり、できたものが作品ではないところがポストモダン。

(注)質問と回答が微妙にリンクしていないところがありますが、それは私が3時間以上の講演をメモを取りながら集中して聞いた疲れもあり、理解に至っていないということをご理解願います。まあ、短い時間の質疑なので話が深められないという面もあります。

今回の内容は「文化系のためのヒップホップ入門」に書かれていることを音源を聴きながらたどるものでした。速足ではありましたが概要は掴めました。日本ではあまり語られないというヒップホップのメジャー・シーンの動き(4.ヒップホップ・ソウル~ティンバランドのサウンド革命、5.サウス、6.ヒップホップの現在)は特に面白かったです。大太鼓リズムの連発には頭が”クラクラ”きましたけどね(笑)。いたる所にヒップホップの楽しみ方に係る話が散りばめられていて興味深かったです。

「文化系のためのヒップホップ入門」を読んでから今回のレポートを読んでいただければ、ヒップホップ理解はより深まると思います。是非ご一読を。

今回でジャズ喫茶「いーぐる」におけるヒップホップ関連の講演は一区切りです。

1.中山康樹さんのようにジャズがらみで聴く方。
2.鷲巣功さんのようにオールドスクールで聴くのをやめてしまった方。
(ある意味70年代以降のジャズを聴かないようなもの)
3.原雅明さんやDJアズーロさんのようにプロデューサーとトラックを中心に聴く方。
(日本のヒップホップ需要はこちらが多いとか)
4.長谷川町蔵さんや大和田俊之さんのようにメジャーなものを聴く方。
(日本にこちらのリスナーを増やしたいそう)

まだ未熟ではありますが、一応ヒップホップとはどういう音楽なのか分かっただけでなく、需要のされ方までも目の当りにすることになり、色々な聴き方ができるヒップホップの広さや深さを改めて実感できました。「ジャズ・ヒップホップ学習会」だけで終わらず、3回の「ヒップホップ講座」が追加された意味はとても大きかったです。後藤さんの音楽に対する姿勢のなせる業なのでしょう。

講演者の皆さん、後藤さん、関係者の皆さん、ありがとうございました。

最近はジャズに混ぜてヒップホップも聴いています。
ヒップホップ・アルバムも10枚以上購入。
音楽ライフがより楽しくなりました。感謝!

「ヒップホップ講座」のレポートはこれにて終了。ふ~ぅ、疲れました。

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