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2012年1月

ヒップホップ講座 パート3

1月28日(土) ジャズ喫茶「いーぐる」 で行われた「ヒップホップ講座」のレポートの続きです。

3回に分けてレポートする3回目です。

講演者の長谷川町蔵さんと大和田俊之さんの「文化系のためのヒップホップ入門」を読むんでおくと、以下の内容がより分かります。

ヒップホップを勉強してきましたが、まだまだ素人に毛が生えた程度です。聞き間違えや誤解があるかもしれませんのでご了承ください。

お2人の発言は基本的に区別しません。

貼っている音源は当日かかったものとバージョンが違う可能性がありますのであらかじめご了承ください。

5.サウス

⑳ Jay Z feat. UGKの《Big Pimpin》 1999年

発想が貧困で申し訳ないのですが、これも祭りばやし、もしくはチンドン屋に聴こえてしまうという(涙)。”和”なんですよね。鐘やボンゴなどパーカッションが面白いです。ラップがフリーっぽくアウトしているところが格好いい。JAY-Zのアルバム『Vol.3... LIFE AND TIMES OF S.CARTER』をたまたま買ったのですが、こういうビートでなく普通のビートのほうが多かったです。

ティンバランドのトラック。インド風?ニューヨークではこのリズムに違和感がありました。JAY-Z(今スター・ラッパー)が、UGKと共演。最初JAY-Zがラップし、次に出てくるUGKのBun Bのラップに注目。上手いです。JAY-Zが乗れるか乗れないかという感じでラップ。英語で言う巻き舌でバウンスします。

㉑ Juvenileの《Ha》 1998年

ファットな太鼓が特徴だったはずなのですが、YouTubeではいまいち。三三七拍子に聴こえなくもないという(笑)。手拍子みたいな音も入っていますしね。面白いビートだと思います。

適当に何か言ってから”ハッ”と言って韻を踏んでいるように見せかけます。何を言っているのか分かりません。

㉒ Lil Jon & East Side Boyzの《What U Gon' DO》 2004年

さあ皆さん、”エンヤートットー、エンヤートットー”と歌って下さい。そして”マツッシーマ~ノッ ~”ということで、《大漁歌い込み》かと思いました(笑)。応援団なんて声もありました。その時は前のと同じで三三七拍子で手拍子して聴いて下さい(笑)。いずれにしても男の世界であることには変わりはないです。ファットな大太鼓に手拍子、横笛まで入ってます。サウスのリズムが日本の拍子に近いという気付き。面白いです。前ノリですよね。格好いいのかな~この曲。PVを見ると尖がっているんですけどね。

”「いーぐる」でかけて一番インパクトがある。これを「いーぐる」で聴きたいために今回講演をやった。”とのことでした。確かに上記のとおりインパクがトありました。

㉓ T-Pain feat. Ludacrisの《Chopped N Skrewed》 2008年

私の感覚はどんどんおかしくなり。これなんかはK-POPかも? この辺りで頭の中が”ウニウニ”状態に陥ってしまいました(笑)。低音は強烈でした。回転数を落とした声が確かに面白いです。もうポップスだと思います。

テキサスのリミックスのアレンジの手法。単純にレコードの回転数を落とします。酩酊感があります。ロボ声で歌うぶっ飛んだアレンジです。彼女に振られてボロボロになるという歌詞。いい曲です。ロボ声という共通点で、2008年は日本でパフュームがブレイクした年です。トラックに自分の名前を入れていて、それをシグネーチャーサウンドと言います。

「ヒップホップに嵌ってからモダンジャスがみなヒップホップに聴える。(ジャズの演奏が)”今度こういうルールでラップしてみよう。”(と同じように聴こえる)みたいな変化がある。」とおっしゃっていたと思いますが、私のメモがいまいち不明瞭でした。

6.ヒップホップの現在

㉔ Kanye Westの《Runaway》 2010年

ピアノの単音から入る印象的な曲。歌は確かにロック。私はエアロミスの映画アルマゲドンの主題歌が浮かんできました。メロディーの雰囲気が似ているような?にしてもどんどんヒップホップと離れたイメージに結びつきます(笑)。この曲が入っているCDは買いました。結構気に入ってます。

今何が起きているか?内省化があります。ロック最後の牙城(砦)である疎外感、孤独をヒップホップに取り入れようとしています。カニエ・ウェストがそれです。「ダメな僕」をテーマにしています。サウンド的には流行りのビート。私小説をラップ。プロモーションビデオはバレリーナのシュールな前衛映画(貼り付けた映像のとおり)

㉕ Drake feat. Rihannaの《Black And Yellow》 2011年

(注)これはYouTubeに動画がありません。

普通のポップス/ロックに聴こえます。サウンドは暗く感じないです。歌詞がかなり暗いんでしょうか?スチールドラムのような音が寂しい感じと言えばそんな感じです。前ノリの4つ打ちビート。

昨年一番売れたアルバム。内にこもる暗さ。ヒップホップも遠い所へ来ました。最近はインディーものが増えています。

㉖ Lil Wayneの《6Foot 7Foot》 2010年

またきましたね。大太鼓のお祭り。バックで「ワッショイ、ワッショイ」て神輿を担いでませんか(笑)? クラーベのリズム。バナナボートの声が面白いと言えば面白いです。ラップは特徴があるちょっと変な声ですね。アンダーグラウンドで突き詰めていたらこういう弾けたものは出ないでしょうね。こういうものがメジャーの面白さなんでしょう。

リル・ウェインは㉕のドレイクの親分。その年に2番目くらいに売れたもの。ハリー・ベラフォンテの《バナナボート》をネタにしています。バングラデシュというプロデューサー。一押しです。このシングルはリル・ウェインが刑務所から出てきた最初の歌。これが売れているのは何のか?真剣に考えないといけないです。

㉗ Tyler, the Creatorの《She》 2011年

イルでドープな感じのシンセ音。退廃感もあります。遅いビート。歌とラップが交互に。これは従来のバックビート。このPVはなかなか面白いです。歌詞がそのまま映像になって、夢と現実を行き来します。

ネット上にフリー・ダウンロード曲をバンバン出した人です。ピッチフォーク・メディア(Pitchfork Media)で注目されます。タイラー・ザ・クリエイターはやんちゃなノリ。中学生のワルそのままです。アンファンテリブル(恐るべき子供たちの意)。YouTubeにたくさん映像がありますので見て下さい。ゴキブリを食べたりするそうで、アルバムを出さないままに、”ゴキブリ食ってるスゲーッ!”みたいなノリで白人のティーンが熱狂したとか。閉塞感みたいなものを出していて、今の状況の日本で流行っても良さそうな人。お仕着せでなく完全自作。屈折感の歌詞。タイラーは20才くらい。好きなのがステレオラブ。

私が気に入ったものを追加で貼ります。

いいなーこのサウンド。ジャズを引用するとかではなくてジャズを感じさせます。
歌詞はfuckだらけ(笑)。

㉘ Lil Bの《The Wilderness》 2011年

元ネタが何かあてて下さいとのことでしが分かりませんでした。答えを聞いてビックリ。これもだるい感じです。祭りの後の寂しさか?ディスコのチークタイムみたいな感じもします。ヒップホップはこんなことになっているんですね~。ブルーノートとかのオリジナル盤を聴いているジャズ・リスナーとは隔世の感があります。

元ネタは岡田有希子の《二人だけのセレモニー》のイントロです。無調な感じです。何が出てきてもいいんです。フリーのダウンロード・コンペティションで勝ち上がりました。ただ(無料)の音源を使っていましたが今は使っていません。こうなってくるとポップスの徒弟制がなくなってしまっています。

講演は以上で終了。色々あって面白かったです。

長くなったので、講演後の質問や私の感想はパート4に書きます。

日本の歌謡曲を使うところを面白がる感性がないと、メジャーのヒップホップは楽しめないのかもしれませんね。ということで《二人だけのセレモニー》を貼って今日は終わります。

この曲はいいですね。ときめきとせつなさの狭間を揺れ動きます。
さすが尾崎亜美!
会社に就職してすぐ、研修中にあの悲劇が起きました。合掌。

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ヒップホップ講座 パート2

1月28日(土) ジャズ喫茶「いーぐる」 で行われた「ヒップホップ講座」のレポートの続きです。

3回に分けてレポートする2回目です。

講演者の長谷川町蔵さんと大和田俊之さんの「文化系のためのヒップホップ入門」を読むんでおくと、以下の内容がより分かります。

ヒップホップを勉強してきましたが、まだまだ素人に毛が生えた程度です。聞き間違えや誤解があるかもしれませんのでご了承ください。

お2人の発言は基本的に区別しません。

貼っている音源は当日かかったものとバージョンが違う可能性がありますのであらかじめご了承ください。

ここからいよいよお2人が本領を発揮します。

3.ウェストコースト

⑩ Dr. Dreの《Let Me Ride》 1992年

スッキリポップ。ベースのラインが気持ちいい。タブラみたいなパーカッションがアクセント。シンセがカラフル。グルーヴに自然と体が揺れます。こういう雰囲気の曲は好きです。このPVが全てを物語っているみたいですね。あらためて聴くと歌詞が下品なような幼稚なような(笑)。英語が苦手なのでなんとなくとしか分かりません。(以降ピンク字は曲を聴いての私の感想などです。基本的には当日聴いた感想をそのまま書きます。)

東海岸の精神性に対して西海岸は商業的。西海岸は車社会。車でかけると気持ちいいものになります。東海岸のジャズ・ファンクのサンプリングのたがが外れます。サンプリングがミニマルになり、行きようがなくなって、じゃあ本当に弾いてみたらどうか?ということになります。本当に弾いているんだけれどディスコ(オールドスクール・ヒップホップ)と違って遊びがありません。サンプリングしたのと同じように弾きます。サンプリングはこもった音だけけれど、本当に弾くとクリアになって隙間ができます。その隙間にサビが乗せられるようになります。サビメロをゲストボーカルが歌うようになります。この曲は海岸べりを女の子を乗せて車で走るイメージ。パーラメント(グループ)のアルバム『マザーシップ・コネクション』の曲を生演奏で繰り返しています。

西海岸のギャングスタラップは不良文化。これで精神性が落ちたかというとそうではありません。ラップの基本は身の回りのことをラップします。身の回りに起こっていることが政治的なら政治がテーマのラップになるし、身の回りのことがギャングならギャングがテーマのラップになります。その違いだけです。西海岸は麻薬とセックスがテーマになることが多いので、東海岸の人は質が落ちたと言いますが、「女に騙されたとして気の利いたことを言ってみろ。」というのがラップ。ギャングスタラップはラップのテンポが落ちて自由になり、より表情が出せるようになります。喜怒しかなかったラップに喜怒哀楽が出せるようになります。歌詞はひどい⇒雰囲気。こういうもの(ラップ)は仮初めです。より表情が出せることでR&Bがラップと同じくらいになっていくきっかけになります。

⑪ Snoop Doggの《Ain't No Fun》 1993年

ポップな曲です。この曲を聴いて頭に浮かんだのが久保田利伸の《LA・LA・LA LOVE SONG》(ナオミ・キャンベルとのコラボで1996年に出したシングル)。かわいいキーボードの音とメロディーが連想の根源。これも体が揺れる心地良さ。あらためてこれを聴いて思いました。私の”ポップス耳”が発動しているのです(笑)。ファンキーなグルーヴと心地良いメロディー。好きです。

東海岸の後半とオーバーラップしてつつ、西海岸では全く別のものが流行っていました。レイドバックしたリラックスした感じです。西海岸の方が売れ、全国区になります。白人に受けてヒップホップがアメリカ中の白人の若者に聴かれるようになります。

⑫ Pharcydeの《Drop》 1995年

ビートが明らかに重いです。テープスピードをおかしくしたような音がマニアック。ノリが複雑。これにはメッセージ性を感じます。

東海岸的なことをやりたいというオルタナティブなもの。ファーサイドは日本のヒップホップ・ファンが多い人。それは他の西海岸のラッパーのように全身刺青とかでなくかわいい感じだからです(PVのとおり)。日本のファンが多い弊害もあります。あらためて聴くとトラック的には面白いが、ラップが上手くないのが決定的。一人一人のラップがきちんとしていません。プロデュースはデトロイト出身のJディラ。

