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NY現代バップ好演

今日も新譜紹介です。今回出たライブ・アット・スモールズの中の1枚。このシリーズはニューヨークはグリニッジ・ヴィレッジにあるライブハウスでライブ録音され、定期的にリリースされるものです。ニューヨークの現在を知ることができる貴重なシリーズだと思います。

P129『 ティム・リース・クインテット ライブ・アット・スモールズ』(2010年録音、SMALLS LIVE)です。メンバーは、ティム・リース(ts,ss)、クリス・ポッター(ts)、ジョン・パティトゥッチ(b)、カルマン・オラー(p)、ビリー・ドラモンド(ds)です。このメンバーを見れば、私のブログの読者ならお分かりでしょう。そうです。クリポタ買いです(笑)。

このアルバムを買った時、リースってトランペッターだとばかり思っていました。だってジャケットがトランペットのベルに見えたんだもん。CDプレーヤーに入れてしばらく聴いてトランペットが出て来ないのでおかしいなと思ってジャケット裏を再確認。リースってサックス奏者じゃないですか。で、ジャケット表を見直したら、ソプラノ・サックスのベルでした(笑)。

そういえば今回からジャケットの紙質が落ちて単に二つ折になりましたね。コスト削減?でも今度は紙のCD袋が付いたので、ローコスト化したのかしないのか?

最近、とは言ってもほぼ1年前ですが、クリポタの近況をライブで聴けるのが楽しみでした。相変わらずいい演奏をしていますね。今回はリースの曲が主体なためか、自身作の曲で見せるクリポタ節は控えめになっているように思いました。そのせいなのでしょう。リースとの相性は非常に良く、昔風に言うと”アル&ズート”コンビのような感じの演奏を聴かせてくれます。リースもクリポタに負けずいい演奏をしていますよ。

全5曲、リースの3曲にシューマンの弦楽四重奏曲No.14《死と乙女》とエンディングにオラーのソロ曲。最後の曲は短いので4曲+オマケといった感じです。リースの曲は8ビートの哀愁系、4ビートのバップ曲、アメリカン・フォーク系バラード曲の3曲。リースは2曲でソプラノ・サックスを吹いています。

アルバム冒頭はパティトゥッチの逞しいベースから始まります。この人、最近本当にしっかりしたベースを弾いていますね。地にしっかり足の着いた堅実なベースを弾きステージの中央で演奏をしっかり支えています。この人がチック・コリアのエレクトリック・バンドのベーシストだったとは想像できません。

リースとクリポタは左右に定位。リースは向かって左寄り、クリポタは向かって右寄り、リースのテナーはブライトな音、クリポタのテナーはスモーキーな音です。心なしかクリポタのテナーの音を小さめに録っているような感じがするんですが・・・。リースのアルバムだからかも?クリポタはいつものオリジナリティ溢れるラインとともに、時折”チラッ”と挟む引用メロディーのセンスがいいですね。リースはアドリブがちょっとまじめ過ぎるような気がしないでもありません。

曲はテーマの合奏と各人のアドリブというオーソドックスな構成。上記のとおりリースとクリポタの相性が良いので、《ア・サマー・トゥ・リメンバー》での合奏はとても気持ち良く聴けます。2人の合奏はアメリカン・フォーク系バラード曲《ニュー・ビュー》で最好調になります。順番に数小節づつソロを取り合いながら最後には合奏になるのですが、お互い表になり裏になり、深みのあるハーモニーには心を打たれます。

4曲目のシューマンの弦楽四重奏曲No.14《死と乙女》が面白いです。私はこの曲の原曲を聴いたことがないのですが、リースのアレンジがあるにせよ、ジャズ曲にしか聴こえません。テンポは遅くないですがマイナー・メロディーのレクイエムのように聴こえます。曲調としてはイスラエル人ベーシストのオマー・アヴィタルが書くような曲。つまりクレズマー的哀愁曲に聴こえます。この曲はこのアルバムのハイライトでもあり、メンバー全員の熱いソロが聴けます。

ラスト《バッハチェロ組曲への序曲》は約2分半の短い曲。ピアノ・ソロで演奏されます。4曲目が盛り上がるので、それを冷ます静かなエンディング曲なのかもしれません。

クリポタの好調な近況とリースの好演が聴ける良いライブでした。

アルバム名:『TIM RIES QUINTET LIVE AT SMALLS』
メンバー:
TIM RIES(ts, ss)
CHRIS POTTER(ts)
JOHN  PATITUCCI(b)
KALMAN OLAH(p)
BILLY DRUMMOND(ds)

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