ガゾーンのガッツ溢れるテナーが聴ける1枚
去年の新譜紹介です。注文してから届くまでに時間がかかりました。
ヤツェク・コハンの『ファイリング・ザ・プロフィール』(2008年rec. intuition)です。メンバーは、ジョージ・ガゾーン(ts)、ヤツェク・コハン(ds)、ドミニク・ヴァニャ(p)、アンジェイ・シフィェンス(b)です。ガゾーンがポーランドのピアノ・トリオと録音したアルバム。
これはツイッターで知ってディスクユニオン・ジャズ館のホームページの新譜情報を見てから昨年Amazonに注文しました。入荷は今年に入ってから、入荷するかどうか若干心配しましたが無事届きました。
難しい説明不要な内容です。ガソーンのガッツ溢れるテナーを聴ける1枚。ガゾーンのモーダルな吹奏はマイケル・ブレッカーとクリス・ポッターの中間くらいです。最近この手のガッツなテナーはクリポタに任せろという感じでしたが、いやいやどうして、ガゾーンも負けていないのでした。バラードも説得力があります。コルトレーンみたいなスピリチュアルな匂いの演奏も。録音自体は2008年なのでちょっと古いですね。
そんなガゾーンをバックアップするピアノ・トリオは硬派なもの。リーダーは全楽曲を提供しアレンジもするドラマーのコハン。コハンのパーカッシブで躍動的なドラムを軸に、ギシギシと軋む強靭なベースを爪弾くシフィェンス、美しさもあるけれど重厚な音をぶつけるピアノのヴァニャが、ガッチリとスクラムを組んでいます。ピアノはマッコイ・タイナーから灰汁を抜いた感じですね。好きなタイプのピアノ。そしてベースの軋みは最高レベルです。
ビートは8ビートが多いので、この雰囲気は80年代メインストリーム回帰の頃のフュージョン経由のジャズマンがやっていたジャズになっています。私なんかはこういうタイプのジャズが好きでジャズに嵌ったようなものなので、とてもすんなりやっていることが伝わってきます。
コハンの曲は変にアブストラクトにならず落ち着いたモーダル正統派。キャッチーなところはないですが佳い曲だと思います。微妙な哀愁トーンはやはりポーランドならではのエスニック感なのでしょう。特に新しいものではないですが、こういう硬派ワン・ホーン・カルテットには安心して浸れます。
まっ、色々な理屈は抜きにしてガゾーンのテナーを満喫するのが正解!
う~む、CDは入手に手間がかかるかも?
Amazonは既に配信のみです。
アルバム名:『FILING THE PROFILE』
メンバー:
George Garzone(ts)
Jacek Kochan(ds)
Dominik Wania(p)
Andrzej Swies(b)
| 固定リンク
「ジャズ・アルバム紹介」カテゴリの記事
- 今日はこんなの聴きました。(2022.01.01)
- 追悼、チック・コリア。(2021.02.14)
- このアルバムのこの曲が好き!(2021.02.07)
- こんなの聴いています。(2021.01.03)
- 新年明けましておめでとうございます。(2018.01.01)
コメント
Garzoneを昨年8月メルボルンの Uptown Jazz Cafeで聴く機会がありました。その晩はコルトレーンナンバーを中心にそれこそゴリゴリと吹いており圧倒されました。オーストラリアにも器用なミュージシャンは大勢いますが心を打つ演奏に出会うことは稀です。実はその晩のお目当ては競演したオーストラリアのTs, Jamie Ohlarだったのですが偶然Garzoneを発見できた訳です。日本でも彼を聴いておられる方がいらっしゃったとは。さすが日本のジャズファンと驚かされました。
投稿: | 2012年2月21日 (火) 18時34分
こんばんは。
コメントしていただきありがとうございます。
オーストラリアにお住まいなんですね。Garzoneを生で聴かれたなんて素敵です。GarzoneのCDは日本にたくさん入ってきますので、ファンはたくさんいると思います。ジャズブロガーの間でも結構評価が高いと思います。日本のジャズファンはそれこそニューヨークのアンダーグラウンドから北欧や東欧のマイナーどころまで何でも貪欲に聴いているところが凄いと思います。
投稿: いっき | 2012年2月21日 (火) 23時13分