東西抗争。ディスりがあり死人が出ました。西海岸の2PACが射殺され、1年後に東海岸のトーリアスBIGがニューヨークで射殺されます。この抗争を東海岸は乗り越えたけれど、西海岸は国を挙げての規制でつぶれてしまいます。離脱したドクター・ドレーは自分が作ってきたものを捨て、ミニマルなものを作ります。これがヒップホップの完成形。次の曲です。

⑬ Dr.Dreの《The Next Episode》 1999年

ビートはシンプル。ギターとドラムにサウンド・エフェクト・シンセが乗ります。渋い感じです。なるほどヒップホップの完成形ね~。

「超カッコイイですね。」とお2人。ミュージシャンにジャムらせてドラムを差し替えています。テンポが絶妙。日本人にはできません。三味線のように聴こえるギター。これが出たあとメジャーではサンプリングが流行しなくなります。講演では触れられていませんでしたが、メジャーでのサンプリングの衰退は著作権の問題も絡んでいるようです。トラックを重視する日本のヒップホップ・ファンはこのあたりのサンプリング事情にも敏感に反応しているようなことを他所で聞きました。

ここで10分程休憩が入りました。

後半が肝。ここまでの前半は書いた本がたくさんあります。

4.ヒップホップ・ソウル~ティンバランドのサウンド革命

⑭ Mary J. Bligeの《Be Happy》 1994年

風の音から入ります。ディスコっぽいのり。ベースがビージーズの《ステイン・アライブ》に似ていますよね。ストリングスの音がいい感じです。歌はアメリカの主流。ハスキーな声がいい感じです。

ウエストコーストの引き直し。歌を乗っけます。ワン・ループの上で歌います。このパターンがR&Bに普及してヒップホップのプロデューサーが活躍。1個のループの中でサビはあります。この流れは今も生きています。R&Bがヒップホップのサブジャンル化しました。この曲はその先駆けとなった曲。カーティス・メイフィールドのイントロの弾き直しのループです。ループの宙吊り感。歌はジャズの譜割。ブランフォード・マルサリスはこの人のフレージングに影響されたと言っています。どんなループでも歌を乗せられます。そこでとんでもないことが起きます。

⑮ Destiny's Childの《Get On The Bus》 1998年

ティンバランド・サウンドですよね。格好いいです。響きが新しいと思うのです。マーカス・ミラーみたいなチョッパー・ベースが素敵。バスドラの不規則リズム感が心地良いです。男の声で入るため息みたいなボーカルもいい感じ。このサウンドは好きです。

何が起きたのか訳が分からない。ビヨンセがいるアイドル・グループですね。鳥の声やシンセの”シャー”音とか特殊な音が入っていて、バックはループが流れています。2拍4拍にスネアが入っていません。ルンバ、ラテンのクラーベのリズムに近いです。このビートがR&Bに向けて流行りだし、ブレイクビーツから外れていきます。バックの音がブルーノートから開放されていて黒人的ではありません。上の音は黒くないのにビートは真っ黒。おもちゃ箱をひっくり返したような音です。ティンバランドは業界に雇われた人でバージニア州出身。バックビートはどこが由来なのか?アフリカや南米はバックビートというわけではありません。フェラクティなどはバックビートが効いていません。

⑯ Missy Elliotの《Get Ur Freak On》 2001年

これはマイルスの《レイテッドX》に通じます。ティンバランドのサウンドについては既に私のブログで言及済み⇒今日もヒップホップです。m(_ _)m ちゃ~んとお見通しなのです。参ったか(笑)。ティンバランド・サウンドの魅力は前曲の解説で納得。ブラック・ミュージックのメインストリームがヒップホップだということもその後分かりました。

これが1位。日本で言えば「いきものがかり」(このグループ、私好きです)の位置にいるのは凄い。後にも出てきますが、こういう発言が出てくる時点で、長谷川さんにしても大和田さんにしても、私の感性にマッチするものを感じます。「さっ、これから作ろう。」と、こういうものが出てくること自体、ブレイクビーツの作業とイメージが全然違います。南部中心にこのビートでラップしたりどんどん出てきます。東海岸のラッパーは軒並みこの動きに乗り遅れました。そしてこのビートに乗れる南部のラッパーがスターになります。

⑰ R.Kellyの《Ignition Remix》 2003年

レゲエにも近いように感じました。ゆったりしたグルーヴ。ちょっとありがちなのが私的にはいまいち。

⑯のようなリズムで歌うと歌とリズムの境がなくなります。R&Bのキングと言われる人の歌。4小節のループとAメロのサビ。4種の和音が鳴っているだけ。

⑱ Snoop Doggの《Drop It Like It's Hot》 2004年

これは「いーぐる」で聴くととんでもない低音が出ていました。この低音、どう聴いても大太鼓(和太鼓)なのです。祭ばやしかと思いました。盆踊りかとも思いました(笑)。最後の質問で同じことを言った方がいました。”フー”という音は尺八みたいだし、途中に入る”チーン”が仏壇にある鐘みたいだし。舌打ちするみたいな音とかユニーク極まりないですよね。これって前ノリ?もう頭が”ウニウニ”になりました。ヒップホップがこんなことになってたとは・・・。しかも大ヒットシングルって(笑)。どういうシチュエーションでこういうのを聴いているんでしょうね?

クールの美学。熱いんだけれど覚めています。ウエストコーストの代表的なラッパーがクラーベのリズムを採用しました。大ヒットシングル。

⑲ Busta Rhymesの《Touch It》 2006年

最初無音なのでCDが認識されないのかというちょっとした戸惑い。また出ました大太鼓。タンタンの音量大小のみは確かに面白いです。ラップは確かに上手いと思います。でもこのリズムには参るな~っ。この後このリズムが続出。クラクラッ(笑)。このビデオの世界、いかにも黒人ギャング。私にゃついて行けませぬ。「いーぐる」オーディオのパワー炸裂。凄い音圧でした。

”タンタタン タンタン”だけで音が大きくなっり小さくなったりするだけです。「”タンタタン タンタン”だけでは単調だよね。シンセ被せる?じゃあ音を大きくしたり小さくしたりしてみようか?」と言ったのかどうか?このトラックをラッパーが奪い合いました。抑えた部分の微妙なラップのずらしが素晴らしい。これは音楽なのか?ビートだけでミニマルになっています。歌詞の内容は言葉遊びで精神的ではありません。音楽的に面白いです。スター・ラッパーが復帰第一弾として賭けたのがこれです。お2人も笑っていました。

今回はここまでです。いや~っ、濃いですね。
次回もお楽しみに!

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ヒップホップ講座 パート1

昨日1月28日(土)は ジャズ喫茶「いーぐる」「ヒップホップ講座」がありました。
講演者は「文化系のためのヒップホップ入門」の著者である
長谷川町蔵さんと大和田俊之さん。
昨年の「ジャズ・ヒップホップ学習会」(中山康樹さん講演)からの
ヒップホップ学習の続編です。
内容はこの本に沿ったヒップホップの紹介でした。

天気が良かったのですが東京は結構寒かったです。「いーぐる」へ行く前にディスクユニオンのヒップホップを売っている店に初めて入りました。「文化系のためのヒップホップ入門」片手にCDとレコードを漁るオッサン一人。周りは「何このオッサン。」と思っていたことでしょう(笑)。レコードを3枚買ってしまいました。その中の1枚JAY-Zの『Vol.3...~』の曲は「ヒップホップ講座」でもかかりました。しばし新しい空間を楽しんだ後は「いーぐる」へ。

P43お店の中はいつものジャズ・ファンより年齢は低め、ヒップホップ・ファンの方が多かったみたいです。まずは大和田さんから、ジャズを聴こうと思って18才の時に買った後藤さんの「ジャズ・オブ・パラダイス」が内面化してしまっているなんて話がありました。私もこの本に影響された一人なので、親近感が湧きました。続いて長谷川さんから、「ひよってマッドリブはかけないし、ヒット作しかかけない。燻ったヒップホップ好きには負けない。」なんて発言がありました(笑)。ヒップホップの歴史紹介の多くは誕生部分が長すぎるということで、今回は6パートに分けた各パートを30分ずつに区切って、新しいものをかけられるような時間配分にするとの説明がありました。サウンドの変遷を楽しもうという趣向。

今回は全部で28曲なので、上記6パートのうち2パートずつを3回に分けてレポートします。それでも9曲ずつになりますので、1回のボリュームはかなり多いです。

ヒップホップを勉強してきましたが、まだまだ素人に毛が生えた程度です。聞き間違えや誤解があるかもしれませんのでご了承ください。

お2人の発言は基本的に区別しません。

貼っている音源は当日かかったものとバージョンが違う可能性がありますのであらかじめご了承ください。

1.ヒップホップの誕生

① Gil Scott Heron の《The Revolution Will Not Be Televised》 1970年

フルートから始まるファンク。詩の朗読風≒ラップ。ベースのラインが気持ちいい。ドラムのフィルがいい感じ。フルートの伴奏が黒い。(以降ピンク字は曲を聴いての私の感想などです。基本的には当日聴いた感想をそのまま書きます。)

ラップのルーツ。スポークン・ワード。敢えてヒップホップとの違いを言えば、ヒップホップがゲーム、連歌であるのに対し、ギル・スコットヘロンはゲーム性がなくアートです。詩を読んでいて単体の作品として成り立っています。これはビートに乗ってるの?乗ってないの?というところがあります。ビートに対する言葉の乗っけ方がラップの面白さです。それはジャズの楽器演奏の乗り方と同じこと。リズムに乗って喋るのは昔から遊びとしてありました。それがどうやってヒップホップのゲームになったのか?ブレイクビーツを採用したことが大きいです。発想の転換。既存ビートに乗せてやるというフォーマットができました。70年代前半、サウスブロンクスでギャング(ティーン)の縄張り争いがあって、暴力に係るのと平行してラップが流行ります。当時フィリー・ソウルという洗練されたものが流行っていたけれど、ドラム・ソロだけ切り出しブレイクビーツとします。ターンテーブル2台でループさせてかけてその上でラップします。ブレイクビーツとして何が流行ったかたと言うと、JB(ジェームス・ブラウン)のドラムだけだった(笑)。JBからドラム部分だけが切り離され、ブロック・パーティーで必殺ブレイクとなります。

② Bobby Byrdの《I Know You Got Soul》 1971年

繰り返しの気持ち良さがよく分かります。トロンボーン・ソロが格好いい。

ゲロッパのJBのサイドメンのイントロだけをかけます。全体あっての部分なのに4小節だけをループさせちゃう。曲は鉱脈。ジャズ/ヒップホップの人は精神性というが、これは単にブレイクが格好いいだけ。ドナルド・バードやボブ・ジェイムスをサンプリングするところに精神性ははありません。ソウルより売れない=知らないけれど格好いい。この部分が格好いいという発想が凄いところです。前進運動を途中で切って回していくクリエイティブさ。凄い発想の豊かさです。

③ Fantastic Freaks at the Dixie From Wild Style O.S.T. 1983年

これはかかった音源と同じかどうか不明です。映像のほうが雰囲気は分かります。

かなり荒っぽく勢いだけ?パワーに溢れています。

①と②が合体するとどうなるか?当時のパーティーの録音はないので、80年代映画の不完全な再現です。こういうのが流行ってきて商業録音されていきます。マンハッタンではディスコ~ゲイ文化、ブロンクスではこういうブロック・パーティー、当時色々な場所で色々な音楽が起こっていました。

④ Sugarhill Gangの《Rapper's Delight》 1979年

ファンキーでノリの良い曲。これは昨年の連続講演でも聴きました。定番。

14分あるけれど割愛。さわりだけ1分くらいかけました。講演が始まる前にこの曲もかかっていました。③との違いは非常に洗練されていること。商業化時ディスコにされて、ロー(荒さ)が取れてしまいました。荒さを残したいため試行錯誤。生バンドでも荒くはできません。

