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理知的なジャズ

去年の新譜です。

P33ザ・クローディア・クインテット+1『ホワット・イズ・ザ・ビューティフル?』(2011年rec. Cuneiform Records)です。メンバーは、クローディア・クインテット+1:ジョン・ホレンベック(ds,per,key)、テッド・ライクマン(accordion)、クリス・スピード(cl,ts)、マット・モラン(vib)、ドリュー・グレス(b)、マット・ミッチェル(p)、スペシャル・ゲスト:カート・エリング(voice)、テオ・ブレックマン(voice)です。前作は+1としてゲイリー・ヴァセーシが加わっていたのですが、今回はマット・ミッチェルに交代しています。更に今回はヴォイス2人をフィーチャ。

買おうか買うまいか悩んだ挙句に結局買ってしまうのがこのクローディア・クインテット名義のアルバムです。このグループのサウンドは独特です。アドリブ一発で聴かせるようなバップとは対局に位置し、作曲と雰囲気を聴かせます。現代音楽(室内楽)的でもあります。アコーディオンとヴァイブラフォンを生かしたそのサウンドは郷愁感と近未来感の融合。

全く個人的な感想では、昔NHKでやっていた「少年ドラマシリーズ」のSFモノの雰囲気です。私がうっすら記憶している「夕ばえ作戦」「赤外音楽」「なぞの転校生」などに漂っていた空気感。じみだけれどこの世界観にはまるとやみつきになってしまうのですよ。あ~っ、大人になった今だからこそもう1度見てみたいドラマです。こんなことを言ってもほとんどの方は分かりませんよね(笑)。脱線ご容赦。

いきなりカート・エリングのナレーション(ポエトリー・リーディング?)とそのイントネーションに合わせたベースの伴奏から始まります。かなりカッコいいです。ドラムがビートを刻み始めるとこれがオーソドックスな4ビート。合奏に入ってからは4ビートでクールに。ヴァイブの響きが生かされているので新主流派の雰囲気です。クールなチークのテナーも魅力的。ナレーションとのからみなどを交え、テンポも変えながらこのグループ独特の世界が展開していきます。

2曲目は優しく儚い曲想。テオ・ブレックマンの天使の歌声が映えます。ピアノのアルペジオのような通奏音の上で、歌、アコーディオン、テナーが繊細なソロをとっていき、時が静かに流れていきます。3曲目はインスト曲。勢いよくはじまりますがテナー・ソロに入ると隙間多めのフリーなリズムへ。その後フリーなリズムの上でアコーディオンやピアノが音をちりばめて、ラストはヴァイブのソロ。美しいです。

エリングのナレーション、ブレックマンのボイスを生かした演奏が続きます。エリングって大学院で宗教哲学を学んだんだそうです。父親は教会音楽家で子供の頃から聖歌隊で歌っていたとか。ブレックマンのヴォイスも讃美歌的な雰囲気があるし、アルバムタイトルの『美とは何?』などからして、裏に宗教や哲学といったテーマを持っているのだろうと想像します。そういうのが嫌いという方もいらっしゃるでしょうね。リーダーのホレンベックが全曲作曲しています。

こんなのジャズじゃないと言って切り捨てるのは簡単ですが、こんなジャズもあるのだと思ってじっくり聴けばそこにまた違った良さが見えてくるというものではないでしょうか?体より頭が勝ったジャズですがそれもまた良し。正直に言うと中盤ちょっと飽きる展開。演奏のクオリティーは相変わらずかなり高いです。

ディスクユニオンジャズ館のホームページを見たらこれもスタッフ推薦盤でした。コメントを書いているのはひとつ前に紹介したアルバムと同様に四浦さん。ユニオンでは現代NYに詳しい四浦さん推薦盤に注目。

アルバム名:『What is the Beautiful』
メンバー:
Claudia Quintet + 1:
John Hollenbeck (ds, per, key)
Ted Reichmann(accordion)
Chris Speed(cl, ts)
Drew Gress(b)
Matt Mitchell(p)
Special Gest:
Kurt Elling(voice) 1,4,7,10,12
Theo Bleckmann(voice) 2,5,8,11

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