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アメリカ音楽を愛する人へ

今日もジャズ喫茶「いーぐる」の「年末ベスト盤大会」で聴いて気にいった1枚。

P28 ポール・モチアン『ザ・ウィンドウズ・オブ・ユア・マインド』(2010年rec. Winter & Winter)です。メンバーは、ポール・モチアン(ds)、ビル・フリゼール(g)、ペトラ・ヘイデン(vo),トーマス・モーガン(b)です。アメリカン・ソングとモチアンのオリジナルを混ぜてゆったり聴かせてくれます。

「年末ベスト盤大会」で村井康司さんが選曲。ポール・モチアンが昨年亡くなった故の選曲でした。村井さんがかけたのは《イッツ・ビーン・ア・ロング,ロング・タイム》。この曲をじっくりゆったり特に凝った仕掛けもなく、この人達にしかできない味で演奏しています。2分34秒の至福の時間。このアルバムを全部聴いた後の私のベスト・トラックでもありました。さすがは村井さん、「いい選曲だな~。」と思いました。

村井さんってアメリカの音楽に深い愛を持っていると思います。「JaZZ JAPAN」誌で連載している「ジャズ史で学ぶ世界の不思議」やご自身の著書「ジャズの明日へ」を読むとジャズの枠を超えてアメリカ音楽を愛しているんだなと思えてきます。そんな村井さんがかけたこのアルバムにはアメリカ音楽の良さが詰まっています。

《テネシー・ワルツ》、タイトル曲、《レッツ・フェイス・ザ・ミュージック・アンド・ダンス》、《イージー・リビング》、《アイブ・ゴット・ア・クラッシュ・オン・ユー》、《アイ・ラヴズ・ユー・ポーギー》などがいい感じで流れていきます。その間にモチアンのオリジナルが入っていても違和感なしです。モチアンもアメリカ音楽を愛しているんでしょうね。

そんなモチアンが愛するアメリカ音楽を奏でる最良の相棒は?そうですよね。ビルフリしかいません。ビルフリのギターから発せられる音を聴いていると古き佳きアメリカという言葉しか浮かんできません。郷愁感を伴って空間に浮遊するギターを聴いているとなんとも心地よいです。昨年起きた東日本大震災で傷ついた心を癒してくれるような気もします。

ペトラ・ヘイデンはあのチャーリー・ヘイデンの娘です。あまり甘くなりすぎず癖もあまりない歌い方がここではマッチしています。きれいでほんのりかわいい声です。アメリカドラマ「大草原の小さな家」のメアリーみたいなイメージ??って言って分かる人は同年代です(笑)。タイプとしてはホリー・コールに近いのかな?曲によってはペトラが抜けてのインスト演奏もあります。

さて、モチアンについて書いておきましょう。ブラシでスネアをさするのがほとんどで、そこにタムを入れたり、シンバルやハイハットをほんの少しいれるだけなのですが、これが見事に音楽になってしまう技の凄さよ。スネアをさするだけで音楽になっちゃうモチアンって、やっぱり企画外れのとんでもないドラマーでした。深いんですよね。その世界観が。多くのミュージシャンに支持されるモチアン。分かる気がします。

ベースはモチアン・スクールで鍛え上げられたモーガンが弾いています。う~む、このベーシスト、侮れません。最初聴いた時、一瞬チャーリー・ヘイデンが弾いているのかと錯覚するほどでした。こういうベーシストを育てたかったのかとよく分かりました。こうなるとここに最早チャーリー・ヘイデンは不要です。だから代わりに娘のペトラを呼んだのかな(笑)?モーガンのベースが深く力強く響きます。真ん中にどっしり構えて支えています。

B.G.M.として聴き流せますが、じっくり聴くと深い情感が流れています。
聴けば聴くほど味が出るアルバム。アメリカ音楽を愛する人は是非!
オーディオ的に録音も良いです。

余談ですが、Winter & Winterのジャケットの特徴であるエンボス加工がとうとう無くなっちゃいました。エンボス模様の印刷になっちゃったのです。これも経費節減なのでしょうね(涙)。

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ジャズ・アルバム紹介」カテゴリの記事

コメント

本年もよろしくお願いします。

ポール・モチアンが亡くなって、もうこういう独特な音楽が聴けなくなるのが残念だなあ、という気持ちと、こういう音源を残してくれたので、よかったなあ、という気持ちと、同居してます。

