« マハンサッパの新譜はなかなかカッコイイ! | トップページ | 空や雲の写真 »

この「ジャズ批評」がとても役に立ちました。

「ジャズ批評2005年3月号No.124」は非常に役に立ちました。

P101 それまでどちらかというと、ジャズ喫茶「メグ」マスターの寺島靖国さんが薦めるヨーロッパ・マイナー・ピアノ・トリオなどを聴いていた私。この本が出た頃にジャズ喫茶「いーぐる」へ行くようになり(当時は府中在住)、聴くジャズの趣向が変わりはじめていました。

ピアノ・トリオなんかを聴いていたわけですから、最近のトランペッターなんてほとんど知らず、この「ジャズ批評」を買って、「一丁、最近のトランペッターとやらを聴いてみっか。」という気持ちになりました。掲載されている全トランペッターの評を読み。片っぱしから聴いていこうと思ったのです。結局未だに聴いていないトランペッターは1/5くらいいますが、非常に参考になりました。

ここで「ジャズ批評」の話をちょっとすると、当時の編集長は原田和典さんで、紙面には寺島靖国さん VS 「ジャズ批評」に係りがあった四谷派のちょっとした、いや重大(笑)?な論争が勃発していたりして、80年代末の寺島 VS 後藤論争に非常に興味を持った私からすれば、当事者を近くから見られる機会(その時私はまだ後藤雅洋さんとお話できていない)を得られたわけで、とてもハラハラドキドキしたものです。その時、四谷派、吉祥寺派なるものが存在することも初めて知りました。

まっ、内情はよく分りませんが色々あったようで、「ジャズ批評」はその後模様変え。こういう企画がなくなってしまったのは残念ではあるのですが、結局はその模様変えのおかげで「ブログ・ウォーキング」のコーナーができ、後に私が「ブログ・ウォーキング」へ投稿できたわけですから、この変化は歓迎するべきものだったのかもしれません。そして紙面で後藤さんとの対談まで実現してしまいます。こうやって振り返ると世の中何が起きるか分かりませんね。だから面白いんですよね。

今日はここに掲載されていたトランペッターの話を少々。

先月アルバム『イン・ビトウィン』「ポスト・エレクトリック・マイルスが気になる。」を紹介したエリック・トラファズですが、杉田宏樹さん著「ヨーロッパのJAZZレーベル」を読んで知ったと書きました。でも実際にトラファズのアルバムを最初に買う気になったのは、この「ジャズ批評」を読んだからだったような気がします。その後ブランクを経て、トラファズは最近また気になるトランペッターとなっています。

もう一人はマグナス・ブルー。9月に上京した際に、上記「ジャズ批評」に掲載されているブルーが参加したアルバムを、ディスクユニオンのアウトレットの中にみつけたので買ってきました。¥800也。

P100 フレドリク・ノレン・バンド『ザ・ペリカン』(1997年rec. MIRRORS)です。メンバーは、マグナス・ブルー(tp)、オリャン・ハルテン(ts)、ダニエル・カールソン(p)、マルクス・ヴィクストロム(b)、フレドリク・ノレン(ds)です。スウェーデンのジャズ・メッセンジャーズといった感じのバンドです。現代的というよりは60~70年代の空気も含んだストレート・バップ。

ノルウェーのジャズ・バンド「アトミック」に参加する前のブルーを聴くことができます。ブルーは3曲提供して、非常にストレートで切れ味鋭いフレーズを聴かせてくれています。他にはノレンの1曲、ヴィクストロムの1曲、メンバー以外の2曲の計7曲が収録されて全45分少々。リーダーのノレンに煽られ、メンバーが一丸となって聴かせる痛快バップ・アルバム。

ノレン作曲のアルバムタイトル曲《ザ・ペリカン》が面白いです。コルトレーンのスピリチュアル・バラードそのものになっています。まんま60年代の空気。テナーのハルテンが熱いこと熱いこと。コルトレーンが降臨してますよ(笑)。そこにフレディ・ハバード的なブルーが加わるというのがなかなか乙です。ドラムはエルビン的、ピアノはもちろんマッコイ的重さ。まっ、新しくはないわけですが、こんなリスペクトに溢れた演奏ならO.K.でしょう。

上記の曲のように全曲が熱いわけではなく、間にモーダルでスタイリッシュな曲や都会的なバラードも入っていて、なかなかバランス良く現代バップを聴かせるアルバムになっています。メンバーの技量もしっかりしいるので安心して現代バップに浸れます。

このバンドのスウェーデンにしても、アトミックのノルウェーにしても、60年代の熱いジャズへの強いリスペクトがあるのが北欧ジャズの面白さです。若手がしっかりジャズの基本に軸足を置いた上で今のジャズをやっているのが良いですよね。

「マグナス・ブルーの新譜」も気に入っています。是非聴いてみて下さい。

|

« マハンサッパの新譜はなかなかカッコイイ! | トップページ | 空や雲の写真 »

」カテゴリの記事

コメント

いっきさん、こんばんは。

このブログを読んで、「ジャズ批評2005年3月号」に興味が湧きました。
また、後藤さんといっきさんの対談が載っている「ジャズ批評2009年3月号」も欲しくなりました。
まだバックナンバーが有るみたいなので、入手したいと思います。
ジャズ批評は過去に2007年7月号を買ったことがあります。ジャズ超入門が巻頭記事でしたが、あまり面白くなかった記憶がありますが、もう一度ジャズ批評にトライしてみます。

投稿: kimt | 2011年11月 2日 (水) 22時15分

kimtさん

こんばんは。
「ジャズ批評」に興味を持っていただけたのでしたら是非お読みください。
後藤さんとの対談では結構言いたい放題かも(笑)?
実は最近私も「ジャズ批評」は購読していません。
というかジャズ雑誌は何も購読しない状態になってしまいました。
私が今必要とする情報はそこにあまり見出せないというわけです。

