セノーンのアルトは気持ち良い。
新年最初のアルバム紹介はこいつにしましょう。
ミゲル・セノーンの『アルマ・アデントロ』(2011年rec. marsalis music)です。メンバーは、ミゲル・セノーン(as)、ルイス・ペルドモ(p)、ハンス・グラヴィシュニグ(b)、ヘンリー・コール(ds)、木管アンサンブル(10名)です。セノーン自身のルーツであるプエルトリコの名曲を演奏したアルバムになっています。カルテットでの演奏を主体に木管アンサンブルが加わる構成。
ミゲル・セノーンはフォローしていたのですが、今回はちょっと購入を見合わせていました。新宿ディスクユニオンジャズ館でこれが流れていたのを聴いた時も、やっぱりいいな~と思いつつそのままに。そしたら昨年末、ジャズ喫茶「いーぐる」の「年末ベスト盤大会」で、ワールドミュージックの伊藤嘉章さんがこのアルバムの1曲目をかけ、聴けばやっぱり良いので早速購入したというわけです。伊藤さんがプッシュしているセノーン。私も良いと思っています。
セノーンの何が良いかというとまずはアルトの音でしょうね。爽やかで伸びのある音がとても心地良いです。アルトの音色で比較するなら私にとってはセノーンが最高に気持ち良く聴こえます。そしてそのスムースなフレージングに漂う哀愁と陽性の情感が胸に染みます。メロディアスなので誰にでも伝わりやすいのがプラスポイント。パワーもありますよ。なかなか強力なアルト奏者なのです。そんなセノーンを良さを生かすのはやっぱりプエルトリコの名曲。セノーンが歌うが如くアルトを鳴らしています。
ペルドモのピアノがまたセノーンの世界観にぴったり嵌っています。ほのかに甘く爽やかな哀愁漂うフレージングは美メロピアノというべきもので、セノーンのアルトに華を添えています。ベースはあまり特徴がないのが特徴(笑)。ドラムは変拍子も難なくこなす今時パーカッション的なもので、流れを見て煽るときには煽り演奏にパワーを供給します。カリブの音楽にはこういう躍動的なリズムも必要なのです。
要所で加わる木管アンサンブルが演奏に厚みと深みを増し、アルバム全体を落ち着いた雰囲気に仕立てているように思います。カリブのエスニックを加えた素敵なサウンドの上で、気持ち良さそうにアルトを鳴らすセノーンの快演を存分に楽しめる1枚。実はニューヨーク的メカニカルな要素も少し入っています。私にはそこが面白かったりするのです。
これも今時のジャズ。セノーンの気持ち良いアルトを聴け!
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