⑤ Afrika Bambaataaの《Planet Rock》 1982年

低音のパワーが凄い。ポップです。

2年くらい打込みが大流行します。こういう曲で踊るイメージ。クラフトワークやY.M.O.を引いていて、ロボット化が実はファンキー。バンバータはクラフトワークはファンキーだと言っています。それは彼らがビデオや衣装を見ていなくてドラムだけ聴いているから。洗練されて近未来イメージになります。荒々しさはなくなります。ブロック・パーティーの荒い雰囲気を出したいということで、それまでのやり方をブレイクしたのがサンプラー。ドラムのフレーズごとサンプリングする(誤用)ことで荒さが出ました。これをかけた後、お2人から「いーぐる」オーディオの音(低音)が素晴らしいとの声がありました。

2.イーストコースト

⑥ Eric B & Rakimの《I Know You Got Soul》 1987年

ハイハットの荒々しさ。バスドラのマッシブさ。スクラッチが入ります。ギターのカッティングの音を変えているのが特徴。シンプルで格好いい。

②と同じ曲をサンプリング。当初のクラブの雰囲気が出てきます。ラップはクールになっています。それはレコーディング・ミュージックだから。ラップのビートの乗せ方のズレなどがあります。DJもサンプリングで出来るからいいというのではなく、このフォーマットで何が出来るかを考えます。サンプラーは曲のどこでも抜けるので、リズムブレイクだけでなくサックスなどもサンプリングして、コラージュ・アートと化していきます。エレピ、サックス、ベースなどをサンプリングして厚みを増していきます。各楽器のキーが合っていなくても格好いいということにもなります。

⑦ Pete Rock & CL Smoothの《They Reminisce Over You(T.R.O.Y.) 1992年

しょぼいサックスが思い出を想起させるイメージになります。ドラムはタイトになっていて、コーラスの浮遊感がいい感じ。確かにいい曲。じんわり染みてくる感じです。

東海岸のDJとラッパーのベストトラック。自分の幼なじみが抗争で亡くなり、友の思い出を自分の思い出としてラップしています。凄くいい曲。サックスはトム・スコット。ソフト・ロックのダメなアルバムから取っています。大和田さんが見た昨年のロイ・エアーズとのライブでこの曲をやったそうですが、来ていた40代くらいのお客さんが全曲を覚えていて大合唱していたそうです。そういう世代の心に残っている曲。トラックは一切手弾きをしていなくて、ピッチ調整はターンテーブルの回転数を調整して合わせています。ピート・ロックが泣けてきたのは長いサックス演奏の中で多分この2小節だけ(笑)。

⑧ Black Starの《Definition》 1998年

スローテンポのビート。タリブ・クウェリの畳み掛ける感じの撥音系ラップが格好いい。ギターのカッティングとブレイクが効いています。イントロと間奏はなんとなくレゲエもイメージさせます。

モス・デフとタリブ・クウェリのラップに注目。ヒップホップというと日本人はトラックを聴くけれど、アメリカはラッパーが主役。フロー、声色、ビートへの乗りを聴きます。モス・デフが先行。声色が面白いです。この人はラップのコンテストみたいなもので優勝する上手さです。後発のタリブ・クウェリは歌いだしでビートに乗っていないのがジャズっぽいです。そこからオン・ビートになっていくのが聴きどころ。韻の踏み方が分かりやすいです。ラップを聴いてほしい曲。

⑨ Gangstarrの《Mass Appeal》 1994年

エレピのブレイクがアクセント。ビートはマッシブでシンプルな繰り返し。派手さがないあたりが求道的ということか?後半スクラッチが入って、ラストのラップは効果音的。これは渋くて通好みという感じです。

フュージョン系ギタリストのビッグ・ジュリスのソロが終わって、エレピのソロが始まるその7音くらいをサンプリングしています。初期のヒップホップに比べると求道的。ヒップホップ道の美学。ヒップホップの代表曲です。ループの快楽。これに乗れるか乗れないのか?そこに気持ちが行くか?演奏は現代音楽(ミニマル・ミュージックなのだろうと思います)。それが売れてるのが面白いです。サウンド・オブ・ニューヨーク。ニューヨークの音は正にこういうもの。

ハイッ、本日はここまでです。次回もお楽しみに!

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今日で閉店の「サンリン」へ行ってきました。

とうとう、とうとう、今日で「ミュージックショップ・サンリン」が閉店してしまいます。

P43_5

「お疲れ様でした。ありがとうございました。」の挨拶をしに行ってきました。

今日もたくさんお客さんが来ていました。

皆さん会計が済むと「ありがとうございました。」と言ってました。

こんなにたくさんの方に愛されているお店が閉店してしまうのは残念無念。

でもしょうがない、「サンリン」は多くの皆さんの心に残ることでしょう。

私は3枚買ってきました。

チック・コリアの『ワルツ・フォー・デヴィ~ビル・エバンス・トリオに捧ぐ』

閉店してしまった下北沢のジャズ喫茶「マサコ」で聴いて気に入ったアルバム。
買いそびれていたのですが、半額セールということでゲット。

あとの2枚は中島美嘉の『YES』『STAR』

前回買った『TRUE』に嵌り、この人がすっかり気に入ってしまいました。
半額セールだから買うというのがセコイ(笑)。

ということで、これで「サンリン」での買い物はできなくなります。

「本当に長い間お疲れ様でした。大変ありがとうございました。」

m(_ _)m

昨日ジャズ喫茶「いーぐる」の「ヒップホップ講座」に行ってきました。
面白かったです。
渾身?のレポートは順次UPしていきます。
乞う、ご期待!

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ファンク視線でウェザー・リポートを見る。

中山康樹さんの「かんちがい音楽評論」には感謝しなければなりません。

早い時期にこの本のレビューもどきを書いたため、Google「かんちがい音楽評論」検索の1ページ目に私のブログが表示されることになり、おかげでアクセス数が異常にUPしました。ココログランキングでも今までで最高位を獲得。アクセス数が増えれば私のブログを知る方が増えるわけで、書いている内容がより多くの人に届くんですから嬉しいじゃありませんか。

アクセス数から言ってこの本の注目度の高さが分かります。菊地成孔さんとからめたワードで検索してくることが多いので、菊地効果を痛感。菊地さんをメインディッシュに据える中山さんのしたたかさ、私は評価します。

さて、今日もまたまたファンク視線!m(_ _)m
私のプチ・マイブームなんでご容赦願います。

今日はウェザー・リポートで行ってみよう!ウェザー・リポートはマイルスと並んで、私がジャズを聴き始めてすぐからのジャズ・アイドルでした。どちらかと言えば当時はウェザー・リポートのほうに肩入れしていたくらいです。

なんでマイルス、ウェザーなのかというと、ジャズのレコードを買った時(買ったレコード屋さんは明日閉店になるミュージックショップ・サンリン)にもらった、「ビッグ・ジャズ・フュージョン23}という廉価レコードの企画もののチラシなのです。ここからマイルス、ウェザーを聴き始めたことによるのです。(このネタはもう何度かブログに書いています。)

最初に買ったのは、マイルス『パンゲア』ウェザー・リポート『スイートナイター』ハービー・ハンコック『マン・チャイルド』の3枚。企画がマイルス、ウェザー、ハービーの70年代前半のアルバムを廉価で再発するものだったので、23枚のアルバムの短い宣伝文を何度も何度も読み返して熟慮して、3人の各1枚を選んだ結果だったのです。

今考えると、私にとってこの3枚はジャズ/ファンクに開眼するきっかけでした。そしてそれは”黒耳”の始まりだったのです。それまでの私の中の黒人音楽というとアース・ウィンド&ファイアーくらいだったので、そこから一挙にここに到達してしまったことになります。

で、ウェザー・リポートの話。キーボードのジョー・ザビヌル、サックスのウェイン・ショーター、ベースのミロスラフ・ビトウスの3人が主要メンバーとなり、そこにドラムとパーカッションが加わって1971年に結成しました。ショーターとザビヌルがマイルスのグループにいたので、マイルス・スクールから出たグループとされます。その手のグループとしては、ハービー・ハンコックのヘッド・ハンタース、チック・コリアのリターン・トゥ・フォー・エバーもあります。

当初はそのグループ名”天気予報”から分かるように自然志向のサウンドを展開しました。重要なコンセプトはファースト・アルバムのジャケ裏に書いてあるザビヌルが言ったという言葉”We Alwsys Solo and We Never Solo”。小山紀芳さんがそれを「ソロ/非ソロ」の原理と訳したそうです。要は集団即興のようなものだけれど、テーマ(メロディー)はもっとはっきりしていると思います。つまりアドリブ(即興)に拘っていて、この部分で非常にジャズ的なグループだったと思います。

その路線からファンク寄りになったのは、上記の『スイートナイター』(1973年録音)。マイルスがその頃やっていたファンク路線を取り入れたものであることは明白です。ファンク・リズムをやるためにもう一人のエレクトリック・ベース奏者(アンドリュー・ホワイト)を入れたり、ビトウスにエレクトリック・ベースを弾かせたりしています。アンドリュー・ホワイトがベースを弾いている《ブギ・ウギ・ワルツ》と《125丁目の出来事》はファンキーで私は大好きです。

結局、ビトウスはファンキーなベースが弾けないということで離脱してしまいました。代わって加入したのがアルフォンソ・ジョンソン。ファンク・ベースを弾ける人です。ファンクってエレクトリック・ベースが重要なんですよね。マイルス・グループではマイケル・ヘンダーソンがその重責を負っていました。ヘッド・ハンターズではポール・ジャクソンがいい仕事をしていました。

そういう流れの中でジャコ・パストリアスが起用されます。ジャコの場合はファンクというよりR&Bの人ですが、ファンキーなテイストを持った人です。そしてそのファンキーさがそれまでにない斬新さでした。もうジャコ・サウンドとしか言いようがないベースを弾くのはご存知の通りで、エレクトリック・ベースの革命児としてその名を知られる人です。更にジャコは類まれなるインプロバイザーでもあるわけで、その即興ベース・ソロを一度でも耳にしたことがある人なら、インプロバイザーとしての才能が並はずれていたことは疑わないでしょう。

このインプロバイザーというのが即興を重視するウェザー・リポートというグループに正にピタリと嵌ったわけで、ザビヌル、ショーター、ジャコによってウェザー・リポートが黄金期を迎えるわけです。

ジャコの凄さを知るにはますは『ヘヴィー・ウェザー』(1976年録音)でしょうね。グループに入ってそれ程経っていないのに、ザビヌルとジャコのコラボは既に凄いことになっています。《バードランド》という曲はキャッチーなメロディーのポップ曲というイメージになっていますが、その実、ザビヌルとジャコが代わる代わる前になり後ろになりメロディーを推進させ、軽快なグルーヴを維持させ、表情を刻々と変化させ、更に至る所に過激な音が突っ込まれているという代物です。

間に入っている、ベースの”グアーン”や、ザビヌルのアコースティックピアノ”ガン”弾き、刺激的なシンセ音、ショーターの咆哮、”ガーンッ”と入るブレイクなどなど、あなたは《バードランド》をきちんと聴いたことがありますか?そういう過激なものをメロディアスなポップ曲として聴かせてしまっている凄さに脱帽します。

そして、インプロバイザーとしての実力を知るにはライブを聴けば良いわけです。そうです。その魅力が詰まったアルバムが『8:30』(1978、9年録音)です。最高のパフォーマンスです。電車の通過音や花火の音を効果音として使い、それが全く浮いていないというスケール。基本4人でやってますから。しかも楽しい。エンターテインメントとしても一流です。会場の盛り上がりぶりは凄いことになってます。ジャコのベース・ソロ、ショーターのテナー・サックス・ソロ、ジャズです!即興あってのジャズでしょっ!

