クリスマス・アルバムを買ってしまった。
今まで一度もクリスマス・アルバムなんて軟弱ものを買ったことがなかったのですが、とうとう買ってしまいました(笑)。
ジェリ・アレンの『ア・チャイルド・イズ・ボーン』(2011年rec. MOTENA MUSIC)です。メンバーは、ジェリ・アレン(Fazioli Pianoforte F228,Fazioli Pianoforte F278,Farfiza Organ,Celeste,Fender Rhodes Electric Piano,Hohner Clavinet)、ゲストボーカル:コナイトル・ミラー、キャロリン・ブリューワー、バーバラ・ロニー、スポークン・ワード:ファラ・ジャスミン・グリフィン、Ph.D.です。基本はソロ・ピアノ、数曲でピアノ以外を使った多重録音とボーカルが入る曲があります。
これがクリスマス・アルバムだとは知らず、Amazonで数曲試聴して良さそうなので買いました。曲名もろくにチェックしなかったので気付きませんでした。CDが手元に届くまでに、ジャズ友Suzuckさんのブログを見たら、これがクリスマス・アルバムだと書いてあるではありませんか!でも半信半疑。CDが届いてラナーノーツを開くと、最初のページには”CHRISTMAS”の文字が!やっぱりそうだったんですね。
最初に言っておきますが、これはかなり気に入っています。《クリスマス・メドレー》は1曲ありますが、他はとくにクリスマスって強く主張していないので、私にとってはアレンのピアノ・ソロ・アルバムということで何の問題もありません。
アレンって子供がいるんでしたっけ?これはジャケットやタイトルからも分かるとおり、クリスマスであると同時に、子供への慈愛に満ちたアルバムだと思います。ファツィオリ・ピアノの美しい響きを生かした優しい演奏が詰まっています。アレンっていうとどちらかと言えば強面なイメージでしたが、それを見事に覆すこの優しさにはウットリしてしまいます。
タイトル曲《ア・チャイルド・イズ・ボーン》は私の好きな曲なのですが、とにかく優しく包み込むように弾いていて、聴いていると心が癒され浄化されます。ジャケットのとおり子供を包み成長を見守る母の心境なのでしょう。続くエチオピアの民謡《イマジニング・ジェナ・アット・サンライズ》はオルガンを多重録音していてこれがインド風。次の民謡《オー・カム・オー・カム・エマニュエル》にもその雰囲気は継続し、ボーカルは正にインド。
このインドというか仏教のイメージがクリスマスとオーバーラップしているのが面白いです。”ジーザス・ミーツ・ブッダ”? インドの雰囲気は60年代のスピリチュアル~フリーのコルトレーンあたりにもつながります。これを聴いてアリス・コルトレーンの『トランスリニア・ライト』が浮かんできました。発想は近いものを感じます。このアルバムについては以前ブログに書きました。⇒「母子愛に溢れた1枚。」
「アリスもアレンも母なんですね~。」と思う次第。母の愛は広く深いのです。そして世界を包みます。その慈愛に満ちた演奏が気に入っている私。
アレン作《ジャーニー・トゥ・ベツレヘム》は1分ちょっとのイントロですが、《スカボロ・フェア》に似ていますよね。それは次曲《ウィ・スリー・キング》のラストにも現れます。アレン作《ゴッド・イズ・ウィズ・アス》は歌詞や曲はゴスペルですが、これもどこかインドな雰囲気も漂っています。それに続く《アメイジング・グレース》という流れもなかなか素敵に響きます。意外と軽めに弾いているところにも好感が持てます。
で、《クリスマス・メドレー》へ。クリスマスというよりはゴスペル・ソングの流れとして聴けてしまいます。というか、私がクリスマス・ソングとして意識しているのは《きよしこの夜》1曲だけなので、全体からするとこの曲が占める割合はほんの少しなのです。その後にまたインド風な《イマジニング・ジェナ・アット・サンライズ》がほんの少しだけ登場。やっぱり”ジーザス・ミーツ・ブッダ”。神様、仏様、いや人類愛なのです。
今年は東日本大震災という悲しい災害が起きました。直接被災しないにしても、日本に住む人には皆ついたであろう心の傷。それを癒してくれそうなのがこのアルバムだと思います。染みます。
アルバム名:『A CHILD IS BORN』
メンバー:Geri Allen(p, etc.)
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コメント
うーーん。。
910さまも、クリスマスアルバムだと思わなかったんだって。
あれれ、,って、感じなんだけど。(笑)
http://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/john-zorns-a-dr.html
騒いでいても届かないんだなぁ。
クリスマスアルバムとしては、なかなか、上出来なんですよ。
インド、つうか、、エチオオピアの古い音楽とかに影響されてるだと思うんですが、
クリスマスは宗教行事であると共に、家庭の暖かな想いでの歴史でもあるんだと思います。それを、きちんと表現したアルバムだと思いました。
平和と愛は大事なことですもね。
投稿: Suzuck | 2011年12月 7日 (水) 19時37分
Suzuckさま
こんばんは。
貼っていただいた記事で”これクリスマスアルバムだったの?”って思ったんですよ。
その記事がアップされるちょっと前に注文したのに、入荷が遅れて先週になりました。
届いてますんでご安心を。
でも、曲名がクリスマスっぽくなかったんで、半信半疑になってしまいました。
m(_ _)m
>クリスマスアルバムとしては、なかなか、上出来なんですよ。
そうなんでしょうね。
>インド、つうか、、エチオオピアの古い音楽とかに影響されてるだと思うんですが、
ライナーノーツに書いてありますね。
さっき読みました。
でもイメージはインドなんで、って強引な(笑)。
>クリスマスは宗教行事であると共に、家庭の暖かな想いでの歴史でもあるんだと思います。それを、きちんと表現したアルバムだと思いました。
ライナーノーツにもそのあたりについて書いてあるみたいですね。
子供への愛というより家族愛のようですね。
>平和と愛は大事なことですもね。
はい。
今年は痛感しています。
トラバありがとうございました。
投稿: いっき | 2011年12月 7日 (水) 20時57分
私、以前からジェリ・アレン追っかけでして、リーダー作なら即買い、を続けてきたので、やはり届いてからクリスマス・アルバムということが分かりました。
Suzuckさんから「Child is Born」ってクリスマスの曲なんですよ、と言われて、後からああ、そうなのか、と思ったくらいです(笑)。
彼女の、民族音楽というか、異端な部分を適度にはさみこんだクリスマス・ソング集になったので、彼女らしくて安心しました。それも、極端ではなしに普通の中にある程度混ぜ込むような形がかえってよかったのかも、と思います。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2011年12月 7日 (水) 23時33分
910さん
こんばんは。
ジェリ・アレンのおっかけでしたか。
これ、クリスマス・アルバムって感じではなかったですよね。
>Suzuckさんから「Child is Born」ってクリスマスの曲なんですよ、と言われて、後からああ、そうなのか、と思ったくらいです(笑)。
読みました。
私も、そうなのか、と思いました(笑)。
>彼女らしくて安心しました。
そうですよね。独特です。
>極端ではなしに普通の中にある程度混ぜ込むような形がかえってよかったのかも、と思います。
そうですね。同感です。
TBありがとうございました。
投稿: いっき | 2011年12月 8日 (木) 01時01分