田舎のポップスというような雰囲気でもあるし、やはり深そうな部分はあるしと、メンバーの妙でできたサウンドを、昨年はけっこう楽しみました。

ジャケットは、昔はCDトレイも紙だったけど、プラスチックのトレイに。まだ薄いペラペラジャケになってないだけ、いいかなあ。これも時代の流れでしょうね。

TBさせていただきます。

投稿: 910 | 2012年1月 8日 (日) 09時46分

910さん

こちらこそ本年もよろしくお願いいたします。

そうですね。モチアンが亡くなってしまったのは本当に残念です。幸いたくさんアルバムを出してくれているので今はそれを聴いてご冥福を祈りたいです。

このアルバム、独特な世界観ですよね。このメンバーならでは。素朴さ深さ。いい感じですね。私もけっこう気に入ってしまいました。

ジャケットは徐々にコストダウンの方向に向かってますよね。ドイツはまだ良いにしてもユーロ圏も今大変です。

TBありがとうございます。
私からもTBさせていただきます。

投稿: いっき | 2012年1月 8日 (日) 12時48分

こんばんは。
このアルバムとっても気になっていたのに、ほしいものリストに入れっぱなしになってしまった1枚です。
モチアン先生が亡くなったときに、気がついたんですが、、
あの時、膨大にCD買わなくちゃいけない時だったので、、あきらめました。

今度こそ,かってみよう。。
モチアン先生のテネシーワルツ聴いてみたいですわ。

投稿: Suzuck | 2012年2月 9日 (木) 18時28分

Suzuckさま

こんばんは。

>このアルバムとっても気になっていたのに、ほしいものリストに入れっぱなしになってしまった1枚です。

気になっていても買いそびれてしまうアルバムって結構ありますよね。

>モチアン先生が亡くなったときに、気がついたんですが、、
> あの時、膨大にCD買わなくちゃいけない時だったので、、あきらめました。

タイミングもありますね。
しょうがないと思います。

>今度こそ,かってみよう。。

是非っ!

>モチアン先生のテネシーワルツ聴いてみたいですわ。

ビルフリのギターが染みます。
ペトラの緩いボーカルもいい感じです。

そして、見ましたよ、ブログ!
クリポタ来日、バンザ~イ!
行けるかな~、行かねばなるまい。

投稿: いっき | 2012年2月 9日 (木) 20時41分

こんばんは。

これですね、、とても気に入ってます。
で、あんまり気に入ったので、密かな愛聴盤にするつもりだったのですが、、今日は、凄く特別な良い日なので、、つい、エントリーしちゃいました。リリース時に気になっていたものの、、どうも、ヴォーカル入りかぁ、、と、いつもの悪いくせで、、。
I've Got a Crush on Youはビルフリとペトラのデュオ素敵だったな。

不思議な世界ですよね。。
アルバムのことを思い出させてくださって、どうも、ありがとうございました。
モチアン先生が亡くなっテしまったことは、、残念としか言いようがないです。

投稿: Suzuck | 2012年4月12日 (木) 18時25分

Suzuckさま

こんばんは。

>これですね、、とても気に入ってます。

いいですよね。
心にじんわり染みます。

>で、あんまり気に入ったので、密かな愛聴盤にするつもりだったのですが、、今日は、凄く特別な良い日なので、、つい、エントリーしちゃいました。

今日は特別な良い日?なるほど。
密かでなくなってしまうのはもったいない気もしますが、気分良く開陳しちゃうのも乙ってもんでしょう。

>リリース時に気になっていたものの、、どうも、ヴォーカル入りかぁ、、と、いつもの悪いくせで、、。

私も全く同じですよ。
「いーぐる」で聴かなかったら買っていなかったと思います。

>I've Got a Crush on Youはビルフリとペトラのデュオ素敵だったな。

本当にもう素朴の一言なんですけれどいいです。

>不思議な世界ですよね。。

この人達にしかできません。ミラクルです。

>アルバムのことを思い出させてくださって、どうも、ありがとうございました。

いえいえどういたしまして。

>モチアン先生が亡くなっテしまったことは、、残念としか言いようがないです。

世界中の多くの人がそう思っているでしょう。

トラバありがとうございました。
後程おじゃまします。

投稿: いっき | 2012年4月12日 (木) 20時40分

とりいそぎ、、
また、届いてませんでした。

投稿: Suzuck | 2012年4月13日 (金) 18時06分

Suzuckさま

再送しました。
ご確認よろしくお願いします。

投稿: いっき | 2012年4月13日 (金) 20時02分

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