新しいファンクと新しい即興、それを最高のメンバーでやって黄金期を築いたグループがウェザー・リポートです。ジャコがメンバー入りした時、既にマイルスは一時引退状態。だからその時ウェザー・リポートはジャズ界の期待を一身に背負っていたのです。う~ん、だんだん大袈裟になってきってます。ほどほどに解釈していただきたく(笑)。

ジャコが抜けてやっぱりパワー・ダウンしましたよね。私がジャズを聴き始めたのは正にそんな時で、ある意味時代の転換期でした。マイルスの復帰、ウイントン・マルサリスの台頭、今のような閉塞感はなく、面白かったな~。

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ファンクという視線でジャズを見る。続き

前回はファンク視線でマイルスとオーネット・コールマンを見ました。今回はM-BASE(ブルックリン派)を見てみます。

私がこの人達の音楽を初めて聴いたのは、ゲイリー・トーマスの『バイ・エニー・ミーンズ・ネセサリ』(1989年)です。ものすごくカッコイイ音楽だと思いました。《ユア・アンダー・アレスト》をやっていたし、その作曲者であるジョン・スコフィールドが参加していたので、マイルスつながりで聴いたように記憶しています。デニス・チェンバースのヘビー級ファンクドラミングも炸裂。その次に本家スティーブ・コールマン&ファイブ・エレメンツの『リズム・ピープル』(1990年)を聴きました。この人達には最先端ジャズを感じましたね。当時はジャズが前進していると思いました。

そう思いつつ、当時の私はと言えば、仕事に追われていてジャズをそれほど聴けなかった時期なので、残念ながらその後をフォローしていないのです。だからM-BASEについて書くと説得力に欠ける可能性があります。でもそこは裏技を使ってしまいます(笑)。

P41_3

M-BASE(Macro Basic Array of Structured Extemporization)という音楽理念を掲げて活動する一派(ブルックリンに住んでいたのでブルックリン派とも呼ぶ)は、80年代後半に名前を聴くようになったように記憶しています。この人達もファンクをやっていました。ただし変拍子ファンクですね。当時私は新しいリズムだと感じました。この人達はリズムだけでなくアドリブについても自覚的で、独特の方法論でアドリブをとっています。そのアドリブは浮遊感があってねじれた感じか。当時はやっぱり少々違和感がありました。でもそれが新しさだと受け取れました。

ここで裏技発動。この人達については後藤雅洋さん著「ジャイアンツ・オブ・ジャズ」に登場していただきましょう。1991年発行の本ですが、私はリアルタイムで読んだわけではなく、10年以上後に中古本を買いました。この本の最終章にブルックリン派(M-BASE)としてスティーブ・コールマンが登場します。こんなことが書いてあります。いくつか抜き出しました。

「ファイブ・エレメンツの音楽が追及するのは、リズムだ。彼らの演奏を注意深く聴くと、実に複雑なリズム・パターンが激しく変化していく。だが重要なポイントは、それが聴き手の身体のリズムに実に心地よくフィットする点だ。このへんがウイントン・マルサリスら、いわゆる”新伝承派”の連中が演奏途中でわざとらしくテンポを倍に取る空々しさとは対照的なところである。」
「スティーブ・コールマンの音楽には”現代の身体のリズム”を追及するという基本姿勢がある。だから”新伝承派”で踊るというのは悪い冗談だが、スティーブ・コールマン達の音楽は立派なダンス・ミュージックたりえているのだ。」
「まず彼らは、ジャズが現代置かれている立場を理解しており、そうした条件を十分考えたうえで自分達の音楽を作ろうとしていること。そしてその結果、リズムにおいて、ジャズの伝統たる身体との協同性を新たなレベルで獲得している点である。」
「彼らの音楽が現在、平均的ジャズ・ファンのポピュラリティを得ていないのは、恐らくメロディーの馴染み難さが原因だろうと思う。」
「スティーブ・コールマンとファイブ・エレメンツの魅力は、ミュージシャンの息吹がナマに伝わってくる小規模なクラブでなければ、本当のところはわからないのかもしれない。僕は幸いそういうチャンスに恵まれたけれども、ライブにおける聴衆との一体感は、缶詰音楽のレコード、CDではなかなか伝わり難い。」
「スティーブ・コールマンは、リズムの新しさや、バック・グラウンドとしての音楽体験はまさに現代のものではあるけれども、音楽を構成する基本的な考え方は、ビバップの延長上のものだ。」

実に興味深い内容です。20年前にも後藤さんは身体感覚って言ってますね。これぞ”黒耳”による聴取と言うべきか?

ファンクの延長上に位置するこのリズムが、当時の感覚にフィットしたもので、”ダンス・ミュージックたりえている”というのが特に興味深いです。元々ファンクはダンス・ミュージックですが、複雑な変拍子ファンクでもやっぱり踊れるというのが面白いですよね。後藤さんは”拍子数を(頭で)数えて乗れない”とか言ってないのがいいです。リズムを身体感覚で捉えています。

新伝承派に対するネガティブ発言も面白いですし、スティーブ・コールマンらの音楽がレコード/CDではなく小規模なクラブでないと良さが伝わり難いかもしれないというところも面白いです。

で、思いましたよ。上の文章の”スティーブ・コールマン/ファイブ・エレメンツ”を”ヒップホップ”に置き換えたらどうなるかということです。意外と成り立ってしまうような気もするのです。そうだとしたら、中山さんが「ジャズ・ヒップホップ学習会」でヒップホップが現代のジャズだと言っていたことが分かるような気がしてきました。それも身体感覚というレベルで! ただし、アドリブ・ソロ(インプロビゼーション)の有無という決定的な違いを無視することができないというのが私の意見です。

M-BASEの変拍子ファンクとヒップホップのブレイクビーツ(ファンクがサンプリングされたりした)には、黒人が求める新しいリズム感の同時代性があったのではないかと思います。要はジャズに係っていた黒人とヒップホップに係っていた黒人の違いがアプローチの違いとなって表れただけなのではないかという気がするのです。リズムにフォーカスした場合、”ジャズ耳”のチューニングをちょっとだけ変えれば、意外とヒップホップも楽しめるのかもしれません。ただし、ファンクをジャズとして認める”ジャズ耳”が前提ですが。

話は現代に飛びます。M-BASEは今もニューヨークに脈々と流れています。リズムは特にドラミングが複雑さを増した形になっています。私が昨年のジャズ喫茶「いーぐる」の「年末ベスト盤大会」でかけたルドレシュ・マハンサッパなんかはその流れです。やっているのが黒人ではないので黒さはないですが、今では数少ない面白いジャズの一つだと私は思っています。もちろんスティーブ・コールマンは今も頑張っています。

さて、M-BASE人脈の中ではこの人に触れておかなければならないでしょうね。グレッグ・オズビーです。モロにヒップホップをやっちゃった人です。私が持っているのは『3-Dライフスタイルズ』(1993年)のみ。それも数年前にやっと買いました。オズビーはもう1枚ヒップホップ・アルバムを出しているようですが聴いたことはありません。結局その2枚しかヒップホップをやっていないようです。ジャズサイドの評価ってどうだったんでしょうね?話題になったのは確かみたいです。

本アルバムについて、ジャズ批評誌100号「90年代のジャズ」(1999年)で、原田和典さんが「まず聴くべきはサックスの”鳴り”、そしてブラック・ヘリテイジに対する畏敬の念だ。本作やゲイリー・トーマスの『オーヴァーキル』こそジャズ・ヒップホップの金字塔として語り継がれるべきだろう。」と書いています。注:アルバムにはマーヴィン・ゲイやセロニアス・モンクに捧げた曲が入っています。

JaZZ JAPAN誌Vol.6「ジャズ・ヒップホップの真実」(2011年)という記事の中では、「グレッグ・オズビーの失敗」ということで、須永辰緒さんが「”音の選び方”っていうのは(原因として)あると思います。打ち込みのキック一つとっても流行ってあるんですよ。その音の選び方が古臭いっていうのは感じますね。」と、原雅明さんが「たぶん生楽器の音には神経を使っているんでしょうけど、打ち込みの音、あるいはサンプリングされた音にそれほど気を使っていないような感じがする。」と言っています。

ジャズ側からとクラブ/ヒップホップ側からの、12年の時を経た意見ですが興味深いところです。

ヒップホップ・トラックの上で気持ち良さそうにアルトを吹いているオズビーがいます。多くの曲にラップも重なっています。ブルーノート・レーベルから出ていますから、基本的にブルーノートのレコードからサンプリングしているのではないかと思います。アコースティック・ベースをサンプリングして前に出した曲もあります。ヒップホップをかじりサンプリングの特徴も分かってきた私の耳には、トラックの出来は悪くないように聴こえます。カッコイイと思いますよ。

やっぱりニュー・トラディショナリスツ(新伝承派)を体験したジャズ・ファンには届かない音だったのではないかという気がします。ヒップホップ・ファンにはオズビーのサックスが余計なものに写ってしまったのではないかという気がします。そんな理由から結局広がりは見せなかったのでしょう。

P42M-BASEの中ではグレアム・ヘインズも『トランジション』(1995年)でヒップホップを取り入れています。全面的にヒップホップというわではありませんが、DJのスクラッチとサンプリングが融合され、そこにパーカッションがからみ、バーノン・リード、ジャンポール・ブレリー、ブランドン・ロスというギタリストが活躍。中近東風エスニック風味までもあり、独自のジャズを展開しています。こういうことができるのもM-BASEならではの感性なのでしょう。

ファンク視線でM-BASEを見たら、今の私はヒップホップにまで考えが及んでしまいました。意見の羅列でまとまりはないのですが、私としては気づきがあって面白かったです。

近々ロバート・グラスパーの新アルバム『ブラック・レディオ』が出るのですが、これがヒップホップとの関係が深く、クラブ/ヒップホップ側の人達の間ではかなり盛り上がりを見せているようです。私も楽しみにしています。

HMVの広告:http://www.hmv.co.jp/news/article/1201230067/

一般的な(便宜上の)セグメントとしての”ジャズ村”からあまりにも久々に登場した、進むべきブラック・ミュージックの”真の”未来を指し示す重要作品となり得るか否か?

どちらにせよ、ヒップホップ全盛期(その一方で、ダンス~クラブ・ミュージックとしてのヒップホップが過渡期を迎えているとも)、ブラック・ミュージックとしてのジャズが”脆弱”と叫ばれて久しい今こそ、”ジャズ村”きってのエクスペリメンタリストとしての真価が問われる一枚になることは間違いないだろう。

だそうな。ジャズがすっかりバカにされてしまっている今日この頃です(笑)。

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ファンクという視線でジャズを見る。

前回はマイルスが60年代末からブラック・ミュージックのメインストリームであるファンクをやっていたという話をしました。今回はファンクを切り口にそこからもう少し話を広げてみたいと思います。

まずはもう一度マイルスについて整理します。マイルスがファンクをやったといっても、そこはマイルスですからファンクを基調としつつ出来上がったものはマイルス・ミュージックとしか言いようがないものであることは説明するまでもありません。『アガルタ』『パンゲア』という成果になりました。

残念なのはその後の引退ですよね。6年も音楽から遠ざかってしましったため、実質は5年くらいかもしれませんが、それによって復帰後は時代の最前線としてのジャズを作り出せなかったという結果を招いてしまったのではないかと思えるのです。

ブランクだけではなく復帰時の世の中の情勢にもよるとは思います。引退時には全盛だったファンクがディスコ・ミュージックとエレクトロニクスの発展(≒テクノ)で下火になってしまっていたことです。更にジャズ界ではフュージョンがすたれつつあり、ウィントンに代表されるメイン・ストリーム回帰(アコースティック楽器の使用と4ビート)の波が押し寄せていたのです。マイルスとしても何をやれば良いか迷ったのかどうか?結果的には従来のファンク路線をすっきり整理したものになっていたと思います。

この時期のファンクの要はもちろんマーカス・ミラー。復帰後のマイルスに最も影響を与えたベーシストです。マーカスがマイルスの元を離れ、ファンクからの移行ができたかもしれないのに、マイケル・ジャクソンとシンディ・ローパーというポップスへの接近があり、結局マーカスが戻ってくきて、それも全面的にお任せ(『ツツ』)だったというのが今振り返ると興味深いところです。

このタイミングでマイルスがヒップホップをやっていたら、ジャズ界がもっと面白くなっていたかもしれないです。もしそうなっていたらウイントンは激怒したでしょうね(笑)。