投稿: いっき | 2011年11月 2日 (水) 23時16分

こんばんは。
わたしは ちょうど ブログウォ-キング最終回の 『ピアノ・トリオ in ヨ-ロッパ』から ジャズ批評を買ったり 立ち読み(笑)したりしています。

コンパクトで読みやすいですし 特集も 自分の好みのものは 役立っていいですよね。

空と雲の写真も(次の記事ですが…)とても きれいですね。

投稿: マ-リン | 2011年11月 5日 (土) 00時22分

いっきさん、こんばんは。

11月3日にジャズ批評No.124、No.148、No.150を注文しました。
読むのが楽しみです。
また、後藤さんとの対談ではいっきさんの写真も載っているのでしょうか?

実はいっきさんに質問があるのです。

1.いっきさんがアルバムのレビューをされる場合そのアルバムを何回位お聴きになるのでしょうか。

2.1回のレビューを書くのにどのくらいの時間をかけているのでしょうか。

僕もアルバムの感想を書いたことがあるのですが、そのアルバムを1回聴いただけで書いたので、後で読むと貧弱な内容でした。

よろしければお教えください。

投稿: kimt | 2011年11月 5日 (土) 00時24分

マーリンさん

こんばんは。

>わたしは ちょうど ブログウォ-キング最終回の 『ピアノ・トリオ in ヨ-ロッパ』から ジャズ批評を買ったり 立ち読み(笑)したりしています。

ブログウォーキングは残念ながら終了しちゃいましたね。
毎回買わなくて立ち読みでもいいと思います。
私もジャズを聴き始めた頃は、大学図書館の休憩室にあったスイングジャーナルをよく読んでいましたから。ほんとに時々しか買わなかったです。それよりはレコードにお金を回していました。

>コンパクトで読みやすいですし 特集も 自分の好みのものは 役立っていいですよね。

今のジャズ批評はファン目線なところが良いと思います。
特集は十分役立つと思いますよ。

>空と雲の写真も(次の記事ですが…)とても きれいですね。

そうおっしゃっていただけるととても嬉しいです。

投稿: いっき | 2011年11月 5日 (土) 00時40分

kimtさん

こんばんは。
もちろん私の写真は載っていますよ。本名も生年も。
ジャズ喫茶「ジニアス」のマスターによると実物より年寄りに写っているらしく、私だと気付かなかったらしいです(笑)。

ご質問にお答えします。

1.最低5回くらいは聴きます。それでトピックがつかめれば書きますし、いまいちうまく書けないとなると1か月くらい平気で放っておきます。へたをすると数か月書かない場合もあります。

2.スラスラ書ければ30分くらい(構想は既にある)、聴きながら1曲づつ解説したりになると1時間以上かかります。

という感じです。

投稿: いっき | 2011年11月 5日 (土) 00時53分

いっきさん、こんばんは。

質問に答えて頂き、ありがとうございました。非常に参考になりました。

ジャズ批評にいっきさんの写真が載っているのですか。拝見するのが楽しみです。
9月のブログで太川陽介さんに似ていると言われたと書いてありますね。
僕、実は太川さんのベスト盤のCDを持ってるんですよ。子供の頃よく風呂場で太川さんの歌を歌っていたので懐かしくて購入しました。

話は変わって11月12日のいーぐるの連続講演にいっきさんは参加されるんですよね。
僕は残念ながら参加できませんが、いっきさんのレポートを楽しみにしています。

投稿: kimt | 2011年11月 5日 (土) 19時19分

kimtさん

こんばんは。

>質問に答えて頂き、ありがとうございました。非常に参考になりました。

いえいえ、どういたしまして。

>ジャズ批評にいっきさんの写真が載っているのですか。拝見するのが楽しみです。

実はこれがピンボケ写真なのでニュアンスが伝わるかどうか。

>9月のブログで太川陽介さんに似ていると言われたと書いてありますね。

今は毛が薄いので昔とは程遠いです(笑)。

>僕、実は太川さんのベスト盤のCDを持ってるんですよ。子供の頃よく風呂場で太川さんの歌を歌っていたので懐かしくて購入しました。

それは凄い!
私は「レッツゴーヤング」の司会というイメージが強いです。

>話は変わって11月12日のいーぐるの連続講演にいっきさんは参加されるんですよね。

そのつもりです。

>僕は残念ながら参加できませんが、いっきさんのレポートを楽しみにしています。

今回は出版記念イヴェントなので、内容はほどほどに書こうと思っています。
kimtさんは当然「ジャズ・ヒップホップ・マイルス」をお読みになったんですよね?

投稿: いっき | 2011年11月 5日 (土) 22時25分

いっきさん、こんばんは。

>kimtさんは当然「ジャズ・ヒップホップ・マイルス」をお読みになったんですよね?

申し訳ありません。まだ読んでおりません。
近いうちに読もうとは思っていますが。

中山さんは毎月のように本を出してますね。
先月も「黒と白のジャズ史」という本を出しています。

投稿: kimt | 2011年11月 6日 (日) 19時33分

kimtさん

こんばんは。
お読みでなかったんですね。
是非ご一読下さい。
私は読んで色々考えさせられることになりました。

>中山さんは毎月のように本を出してますね。

凄いですよね。

>先月も「黒と白のジャズ史」という本を出しています。

今のところそれは読む気はありません(笑)。

投稿: いっき | 2011年11月 6日 (日) 21時03分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: この「ジャズ批評」がとても役に立ちました。:

« マハンサッパの新譜はなかなかカッコイイ! | トップページ | 空や雲の写真 »