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こういうジャズにドップリ浸りたくなることもある。

今日はジャズにドップリ。

P133 ジジ・グライス『ザ・ラット・レース・ブルース』(1960年rec. PRESTIGE/NEW JAZZ)です。メンバーは、ジジ・グライス(as)、リチャード・ウィリアムス(tp)、リチャード・ワイアンズ(p)、ジュリアン・ユーエル(b)、グランヴィル・ロッカー(ds)です。私が持っているのはオリジナル盤。モノラル、溝なし、RVG刻印。ジャケ裏にスタンプがあったりするので、それほど高くなかったと思います。どこのレコード屋さんで買ったのかは忘れてしまいました。

A面1曲目タイトル曲《ザ・ラット・レース・ブルース》から元気良く飛び出します。ラット・レース=ねずみのレースらしく、ファンファーレの後ベースが”ブンブン”とうなりをあげてレースはスタート。まずはピアノが抜け出します。続いてミュート・トランペットが抜き返し、最後にグライスのアルトが末脚で先頭に立ち、観客から拍手と歓声が上がる中ゴールへ、という展開。なかなかスリルとスピード感がある演奏です。

A面2曲目《ストレンジ・フィーリング》はミディアム・テンポで快適に。ウィリアムスのトランペットはアーティキュレーションなどがリー・モーガンに似ていると思います。いなせに格好良く吹きます。グライスはキャノンボール・アダレイに近いですね。ちょっとかすれた音で小細工なくストレートに吹き切ります。ワイアンズのピアノは粘りあるピアノ。特に誰がどうとかの個性はないですが、これぞハードバップという演奏。

A面ラストは《ボクサーズ・ブルース》。これはスローテンポでブルージーに。このアルバムのポイントはやっぱり黒さなのです。アルトの抜けの良い音を聴いていると気持ち良くなってきますね。トランペットは高らかに吹き上げ、ピアノはコロコロと小気味良く、ジャズです。当たり前か(笑)。

B面1曲目《ブルース・イン・ブルーム》がなかなか印象的なのです。テーマはいかにもブルースって感じなのですが、アルトのソロが始まるとそこに響くのはマイルスの《ソー・ホワット》なんだから面白い。グライスのフレージング、ピアノのコンピング、ベースの刻みを聴くとかなり似た雰囲気。モードとブルースの親和性を意外なところで発見してしまったのでした。続くウィリアムスのトランペット・ソロを聴くと、これも悪くはないのですが、マイルスの内に秘めた緊張感との差を感じます。ピアノは《ソー・ホワット》をウイントン・ケリーが弾いたらこんな風だろうという感じです。これは面白い。

B面ラスト《マンデー・スルー・サンデー》はいかにもブルース。どことなく気だるい雰囲気が漂って、当時は月曜から日曜まで、こんな風に世の中の騒ぎを傍観しつつ、毎日を仕事に追われて生活を送っていたのだろうかと、思いが巡ってしまいます。アルト・ソロはなかなか胸に迫ってきます。続くトランペット・ソロもケレンなく切々と。ピアノは緩急とブロック・コードの具合がいいです。合奏の後、ベースが訥々と”俺達の1週間はこんなだぜ”と言ってからエンディングへ。ジャズ喫茶でドップリ浸りたい曲です。

名盤の類ではありませんが、”これがジャズだよっ”と言える1枚ではないかと思います。私が好きなどうってことのないアルバムの1枚。

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コメント

いっきさん、渋いアルバムをご存知ですね。私もこのアルバムのB面を愛聴しています。グライスの控えめな魅力に開眼した作品でもあります。

投稿: 後藤雅洋 | 2011年12月 9日 (金) 08時12分

後藤さん

こんばんは。

>渋いアルバムをご存知ですね。

私もだいぶ長くジャズファンをやってますので、
渋いものも自然と知ってしまいました。

>私もこのアルバムのB面を愛聴しています。

B面はいいですよね。私も好きです。

>グライスの控えめな魅力に開眼した作品でもあります。

確かにグライスの控えめなところが良いですね。
『ホエン・ファーマー・メット・グライス』も好きなアルバムです。

投稿: いっき | 2011年12月 9日 (金) 20時24分

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