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クラブジャズ方面に受けそうなピアノトリオ

ディスクユニオン・スタッフ推薦盤(10月)の中の1枚。試聴してみてなかなか良さそうだったので購入。先日紹介した「秋に聴くギター」と一緒に買ったものです。一緒に買ったのは送料を枚数割して安くするためです(笑)。新譜のはずなのに中古(通販)があったのでそれを購入(笑)。

P125 ロバート・ミッチェル・3IO『ザ・エムブレイス』(2010年rec. 3IORECORDS)です。メンバーは、ロバート・ミッチェル(p)、トム・メイソン(b)、リチャード・スペーヴン(ds)です。ミッチェルはUKの新世代ジャズピアニストなのだそうです。ミッチェル率いるトリオの2作目。このジャケットは70年代のロックバンドって感じですよね。

クラブジャズ方面にも支持されているんだそうで、デビューアルバム『ザ・グレイト・グッド』がジャイルス・ピーターソンのWorldwide Awardsのベストジャズアルバムに選出されたりもしたとか。聴けば「なるほど。」と思います。私も最近クラブジャズの傾向が分かってきました。

「クラブジャズってジャズで踊るってことでしょ。」というのは分かっていたのですが、最近分かったのはそういう人達が支持するものが何なのかということです。極論してしまうと、そこにあるのはある種の ”雰囲気” ということに尽きると思います。アドリブが凄いとか、テクニックが凄いとか、発想が斬新とか、オリジナリティを持っているとか、個性的な雰囲気とか、極めて美的センスがあるとか、ジャズ的なトピックスよりは、好まれる ”雰囲気” があればいいのです。

その ”雰囲気” の元になるものは多分にジャイルス・ピータソンの好みだったりするのではないかと私は思い始めています。だからこういう ”雰囲気” が好きな人には堪らないものがあるのは認めるとして、じゃあその ”雰囲気” を取ったら何が残るのか?という疑問が湧いてきます。私にとってはかなり重要なジャズマンのオリジナリティとかが残るかというと、どうもそうではないのです。そこですよね。クラブジャズは認めますが、空虚な気がするんです。

まあ今の世の中、大切なのは ”空気” であり、その ”空気” を読めるか読めないかで人の優劣が決まるような状況ではありますから、正に ”今時” であるクラブジャズがそれを象徴するようなものであるというのも分かるような気がします。あっ、そうそう、DJが重視するのって、基本的にフロアーの ”空気” ですもんね。でもそれって昭和な私が思う ”ジャズ” ではないんですよね。

と、ダラダラ戯言を書いてしまいました。m(_ _)m  このアルバムのサウンドはジャケットが物語っています。少しダークで憂いがありウェットな感じとでもいいましょうか。行ったことはないのですが、何となくイギリスの風土っぽかったりするのではないかと思います。そしてB級感も。クラブジャズが求めるある種の ”雰囲気” は十分に持っています。このサウンドは私も嫌いではありません。でもそれだけ。

リズムは8ビート主体で、特にドラマーは今時のテクノ・ヒップホップを消化したドラミングをしています。このドラマーはフライング・ロータスと共演していたりして、アメリカのヒップホップシーンからも注目されるドラマーなんだとか。なるほどね。アルバム最初の《アルバート・バルサム》はエイフェックス・ツインの有名曲をカバーしているそうです。私はエイフェックス・ツインは聴いたことがないので初聴き。他にもカバー曲やメンバー・オリジナルが並んで雰囲気は統一されています。最後の曲はシューマンの《トロイメライ》。う~む、これじゃあイージー・リスニングの域を出ていないような・・・トホホ。

”雰囲気”を聴くアルバムです。悪くはないです。

アルバム名:『the embrance』
メンバー:
Robert Mitchell(p)
Tom Mason(b)
Richard Spaven(ds)

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