更に付け加えるなら心境的な変化もあったでしょう。それはセレブリティとしてのマイルスです。マイルスが復帰した時点で世間がマイルスをセレブリティとして見たところが大きいわけです。何をしても世間の注目を引くわけです。マイルス自身がそれを楽しんでいた節も感じられます。きっと音楽だけに集中できなかったんじゃないかと想像します。

というわけで色々な要因が重なってファンクを引きずった結果、ブラック・ミュージックのメインストリームになったヒップホップの吸収に手間取ってしまたのだろうと思います。でも最終的にはヒップホップをやり、『ドゥー・バップ』が出たというのがマイルスというミュージシャンの凄さなのだろうと思います。

マイルスをジャズ視線ではなくブラック・ミュージック視線で見ると、色々なことがスッキリ見えてくるというのが今の私の自論です。

さて、マイルスを離れファンクに話しを戻しましょう。

70年代、ファンク視線でジャズ界を見た時、もうひとりの重要な人物が浮上しますよね。そうです。オーネット・コールマンです。マイルスの一時的な引退時、『ダンシング・イン・ユア・ヘッド』と『ボディ・メタ』を引っさげて登場しました。マイルスと並ぶジャズの革命児オーネットもファンクをやったのです。その後プライム・タイム・バンドと名乗ることになります。

オーネットが自分たちの音楽に”ハーモロディック理論”なるわけのわからない命名をしたものだから世間は惑わされました。結局のところファンクを基に独自のジャズをやっていたと解釈すればすっきりするでしょう。ここでファンクとは何かというのを要約します。ベースのうねるグルーヴ感とギターのカッティングです。マイルスとオーネットのファンクはこの2点で見れば共通ですよね。『ヴァージン・ビューティー』ではテクノも取り入れていました。

ここでは”ハーモロディック”一派から出たギターのジェームス・ブラッド・ウルマー、ベースのジャマラディーン・タクマ、ドラムのロナルド・シャノン・ジャクソンの3名をあげておかないとまずいですよね。80年代に入りそれぞれユニークなファンクを推進していました。

日本のジャズジャーナリズムはウィントンに連なる動きとマイルスの復帰後に光を当てた結果、このあたりの人達の活動を影に隠くす傾向になってしまったのは痛いところです。フォローしていたのはDIWレーベルくらいです。ディスクユニオンって当時からジャズ界をまともに見ていたんですよね。

そしてジャズ界からこのムーブメントが自然消滅していってしまったのも残念です。最終的にはオーネットが最後まで頑張っていたように感じます。オーネットが95年に『トーン・ダイアリング』を出したあたりで終わったんじゃないでしょうかね。

で、これを今聴きなおしてみてビックリ! 1曲だけですがヒップホップもやっていました。ラップも入っていますよ。面白いですね。しかもどこをどうとってもオーネット・ミュージック。アルバム全体としては様々なアプローチで、ファンクを中心にバップ、フリー、ヒップホップと何でもやってます。オーネットなりにジャズを総括していたんです。

ジャズ・ジャーナリズムはこのアルバムを忘れ去っています(涙)。
たぶん中山康樹さんもこれまではチェックしてないと思います(笑)。

知っている人はきちんと押さえているこのアルバム。
ジャズ・ナビゲター高野雲さんのレビューがイイ感じです。
レビューはこちら ⇒ Ornette Coleman『Tone Dialing』評

そして、ファンク視線でジャズ界を見た時、この人達を忘れてはいけません。
M-BASE(ブルックリン派)です。この人達の話は次回に回しましょう。

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「ブラック・ミュージック入門」を買いました。

中山康樹さんの「かんちがい音楽評論」は面白かったのですが、今の私の音楽的な興味は中山さんの「ジャズ・ヒップホップ・マイルス」を引きずっています。このテーマって私のなかでは未消化なので、頭の中で”グニョグニョ、ウニョウニョ”とのたうっているのです(笑)。

で、昨日いつもの食品買い出しの帰り、いつもの「朗月堂」(本屋)に寄ってきました。目的は「かんちがい音楽評論」が売っているかどうか見ること。やっぱり売ってなかったので、Amazonで買って良かったです。今盛んに宣伝しているディアゴスティーニの「ブルーノート・ベスト・ジャズコレクションズ」はたくさん並んでいました。通りかかったカップルの女性が「あっ、ブルーノトート」と言ったけれど、それだけで通り過ぎていったのが面白かったです。単にTVで宣伝しているアレがあるということなのでしょう(笑)。売れてるのかな~。

さて、面白い本がありました。「ジャズ・ヒップホップ・マイルス」の未消化をもう少し消化したいという気持ちからこんな本を手に取ってしまったのです。「ブラック・ミュージック入門」です。ジャズも知っているし、ヒップホップもかじってきたわけですが、ここはやっぱりそれらを含むブラック・ミュージックをもう一度押さえておきたいと思ったからです。

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ジャズについては書いてないのですが、それは知っているから良しとして、興味が湧いたのは現代のブラック・ミュージックがヒップホップになっていたからです。なるほどやっぱり現代のブラック・ミュージックはヒップホップなんだと思いまいしたし、そこに至る流れが分かれば何か見えるかもしれないと思ったのです。

内容は、歴史を大雑把に4期に区切ってあり、各期間の大雑把な流れを社会の出来事ととともに総括し、その時期毎にミュージシャンについての個別の紹介をしています。間には各期間の音楽的なトピックスにちなんだコラムもパラパラと挟まっています。

まず各期間の大雑把な流れを先に読んでしまったのですが、はっきり言って内容はかなり端折ってあります。でも実はそこが良かったりするのです。大雑把故の分かりやすさがあります。まずは俯瞰できました。ヒップホップも俯瞰できました。今後はここから細かいところを補足していけば良いのです。

4期というのはこんな感じ。
ソウル以前
ソウルの時代(50年代~60年代後半)
ニュー・ソウル~ファンクの時代(60年代末~80年代前半)
ラップ、ヒップホップの時代(70年代末~2000年代)
たったこれだけです(笑)。

分かったのは、マイルスが60年代末までやっていたのはジャズ以外の何物でもなかったのに対し、60年代末からやろうとしたことはブラック・ミュージックのメイン・ストリームに変わったってことです。余談ですが、ジャズをここへつなぐために中山さんはフリー・ジャズ(アーチー・シェップなど)を持ってきています。マイルスはそれをやっていないんですよね。

70年代はスライ・ストーンに代表されるようなファンクが花開いた時代で、正にマイルスはそれを取り入れたわけです。ジェームス・ブラウンがファンクを築いたというのも興味深い事実でした。マイルスが一時的に引退した時期。ダンス・ミュージックだったファンクがディスコ・ブームによって下火になり、ディスコ・ブームの中でヒップホップが出てくる流れも面白いです。

80年代に入りマイルスが復帰するわけですが、ファンク下火の中で頑張っていた人達、エレクトロニクスの発展で大所帯のバンドが不要となる流れをとらえた人員削減のキャメオ、プリンスなど新型ファンクに、その時期マイルスが接近していたのはなるほどと思えますし、実際売れていたマイケル・ジャクソンもやっちゃったりしたのはブラック・ミュージックのメイン・ストリームをやりたかったということで腑に落ちるわけです。

そのころはまだヒップホップがアンダーグラウンドだったわけですが、80年代後半になるといよいよヒップホップがメジャーになります。本来マイルスはこの時点でヒップホップに乗っても良さそうなのですが、そうならなかったのはマイルス故の慎重さと捉えるより、私は6年間の空白によるj時代感覚の”ボケ”によるものだろうと思います。中山さんの見立てによるこの時期のファンクの失敗は、正に”ボケ”によるものではないでしょうか。

更に推論すれば、6年の空白から81年に復帰し、そこから空白期間の2倍、つまり12年後の93年には時代感覚の”ボケ”を修正することができ(ブランクを取り戻すってそんなものなのです)、当時のブラック・ミュージックのメイン・ストリームであるヒップホップをマイルスが使いこなし、ファンを納得させるアルバムを出したのではないかと想像するのですが、残念ながらマイルスは2年前の91年に亡くなってしまいました。マイルス死後の92年に『ドゥー・バップ』が出たというのは、それを期待させるに十分な出来事だったと私は考えます。

そして現代のヒップホップとマイルスを考えた時、ブラック・ミュージックのメイン・ストリーム:ヒップホップの再重要人物であるカニエ・ウェストが、マイルスの見た未来として浮上してくるというのが、私の得た見解です。

ついでに、70年代に入りマイルス・スクールから出たフュージョンの一言で括られがちな3人のキーボーディストについても見直しておきたいと思います。ソロ/非ソロというアドリブに拘りジャズのフィールドに留まったジョー・ザビヌル(ウェザー・リポート)、ロック・リズムとギターを前面に出しテクニカル・フュージョンを推進したチック・コリア(リターン・トゥ・フォー・エバー)、黒人故かブラック・ミュージックであるファンクを継承したハービー・ハンコック(ヘッド・ハンタース)にして一番マイルスに忠実な後継者、ということになろうと思います。今更言うことでもないかもしれませんね。

私が言いたいのは、その流れからいくとハービーがいち早くヒップホップを取り入れたのは至極当然であり、ジャズのウェザー・リポートとはアドリブという視点からすでにレールが分かれていたのではないかということです。そしてマイルスにおいては、そういう異なったものが時に現れたり隠れたりしながら、併存していて神秘性として大衆に写ったことが最大の魅力なのだろうと思うわけです。

なんとも大雑把な推論ですが、結構いいところを突いているかも? いやっ、箸にも棒にもかからない代物かもしれないですし、そんなことはもう誰かが言っている既知のことなのかもしれません。自己納得ということであしからず(笑)。

「ジャズ・ヒップホップ・マイルス」、私にはとても面白いテーマです。

***

ジャズナビゲーターの高野雲さんから長文コメントをいただきました。

そこには興味深いことが書かれています。
それを詳しく知るには雲さんのブログをご覧下さい!

マイルス・デイヴィスの『カインド・オブ・ブルー』と『ドゥ・バップ』

会話をきっかけにインスピレーションが湧く展開って面白いですよね。
ネットではこういうことが簡単にできるところがいいのです。
まっ、リテラシーの問題とかもあるでしょうが、
活字にはない魅力があることもまた事実なのです。

***

今週末1月28日(土)は、ジャズ喫茶「いーぐる」で、「ヒップホップ講座」があります。『文化系のためのヒップホップ入門』の著者である長谷川町蔵さんと大和田俊之さんによる講演です。私も行く予定。楽しみです。

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雲さんの「かんちがい音楽評論」書評がためになる。

今日、高野雲さんのブログに
中山康樹さん著「かんちがい音楽評論」の書評がUPされました。

的を射ていると思いました。
ちゃんと視点があります。
中山さんが主張する視点を持った評論になっていますよね。
さすがだなあ~。
大学のテキストに、というのも面白いです。

是非ご一読を。

活字世代とネット世代の価値感・行動様式の違いが浮き彫りになった本~『かんちがい音楽評論』を読んで

ネット通販で入荷が遅いならお店に買いに行ったらいいんじゃないですか?
なんて私が言ったものだから、少々難あり本を買うはめになっちゃったみたい。
雲さん m(_ _)m

P39

ネット世代の一般大衆の暗黙の判定に活字世代から”物言い”がつく
というのもなかなか面白いんじゃないでしょうか?

でもここで話題に上っているネット世代はもういい歳ですよね(笑)。
この本を読む人もたぶんほとんどがいい歳です。私も含めて。
さらに若い世代はこんなことには無関心かもしれません。

本を買って読まないだろうし。
ということで、一応ネット世代の私はバンバン宣伝します。
まっ、微々たるものだとは思いますが、やらないよりはましでしょう。

本買えよ!特に菊地成孔ファン!(笑)

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「かんちがい音楽評論」を読み終えました。

字が大きいし、小ぶりの本だし、ページ数が少ないのですぐに読み終えられます。
確かにこれが¥1,680(税込)では高いかもしれませんね。
まっ、そんなせこいこと言ってもしょうがないですが(笑)。

P39
内容については特に異論をはさむところはありません。
批評とは?評論家とは?に対する中山さんの回答も提示されています。
中山さんがジャズ業界を憂いてこれを書く気持ちはお察し致します。
21世紀も10年が過ぎ、いい区切りなんじゃないでしょうか。
確かに中山さんは『最後のジャズ評論家』なんだという気がします。

ジャズ業界の人はこれを読んで現状を把握したら良いのではないでしょうか。
現状に甘んじず、何かしたいなら、
まずは現状を把握するところから始めないといけませんからね。
そしてアクションを起こしたいと思ったら起こしてほしいと思います。

内容はジャズマニアが集まった時の話題かもしれませんが、
それを本にしたことに意味があると考えます。
そして、本にすることの意味は中山さんが重視していることなのです。

ここに書いてあるかんちがいの数々、
全部のかんちがいがなくなったら、ジャズ業界は面白くなくなるでしょうね。
かんちがいも含めてが今のジャズ業界の魅力であると考えられるからです。
で、そのまま地獄へ向かうと(笑)。
あっ、これは皮肉ですよ。

第3章、ジャズマン菊地成孔さんへのディスりはなかなか凄いですよね(笑)。
内容については同感なのですが、m(_ _)m
”ディスる”の意味が分かる菊地ファンの反動を見守りたいと思います。
無視して終わりかもしれませんね。今時の反応は。

ちなみに
マイルス・デイヴィス、菊地成孔、私に共通する ”ふたご座AB型” は、
変な人なんでしょうね(笑)。

ジャズ界隈の人には読んでほしい本です。
そして、良い本とか悪い本とかの次元じゃなく、
読んだ人それぞれが意味を考えてほしいところです。

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「かんちがい音楽評論」が届きました。

今日、注文しておいた中山康樹さん著「かんちがい音楽評論」が届きました。
早速第1章を読み終えました。
字が大きいのですぐに読めました。

P39_2

内容はやっぱり中山さんが「JaZZ JAPAN」誌に書かれていたことの延長で、
例などを増やしてより丁寧に説明しているものでした。
この第1章にたぶん評論の現状がほぼ書かれているのではないかと思います。

さて、第1章を読んだだけですが第一印象を書いてしまいます。

その書き方はクールで客観的です。
過度のものを期待すると肩透かしをくらうかもしれません。
でも、その書き方に意味があるのだと感じます。

クールに客観的に書くこと。
それが「批評」なのだろうということです。
私はそこに中山さんの「批評眼」を感じました。
この書き方にこそ中山さんの「批評」に対する回答を見るべきだと思いました。

余談ですが、山中千尋さんが書いていることなどは「批判」なんだろう思います。
「批判」と「批評」の違いは何かと考えてみたら、
「批判」は主観的行為であり、「批評」は客観的行為なのだろうと。

実際のところは結構微妙なのでしょうけれど、
第1章を読んだ感じでは「批評」をしていると感じました。

まあ、第1章を読んだだけなので、
読み進むうちにまた違ったものが見えてくるかもしれませんが、
その時は読み終えてからの感想に反映させることにします。

大西順子さんの一件は全く知りませんでした。
私はツイッターをあまり見ていないので知らないのは当然ですね。
ツイッターってまだまだ影響が及ばないところはいっぱいありますよ。

それから山中千尋さんと大西順子さんの類似性をあらためて実感しました。
発想が近いからやっているジャズも似たテイストになるんでしょうね。

もう一つ。
山中千尋さんが批判しているのは寺島靖国さんであることは明白ですが、
この本には山中さんが批判するような「ジャズ評論家」は存在しないとあります。
それって寺島さんが「ジャズ評論家」ではないといいう意味ですよね。
それをほのめかす文章もありますしね。
まっ、私も同感ではありますが(笑)。

当然自覚しているだろうと思わず、
ジャズ業界の人はこの本をきちんと読んでみても良いのではないかと思います。

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ガゾーンのガッツ溢れるテナーが聴ける1枚

去年の新譜紹介です。注文してから届くまでに時間がかかりました。

P38ヤツェク・コハン『ファイリング・ザ・プロフィール』(2008年rec. intuition)です。メンバーは、ジョージ・ガゾーン(ts)、ヤツェク・コハン(ds)、ドミニク・ヴァニャ(p)、アンジェイ・シフィェンス(b)です。ガゾーンがポーランドのピアノ・トリオと録音したアルバム。

これはツイッターで知ってディスクユニオン・ジャズ館のホームページの新譜情報を見てから昨年Amazonに注文しました。入荷は今年に入ってから、入荷するかどうか若干心配しましたが無事届きました。

難しい説明不要な内容です。ガソーンのガッツ溢れるテナーを聴ける1枚。ガゾーンのモーダルな吹奏はマイケル・ブレッカーとクリス・ポッターの中間くらいです。最近この手のガッツなテナーはクリポタに任せろという感じでしたが、いやいやどうして、ガゾーンも負けていないのでした。バラードも説得力があります。コルトレーンみたいなスピリチュアルな匂いの演奏も。録音自体は2008年なのでちょっと古いですね。

そんなガゾーンをバックアップするピアノ・トリオは硬派なもの。リーダーは全楽曲を提供しアレンジもするドラマーのコハン。コハンのパーカッシブで躍動的なドラムを軸に、ギシギシと軋む強靭なベースを爪弾くシフィェンス、美しさもあるけれど重厚な音をぶつけるピアノのヴァニャが、ガッチリとスクラムを組んでいます。ピアノはマッコイ・タイナーから灰汁を抜いた感じですね。好きなタイプのピアノ。そしてベースの軋みは最高レベルです。

ビートは8ビートが多いので、この雰囲気は80年代メインストリーム回帰の頃のフュージョン経由のジャズマンがやっていたジャズになっています。私なんかはこういうタイプのジャズが好きでジャズに嵌ったようなものなので、とてもすんなりやっていることが伝わってきます。

コハンの曲は変にアブストラクトにならず落ち着いたモーダル正統派。キャッチーなところはないですが佳い曲だと思います。微妙な哀愁トーンはやはりポーランドならではのエスニック感なのでしょう。特に新しいものではないですが、こういう硬派ワン・ホーン・カルテットには安心して浸れます。

まっ、色々な理屈は抜きにしてガゾーンのテナーを満喫するのが正解!

う~む、CDは入手に手間がかかるかも?
Amazonは既に配信のみです。

アルバム名:『FILING THE PROFILE』
メンバー:
George Garzone(ts)
Jacek Kochan(ds)
Dominik Wania(p)
Andrzej Swies(b)

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とんでもない本が出たみたい!

今日、ジャズ喫茶「いーぐる」 のbbsを読んだら後藤さんの書き込みが。

中山康樹さんが新作本を出したとのことです。

『 かんちがい音楽評論[JAZZ編] 』

P39

やばそうなタイトルです(笑)。

Amazonの宣伝文にはこんなことが書いてあります。

”消費者(受け手)の「眼力・聴力」の低下を促し、大衆をミスリードする「批評家」「音楽家」「メディア」を徹底批判する。腹を括った完全書き下ろし。 ”

かなりやばいですよね(笑)。

かなり反発があった『ジャズ構造改革』は3人の鼎談でしたが、

今回は中山さん独りで殴り込み(笑)。

これは読まなきゃまずいでしょ。

ということで、私は早速注文しました。

『ジャズ構造改革』からもう5年経つんですね。

当時はジャズブログをやっていなかったけれど今やってますからね。

今回もジャズブロガー批判はあるのかな~。

もう相手にしてもらってないかも?

批判は堂々と受けて立ちます。

内容としては「JaZZ JAPAN」誌に書いていたことの延長だろうと推測。

一昨年の年末、後藤さんの『ジャズ耳の鍛え方』発売記念イヴェントの時、

確か中山さんは「批判はもう古い。」なんておっしゃっていました。

でも「JaZZ JAPAN」誌では山中千尋さんはじめ色々批判がありましたよね。

で、とうとうこう来ましたかっ!

全く予期していなかっただけに不意打ちです。

昨年は『ジャズ・ヒップホップ・マイルス』で手一杯の私。

裏でこんなものも書いていたんですね。中山さん!

早く届かないかな~。楽しみ!

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ニコラス・ペイトンがこんなの出しちゃった。

私にとってエレクトリック・マイルスというのは特別な音楽で、カッコ良さの頂点にあると言ってもいいと思っています。色々聴いてきましたけれどやっぱり超えるものはないわけです。そんなエレクトリック・マイルスを愛すミュージシャンのアルバムやエレクトリック・マイルスをコンセプトにしたアルバムが出ると、私は気になってしかたがないのです。今日紹介するのもそんな1枚?

P37ニコラス・ペイトン『ビッチェズ』(2009,2010年rec. IN+OUT Records)です。メンバーは、ニコラス・ペイトン(vo,tp,flh,syn,key,p,B-3 org,drum machine,b,ds,per)、ゲスト・ボーカル:カサンドラ・ウィルソン、チナ・ブラック、エスペランサ・スポルディング、N’ダンビ、サンダース・サーモンズです。ご覧のとおりのペイトン独り舞台。

タイトルの『ビッチェズ』はマイルスの『ビッチェズ・ブリュー』から取っているんでしょうね。ディスクユニオン・ジャズ館のホームページを見ていたら、ヒップホップ・ファンにもオススメのファンク・エレクトリック・サウンドなんて書いてあるものだから、気になって買ってしまいました。

はいっ、マイルスの『ビッチェズ・ブリュー』とは無関係でした。ファンク・エレクトリックというだけで『ビッチェズ』とタイトルをつけてしまうところに今時の感覚を感じます。ヒップホップのリズムを採用というかヒップホップのトラックを採用している曲もあるという点では、『ドゥー・バップ』を出したマイルスにもつながるわけですが、極めて今時なアルバムだと思います。

ピュアなジャズファンからは完全に無視される内容でしょうね(笑)。さて、一応分かりやすくするためにジャンル分けしますが、フュージョンかな。ヒップホップやアダルトなファンク・トラックの上で、ペイトンがAOR的なボーカルを披露したフュージョン・ボーカル・アルバムです。ペイトンのボーカルはなかなか上手いです。柔らかく甘い声も良い感じだと思います。

前作?『イントゥ・ザ・ブルー』は、パーカッション入りワン・ホーン・クインテットによるエレクトリックとファンクを取り入れたアルバムで、ボーカルを披露する曲もありました。それを発展させたのが今回のアルバムです。

昨年ヒップホップをそこそこ聴いてきた私ですが、ここでやっているヒップホップのトラックの出来はなかなかのものだと思います。サンプリングではなくドラム・マシーンの上にシンセを被せてトラックを作っているのですが、なかなか気持ち良いビートとサウンドに仕上がっていると思います。

1曲目『バイ・マイ・サイド』、8曲目『ザ・セカンド・ショット』、9曲目『フリップ・ザ・スクリプト』はヒップホップと言ってもいいくらいですが、これらの曲でトランペットを吹いていないというのが興味深いところ。ラップではなくてボーカルですが、黙ってこれらの曲をヒップホップだと言って聴かせれば、そうだと思ってしまう気がします。

あくまでも主役はボーカル。トランペットを吹いていても伴奏とソロ少々。トランペットを吹いている曲はファンク系で、大人のお洒落なムーディーなサウンドになっています。上記のヒップホップ系トラックと、ファンク系ムーディーサウンドの対比、そこでのトランペットの有無を考えてみるのは面白いところです。そしてヒップホップのビートとムーディーなトランペットが融合する曲もあったりするわけです。

ゲストボーカルが参加するのは各1曲ずつ。その中ではエスペランサが気に入りました。高音で伸びやかに柔らかく歌うエスペランサはかなり魅力的。特に突き抜けるような超高音が耳につかずに出てくるところに凄さを感じます。別にジャズなんかやらなくてもブラックミュージックの世界で歌手として十分食べていける実力です。

カサンドラ・ウィルソンは控えめに凄みのボーカルを聴かせていますが、ペイトンと声質が被ってしまっていることや、このアルバムの雰囲気にいまいちマッチしていないので残念な共演になってしまったと思います。

アルバムのラスト、タイトル曲の『ビッチェズ』が面白いです。ゴスペル風コール&レスポンスのコーラスが入り、リズムはセカンド・ライン。クラーベのパターンのようなパーカッション。前半はリズム楽器のみでジェームズ・ブラウンに聴こえなくもないようなボーカル。バックにはマイルス風ミュート・トランペットが被さりと、ブラック・ミュージックのあれやこれやが集約しています。中盤に少し入るキーボードはハービー・ハンコック風(笑)?

全曲をペイトンが作詞/作曲。作詞までペイトンがやっているところが凄いですよね。ジャズ、ヒップホップ、両面から見て文句はあると思いますが(笑)、私は現代のブラックミュージックとしてこれもアリかなと思います。聴きやすい軟弱サウンドですけれど(笑)、細部を考察していくと面白いアルバムです。

東洋を感じさせるジャケットの絵の雰囲気も好きです。

YouTubeに『バイ・マイ・サイド』がありましたので貼っておきます。
似たサウンドをどこかで聴いたことがあるような気がしなくもないのですが
思い出せません。

アルバム名:『BITCHES』
メンバー:
Nicholas Payton(tp,vo,ds,synthesizer,b,key,flh,castanets,shakers,tamb,B-3org),
Cassandra Wilson(vo)
Chinah Blac(vo)
Esperanza Spalding(vo)
N'dambi(vo)
Saunders Sermons(vo)

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あと2週間で閉店の「サンリン」へ行ってきました。

あと2週間で閉店してしまう甲府のCD屋さん「サンリン」へ行ってきました。

P35_2
拙ブログで既に告知済みですが、1月29日(日)が最終営業日です。

P36
お店の前の駐車場は車でいっぱい。
どうやらたくさんのお客さんが来ているみたいです。
閉店を惜しんでの来客なんでしょうね。

お客さんがたくさんCDを買っていくのでびっくりしました。
閉店ともなると凄いですね~。
と思ったら、閉店セールだからというのもあったみたいです。
いやっ、でもたくさん買っていくのはやっぱり”サンリン愛”でしょう。
家族でいらしている方もいて微笑ましい光景でした。

店頭在庫品全てがセール対象。
セールの内容についてはお店へ行って確認してねっ。
そしてたくさん買いましょう!
ただし売り切れゴメン。

私はこれまでに貯まっていたポイントも使って5枚買ってきました。
店内をいろいろ見ていたら1時間近く経過。
こういう楽しい時間を過ごせるお店が無くなってしまうのは本当に残念です。

ヴィーナスの¥1500盤2枚。
ECMのP.M.G.ヨーロッパライブとマルチン・ボシレフスキ昨年新譜。
それに中島美嘉の『TRUE』。

なかなか良い買い物ができました。
「サンリン」に感謝!

最終営業日にはもう一度顔を出す予定。

「サンリン」にお世話になった人は閉店までに必ず顔を出すように(笑)。
そして店員さんに「ありがとう。」の一言を!

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こういうマイナー物もまた良し。

最近ブログを書くのが億劫になってます。去年もペースを落とそうと思っていたのに落としきれなかったのですが、今年は本当にペースが落ちそうです。まっ、あまり意識せずそれなりに更新していければと思います。

P34ネイサン・デイヴィス『ピース・トリーティ』(1965年rec. SFP)です。メンバーは、ネイサン・デイヴィス(ts,ss)、ウディ・ショウ(tp)、ジャン・ルイ・ショタン(bs)、ルネ・ユルトルジュ(p)、ジミー・ウッド(b)、ケニー・クラーク(ds)です。ヨーロッパ・マイナー物の1枚。

これを知ったのは後藤雅洋さん著「ジャズ選曲指南」に掲載されていたからです。この本にはこの手のマイナー物が結構掲載されていて、買って聴いてみてジャズ喫茶マスター選曲の妙にうならされた中の1枚。この本が出た数年後にLPとCDが再発されたはずです。私は当時この本掲載アルバムのコンプリート蒐集のため、地道にディスクユニオンなどの中古盤を漁って何とか入手しました。輸入盤。

ネイサン・デイヴィスという人はなかなか癖のある音とフレーズの人で、一度嵌ると結構癖になります。ネット検索をしていたら、この人のテナーを”デクスター・ゴードンとブッカー・アーヴィンを足して二で割ったような”と書いている人がいました。なかなか上手いことを言っていると思いました。濃くてねっとりした味わいです。

このアルバムA面に収録されているデイヴィス作の3曲がやっぱり聴きどころでしょう。独特の哀愁と濃くてくすんだ感じが、デイヴィスの上記特徴にマッチし、それをショタンのバリトン・サックスが濃口に仕上げ、更にショウの炭火焼き的スモーク感が加わって、そうそう、書いているうちに私の頭の中にはイメージが浮かんできました。これは一部の人にしか分からないかもしれませんが、一昨年B級グルメの1位に輝いた”甲府鳥もつ煮”の味わいなのです(笑)。

この手のマイナー物、B級グルメ、日本人に好かれるテイストがそこにはあるのです。あ~っ、これを聴いていたら無性に”甲府鳥もつ煮”が食べたくなってきました(笑)。メンバーもなかなかツウ好みですよね。ヨーロッパに渡った元祖バップ・ドラマーのケニー・クラークにフランスのバップ・ピアニストのルネ・ユルトルジュですからね。きちんとジャズの枠に収まっています。

要はハードバップなわけですが、そこに本国アメリカとは異なるヨーロッパ独特のテイストが加わっているところが良いのです。要はもつ煮込みなわけですが、そこに甲府独特のテイストが加わっているところが良いのですね。”甲府鳥もつ煮”。しつこい! m(_ _)m

ネイサン・デイヴィスの吹くソプラノがこれまた”ウネウネ”チャルメラの哀愁でして(笑)、その良さが出たものには『イフ』なんてアルバムがあります。ソプラノだけでなく、テナー、アルト、フルート、クラリネットなども吹いています。エレピ、パーカッションが加わってクラブジャズの定番。これも5、6年前再発しました。『イフ』はジャズ喫茶「ジニアス」でもかけてくれたことがありました。ネイサン・デイヴィス、ジャズ喫茶に似合うB級グルメな人です。

マイナー物好きは必聴だと思います。現在入手困難かも。

アルバム名:『PEACE TREATY』
メンバー:
Nathan Davis(ts, ss)
Woody Shaw(tp)
Jean-Louis Chautemps(bs)
Rune Urtrgeger(p)
Jimmy Woode(b)
Kenny Clarke(ds)

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理知的なジャズ

去年の新譜です。

P33ザ・クローディア・クインテット+1『ホワット・イズ・ザ・ビューティフル?』(2011年rec. Cuneiform Records)です。メンバーは、クローディア・クインテット+1:ジョン・ホレンベック(ds,per,key)、テッド・ライクマン(accordion)、クリス・スピード(cl,ts)、マット・モラン(vib)、ドリュー・グレス(b)、マット・ミッチェル(p)、スペシャル・ゲスト:カート・エリング(voice)、テオ・ブレックマン(voice)です。前作は+1としてゲイリー・ヴァセーシが加わっていたのですが、今回はマット・ミッチェルに交代しています。更に今回はヴォイス2人をフィーチャ。

買おうか買うまいか悩んだ挙句に結局買ってしまうのがこのクローディア・クインテット名義のアルバムです。このグループのサウンドは独特です。アドリブ一発で聴かせるようなバップとは対局に位置し、作曲と雰囲気を聴かせます。現代音楽(室内楽)的でもあります。アコーディオンとヴァイブラフォンを生かしたそのサウンドは郷愁感と近未来感の融合。

全く個人的な感想では、昔NHKでやっていた「少年ドラマシリーズ」のSFモノの雰囲気です。私がうっすら記憶している「夕ばえ作戦」「赤外音楽」「なぞの転校生」などに漂っていた空気感。じみだけれどこの世界観にはまるとやみつきになってしまうのですよ。あ~っ、大人になった今だからこそもう1度見てみたいドラマです。こんなことを言ってもほとんどの方は分かりませんよね(笑)。脱線ご容赦。

いきなりカート・エリングのナレーション(ポエトリー・リーディング?)とそのイントネーションに合わせたベースの伴奏から始まります。かなりカッコいいです。ドラムがビートを刻み始めるとこれがオーソドックスな4ビート。合奏に入ってからは4ビートでクールに。ヴァイブの響きが生かされているので新主流派の雰囲気です。クールなチークのテナーも魅力的。ナレーションとのからみなどを交え、テンポも変えながらこのグループ独特の世界が展開していきます。

2曲目は優しく儚い曲想。テオ・ブレックマンの天使の歌声が映えます。ピアノのアルペジオのような通奏音の上で、歌、アコーディオン、テナーが繊細なソロをとっていき、時が静かに流れていきます。3曲目はインスト曲。勢いよくはじまりますがテナー・ソロに入ると隙間多めのフリーなリズムへ。その後フリーなリズムの上でアコーディオンやピアノが音をちりばめて、ラストはヴァイブのソロ。美しいです。

エリングのナレーション、ブレックマンのボイスを生かした演奏が続きます。エリングって大学院で宗教哲学を学んだんだそうです。父親は教会音楽家で子供の頃から聖歌隊で歌っていたとか。ブレックマンのヴォイスも讃美歌的な雰囲気があるし、アルバムタイトルの『美とは何?』などからして、裏に宗教や哲学といったテーマを持っているのだろうと想像します。そういうのが嫌いという方もいらっしゃるでしょうね。リーダーのホレンベックが全曲作曲しています。

こんなのジャズじゃないと言って切り捨てるのは簡単ですが、こんなジャズもあるのだと思ってじっくり聴けばそこにまた違った良さが見えてくるというものではないでしょうか?体より頭が勝ったジャズですがそれもまた良し。正直に言うと中盤ちょっと飽きる展開。演奏のクオリティーは相変わらずかなり高いです。

ディスクユニオンジャズ館のホームページを見たらこれもスタッフ推薦盤でした。コメントを書いているのはひとつ前に紹介したアルバムと同様に四浦さん。ユニオンでは現代NYに詳しい四浦さん推薦盤に注目。

アルバム名:『What is the Beautiful』
メンバー:
Claudia Quintet + 1:
John Hollenbeck (ds, per, key)
Ted Reichmann(accordion)
Chris Speed(cl, ts)
Drew Gress(b)
Matt Mitchell(p)
Special Gest:
Kurt Elling(voice) 1,4,7,10,12
Theo Bleckmann(voice) 2,5,8,11

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アルバート・アイラーを愛するサックス奏者

今日は新譜紹介です。とは言っても去年発売したものです。

P32ジェフ・レデラー『サンウォッチャー』(2010年rec. Jazzheads)です。メンバーは、ジェフ・レデラー(ts,ss,cl)、ジェイミー・サフト(p,org)、バスター・ウィリアムス(b)、マット・ウィルソン(ds)です。これはディスクユニオン・ジャズ館ホームページのスタッフ推薦盤の記事を読み視聴して買いました。記事を四浦さんが書いているのですが、こういうニューヨークのマニアックなものをよく御存じですよね。買ったのはAmazonです。m(_ _)m だって安いんだもん。

ジャケット写真のこのポーズからも分かるように、レデラーはアルバート・アイラーに思い入れがあるそうです。2曲にはアルバートの名が入っていることや、自身の曲解説、演奏からもそれはよく分かります。フリーな演奏もありますが、極端にフリーに走るというよりはフリーのフレイバーを入れつつアイラー的大らかな奏法を聴かせます。

アイラー系の演奏は冒頭のレデラー作《アルバーツ・サン》とブルージーでレイジーなバラード《クリスト・レデンター》(デューク・ピアソン作)でのテナー・サックスによるものです。

《アルバーツ・サン》の最初の4音はアイラーの曲《サンウォッチャー》から取っているそうで、その響きからはアイラーを色濃く感じます。フリーク・トーンも交え大らかにテナーを鳴らしているのは気持ち良いです。バックやソロにおいて程よくフリーで過激なサフトのピアノもセンスの良さを感じます。ジョージ・アダムス/ドン・ピューレン・カルテットのように聴こえる部分が多々あり。《クリスト・レデンター》でのサフトのオルガン演奏にも注目。こういうブルージーなオルガンも弾けるんですね。レデラーのテナーも豪快に歌っています。

この手の演奏ばかりでなく、《アーノルド・シェーンベルクズ・サン(ワズ・マイ・マス・ティーチャー)》のようにクラリネットで現代音楽的なフリー演奏をしたりもします。ちなみにアーノルド・シェーンベルクはオーストリアの作曲家、指揮者、教育者で、無調音楽に入り12音技法を創始した人。アメリカに帰化しています。その息子がレデラーの高校の数学の先生だったそうなのです。そういう経緯による無調フリー・ジャズ。サフトのピアノとオルガンの弾き分けが演奏を単調になるのを避けています。

《スネーク・イン・ザ・ブラックベリー・パス》は曲名のヘビつながりでヘビ使いのイメージ?ソプラノ・サックスを吹いています。私にはこれがデイヴ・リーブマンの80年代メイン・ストリーム回帰した頃の演奏に聴こえます。適度にフリーなピアノはドン・ピューレン風かも?ウィリアムスのベース・ソロもこの曲想に沿ってますね。元々よく似ているんですがロン・カーター風です。私にはジャズを聴き始めた頃の匂いがしてちょっと懐かし風味。

《アルバーツ・ラブ・テーマ》はテナーによる静かなフリー系の短い演奏。偉大なポール・ブレイのレデラー的解釈とのこと。続くレデラー作《Arshawsky》はアーティ・ショウ(クラリネット奏者)の本当の名字だそうです。ちょっとトラディショナル風のフリー演奏。もちろんレデラーもクラリネットで演奏しています。トラッドの《ブレイク・ブレッド・トゥギャザー》はアイラーではなくロリンズ風ですね。テナーを浪々と鳴らしています。

ラストの《Turiyasangitananda》はレデラーのアリス・コルトレーン愛による曲。ロサンゼルスで育ったレデラーの音楽カレンダーのハイライトがアリス・コルトレーンの年一回のファミリー・コンサートだったそうで、アリスの音楽を愛しているとのこと。ここでのテナー演奏はコルトレーンというよりファラオ・サンダース風に聴こえます。サフトのピアノはまるでマッコイ・タイナーみたい(笑)。

というわけで、これはレデラーの音楽体験の集大成的アルバムになっていると思います。現代人らしく過去の色んな人の影を引きずっていますね。それが問題というわけではなく力強い演奏はなかなか聴かせてくれます。

そんなレデラーに付き添って、見事に表情を変えるサフトのピアノ/オルガン演奏がこのアルバムのハイライトではないかと私は思います。決して浮つかずきちんと楽想を構築していくサフトに脱帽。サフトと言えばツァディック・レーベルでジューイッシュなピアノを弾いている人としか思わなかったのですが、今回これを聴いて見直しました。すっかり忘れていましたが(笑)、ベースのウィリアムスとドラムのウィルソンは過不足ない演奏で無難に演奏をサポート。

レデラーの音楽史に興味がある方は聴いて見て下さい。

アルバム名:『Sunwatcher』
メンバー:
JEFF LEDERER(ts,ss,cl)
JAMIE SAFT(p)
BUSTER WILLIAMS(b)
MATT WILSON(ds)

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今日はヘッドホンの話

新年に入って早くもオーディオの話です。
私のお気に入りヘッドホンはAKGのK501
こいつのイヤーパッドを新品に交換しました。

このヘッドホンがどれくらい気に入っているのかについては既に書いています。
久々にオーディオの話題でも。ヘッドホン!

もう10数年使っているのでイヤーパッドがヨレヨレでした。
このK501はもう製造中止。
そろそろ新しいヘッドホンを買おうかとも考えました。

で、AKGヘッドホンについてネットを検索していると、
交換イヤーパットをまだ売っていることが分かりました。
ここで売っています。
サウンドハウスというお店です。
http://www.soundhouse.co.jp/

半年くらい前に見たときは入荷待ちになっていたのですが、
最近在庫ありになっていることが分かりました。
早速注文しましたよ。
P29_2

上のが使い古したヨレヨレ。下が今回購入した新品。
いいですね~。まん丸です(笑)!

早速ヘッドホンに装着。
P30

ヘッドホン自体が新品に見えます。
いや~、う~む、いい眺めです(笑)。

これで私のヘッドホンライフはまた楽しくなろうというものです。
ということでヘッドホン自体の新調は延期。
保守品として今でもイヤーパットがあるという幸せ。AKGに感謝!

これからあと何年お世話になるんだろう?
でもさすがに次にこのイヤーパットがダメになったら、
その時は新型ヘッドホンを買うことにします。
ここまで愛用されるなんて、この幸せ者め(笑)!

さて、もう一つオーディオの虫がうずいているという話。
今手持ちの部品を使ってヘッドホンアンプを作ろうと計画中。

アンプはロングランIC、LM380Nを採用。
これは秋葉原あたりで超安く売っているアンプ基板です。
以前VUメーターを振らせるために買ったもの。
トランスとかボリュームとかは別のものを作ったあとに解体保管。
ケースも何か作ろうとして買ってありました。
P31

これも昨年から計画していいるのに、
いつものようにケース加工がめんどうなので保留中。
そろそろ製作に着手しようかな~。

ということでオーディオライフもチマチマ展開中。

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アメリカ音楽を愛する人へ

今日もジャズ喫茶「いーぐる」の「年末ベスト盤大会」で聴いて気にいった1枚。

P28 ポール・モチアン『ザ・ウィンドウズ・オブ・ユア・マインド』(2010年rec. Winter & Winter)です。メンバーは、ポール・モチアン(ds)、ビル・フリゼール(g)、ペトラ・ヘイデン(vo),トーマス・モーガン(b)です。アメリカン・ソングとモチアンのオリジナルを混ぜてゆったり聴かせてくれます。

「年末ベスト盤大会」で村井康司さんが選曲。ポール・モチアンが昨年亡くなった故の選曲でした。村井さんがかけたのは《イッツ・ビーン・ア・ロング,ロング・タイム》。この曲をじっくりゆったり特に凝った仕掛けもなく、この人達にしかできない味で演奏しています。2分34秒の至福の時間。このアルバムを全部聴いた後の私のベスト・トラックでもありました。さすがは村井さん、「いい選曲だな~。」と思いました。

村井さんってアメリカの音楽に深い愛を持っていると思います。「JaZZ JAPAN」誌で連載している「ジャズ史で学ぶ世界の不思議」やご自身の著書「ジャズの明日へ」を読むとジャズの枠を超えてアメリカ音楽を愛しているんだなと思えてきます。そんな村井さんがかけたこのアルバムにはアメリカ音楽の良さが詰まっています。

《テネシー・ワルツ》、タイトル曲、《レッツ・フェイス・ザ・ミュージック・アンド・ダンス》、《イージー・リビング》、《アイブ・ゴット・ア・クラッシュ・オン・ユー》、《アイ・ラヴズ・ユー・ポーギー》などがいい感じで流れていきます。その間にモチアンのオリジナルが入っていても違和感なしです。モチアンもアメリカ音楽を愛しているんでしょうね。

そんなモチアンが愛するアメリカ音楽を奏でる最良の相棒は?そうですよね。ビルフリしかいません。ビルフリのギターから発せられる音を聴いていると古き佳きアメリカという言葉しか浮かんできません。郷愁感を伴って空間に浮遊するギターを聴いているとなんとも心地よいです。昨年起きた東日本大震災で傷ついた心を癒してくれるような気もします。

ペトラ・ヘイデンはあのチャーリー・ヘイデンの娘です。あまり甘くなりすぎず癖もあまりない歌い方がここではマッチしています。きれいでほんのりかわいい声です。アメリカドラマ「大草原の小さな家」のメアリーみたいなイメージ??って言って分かる人は同年代です(笑)。タイプとしてはホリー・コールに近いのかな?曲によってはペトラが抜けてのインスト演奏もあります。

さて、モチアンについて書いておきましょう。ブラシでスネアをさするのがほとんどで、そこにタムを入れたり、シンバルやハイハットをほんの少しいれるだけなのですが、これが見事に音楽になってしまう技の凄さよ。スネアをさするだけで音楽になっちゃうモチアンって、やっぱり企画外れのとんでもないドラマーでした。深いんですよね。その世界観が。多くのミュージシャンに支持されるモチアン。分かる気がします。

ベースはモチアン・スクールで鍛え上げられたモーガンが弾いています。う~む、このベーシスト、侮れません。最初聴いた時、一瞬チャーリー・ヘイデンが弾いているのかと錯覚するほどでした。こういうベーシストを育てたかったのかとよく分かりました。こうなるとここに最早チャーリー・ヘイデンは不要です。だから代わりに娘のペトラを呼んだのかな(笑)?モーガンのベースが深く力強く響きます。真ん中にどっしり構えて支えています。

B.G.M.として聴き流せますが、じっくり聴くと深い情感が流れています。
聴けば聴くほど味が出るアルバム。アメリカ音楽を愛する人は是非!
オーディオ的に録音も良いです。

余談ですが、Winter & Winterのジャケットの特徴であるエンボス加工がとうとう無くなっちゃいました。エンボス模様の印刷になっちゃったのです。これも経費節減なのでしょうね(涙)。

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セノーンのアルトは気持ち良い。

新年最初のアルバム紹介はこいつにしましょう。

P27_2 ミゲル・セノーン『アルマ・アデントロ』(2011年rec. marsalis music)です。メンバーは、ミゲル・セノーン(as)、ルイス・ペルドモ(p)、ハンス・グラヴィシュニグ(b)、ヘンリー・コール(ds)、木管アンサンブル(10名)です。セノーン自身のルーツであるプエルトリコの名曲を演奏したアルバムになっています。カルテットでの演奏を主体に木管アンサンブルが加わる構成。

ミゲル・セノーンはフォローしていたのですが、今回はちょっと購入を見合わせていました。新宿ディスクユニオンジャズ館でこれが流れていたのを聴いた時も、やっぱりいいな~と思いつつそのままに。そしたら昨年末、ジャズ喫茶「いーぐる」の「年末ベスト盤大会」で、ワールドミュージックの伊藤嘉章さんがこのアルバムの1曲目をかけ、聴けばやっぱり良いので早速購入したというわけです。伊藤さんがプッシュしているセノーン。私も良いと思っています。

セノーンの何が良いかというとまずはアルトの音でしょうね。爽やかで伸びのある音がとても心地良いです。アルトの音色で比較するなら私にとってはセノーンが最高に気持ち良く聴こえます。そしてそのスムースなフレージングに漂う哀愁と陽性の情感が胸に染みます。メロディアスなので誰にでも伝わりやすいのがプラスポイント。パワーもありますよ。なかなか強力なアルト奏者なのです。そんなセノーンを良さを生かすのはやっぱりプエルトリコの名曲。セノーンが歌うが如くアルトを鳴らしています。

ペルドモのピアノがまたセノーンの世界観にぴったり嵌っています。ほのかに甘く爽やかな哀愁漂うフレージングは美メロピアノというべきもので、セノーンのアルトに華を添えています。ベースはあまり特徴がないのが特徴(笑)。ドラムは変拍子も難なくこなす今時パーカッション的なもので、流れを見て煽るときには煽り演奏にパワーを供給します。カリブの音楽にはこういう躍動的なリズムも必要なのです。

要所で加わる木管アンサンブルが演奏に厚みと深みを増し、アルバム全体を落ち着いた雰囲気に仕立てているように思います。カリブのエスニックを加えた素敵なサウンドの上で、気持ち良さそうにアルトを鳴らすセノーンの快演を存分に楽しめる1枚。実はニューヨーク的メカニカルな要素も少し入っています。私にはそこが面白かったりするのです。

これも今時のジャズ。セノーンの気持ち良いアルトを聴け!

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明けましておめでとうございます!

明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願い致します。

P26

良い年にしたいですね。

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